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京大漫トロピーのブログです

【12/22】中多紗江編②

中多紗江編 第2章「トックン」

QP:2話です。
(ナレ「橘純一と中多紗江の、運命の歯車が動き出してから3週間が経った」)
醤油:運命の歯車は本当にあったんですか?
ミシ:醤油君は薫編のときはあんなにロマンチストやったのに、またそんなことを言う。
醤油:1話の最後で「運命の歯車が動き始めるのか否か」と〆ておきながら、2話冒頭では既に動き始めた了解となってる。さすがに心が追っつきませんよ。
ミシ:それには正直、僕も違和感を感じてました。f:id:mantropy:20161222175248p:plain
(Lesson3:自動販売機相手に会話の練習をする中多さん。そのコミュニケーション能力は合格点に到達したと言っても差し支えなかった)
QP:狂ってますよ……。
ミシ:中多さんは無機ぶつにも魂を認めてるんです。判るでしょう? アニミズムですよ、アニミズム! お姫様は精霊と会話が出来るんだっ!
醤油:痘痕も靨のような話は止めろ!
ミシ:優しさですよ、優しさ! 花も摘めぬほどの慈悲を有し、無自覚に人を傷つけてしまうことを恐れた結果、ひっ込み思案になってしまったんです。これは多少図図しくなっても大丈夫なのだと実感を得るためのレッスンですよ。
QP:どうせまた「グラマラスボディ」とか宣うんでしょう?
ミシ:荒んでるなぁ。
(ナレ「こうして、少年に背中を押された少女は、食堂のおばさんとの会話と言う、未知なる領域に足を踏み入れることになるのであった」)
ミシ:未知の領域を進むぞー!
(OP)
醤油:食堂のおばさんと話すことになった程度でヒキを入れて、OP流しますか?
ミシ:他者からしたら些細なことでも、当事者の2人からしたら大冒険ですよ。
QP:うぅ゛……。
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(Lesson4:食堂のおばさんに注文を頼もうとする中多さんであったが、失敗して退散してしまう。不甲斐なく戻ってきた中多さんに、純一は「あそこではたらくのは人間ではなく、おばさん型自動販売機だ」とアドバイスする)
QP:おばさん型自動販売機!?
ミシ:最高にクールなソリューションですね。
醤油:しかし、中多さん無知すぎませんか? カルガモの雛のようなものでしょう。
ミシ:やがて巣立ちますから問題ありません。
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(Lesson5:放課後。2人は理科室で早着替えの特訓を行う)
QP:は? ……もう嫌だよぉ~。だから嫌なんですよ、上下構造はよ!
醤油:上が理不尽な要求をしたところで、下は従うしかありませんからね。
ミシ:しかし、中多さんは「NO」と言えますよ。ですから問題ありません。
醤油:先輩と後輩は露骨な上下関係ですが、教官と訓練生は同意の上での関係ですから。否応無しに盲従してる訳では決してありませんよ。その点は理解できます。しかし、滑稽だ。
ミシ:高度に実践的な訓練ほど、滑稽に映るものです。ナレーションも困惑してるふりをしてるのみで、実際はこれら全てが必要不可欠なプロセスであることを理解してます。意地悪ですよね。
醤油:設定が杜撰で御まま事のようですけど、中多はこうした遊びを子どもの頃に体験できなかったんでしょうね。ゆえに多少逸脱した行為であっても許容し、期待に応えんとする。
QP:無知ゆえの危うさを感じます。
ミシ:そうすると、純一の手綱のにぎり方が一層重要となってくる。純一君もまた試練の中にある。無敵の力量・勇壮さ・正義・長上に対する忠誠・同輩への礼節・弱者への憐憫。あらゆる側面から、かれの中に眠る英雄的資質が試されてるのです。
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(体操服の次は水着への早着替えを試みるが、足を滑らせて転倒。押し倒された教官は、訓練生のむねを揉んでしまう。その光景を目撃してしまう美也。Lesson5失敗)
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醤油:薫編のへそなめ然り、ここでも美也は再び兄の痴態を目撃してしまう。災難ですね。
QP:もう嫌だぁ。たすけてくれよぉ……。
ミシ:ここにも悩める妹が一人。
醤油:そのネタはもうやったでしょう?
QP:この話、中多が不在やねん。全て純一が主導して、中多は純一の玩具となり下がってる。中多はどこに行ったんやぁ~?
ミシ:そんなことは全くありませんが、訓練の成果が花開く第3話までの辛抱ですよ。
醤油:踏ん張りましょう。
ミシ:約束されたカタルシスが僕らを待ってます。
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(Bパート。課外トックンの場所は一風変わった温泉・ドクターフィッシュであった。Lessonn6:足のくすぐったさに耐えながらバイトの模擬面接を行う試みであったが、悶える中多さんはそれどころではなかった)
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(中多「駄目っ。くすぐった……っ、赦してくださーぃ、あぁっ」)
醤油:なにやってるんですか? なにが「赦してくださーぃ」なんですか?
ミシ:戒律を犯す修道女のようですね。淫靡です。
QP:おぱ、お、オッパイが……もう嫌だよぉ……。
醤油:僕達は一体なにを観させられてるんですか? AVインタビューですか?
ミシ:コラッ!
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(官能的な光景に忘我しそうになる純一。そのとき、岩屋の奥から突然現れた光る目の山椒魚が、中多さんを呑み込んでしまうのだった)
醤油:竜に攫われる女性ですね。
ミシ:西洋の英雄伝説では往往にしてドラゴンは姫を幽閉しており、水中にひそむ。件の話では温泉ですね。英雄は、この竜を殺して姫と結ばれるのが定型です。ユングは、このドラゴンを母親の元型(グレートマザー)の影と認め、男児が母親の支配に打克ち自らの意志で選んだ妻と結ばれる話であるとします。しかし、ここではむしろ、純一が性欲に呑まれ、愛人を守護する責務を放棄せんとした瞬間、純一の英雄性が発揮される。己の内に眠る下賤な欲望が恐ろしげな竜の姿をとって、純一はこれを、姫の安全を脅かす敵として克己する決意を固めるのです。
QP:都合が悪くなると純一を失神させ、強制的にブレーキを落とすの、卑怯ではありませんか?
ミシ:己の精神世界にひそむ敵と戦ってるんです。おちおち起きてられんでしょう。
醤油:外界ではなく、内的世界に鎮座する敵である点が洒落てますね。倒した竜の遺体は、自身の内面に残留します。すなわち、英雄の中に見出されながらも拒絶されてしまった真逆の性質も、ゆくゆくは統合され、勇者が奮闘するための血肉となる。
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(帰りのバスの中。中多さんは更なるトックンを教官にせがむ。その真意を、純一は未だ知らなかった。橘家で補習「ぬくぬく長者ゲーム」が開催される)
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醤油:ゲームに実装されたオマケ「ぬくぬく麻雀」を想起させますね。
ミシ:あれ、梨穂子の前衛的な単騎待ちが強すぎるんですよね。桜井の名字は伊達じゃありません。
QP:よく分かりませんが、おそらく、どこぞの雀鬼さんは無関係ですよ。
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(案の定、再び敗北を喫する純一。ナレ「やはりこの手のボードゲームは、現実とリンクしてるようだ」)
醤油:新人小説家賞で大賞を受賞して、小説家デビュー。処女作が大ベストセラーで印税が入る。その印税で個人の出版社を設立。中多は、やはり豪の者ですね。
QP:それに較べ純一は、悲惨ですね。投資したゲーム会社のゲームが無事完成。なぜかZ指定を受けて子供が買えず、投資は大失敗。
ミシ:ここでもまた「失敗」がキーワードとなります。純一の「投資には失敗したがゲーム自体は完成させ、漢のロマンは貫くことが出来た」と言う言葉は「冒険に召命され、愛人への忠義・騎士道精神を貫き通すことが出来た」を意味します。
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(橘家に泊まることになった中多さんは、風呂上りに美也のパジャマを借りる。純一はその姿を褒めるが、中多さんは「妹では嫌です」と口にする。ナレ「2人の運命の歯車は、大きく動き出そうとしてるのであった」)
ミシ:可愛e~!
醤油:自分の感情をしっかり口に出来るようになりましたね。
ミシ:訓練の賜ものですね。
QP:次、行きましょう。早く。