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mantrog

京大漫トロピーのブログです

【12/22】裏アドベントカレンダー2日目。中多紗江編①

中多紗江編 第1章「コウハイ」

ミシ:皆さんお待ちかね、「魔性のふかふか」中多紗江編です。
(ナレ「少年の名前は橘純一。17才の高校2年生である。2年前のクリスマスに手痛い失恋を経験し、その古傷をひき摺ってるせいで、恋に臆病になっていた。と言えば聞こえはイイが、それ以前に果敢に恋に挑むタイプではないし、弱腰と言うか、もっと言えば失恋を言訳にする――」)
醤油:冒頭から中田譲二さんのナレーションですね。ダンディな声でハッとさせられます。
ミシ:ああ、ヒロインと名字が同じですね。実は、本編で実在のみ仄めかされる父親役であったりもするんでしょうか。そうであるなら、純一に対して辛辣な批評を口にするのも道理です。娘の幸福を望みながら、その恋人には厳しく当たってしまう父性の二律背反ですね。
QP:ただの偶然ですからね。……偶然ですよね?
醤油:そもそも漢字が違うでしょう。
(純一「あの、その位にして置いてくれない?」)
(ナレ「とにかく、この少年が本作の主人公である」)
ミシ:ほら、ナレーションにツッコミ入れましたよ。純一君には天上の声、純粋理性の命令が聞こえるんです。中多紗江編は、2年前の失恋で塞ぎ込み、うだつの上がらぬ詰まらん男になり下がってしまった我らのヒーローが、一連の神託に導かれ、再び立ち上がる英雄譚を模してるんです。
醤油:まあまあ、順を追って観て行きましょうよ。中多さんが好きだからって、さすがにフライングしすぎですよ。QP君が困惑しちゃってます。
QP:えぅ?
(純一は黒塗りの車から下りて来た転校生を目撃する。純一「可愛e娘だなぁ。む、ムネが、スゴイっ」)
(しかし、交流はなく、ナレ「少年と少女の運命の出逢、にはならなかった」)
ミシ:リッチで巨乳。中多さんは恵まれた側の人間なんですよね。どうです? まさしく童話で語られるお姫様のようでしょう?
QP:中多さんの、六大における立ち位置は「地」なんですよね。一見すると西洋的な「豊穣」のイメージが先行しますが、密教で問題となるのは「盤石・不変」の性質。当て嵌まってますか?
醤油:金銭的には盤石ですよね。
ミシ:Bust Sizeもね。
QP:そう言う話をしてるんじゃねぇんだよ。
ミシ:冗談はさておき、盤石や不変と言った性質はこのあと、2人の関係性、特に中多さんから純一への絶対的な信頼・好意に見出せますよ。
醤油:余談ですが、車で登校は『キミキス』の祇条さんを想起しますね。あれも騎士の話でした。
ミシ:祇条さんが主人公のためにピアノを演奏してくれるんですよね。「騎士(ナイト)あなたを想って作った曲です」と言って。
醤油:能登さんの声も素晴らしかったですよね。
QP:二言目には声優の話をしやがる。
ミ・醤:大事な要素ですから。
QP:ところで、夏から話が出発するヒロインは、中多さん一人ですか?
ミシ:そうです。しかし、2人の邂逅がアバンであるかと言うとそうでは無く、この日、中多さんは純一の存在を認めてすらありません。
QP:それでは、件のシーンは、なにを目的として挿入されたのです?
ミシ:純一が「声を聞く」んですよ。一大事でしょう。観る者に、なにやら爽やかな変革を予感させる。潜在的エネルギーの高まりを感じます。それとはべつに、当日に純一が中多さんと接触したところで、なにも始まらんでしょう。
醤油:中多さんが、仲介者・美也と親密になるまでの待機時間が不可欠なんですね。
ミシ:然り。中多編では、2人が知り合って恋仲になって行く段階が、一つ一つ堅実に、丁寧に描き出される。
QP:謳うなぁ。
(OP)
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(純一は購買に向かう途中、森島先輩と衝突し、財布を落とす。それを拾う中多さんであったが、当の本人は紛失に感づけず、走って行ってしまう)
QP:この財布の形状、露骨ですね。
ミシ:あきらかに女性器を模してます。そうとしか思えん。
醤油:しかし、あくまでこれは「たらこ」財布なんですよ。このあと購買で、弁解するかのように明言されてます。
QP:なんや。案外スケベなんやな、ミシェル。
ミシ:もう何が真実で何が嘘なのやら……。
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(純一に声を掛けようと試む中多さんであったが、ホワイトボードを運搬する男子生徒に足止めされてしまう)
ミシ:まだ見ぬ王子様を追う中多さんに、まずは一つ目の困難が降りかかります。踏みきりに足止めされて相手を見失ってしまう。メモリーズ・オフを髣髴とさせますね。もっとも、大体は男女逆ですが。
QP:安直と言うか、チープすぎません?
ミシ:ご覧の通り、中多さんは重度の人見知りです。だのに、たとえ財布を拾った義務感や責任感からであっても、見知らぬ男子生徒、ましてや上級生にコンタクトを図ろうとした。
醤油:しかし、その試みは失敗してしまう。
ミシ:フロイトによると、失敗とは偶然の産物ではなく、抑圧された欲望と葛藤の結果であるとされます。そして件のシーンには、2つの失敗が見出せる。一つは言うまでもなく純一が財布を落としたことで、純一と財布を拾う者へ言渡される「冒険の召命・運命が英雄を召喚し、精神の重心を自らが暮らす社会の周辺から未知の領域へと移動させること」を暗示する。二つ目は、その中多さんが突然の壁に阻まれ、財布を持ち主に返還できなかった点。ここで、中多さんには再び2つの選択肢が生じます。一つは踵を返し、拾った財布を棄てるなり教師に渡すなりする。もう一つは、持ち主を追ってあくまで本人に直接渡す。中多さんは思考の末後者を選びとりますが、これは中多さんが自らの意志によって、ホワイトボードで可視化された境界を潜り、宝と危険が等しく隠された運命の領域へ出立したことを意味します。すなわち、失敗とは運命の入口であり、想像を超える苦難や超人的な行為、有り得ぬ喜びが待つシンデレラロードの偉大な一歩を、僕らの中多さんは踏み出したと言うことです。
醤油:ははぁん。中多もまた、純一の抱えるトラウマを払拭させる英雄としての側面を有すために、このような「召命」の描写が挿まれるんですね。
QP:エンジン全開やな、ミシェル。
ミシ:100速で行きます!
QP:阿呆ちゃうか?
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(購買で純一の姿を発見した中多さんは、なんとか財布を渡すことができた。しかし、ひっ込み思案が嵩じてうまく会話することが出来ず、純一から逃亡してしまう)
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(お礼を言うことを出来なかった純一は、一年生である妹の美也に聞き込む。美也「もしかして、ツインテールのこと?」)
ミシ:行方を眩ました中多さんを探す純一は、まるでシンデレラを探す王子のようですね。
醤油:この美也、可憐ですね。
QP:同意です。
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(美也の仲介のお蔭で言葉を交わすことができた2人。ナレ「今度こそ、少年と少女の運命の出逢であった」)
QP:え、本当に運命だったんですか?
醤油:中田譲二のナレーションとミシェル君の弁舌を信じましょう、QP先生。
ミシ:この「boy meets girl!!」と書かれたホワイトボードね。先ほどは単なる障害であった同一のものが、おとぎ話の開幕を響きわたらせる福音に変容してるんですよ。
醤油:先月のボヘ演劇にも似たような演出使ってましたね。もしかして、パクったんですか?
ミシ:事実無根です。
QP:幸せの予感きっと誰かを感じてる~♪
ミ・醤:Fall in Love!
QP:ロマンスの神さまこの人でしょうか~♪
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(ナレ「それから数日後のことである」犬を怖がって帰路を進めぬ中多さん。騎士よろしく、庇う純一)
醤油:再び「犬」ですよ。DOG=GOD。
ミシ:GODと言うよりは、神話の怪ぶつ、アーサー王伝説に出てくる巨人・コーラング辺りでしょうか。若きアーサー王はこの巨人との一騎打ちを制すると、ロウディガン王の娘・ギニヴィアを嫁に迎えます。
醤油:巨大どころか、子犬でしたけどね。
QP:ともかく。森島・薫ルートで純一自身に喩えられた犬が、中多ルートでは乗り越えるべき苦難の一つとして計上されるんですね。
(Bパート。薫のはたらくファミレスに寄る2人。バイトに興味を示す中多さんであったが、面接や接客に不安を覚える。純一は「一緒に練習しようか」と提案する。早速、橘家で美也を巻き込んでの特訓が開始される)
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(純一「美也にはお客さん役でもやって貰うとして、僕は教官をやる! さぁ、呼んでみて」)
(中多「き、教官……」)
QP:また純一君が、偶然目にした本からインスピレーションを得てしまってますよ。滲み出る茶番臭が本当に苦しく感じられます。
醤油:茶番そのものですよ。進むべき道を指し示すかのごとく、毎回都合よく配置されてますね。神に寵愛されてるんでしょう。
QP:ああ、ドイツもコイツも狂ってやがる。
ミシ:中多さんと純一の間で交わされるハイコンテクストなコミュニケ―ションが理解出来ぬからと言って、悪態を吐くのは止しましょうよ。2人にのみ通ずる特有の作法で絆を深めてるんですよ。これって素敵なことでしょう?
QP:中多への対応、甘すぎません? さっきから逐一「さん」付ですし。正直、好きだからって贔屓してるでしょう?
ミシ:僕が擁護せんと、誰も味方にならんから仕方なく矢面に立ってるんですよ。君達こそ、些か狭量ではありませんか? 「アマガミ」ちゃんと楽しめてます?
醤油:ちょっ、2人とも落ちつきましょうよ。友人と美少女ゲームをプレイして、宗教戦争にまで発展するありふれた話ですよ、コレ。笑えませんって。
ミシ:失礼。平静さを失ってました。とにかく観て行きましょう。
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(Lesson1:大きな声を出すために腹式呼吸法を獲得しよう→呼吸を忘れて失神)
醤油:先輩と後輩から、教官と訓練生の関係にステップアップした訳です。そして、はじめての訓練がこちら。訓練と銘打てば、多少の身体的接触も許されます。役得ですね。
ミシ:薫とは異なり、中多さんと純一は関係の定義からはじめるんですよね。したがって、その関係性に伴うべき感情も、訓練をこなす過程であとから芽生えてくる。順序が逆なんです。
QP:ゼロから始めるシンデレラストーリー。本当ですか?
醤油:金も容姿も地位も既にそなえてるのに?
ミシ:精神的な充足を欠くと、どれも無意味に堕しますよ。中多さんは中多さんなりに、これまで恵まれた者ゆえの疎外感を味わってきた筈です。案外、転校してきたのも前の学校で不幸な事件があったからかもしれませんし。安直に他者の内心を量ってはなりませんよ。
QP:しかし、息を吐き出すのを忘れて失神するなんて、やはり狂ってますよ。
醤油:どのような暗喩か考えてみましょう?
ミシ:抱え込むのみではもう、駄目なんですって。
QP:そのままかよ。
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(Lesson2:お盆でコーヒーをサーブしてみよう→コーヒーを溢して火傷)
醤油:もう辞めたら、この仕事?
ミシ:まだ仕事はじめてませんから! 前段階ですから。
QP:首だ、首!
ミシ:狭量な世界だなぁ……。
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(一日の訓練を終え、帰路につく中多さんとそれを見送る橘兄妹。兄を羨ましがる一人っ子の中多さんに、美也が「久しぶりに、おんぶジャンケンをしよう」と提案する)
醤油:育ちの良さから、庶民の遊びは未経験なんですね。
ミシ:純一と共に触れる全てのものが未知で新鮮。一生ものの鮮烈な体験の渦中に、中多さんは在る。純一と言う教官が世界の広さを中多さんに教え、その開かれた遠大な世界に尻込みせず、果敢に挑戦してゆく教え子の懸命な姿に鼓舞されることで、純一もまたひき籠もった押し入れから這出し、再び外の世界を目指すようになるんです。美談ですよ。どうです? 次第に応援したくなってきたでしょう?
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(純一は当然のごとくジャンケンに敗北する。中多さんを背負う純一。グから始まる言葉に迷う中多さんに、純一は「グラマラスボディ」はどうだと提案する)
QP:は?
醤油:純一君は負けることで勝つ人間なんです。
QP:セクハラやぞ。往来でこの言葉を言わせることにどんな意味があるんですか?
ミシ:どこかの部族にありませんか? 禁じられた言葉を口にすることで共犯意識による連帯が生まれ、契りを交わす儀式。それと同じですよ。通常、口に出さぬような呪文を共に唱えることで、教官と教え子の信頼関係を補強してるんです。グラマラスボディ、魔法の呪文。QP先生も、試されてみたらどうですか?
醤油:グ・ラ・マ・ラ・ス・ボ・ディ!
QP:どんなきもちや、醤油君。
醤油:とても惨めなきもちです。
ミシ:あ、あれ? オカシイな……。
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(ナレ「夕暮れの中、背負う少年と背負われる少女。この夏が終わり秋が訪れる頃には、2人の運命の歯車が動き始めるのか否か」)
QP:これもまた、ミシェルの好みそうな止め絵ですね。
ミシ:大好きです。懐古主義を刺激されます。実はED曲も昭和臭がして、大好きなんです。
醤油:それでは、聴きましょうか。
(ED)
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QP:メロディが既にノスタルジックですね。
ミシ:「キテレツ大百科」を想起します。はじめてのチュウ、をね。
醤油:曲名、ブーゲンビリア花言葉ですか。そう言えば、ボヘ演劇にも出てきたような……。
QP:本当にパクってませんか?
ミシ:無意識に寄せてしまった可能性はあります。
QP:無意識ってコワイですねぇ……。
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曼荼羅
醤油:うぉっ、無限増殖したっ。コワイ! 洗脳される!
QP:トンボのきぶんです。指くるくる。
ミシ:ひゃぁ、可愛ええ~。
醤・QP:えっ。