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京大漫トロピーのブログです

1月の面白かった漫画

まず初めに 今年はサークル活動の制約のせいで編集スケジュールが崩れているのでアドカは見送りになりました。ごめんね。4月に新刊企画として何か代わりにブログ書くらしいので毎年アドカを見てた人はそれまで待ってね。

今回の記事はそれとは別のものです。元々ナギ様の手料理再現企画を試みていたのですが出不精なので準備が滞ってます。暫しお待ちを。代わりと言ってはなんですが今月の面白い新刊でも軽く紹介したいと思います。

 

5位 『ぬるめた』こかむも

 

ぬるめた / こかむも おすすめ無料漫画 - ニコニコ漫画

ぬるめた - DOVSTORAGE APOCALYPSE - 幕府 - BOOTH

「ぬるめた」/「こかむも」のシリーズ [pixiv]

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かわいい。

マンネリ化したきらら作品に突如現れた新生児。きららマックスは『アキタランド・ゴシック』然り萌え漫画の変化球を投げてくれるので信用できる雑誌。

読者を舐め腐ったプロットの跋扈するきららであるが、『ぬるめた』は決して手を抜くことがない。有象無象の萌え4コマが1節使って書く情報量を1コマで表現している。具体的には上の画像を見れば想起できるだろう。

こかむも氏本人は影響を受けた作品として『少女終末旅行』を挙げているが、筆者が特に感じたのは『ゆゆ式』イズムである。まずテンションの高低差にメリハリがつけられて話が進む。千明や咲樹名はグループで集まる時はハイテンションな一方で普段はどちらかと言えばローテンションで寡黙だ。これは陰キャ的な特徴であるし(実際彼女たちは陰キャ的属性を与えられている)、残り二ヶ月でアラサーを迎える陰キャの筆者にも心地が良い。テンションのメリハリをつけることで読者に体力の消費を必要以上に要求しないのである。つまりオタクが仲間と集まって盛り上がる時ってこんな感じだよね、という表現をしている。きらら本誌版ではうるさい印象が強い漫画だが、同人版では静の部分が描かれている。読もう、同人版。

そして内輪コミュニティの心地良さも描いている。4人でワイワイ話す時間もあれば、各々が同じ場所で自分の好きなものを見ている時間もあるし、学校に普通にPSvitaを持ち込む自由さもある。筆者も高校時代になぜ彼女らのように学校をサボろうとしなかったのかという後悔がわく。

コミュニティの内輪的結束感を間接的に表現するのが傍観者としての同級生のかがりやゆうかの存在である。彼女たちは度々登場して千明たちに絡んだりするが、「見ているだけで楽しい」と言いグループには交わろうとしない。ここに千明コミュニティの内輪性が表れている。彼女たちのポジションはゆゆ式における相川さんグループに該当する。ゆゆ式を描いている三上小又氏は単行本4巻か5巻(手元にないので確認できないが)で以下のような趣旨のコメントを残している。「相川さんグループとゆず子グループは接近するけれども決して交わることのない関係性でありそこを描きたい」

しかし彼女たちのグループが排他的というわけではない。その証拠が詩雪の存在だ。千明と咲樹名は幼馴染であるしくるみに至っては千明と同棲している。しかし詩雪は北国からの転校生であって彼女たちのような日常的な密接関係はないし自分から友人関係を積極的に作るタイプでもない。そのような人物であっても性格やノリさえ合えばコミュニティの一員になれるのである。

そしてこの内輪コミュニティの楽しさもオタク的なものである。総じて言えばオタク的コミュニケーション・コミュニティの楽しさがこの漫画の面白さではないだろうか。

タイトルも一見安易なひらがな4文字だが本来の名称は「めたりあるあんふぃくしょん」である。千明やくるみが存在する世界は複数存在し漫画で書かれているのは一つの世界なのだ。事実AmazonのカテゴリはSFである。きらら本誌ではよくわからないが同人時代の作品を漁るとそこの設定がよくわかる。恐らく雑誌版と同人版も微妙に違う世界線なのだろう。

(再三だが)同人版はニコニコ静画とこかむも氏のpixivで見られるので是非見よう。筆者は同人時代の作風の方が変なきらら本誌の制約を受けてなくて味があって好きだ。

 

4位 『ブランクスペース』熊倉献

 

ブランクスペース(1)

ブランクスペース(1)

 

 



他の4つの解説文で力尽きました。まあ面白です。話のプロットは正直凡庸なものなのですが、淡々と物事が進む一方でどこか優しさを感じさせる表現はこの作者にしかできないものだと思います。辛さとかやるせなさを言葉を使ったりキャラを激情に走らせたりすることなく伝えるのって難しいと思うんですけど、この漫画は静かな絵なのにキャラの抱いているやるせなさなどがひしひしと伝わるのがいいところですね。

 

3位 『淫獄団地』搾精研究所/丈山雄為

淫獄団地 / 原作:搾精研究所 漫画:丈山雄為 おすすめ無料漫画 - ニコニコ漫画

搾精病棟で名高いあの搾精研究所が一般誌で連載開始!?ということで話題になった作品。作画の担当変更は一部の界隈の不安を誘いましたが蓋を開けてみればいつもの搾精研究所。むしろこの作画の方が味があるかもしれない。

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毎回福本話法で喋ってるのが草生えますね。

 

 

2位 『交換漫画日記』町田とし子

 

 



NTR

隠キャ女子のユーカとアイコが2人だけで交換漫画をしていたら陽キャギャルに目をつけられてしまい2人の関係性が変わっていく...という話。最近のギャルは一見ケバいけど実はオタクくんに優しいキャラとして描かれがちですがこの漫画のギャルはオタクと相容れない存在として描かれます。(正確には自分の尺度でしか他者とコミュニケーションを取れない人)実はギャルも陰キャに近寄ったギャルなりの理由があるわけですがそれはこの場では割愛。

一方ユーカとアイコも同じ隠キャですがユーカは言うなれば生粋の隠キャでギャルを拒み続けるのに対し、アイコは根は素直でただ控えめなだけの隠キャです。その違いは例えば交換漫画の中身でも示唆されています。

恋愛漫画を描き続けるユーカはアイコと違いギャル的価値観を吸収しうる土壌を持ち合わせています。ユーカはギャルに絡まれ化粧や恋愛と言ったいうならば女としての生き方を学びます。一方でアイコはユーカが自分の目の前でメス堕ちしていくのを許せません。なぜならばユーカはオタクとしての自分と対等な存在である数少ない存在であるから。ユーカはアイコとの関係性が外から崩されていくことを拒み続けます。

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メス落ち二コマ

この漫画を一貫するテーマは自分の価値観で相手の行動を判断することによるすれ違いです。

百合漫画のテンプレの構図として「2人だけの関係性とそれを外から脅かすもの」があります。こうした安易な二項対立を作らず、ユーカの陰キャとしての価値観とギャルの価値観、アイコの価値観を相対化して書いているのがいいところだと思います。

 

1位 『転売ヤー金木くん』早池峰キゼン

COMIC MeDu (こみっくめづ)

天才小学生の金木くんが転売で金儲けする話。転売事情が現実にかなり忠実に描かれてます。忠実すぎて一般誌じゃ厳しい。

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後これは漫画と直接関係ないけどフィギュアの転売では汁リスクが実際にあるらしいです。

 

終わり