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京大漫トロピーのブログです

【12/13】あわよくばボッスンを目指す。

どーもすいっちです。アドベは前回やっていなかったので2年ぶりですね。これを機に一昨年のアドベを振り返ってみたのですが一昨年は「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」を紹介していました。2年前のこの状況を振り返るとやっぱりメンタル的に相当回復、成長しました。今年は本当にアップデートされた1年でした。自信をゲットしマイペースながら色々チャレンジできました。で?就活は??まあまあまあ、、、そういう話は置いておきましょう.....

さて、今回のテーマは「誕生」ということでせっかくなので僕という個性が「誕生」したきっかけの漫画として「SKET DANCE」を紹介させていただきます。


あらすじ:藤崎佑助鬼塚一愛笛吹和義の三人は人助けを行うスケット団として活動している。 校内ではただの便利屋のような評価を受けているスケット団だが、解決できる事件はいじめ問題から爆弾処理まで幅広く、学校で起こる出来事を解決するため奔走していく。
今はもう僕にとって思い出枠として昇華されてしまった漫画ですが、京都にもわざわざ持ってきたくらい好きな漫画です。(小学生の時に借りパクしてそのまま返してないのほんまごめん)学生生活の「青春」を軸に悩み葛藤しながらもそれぞれの道に向けて歩みを進める。ポップなギャグ漫画要素に加え個性豊かなキャラクター、でも読者と同じようにどこかで悩んでいる。そんな漫画だからこそなんとなく惹かれたのかと思います。

スケットダンスで僕が一番魅力に感じてるのがボッスンのキャラクター性です。かっこ悪いけどかっこいい。子供のように無邪気でありながらも見栄を張ったり焦ったりカッコつけてもカッコつかなかったりなどそういったある種「人間らしさ」が僕は漫画の中で信用できるし好きだなと思えた。
それでいて中高生が抱える悩みに寄り添って応援してくれる。その応援も相手を理解していてくれるような優しさや思いやりなどが伝わってくるのが心に残ったポイントです。「スケット団」という「誰かを手助けする何でも屋」という部活内容がキャラクターともマッチしています。

※以下ネタバレ

ボッスンは最後のシーンで大学に合格するも行く選択はせず海外を見て回りそこでの経験を活かすことを決意して終わります。そういった少し違う道にずれて挑戦しようとするところや自分の頭で自分なりに考えているところがいいです。海外に行くという点でもちゃっかりインスパイアされてますね。。こういった舗装された道とは外れた選択肢に行くことに対し応援するでも無関心でもなく寄り添ってくれるような感覚に居心地の良さを感じてなりません。

僕はボッスンのカッコ悪いけどカッコいい。人に寄り添えるところとかもいいなと思ってスイッチ目線のためHNをすいっちにしてます。あわよくばボッスンみたいな人になれるように人にもっと寄り添いたいです。

てな感じで、皆さんよいクリスマスをお過ごしましょー

【12/12】最近どう?

 こういう質問が一番困る。「どう?」ってなに? どうって。まぁ自分はこの手の質問よくするんだけど。相手が困るかはよくわからないからね。(12/5)
 そうだ、この前漫トロの人たちと一緒にアニメ『DYNAMIC CHORD』を初めてフルで見たんだけど、マジですごかった。クソアニメ史にその名を刻むにふさわしい出来だったね。「才能あるんじゃないか?」からの一連の流れとか笑い死にそうになると同時に感動したもん。なにごとにつけそうだけど、切り抜きじゃわかんないことっていっぱいあるんだなぁ。あと、ニコニコのみんなにはネキニキって呼ばれてるかもしれないけど、見終わった俺にとってはもう宗太郎お姉ちゃんになってたよ(キャラの掘り下げは微塵もないけど)。ちょっと生まれ直したくなった。俺ってやっぱ斉藤壮馬の声好きなんだなって再確認させてくれたし(もはや何回目かわからないけど)、ありがたいね。(12/6)
 そんなことより冬ですよ冬。限りなく夏が続くと思ってたけど冬だよ冬。なんか寒いし。気温が低いと体感で指が細く感じるんだけど、みんなそうなのかな? 何かに触った時にそれに接触してる面積が気持ち少なめに感じるっていうか*1。にしても時間が経つのが早すぎるわ。なんもしてないよほんとに。こんなんで大丈夫なのかなって最近よく考えてるけど、絶対大丈夫じゃないんだよね。とにかくなにかしらに取り組まないといけないんだけど、取り組めないんすよ。とにかく取り組めない。取り組むにしたって、起きてから数時間ベッドでボーッとしないと活動できないし、数十分くらいなんかしたらまた数時間ボーッとする時間に入っちゃうから話にならない。しかも数十分くらいなんかするの中身も問題で、一つも集中できないのよね。あら〜。常に気が散ってるから進まないんだわ。あー進まない。お勉強どころか娯楽ですらこの気があるからもうダメ。ダメです。ダメでした。👁。
 ところで、今年の漫トロランキングで52位にいる『ナメ。』*2 って漫画、気づいてた? 漫トロwebのランキングページか会誌のランキングコーナー(しかもおまけ的なページ)を見てる前提で書くのは申し訳ない気もするんだけど、ぶっちゃけmantrogって会員か物好きしか見てないからいいかなって。あ、今見るとタイトルに親近感を覚えなくもないな*3。むむむ。READY STEADY GO
 この漫画に会誌上で触れてる部分ってほぼなくって、まぁ俺もそのほぼあるページで主役になってる会員からこの漫画の存在を教えてもらった身だからアレなんだけど、でも結構見所あるからこういう場所でちょこっと紹介しといたほうがいいかなと思って。ちょうど今年のアドカのテーマも「誕生」だしね。
 あらすじとかはもはやよくて、もはや。とにかく、異常な女に主人公があらゆる身体部位をあらゆる方法あらゆるシチュエーションで舐められる漫画なんですよね。で、特徴的なのがそのシチュエーション選択と舐めの表現。とりあえずこれ見て。
 こう、頑張りというか、凄みというか、もしくはそのどれとも違うような何かが伝わってきてるよ。もう新しいのかすらよくわかんなくなってくる。舐めシーン以外もコマ割りとかその他細かい部分が絶妙におかしくてウケるし。他にも変なところあるから何かの手段で読んでみてほしい。(試し読みはこちらから!→ナメ。 - 林あらた | ヤンチャンWeb(ヤングチャンピオン)) (12/5)
 この記事画像多めでやらせてもらってるんですが、画像と文章の比率問題ってあるじゃないですか。総計何万字あろうが画像の間に数百字入るのを繰り返すようだと見栄えが悪いみたいな。困りますよね。🐕<ジンジャニイルヨ! ただ、『ナメ。』みたいな漫画って文字でガチャガチャ言うより画像連打したほうが魅力がよく伝わるわけで、比率なんぞの話で方針を変えたくはないというか。画像入ります。(12/11)

なんか…
なーんかおかしい……
編集のテンションもちょっと変
 うーん、こういうくだらないけどオンリーワン感のある漫画がランキング40位代後半から50位に来てくれると嬉しいという感覚が漫トロの一部では共有されてるから、それに従うならやっぱりちょっともったいなかったのかな。そういえばこの文章を書いたのは誰で、『ナメ。』がどうして「誕生」と関係あるんだろう? あんまり当てさせる気ないクイズだけど暇ならやってみよう。

 もはやね。ここから下はもう、アレ、アレなんだけど、アレね、よくわかんないからいいや。とか書いてたらイヤホンから「とどのつまりはあれだ」って聞こえてきて笑っちゃった。タイムリーだなぁ。ほんとに頭の中がゴチャついてるから全部書くやつ(なんて言うんだっけ?)やったら多少よくなるのかなみたいな気分がずっとあって、もちろん取組み力が著しく低いから今までできなかったわけだけど、今無だったから何も書けなかったな。ちょっとやってみてもいいかなみたいな気分があるわけ。わけわけ。和気清麻呂。マジで思い浮かんじゃったんだから許してほしいわ。つまんないけど。いや、このままやってたらアドカどころかすべてから脱線してしまう気がするからやめる。なんかイライラしてきた。うーん、やっぱこういう形式で文章書くの苦手だし好きじゃないんだろうなぁ。だからこそ、こう伝えたいわけですよ、「最近どう?」って。(12/5)(12/40)

*1:くさつにこの話をしたら、あったかい時は単にむくんでるんじゃないですか?と言われた。なるほどね。(12/11)

*2:後から気づいたんだけど「ダメ」と「ナメ」で踏めているといえば踏めている。(12/11)

*3:すいません全然気づいてたことに気づきました。(12/11)

*4:今気づいたけどハンドルネームに「ナメ」入ってた。↑(12/11)

【12/11】何者でもない私を受け入れていく

担当→146B(4回生)
2023年アドカのテーマ→「誕生」
11日目
今日の漫画→

はじめに

2023年のクリスマスイブは休日

私は図書館でバイトをしています。カウンターで貸出をするときに、いつまでが貸出期限なのかを利用者の方に伝えるのが業務の一貫となっていて、常に2週間先の日付を意識しています。実はこのブログを書いている前日にもバイトがありました。そこで貸出作業をしながら、もう2週間先にはクリスマス・イブかぁ……としみじみと思ったことです。そういうわけで今年の残りの日数を数えたりもして、感傷的になったり、今年も何者にもなれなかったなどと絶望的な気持ちになるものです。

この章では漫画の話がありません

卒業と進学をさせてほしいです(涙)

「何者かである」とは一体どのような事態でしょうか
うっせーっ! 知るかっ! って蹴っ飛ばせればそれでいいのですが、この問いは一度頭をかすめてしまうと、亡霊のように繰り返し頭の中に出現します。

そして私はたびたびこの問いに頭を悩まされています。

そもそもなぜこのようなアイデンティティ・クライシスとも称せそうな状況に陥っているのか。
私は大学4年目ではあるのですが、留年をしているため3年生です。4年目だろうが3年生であろうが、いずれにせよ大学で専門的な内容についてある程度の学識を得て、ゼミや研究室への配属をすでに済ませている/これから所属する予定であるという状況なわけです。
が、私にはここでひとつの乖離が起きています。所属している学部は理学部なのですが、興味がありそれなりに勉強した分野が哲学の方というちょっとした分裂です。この裂け目は私個人の内側だけでありません。先日も人と会話しているときに、私が文学部に所属している人間であると勘違いされて話が噛み合わないことがありました。

いや実のところ、私のやり方が間違えているんですよ。
そもそも理学部の学生らしいことを普段から話さずにずっと思想についてどうたらこうたら話す、そういうことを発話し表明しつづけてたのだから、思想を専門にしている学生であると周囲に意味しつづけていることとなんら変わりはないのです。なので私を文学部の人と思っていた人がむしろ自然なほどです。

だから私が本当は理学部生なんですよと訴えることには、何ものの効力もないどころか私という人間を知るのにノイズでしかないのです。つまり、私という人間がどういう人かを知るのに、その所属している学部は、もはや有効ではないのです。

では何者かであることとは、私の上のような乖離がない人間、つまり、肩書と実際の振る舞いが一致している人を指すのでしょうか。
例えば、その名前と中身が一致していたとしても、その意味が「何者でもない」ことを含意しているのなら、それは「何者でもない人」になるのでしょう。

こういう風に考えてみると「何者かである」という考え自体がどこか胡散臭いものであるように思えてきます。

漫画の話:積極的に何者でもない私を受け入れていく

さみしぃね

『今日はまだフツーになれない』もそんな話だと思うんですよね。
漫画家になったもののすぐに打ち切られた山下も、かわいいものが好きで就職も進学も拒んでメイド喫茶で働いたあとに非正規雇用で働いたりしている高橋も、どちらも何者でもない存在として描かれています。それぞれのフツーを生きていて、それなりに独特の生き方をしているけど、それは社会的には何者でもないことになってしまう。
「あたしだけ」の生き方であるが私にとってはフツーだから、それ以外は選んでこなかったし、いやむしろ「何者かである」必要すらないんです。
何者でもなかったとしても、それに気付いてしまったとしても、そのことを私なりのフツーだと思って、慣れないながらにもやっていくしかないですね。

自分自身の核とは何かがわからなくなり、そのことに危機を感じたときに、その人のフツーが誕生します。

オチが付いたのでこの辺りで本日の記事は終わりにしようと思います。
読んでくださった方、ありがとうございます。

【12/10】誕生だァ!

どうも、ひじきです。

今年のアドベントカレンダーも10回目、クリスマスまで2週間、年の瀬まで3週間、後期はいっちょ"本気”出しちゃいますか……などと言っていた頃からはや2ヵ月。最近妙に時の流れが速い。なにもしないをすることばかり上達しているし、寝て起きたら1週間くらい経ってる気がする。そういえばつい数年前放送だと思ってたアニメが10年前だったりすることも増えた。「老化」してるって……コト!?『スナックバス江』でタツ兄が語るおじさんあるあるに少しづつ共感できるようになってきた自分に恐怖を覚える今日この頃。2年前が2021年って全然ピンと来ねぇ。

さて、アドカテーマは「誕生」。このテーマに関連する漫画について好き勝手書けとのこと。書きづらそうで書きやすい少し書きづらいテーマだが、特定層ならば秒で思いあたる漫画とコマ、台詞がある。
それがこれ。




このラリっている白髪の男はアルフレド・E・ハウスマン。web漫画『胎界主』の登場人物であり、ほぼ単話のみの活躍にも関わらず読者に強い印象を残すキャラクターである。彼が登場する23話を軸にこの漫画を紹介しよう。

『胎界主』の作品世界では、魔王と呼ばれる超常の存在が世界を陰から支配している。魔王は人間だけが持ちうる「たましい」を持たないため創造行為ができず、そのため人間と契約し手駒にすることで勢力を伸ばしてきた。そんな魔王たちの派閥争いや敵対勢力の陰謀に、主人公・凡蔵稀男は巻き込まれていく……というのが『胎界主』1部のざっくりとしたあらすじだ。

主人公の凡蔵稀男(ぼんくらまれお)。彼に限らずアレなネーミングが多い。

そして23話。魔王メフィストフェレスが稀男を手駒に加えるために召喚したのが、稀男の前世*1であるハウスマンだ。肉体とたましいの主導権を巡って稀男とハウスマンは戦うことになり、2人が対峙した時ハウスマンが発したのが先ほどの台詞である。以下フルバージョン。

ウハハハハハッ!最高だ!
生きているというのはそれだけで総ての死者に君臨する王の気分だッ!
なにが教師だ馬鹿馬鹿しいッ!こんなド田舎三日で飽きるに決まっておる
ワシはまた返り咲くぞ 胎界主なんだッ!
あらゆる問題を克服し世界と人生を創造する力を持っておる
胎界ブツと違って本当に生きるという事を知っとるんだッ!

誕生だァ!胎界ブツ共よ新たな胎界主の誕生を祝福するがいい!
バースデーケーキがロウソクで埋め尽くされるまで人生をしゃぶりつくしてくれるわ!

それまでの落ち着き払った老紳士のような振る舞いをかなぐり捨て、ハウスマンは捲し立てる。
彼は生前、魔王直属組織の副総裁として絶大な権力を振るっていた。その彼が再び現世へ戻り生への執着を迸らせているというシーンなのだ。陶酔感と自信に溢れた、己が世界の中心と言わんばかりの台詞回しがなんとも心地良い。

稀男とハウスマンは同じ能力を持つ。それが12話のサブタイトルでもある「運ぶ力」だ。運(マナ)を操作して、事態を望んだ方向へ「運ぶ」ことができる。大局的な事態の操作のみならず、局所的に蓋然性事象を狙って引き起こすこともできる。たとえ0.001%でも起きる可能性があり、彼らが自由意志で願うなら、その望みは実現する。その気になれば適当に引いた宝くじで1等なんてことも余裕なのだ。

めだかボックス』でも見たやつ。

ではこんな能力を持つ人間はあらゆることが順風満帆で、満たされた人生を送っているのだろうか?

稀男との運(マナ)を使った銃撃戦は終始ハウスマン優位に思われたが、稀男の策により一手で戦況が覆り決着。膝をついたハウスマンはこう漏らす。

もういい
もうこりごりだ
なにが教師だ馬鹿馬鹿しい
どうせすぐに飽きて同じ一生を繰り返すに決まっとる
もういい……一度でたくさんだ

ハウスマンは「運ぶ力」を駆使して権謀術数渦巻く世界に生き、成り上がってきた。重要な選択を外さず、強敵とは遭遇自体を回避し、すぐに首が飛ぶトップではなくNo.2であり続けた。一般人からすると満たされた人生のように見えるが、能力にかまけて試練と向き合わず、自らの創造性に対して怠惰であった彼の心にはどうしようもない虚無感が巣食っていたのだった。2度目の生を受けたところで同じ轍を踏み、また虚ろに生きることを悟ったハウスマンは最期に稀男の手を握り、微笑みを浮かべて朽ちる。


「胎界ブツ*2と違って本当に生きるという事を知っている」と語ったハウスマンもまた、本当に生きるということを知らなかった。そんな彼が稀男との再戦と人生への再挑戦でなく「諦める」という選択をして塵となったのはある種絶望的であり、救いでもある。僅か1話で彼の渇望と苦悩が描かれ、死後から振り返る形で彼の人生が美しく完結したこの23話は『胎界主』1部でも屈指の名エピソードである。

最後にリンクを貼って締めとさせていただく。『胎界主』は2005年から個人サイトで連載を続けているWeb漫画で、いつでも全話無料公開されている。読みづらさに定評のある本作だが、全話読み切った時あなたのたましいは歓喜に打ち震え、「なんて素晴らしいんだろう」と新しい自分の誕生を言祝ぐだろう。

www.taikaisyu.com

*1:厳密には「傀」という似て非なる概念だが省略。

*2:稀男やハウスマンなどの特別な人間「胎界主」に付き従うことしかできない者への蔑称。

【12/9】思い出はいつも綺麗だけど

こんにちは、まつだです。12月も中旬に近づき、世間はクリスマス一色の空気になりつつありますね。街を歩いていても、右にはアベック、左にはアベック、、。もう脳を焼かれる思いです。恋人がいないまま迎える18回目のクリスマス....大変むなしいです。家で1人寂しく、セブンの無駄に高くてちっこいショートケーキを泣きながら食べる自分が想像できる。こんなはずじゃなかったのに、いつからこうなってしまったのだろう…。
華の大学生、クリぼっちなんて避けたい!と思い立って、中学校の頃から仲の良い友達をクリスマスの遊びに誘おうと思い連絡を取った所、「クリスマスは恋人と過ごす」とのこと・・。彼女は中学時代から恋愛なんてまるで興味がない風でしたが、今年入った大学で初めての恋をしたらしいです。初めて恋をした人と付き合える、それってとても素敵だなあ…と思います。何においても初めてってトクベツですが、特に恋愛における"初めて"の尊さは言葉にできないほど清いと思います。また、恋愛において'好きなタイプ'が固定されている人って、前好きだった人の面影を残してる人を好きになってる、ってことだと思うので、心のどこかに今好きな人以外を思い浮かべてる時点で、純粋な恋愛じゃないと思うんです。だから、そういった気持ちが無いまっさらな恋愛をできるのは、"初恋"限定だと思うんですよね。

今回のテーマは「誕生」ということで、恋心の誕生、"初恋"に焦点を当てた作品を紹介したいと思います。

初恋限定。』(ハツコイリミテッド)

簡単なあらすじとしては、「中学生•高校生の8人の女子の、初恋にまつわるお話」といった感じです。物語はオムニバス形式で展開されていきます。


↑こちらは中学生ヒロインたち。
自他共に認める美貌の持ち主、江ノ本慧
美少女だが重度のブラコン、別所小宵
クールで隙の無い褐色美少女、土橋りか
大人しめ清楚な美少女、千倉なお
そして、本作における事実上の主人公、有原あゆみ

このあゆみちゃんが財津操という巨漢な男子高校生に惚れられたことで、物語はスタートしていきます。

全くタイプではない彼からのアプローチに困り果て、学校で力尽きてしまったあゆみ。そんなあゆみを助けてくれたのは、同じクラスのイケメン男子、財津衛

ただしイケメンに限る、的な行動を素でやる恐ろしい奴です。あゆみちゃんはまんまと財津君に惚れてしまうんですね。
ん、ちょっと待てよ?"財津"という名字、どこかで聞き覚えが……

そうです。彼は先述した、あゆみちゃんのことが好きな財津操の弟なんですよね。なかなかに複雑です。
そんな衛(財津弟)にも想い人がいました。二つ上の高校生の幼なじみ、山本岬です。
3巻の表紙のお姉さんです。めちゃくちゃえっち‼︎
この岬にも後々想い人ができるのですが、その相手は…
実際に読んでからのお楽しみに。

ここまでお読みになった皆さんはお分かりでしょうが、この作品、ヒロイン達がとにかく"可愛い"んですよね。モノローグの一言でさえも甘酸っぱい。心理描写がリアルです。キャラデザもさることながら、性格も個々に異なる愛らしいヒロイン達の恋模様に注目です。

色々なキャラの視点から話が進んでいくので、前の話でチラッと出てきた脇役程度の子がメインのお話になったり、その子が、また別のヒロインの話ではサポート役になったり、と飽きることなく話を楽しめます。
この点については、作者も
「このマンガには特定の主人公は存在しません。逆を言えばどのキャラクターも主人公です。」と述べています。
なので、キャラクター贔屓するのはなるべく避けたいんですが、私が特に好きなキャラについてどうしても紹介したいので、この場を借りて

江ノ本慧ちゃんです。「男は顔」と述べる彼女でしたが、体育祭の応援係の仕事中、普段おちゃらけている顔もイマイチでスケベな男子、楠田が真面目に仕事を頑張っている姿を見て、徐々に彼の事が気になり始めます。
しかし、普段喧嘩ばかりしている楠田に恋にも似た気持ちを抱いてしまったこと、それは彼女のプライドに反するものでした。対する楠田も、慧のことが気になってはいるが素直になれず…。果たして、彼と彼女の気持ちが交わる日はくるのか。結末は、その目で見届けてほしいです。

しかし、この作品の魅力は別のところにあると私は思います。巻末の『限定少女』という話が非常に良いんです。
ドジっ子の中学2年生、安藤そあこが下着を全部つけ忘れて登校してしまう、というよくある設定なんですが、作者の技量と女性キャラの美しい身体の描き方により、数ページでも大変満足できるものになっています。このおまけ漫画のためだけに買っても損はない、と言い切れます。

このブログを読んでいる皆さんは、とっくに初恋の経験がある、それどころか、初恋の思い出さえ忘れてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。だからこそ、この作品を読んでほしいです。初めて恋をした時のドキドキする気持ち、ワクワクする気持ち…失ってしまった恋の輝きを、思い出させてくれます。
成長した現在の私達は、マッチングアプリ機械的な出会いを求め、婚活サイトの優先条件のチェックボックスを学歴・職業・年収で埋め、多くの人が、学生時代のような相手の"人柄"や"行動"に惹かれる、といった純粋な恋愛の仕方を忘れてしまっています。

でもそれは仕方のないことですよね。好きという真っ直ぐな気持ちだけで生きていけるほど人生は軽いものではないし、将来を視野に入れた選択をすることは、必ずしも間違っているとは言えません。むしろ正しく、称賛されるべきものです。
それゆえに、この作品を読み、初恋の綺麗な記憶を思い出してみるのはどうでしょうか。初恋を神格化しすぎな気もしますが、初恋なくして今の恋愛はありえない、とまでは言い切れなくても、初恋が現在の恋愛観に影響を与えている部分も、少なからずあると思います。
戻れない過去が、失ってしまった青春が、いつかの未来の自分の背中を後押ししてくれることもあります。過去を振り返ることは退化ではなく、前に進むための一歩でもあります。

【12/8】『ケロロ軍曹』連載25周年を迎えて

最近カイジを和也編まで復習し終わったKGです。和也編の主役はどう考えても和也より貧乏アジア人3人組なので普通にタイトル詐欺だということに初めて気づきました。あと、兵頭会長の影響を受けずに自分だけで勝負したいと言ってる割に、著作は本名で出版するのずるくない?

閑話休題

私KGという漫画読みの誕生の原点といえる作品とは何か?と問われればおそらく答えは『ケロロ軍曹』でしょう。

KGのLINEのアイコン

私とケロロ軍曹の出会いは5歳の時、親戚の家においてあった大量の漫画の中から選び取った『ケロロ軍曹』第一巻でした。そこに「ケロロ」が置いてあったのは作者の吉崎観音先生が熊本出身であり、同郷だったからだとか。ここからKGのケロロ愛が続いて今年で早15年というのだから驚きです。振りカエルと、私の人生にいつも大きな影響を与えてきた作品といえるでしょう。私が一足早く、小学校高学年の時に中二病になったのは、きっといろんなオカルトが身の回りに当然のようにある「ケロロ」の世界に憧れたからでしょうし、近所のおじさんと仲良くなり、いろんなゲームやらマンガやらを教えてもらったのもケロロと冬樹くんの関係性に近いものがありました。ある程度運動が得意になったのもドロロ兵長の忍者走りに影響されて忍者を目指した時期があったことが大きいように思います。初めて買ってもらったCDも「ケロロ」のアニメで使われた音楽メドレーでしたね…思い出は尽きる気配がありません。

そこで今回はそんな私の人生に大きな影響を与えた『ケロロ軍曹』の誕生について解説していきます。

時は1998年、東京は三鷹にて、吉崎先生が作画担当で連載していた『VS騎士ラムネ&40炎』が完結しました。次回作がどうなるのか、今まで小学館で依頼されるがままに執筆をつづけてきた吉崎先生のもとに担当から電話がかかってきます。「最近は女の子が主人公の漫画が人気あるんだよね」「でも吉崎君女の子描くの苦手でしょ?」「吉崎君の描きたいマンガ描いてみてよ」それとなく注文はついているものの、オリジナル作品の読み切りを打診されたのでした。

吉崎先生は悩みました。今でこそ『けものフレンズ』のキャラデザを担当し人気を博すなど、かわいらしい女の子の描き方の定評のある吉崎先生でしたが、当時はかわいい女の子というものを描くことに大きな苦手意識がありました。また、前述の「ラムネ」の作画を通して魅力的なキャラクターの必要性を痛感するものの、魅力的なキャラクターとは何か?その答えはわかっていません。そもそもどんなジャンルの漫画にするのか。「ケロロ」以前の先生の作品にそこまで共通のジャンルがあるわけでもありません。あれやこれやと悩みつつ、自分の原点となった漫画に思いを馳せます。

吉崎観音先生が人生で初めて読んだ漫画、それは「ドラえもん」でした。そして新人漫画家だった35年前、最初に担当編集に描いてみたいといったのもいわゆるドラえもん系、すなわち、子供向けで、超科学的なアイテムを出し、ギャグを挟みつつ一話完結で毎回テーマを変えていく。そんな漫画です。新人だった当時は、担当に「これは藤子先生だから描ける漫画なんだよねえ」と言われて断念していた吉崎先生はこのジャンルに挑戦してみたい!と決意を固めます。

ジャンルの次はキャラクターです。近所のファミレスでコーヒーを注文しながら、あーでもないこーでもないと粘るうちに持ってきた紙が尽きると、こんどは紙ナプキンを使ってアイデアを練る。そんな日々を繰り返すうちに降りてきた天啓!オカルトが好きだし宇宙人?動物と混ぜてみたらどうだろう、地球人を解剖する宇宙人、カエルの解剖…宇宙人といえば地球侵略するし軍人、ワンポイントは☆にしてみよう、目はまんまるにして…そうしてできたのが初期ケロロ軍曹です。

ケロロ軍曹』一巻の表紙

女の子の問題も、キャラクターや世界観、設定が固まっていくうちにすんなり決まっていきました。当時流行っていたいわゆるハーレム系にならって女の子をうまくたくさん出すにはどうすればいいか。女の子一人ずつに宇宙人のパートナーを登場させてみよう。それなら宇宙人はたくさん登場するし、どうせ軍人の設定なんだから小隊だってあるはずだ。そうして現在の『ケロロ軍曹』の骨子といえる部分が出来上がっていきました。

最終的に、「少年エース」を意識した『2021』と子供向けを意識した『ケロロぐんそー』という二つの読み切りが作られ、掲載されました。どちらも好評だったものの、より漫画家や編集者からの評判が良かった『ケロロぐんそー』が連載されることが決まりました。こうして、1999年2月『ケロロ軍曹』の連載が始まりました。

さて、奇しくも『ケロロ軍曹』は今年で誕生から25周年を迎え、ファンクラブが開設したりアニメの制作者たちを招いてのリアルイベントが開催されたりと盛り上がってきている今日でございます。

私もささやかながらファン活動をやってきましたが、ここにきてまた「ケロロ」愛を再燃させてくれるとは、ファン冥利に尽きるところであります。

こたつに入って、みかんを食べながらアニメ版『ケロロ軍曹』をシーズン1から一気見しようか、なんて、冬になっても冬眠しないカエルたちの活躍で、厳しいこの季節を乗り切れそうです。

【12/7】卵【きねだやいば】

どうも、田中です。

最近とても寒いですよね。寒いと何もやる気が起きません。自分は仙台出身なのですが、寒さには弱く、最近は1,2限をことごとくサボりベッドでゴロゴロしてます。そんな生活続けていると周りから徐々に取り残されていっているような気がして、なかなか寂しい気持ちになりますね。

今年のテーマは「誕生」。日々世の中ではいろいろなものが誕生していくわけですが、0から何かを生み出すのってすごい大変なことで、私たちが普段何気なく読んでいる漫画もその誕生の裏には作者の血の滲むような努力や苦難があったりするものです。

というわけで今回紹介する漫画がこちら。

「描かないマンガ家」

大好きな漫画です。



まずはWikipediaよりあらすじ。

商業漫画家でもなく同人漫画家でもない第三の漫画家・“描かないマンガ家”――それが、器根田刃である。マンガ専門学校に通いながらも、恐ろしく絵が下手で、これまで一切ネームすら描いたことがない、自称・マンガ家の彼が、マンガを描く日は果たして来るのか!?(ジャンル:ギャグ漫画)


万事横柄に振る舞い、他人の仕事にとやかく口を出し、何も努力をしていないのに、自分だけは成功すると信じてやまない。漫画を描く苦しみも喜びも知らない漫画家気取りの26歳。そんなダメ人間がこの漫画の主人公・・・

本名 渡邉雄大


とりあえず、大まかに話の流れを書いていきます。

まずこの漫画、前半は刃の周りのキャラクター達にほとんどフォーカスが当てられ、刃自身は実質彼らの漫画家人生の脇役みたいな立ち回りをします。

例えば第1巻のこの話。
かつて大学で刃と同じ漫研に所属していた岡田満希は、一度は漫画家になることを諦め今は商社で働いている。ある日彼女は偶然刃と再会する。

散々の言われようである

その後色々あって…

根拠のない自信も、人生に悩んでいる人間にはついつい輝いて見えてしまう。

彼女は再び漫画家を志す。

こんな感じで、しばらくは刃の周りのキャラクターが刃の影響を受けつつ、夢である連載に向かって努力していく姿が描かれます。

彼らはコツコツと努力や経験を積み重ね、数々の苦悩や挫折の末、自身の弱みを克服し、やっとのことで連載を勝ち取っていく。
ここまで見れば涙あり、笑いありの青春ドラマなのですが、そうは終わらない。


周りのキャラクターたちがどんどん経験値を積み重ねてく中、一人だけ漫画を描かない主人公・刃にはどんどんツケが溜まっていく。


皆が次々と漫画家になったり進路を決めたりしていく中、ふと気づいたら何もしないで取り残されているのは主人公・器根田刃だけ...。

そう、ここまできてやっと主人公である刃の物語がスタートします。(ここまでで5巻。全7巻)


とまあ、ここまですごいおおまかにストーリーを解説したんですが、このストーリーの構成がすごい特殊で面白いと思うんです。

この漫画のストーリーの流れは以下のようになっています。
・主人公が終盤まで何も行動を起こさない
・主人公が行動を起こさない間は主人公の周りのキャラクターに焦点が置かれ、彼らが行動を起こすことによって話が進んでいく
・ある程度まで話が進んだ時、主人公が何も行動を起こさなかった結果として、必然的な流れで主人公にフォーカスが移り、クライマックスを迎える。

めちゃくちゃ流れが綺麗だし、この「描かない漫画家」である主人公をいかにして描くかという問題を、「描く漫画家」である主人公以外のキャラクターを描くことによって解決しているというのがすごい面白いと思う。

あと、この漫画は構成以外の部分も素晴らしい。独特なアートスタイルやギャグセンス、インパクト・センスあるセリフ、多くの魅力的なキャラクター達、常に読者を驚かせてくれる展開など、瞬間的な面白さについてもハイレベル。イロモノ漫画かと思って読めばストレートな面白さもしっかり備えている。

もう一つ書いておきたいことがあって、主人公・刃先生は上に書いたように本当にどうしようもないダメ人間なんですが、そんな彼の描かれ方からは確かに作者の彼への愛情が感じられる。漫画家である作者が描く漫画家達はみんな魅力的で、作者が責任を持って愛情を込めて描いてる様が伝わってくるのですが、中でも刃先生の描かれ方は一際丁寧です。だからこそそれを読んでいる読者もダメ人間である彼をむやみやたらに否定したり突き放したりせず、自分のうちに潜む可能性の一つとして真摯に受け止めることができる。

非常に心地いい、爽やかな読後感が得られる年末年始にぴったりの漫画です。