【12/6】ドラえもん長編について
どうも。最近いかに楽に金を稼ぐかについてずっと考えております、ゴムまりであります。
今回のテーマが「誕生」ということで、何を書けばいいのか全然わかんなかった。「もう、無理だ。」と挫けそうになった時に思いついたのが…
そう、「のび太の日本誕生」だ。小学生の時、今のように心が薄汚れていなかったあの時期に、映画で見たことのある人も多いのではなかろうか。簡単にストーリーを言うと、家出を決意したのび太たちは、タイムマシンで7万年前の日本へ。現代に戻ってみると、時空乱流に巻き込まれて7万年前から現代の日本に流されてきたという原始少年がいた。クルルという名のその少年は、中国にある「ヒカリ族」の子どもだが、一族は自称妖精王の「ギガゾンビ」の部下に連れ去られた。のび太達はクルルといっしょに戦う。といった感じだ。今回はドラえもん長編について思う所を書いていきたい。
ドラえもんの長編は漫画であれ、映画であれ、薄汚れた大人になってから見返してもどこか満足感のあるものだと思う。それは物語の構成にあるのではと自分は考えている。まず物語の冒頭でのび太が大人もしくはスネ夫とジャイアンから理不尽な仕打ちを受ける。のび太がドラえもんの道具を借りる。まずここまでで少年時代無垢であった我々を、希望に満ちて生きた眼をしていた我々を、「チ〇コ」「ウ〇コ」「おっπ」が下ネタの全てであった我々を、いわゆる「世間」をまだ知らず自分の周りが世界の全てであった我々を思い出させてくれるのだ。浄化される。誰もが成長の過程で受け入れることとなってしまったその理不尽を秘密道具で撃破する。痛快よ。人によっては毎度ドラえもんに泣きつき力を借りるのび太を悪く思う輩もいるかもしれない。馬鹿言っちゃいけないよ。それは自分の周りに頼れる存在がいないボッチ君の醜い嫉妬でしかないよ。君は自分ひとりの力で大きくなったのかな？少なからず人に頼った時点でのび太も僕らもいっしょ。そもそも人に頼るのは悪いことじゃないからね。これらのことを再認識させてくれるドラえもんはやはり優秀な教育ロボだ。ドラえもんが教育しているのはのび太じゃない、読者だ。
話を物語の構成に戻そう。ドラえもんの道具が登場した後、普段の短編であればのび太が悪いことに道具を使うのだが、長編ではいい使い方をする。誰もが夢見るあんなことやそんなことを秘密道具が実現させる。いつからだろうか。非現実的なこと、物理法則に反すること、常識的でない物事を「ありえない」としか考えられなくなったのは。無垢なあの頃少なくとも僕の中でそれらは「ありえた」気がする。何が僕を変えてしまったのだろうか。知能の発達とともに大事なものを失ってしまったのか。いくらのび太より賢くなったところで、無垢なのび太より幸せになれるのか。悲観的に考えていても仕方がない。子どもから大人への成長なくして社会は成り立たない。ただここで僕が言いたいのは、大人になった今からでも心の中に自分だけの世界、なんでも「ありえる」妄想空間をつくってもいいんだ、ということだ。秘密道具はこれらのことを、考えがセメントのように凝り固まった自称大人に思い出させてくれる。
物語で欠かせないのが仲間と悪役だ。ドラえもんはここら辺の距離感をうまく描いていると思う。基本的に長編ではのび太達と異星人などが出会い、友情が芽生え友達になる。仲間のためにのび太達は彼らの敵と戦う、といった流れである。まず仲間との距離感だ。長編内では、のび太達と新たな友達はそれほど長い時間を共に過ごさない。ここが大事だ。長く一緒にいると次第に人の悪い部分が見えてくるといったことがよくある。登場人物の良い部分（ここには各人の短所が長所となっているものも含む）が目立っていていい。次に敵との距離感だ。基本的に作品の中では敵キャラは単なる悪として描かれている。この解像度の低さがいいのだ。「なぜ彼らは悪いのか、それは彼らが悪いからだ。」これくらいがいい。何のためらいもなく倒せるのがいいのだろう。仲間のために勇気を出して戦う。今の僕にはそんな勇気はなく戦うのをさける理由を考えることしかしないだろう。だがそれは悪いことではない。良くないのは仲間のために勇気を出して戦う彼らを心のどこかで「そこまでするかぁ～」などと馬鹿にする僕の汚れた心だ。
物語の終わりは仲間との別れだ。「君のことはずっと忘れない」みたいな感じで終わる。いつからだろうか。少年達のきれいな別れを「嘘つけ（笑）。絶対忘れるやろ。」と心の中でバカにするようになったのは。そう思わせるのは、年々送り先が減っていく年賀状のせいなのかな。まあとにかく、人との出会い、別れはこの先何度もあるだろう。そんな中でその一つ一つを大切にできるようになりたいなあ。
ここまでで説明したようにドラえもん長編から考えさせられることは多い気がする。皆さんもぜひ読んでみてほしい。浄化されると思う。（この発言に皆さんが薄汚れているという意図はございません）
