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京大漫トロピーのブログです

【12/5】一度生まれたものは そう簡単には死なないーー

皆さん、ご機嫌麗しゅうございますでしょうか。マツオです。いろいろあったわけだが今年もこの季節がやってきた。そう、クリスマスである。何を隠そう私はこのイベントが大好きである。冬の夜、街は幻想的な輝きにあふれ、世の彼氏彼女は街にくり出て逢瀬を重ねる。甘く暖かな顔をして、聖夜に消えていく彼らはさながら子供のように純真で雪のように純白だ。もちろん漫トロ民も例外ではない。この時期になると彼らは発情期を迎えるらしく、甲斐甲斐しくツガイを求めている。まったく愛い奴らだ!そんな素晴らしいイベントを迎えるべく行われる企画アドベントカレンダー、希望に満ちあふれたものになるに違いない。


今回の企画のテーマは「誕生」。誕生についていろいろ考えてみると、最近兄夫婦の子供が誕生したことを思い出しました。兄と言えば僕のオタクとしての師匠であります。そんな兄が好きな漫画を読んでみよう!(おすすめをわざわざ聞いた)ということで今回僕が選んだのはこの漫画!


鉄コン筋クリート

以下あらすじ
義理人情とヤクザがはびこる街・宝町。そこに住む少年たちクロとシロは自由奔放に街の中を飛び回る。そんなある日、街の開発という名の下に蛇という謎の男が現れる。街を取り巻いていく不穏な空気にクロたちや、ヤクザたちが立ち向かっていく――。






この漫画、良い漫画でした。他にも色々オススメ読んだんですけど、この漫画が一番よかったので、漫画紹介みたいな感じでこの漫画の良いところを簡潔に描いていきます。


この漫画において特筆すべきところは奇抜で魅力的なキャラクターですね。作品特有の世界観とうまくマッチした硬派なキャラたちがこの作品の魅力を支えている、な か で の 子供主人公ですよ。これが効いてる!まだまだ成長過程の子供の心象を描くことで、周りの悪い意味で完成されている大人たちとのギャップが主人公の魅力を一層引き上げている。この作品の大人たち、全員救えないです。何も変わらない。でも主人公たちは違う。まさしく主人公のために用意された王道のストーリーでした。また、この漫画、台詞回しも素晴らしい。説明するわけでもなく淡々と進んでいく物語は、読み手を自然と引き込んでいく。硬派なキャラとその台詞回しによってその独特な世界観からは到底得られぬような「リアル」を生み出している。これが松本大洋かーと感嘆。



この物語の主人公である子供たち、クロとシロは共依存である。冷静で理知的なクロ、馬鹿で正直で泣き虫なシロ。ふたりとも身寄りが無く、ふたりで足りないところを補いながら生きている。ふたりとも驚異的な身体能力をもっていて、文字通り街中を「飛ぶ」。その自由奔放で開放的な描き方は何者にも束縛されないふたりだけの世界観を作り上げていて、よんでいて気持ちよく爽快感がある。この街はふたりのものだ。




しかしそんな自由な生き方が永遠に続くわけがない。この街の異様な変容に直面した彼らは自分たちが変わっていくことにも気づかず立ち向かっていく。己を消費し、傷つきながらも街を守りつづけた彼らが行き着く先、その成長が素晴らしい。ネタバレになるのであまり詳しくかけないけど、その様を是非読んでほしいです!