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京大漫トロピーのブログです

【12/1】食ってェ 食ってェ 食いつくせっ!!

どもども、先週ようやく会長任期を終えた新萬です。
無事NFが終わってちょっとした抜け殻状態になってたけど、最近は初音ミクProject DIVA MEGA39’sに熱中しています。それがきっかけでニコ動でボカロを漁るようにもなり、「VOCALOID神話入りってどういうこと? 神話?」とか「この「幸福安心委員会」って曲の米テラオモシロスwwww」…………とか思ってたらもう年末ですよ、年末。年末イコール寒い。最近マジで寒いっすわ。この前ユニクロヒートテック買ったんだけど、あの極暖とかいうのにしときゃよかった。極暖の値札見たら1,990円で、その時は「そんだけあったら三条のBOOKOFFに置いてあった『大食い甲子園』買うわ!」と思ったわけだが、ファック、『大食い甲子園』買うより暖かい方が大事ったい。


……と、まぁ近況と絡めてアドカの導入を書くのは完全に失敗したので、素直に本題に入りましょう。
今年も漫トロピーではアドベントカレンダーをやります。12月1日から25日まで、お題に沿って毎日ブログを更新するという企画ですね。で、今年のお題は「誕生」。
今年僕が読んだ漫画の中に「誕生」をテーマに描かれた良作があったので、それを紹介していきます。

タイトルは『ヒロモト森一短編集』。
ヒロモト森一は90年代のアフタヌーンで活躍していたこともあって、かなり癖のある漫画を描く。まず画力が凄い。どのページを見てもクソカッコいい絵と描き込みの豪華すぎる画面が連発しており、唯一無二の形に研がれた才能をビシビシ感じるはず。そんなイカした画づくりの才能と絶妙にマッチするのが、第二の個性とも言える、間の抜けた台詞回しだ。クサくなり過ぎずダサくなり過ぎずといった塩梅で、こういう読み味の漫画はヒロモト作品以外にあまり知らない(漫画じゃないけど、「忍殺」とかは結構近いところがあるかも)。

スゴイってなんだスゴイって


さて、そんなヒロモト森一による6つの短編を収録したのがこの『ヒロモト森一短編集』で、そのうちの1作「MESS」では人魚姫の「誕生」が描かれている。

あらすじはシンプルだ。ある日1匹の人魚が悪漢たちに襲われ、下半身(魚部分)を丸ごと食い尽くされてしまう(人魚の肉食う=永遠の命的なアレ)。しかし執念で復讐を果たし、海へと還る。そうして半身を失っていた人魚は尊厳を取り戻し、人魚として生まれ直す。そういう意味で誕生の物語だ。

この短編は、さっき挙げたヒロモト森一の魅力である、超画力や間抜けな台詞(特にこの漫画に関していえば、間抜けな演出)、その両者のシナジーが凄まじく、叙情性の点でも他のヒロモト漫画と比べて群を抜いている。

例えばこんな場面。



かつて自分の肉を喰い不老不死になった男の凄みに対し、この切り返し。カッケェ。




あの時の人魚なのか!? 気が付いた刹那、深海の極悪生命体を解き放ち、人魚は男を殺害する。
900年の恨みを晴らし、鋭く見つめる目は何を思うのか。
彼女がこうまでしたのは悪漢たちに下半身を食べられるという恥辱を受けたからであるが、その様子もまた類を見ない描かれ方である。



正視に堪えない悪魔の宴が、テンポのおかしいコミカルさを伴って描かれる。



「子供の人魚とはいえ 喰いきるのに五人で丸一週間かかった…」
「う~~~ 死ぬ~~~」







バンッ 突如、部室の扉が開いた。
「そこまでだ! 全員表へ出ろ!」

盛山空太郎と名乗る男は、人魚の乱食いを終えた部員たちを怒鳴りつけた。
「あ…地区予選が近づいてるんで訓練を…」
「出ろっ!!」
男は有無を言わさなかった。
「食ったばっかで動けねぇっすよ… うっ吐きそう…」
「練習の仕方が下手だからそうなるんだ。理屈に合った練習をすりゃあ食えて強くなるっ!!」
「そうしたら、俺たち…」
「そうだ」

To be continued...