mantrog

京大漫トロピーのブログです

[12/7]とある精神病院に二人の男がいた・・・

この 痺れるモノローグ から始まる漫画はこちら

バットマン:キリングジョーク 完全版 (ShoPro books)

バットマン:キリングジョーク 完全版 (ShoPro books)


こんにちは! 鳥です。今日の例会で次の会長が決定しましたね。だち君おめでとう! 新年号最初の漫トロ会長……良い響きがします。

平成最後のアドベントカレンダー・テーマは「プレゼント」という事で、グループワーク*1に苦しめられた自分へ送るプレゼントと題しまして――『バットマン:キリングジョーク』をネタバレにならない程度にご紹介します。とは言っても、この記事を書いている私の頭はグループワークに追い立てられ、2時間しか寝ていません。ろくな事が書けません。もう布団で寝てしまいたい、書きながら船を漕いでいます。ご了承下さい。

さて『キリングジョーク』は、バットマンの敵・ジョーカーのオリジンを描いた作品で、バットマンとジョーカーの関係性に注目したシリアスな展開は腐女子もにっこにっこの公式薄くて高い本となっております。
もちろん普通に読んでも面白い漫画ですよ?
ページを捲るたび現れる、色調の計算され尽くした美しい絵*2に、意味深長な台詞の数々……色々考えるだけで楽しいですよね。

f:id:mantropy:20181207234534p:plain
ここ切ない(画像大きいのゴメンね)

そして交錯するジョーカーの過去と現在がもたらす結末は、ラスト4コマに凝縮され、約30年に渡ってファンを悩ませ続けているそうです。私はね、それまでの伏線回収から察するに、やっぱり××は○○を■■■したと思うんですよ。でも、それだと余りにも◇◇◇なので心が痛い……皆さんはどう考えます?

あと私は最近ダークナイト(映画)

を見て、漫画にも興味を持ったクチです。グループワークも終わった事だし、ゆっくり漫画読むんだ!!!

*1:グループワーク:大学における非人道的行事。アクティブラーニングを信奉する教師によって行われ、毎年多くの被害者を出している。グループ内の真面目な生徒ほど発狂し、不真面目な生徒ほど肥え太る。つまりやってらんない

*2:最初に出版された1988年版はカラフルな色遣いでしたが、2008年版では作品の内容に合わせたシックな色遣いに変更されたそうです。私が持っているのは2008年版です。

【12/6】今年も懲りずに布教活動

新次郎です。結局今日書くことになりました。隙間時間を縫って徐々に書き上げたことをお許しください。

皆さん、クリスマスには恋人とデートする予定がちゃんと入っていますか? 残念ながら、我々漫トロ民は入ってない人が圧倒的多数です。画面上の嫁を眺めたり、年末のコミケC95への参加準備をする人が殆どです。*1

そんな漫トロ民のようなクリスマスを過ごし、クリスマスデートするカップルを恨んだ歌い手に永月曜さんがいましたね。高校時代に大変お世話になりました。私の高校時代の青春といえば永月曜さんなんです。彼の替え歌はあまりにも秀逸で今でもカラオケで彼の替え歌を歌うほどです。また、曜さんは画面上の嫁を長く愛し続けた人としても有名ですね。(詳しくはググってください)私の場合、嫁......というか推しキャラはコロコロ変わるので数年以上2次元の嫁を一途に愛し続けることができるのが羨ましいです。
時間のある方は永月曜さんの替え歌を一度聴いてみてくださいね。

ところで、私は去年異常嗜好を拗らせていましたが、今年「たと灰」*2の常称寺と出逢い、正常に矯正されました。常称寺はいいですよ。2018年の推しです。作中で一番可愛いですし、私に散々スペクタクルなシーンを見せつけて来ましたし。これは私へのプレゼントの一つですね。

前置きが長くなりました。今年のアドカのテーマは「プレゼント」でしたね。実は、年末の漫トロの忘年会のプレゼント企画で用意していたものがございました。*3しかし、忘年会に参加することは叶いそうにありません。そこで代わりにここで紹介しようと思います。

その漫画は......
からかい上手の高木さん』9巻です!!!!!!!!

イエーイ!

2018年は「高木さん」の年だと言っても過言ではありません。2018年は「高木さん」のアニメ化に加えて『ロマンチック』、『恋文』、「元高木さん」、「くノ一」といった山本崇一朗先生関連の作品が次々と発売開始され、更には「高木さん」を想起させる一次創作エロ漫画*4や「長瀞さん」、「安城さん」といった二番s......鯲が上梓されました。加えて今年の某外国人紹介番組で外国の方が「高木さん」を甚く気に入ってくれた映像があります。「高木さん」クラスタにとっては本当に穣り多き1年ですね。あの作品が今年世間に及ぼした影響は凄まじいです......。*5

そして、ここだけの話ですが、今年のNFの古漫画市で棚に置いた「高木さん」のファンブックが売れ、その後の漫トロ民の競り*6で「高木さん」8巻が売れました。布教活動の一環です。買ってくださった方々は是非楽しんでください。

さて、そろそろレビューに移りますね。緊張します......。

「間接キス」から「メール」までは去年レビューしてあるので「歩数」「外見」「ドッジボール」をレビューします。

  • 「歩数」:高木さんの目的地を事前に察知しておき、通り道で待ち伏せする西片。いつも通り電柱勝負を仕掛けるも、途中で高木さんにストーカー疑惑をかけられる。西片がボロを出していったため勝負どころではなくなり、高木さんと別れる。

ストーカーという物騒なワードがいきなり出たけど、劇中の西片の行為は男子中高大生の間では普通じゃないの?それはそうと、西片の作戦の瑕疵を見事に突いいた高木さんにスカッとします。

  • 「外見」:西片は高木さんに「昨日と何処が違うか」を問う勝負を仕掛ける。実は高木さんはすぐに答えを看破しており、それを隠しつつ西片の顔をまじまじと見つめる。高木さんはネタばらしした後、今度は西片が言い当てる番だと言う。

高木さんで数少ない凡作を見たような。気になる子に顔をじろじろ見られる緊張感は分かるが、西片の問いの出し方が下手だった。答えなんて限られてるし。

  • ドッジボール」:今日の体育のドッジで神憑りな躱しをした西片はこれを天啓と見做し高木さんにドッジボールで勝負を挑む。高木さんは質問のふりをして西片にボールを当てるも、敗北を取り消して勝負を仕切り直す。今度は高木さんが「躱すのではなく男らしく受け取って欲しい」と強請り、わざとキャッチ可能なギリギリの高さでボールを放る。安い挑発に乗った西片は案の定ボールに指が当たってしまう。

安い挑発に乗ってしまうのはわからなくもないけどね。相変わらず西片はドジっ娘だよ。そして高木さんの空間認識能力の凄まじさを知った。




相変わらずサッと読めて楽しいです、「高木さん」って。高木さんと西片が対等な関係でやり取りする理想的なからかいバトルを繰り広げています。高度な心理戦は相変わらず健在でしたね。

よく私は「『高木さん』の布教者」と言われますが、私の「高木さん」布教歴は代表的なものとして

  • 去年の忘年会で「高木さん」1〜7巻を布教
  • 去年のアドカで「高木さん」レビュー
  • 「高木さん」8巻とファンブックをNFで売る*7
  • 他己紹介*8で3回中2回「高木さん」の話題が出てくる
  • 今年の忘年会で「高木さん」を布教しようとするも叶わず、アドカで9巻レビュー

がありますね。

是非「高木教」に入信しt......嘘です。申し訳ございません。是非「高木さん」を全巻揃えて読んでください。(全巻揃えるお金がない方は何巻でも良いので読んでください。何処からでも読めます。)

それでは皆さん、ご機嫌よう、良いお年を。
※12月11日微修正

*1:確かこのブログにクリスマスデートの指南書みたいなのがありましたよね。どうしてもデートしたい男性はこの指南書を参考にしてみると良いかもしれません。デートできる保証はありませんが。もしその指南書を参照して好きな女性に嫌われた場合でも当方は責任を負いかねます。予めご了承ください。

*2:12月11日追記 先日、かかし先生が突然入院されたと伺い、大変驚いています。かかし先生はしばらくご静養なさるよう願っております。そして、かかし先生のご恢復を心よりお祈り申し上げます。

*3:漫トロ民はクリスマスデートする代わりにクリスマスに忘年会を開催します。非リア充の年末の典型です。参加者は1作品ずつ漫画作品を用意し、籤を引いて2、3人で交換し合います。

*4:幾花にいろ先生の『幾日』と違い、スルーされていましたが。

*5:今年の個人ランキングには『ロマンチック』以外は上記の作品群は入れませんでした。流石にランキングが面白くなくなると思いまして。

*6:売れ残った古漫画を会員がオークションします。私はBLを大量に購入しました。

*7:決してつまらないからではなく、「高木さん」の面白さをより多くの人に知って欲しいという願いからです。

*8:他の漫トロ民を紹介するコーナーです。

【12/5】黄金の旅の終わりに

こんばんは、研究室でこの記事を書いていますファービーです。研究の中間報告が間近に迫っているのに全く研究結果が出ておらず徹夜続きで実験しています。さて、今年のアドベントカレンダーのテーマは「プレゼント」ということで競馬の話をしたいと思います、ちゃんと「プレゼント」に結びつけるので安心しろって。みなさんステイゴールドという馬はご存知でしょうか?
f:id:mantropy:20181204213727j:plain

1994年3月に生まれたステイゴールドは父にサンデーサイレンス、母にダイナサッシュを持つ超良血馬でした。スポーツで例えると父:室伏広治、母:澤穂希みたいなもんです。高潔な血統とは対照的に、小柄で負けん気の強いやんちゃな性格でした。
今の数えかたで2歳の12月にレースデビュー、初戦は3着でした。そこから中々勝てない日々が続き、デビューから半年後ようやく初勝利をあげます。(競馬のレースのグレードは以下のようになっていて勝つたびに上がっていく。2着でも累計賞金によってオープンクラスに上がる時もある)
f:id:mantropy:20181204223523p:plain

5戦目にして未勝利戦を突破したステイゴールドは、続く500万条件を連勝で突破します。3連勝とはなりませんでしたが、1000万条件の阿寒湖特別(レースの名前です)を勝ち、順調に出世していくと思われました。しかし続く神戸新聞杯菊花賞と惨敗し、ここからなんと怒涛の4戦連続2着。相手は弱いのに勝ちきれない、相手が強いのに好走する不思議な馬でした。結局4歳(一般的な馬の全盛期)時は11戦して2着6回、3着2回。天皇賞春、秋、宝塚記念有馬記念といった日本最高峰のレースでの好走もありました、しかし好走するときは決まってサイレンススズカグラスワンダーといったレジェンド馬たちが立ちはだかりました。
f:id:mantropy:20181205210848p:plain
いつしかステイゴールドシルバーコレクターという不名誉な称号がついて回るようになりました。陣営はさぞ悔しかったことだと思います。一方で勝ちきれない歯がやすさが日本人気質に受けたのか、この馬の人気は日に日に高まっていきました。
5歳になっても勝てない日々は続きます。5歳時の成績は10戦して2着1回、3着5回この年も重賞レースで勝てませんでした。余談ですがこの年の天皇賞秋(G1)でステイゴールドは2着をとっているのですが、この時の1位はスペシャルウィーク逆襲のランの時です。またしても最強世代に戴冠を阻まれました。
f:id:mantropy:20181205212605j:plain

6歳の春、陣営はある決断をします。今までステイゴールドとコンビを組んでいた熊沢騎手を降ろし、ご存知武豊騎手を騎乗させる事にしました。舞台は目黒記念(G2)、ステイゴールドは道中後方に待機し、直線に入るとスルスルと抜け出し先頭に立つ。誰の目にも勝利は明らかでした。ステイゴールドが勝った瞬間、競馬場に歓声が響き渡りました。最後の勝利から2年8月、ステイゴールドはようやく4勝目をあげたのでした。
結局この年の目黒記念以降のレースは1度も3位以内に入ることはなく、ファンもなんとなく今年で引退かなと思っていました。

しかしなんと陣営は現役続行を判断します。この判断が吉と出たのか年明けの日経新春杯では待望の重賞2勝目をあげます。あと欲しいのはG1のタイトルだけ、しかしあと一歩届かない。そんな折、ステイゴールドに海外遠征の話が舞い込んできます。ドバイワールドカップ(世界的な競馬の大会)のドバイシーマクラシック(G2)に選出されたステイゴールドは海を渡って海外重賞初制覇の挑みます。しかし、海外遠征は長距離輸送、体調管理などの問題があり当時海外重賞を勝った馬はまだいませんでした。さらにこのレース相手にはファンタスティックライトという世界レート1位の馬がいました。幾ら何でも厳しいだろうとファンは思っていました。

レースは直線でファンタスティックライトが抜け出し、他の馬を引き離す展開。しかしただ1頭王者に食い下がる馬がいました。そうステイゴールドです。無名の日本馬が世界王者に挑んでいく。そしてついにゴール手前でステイゴールドが王者を捉えました。写真判定の結果なんと勝ったのはステイゴールド大番狂わせでした。日本馬初のドバイワールドカップ制覇、日本中の競馬ファンステイゴールドという馬に夢中になりました。ちなみにこの年の翌年からドバイシーマクラシックは(G1)に昇格しました。

海外制覇も成し遂げたステイゴールドの唯一の心残りはまだG1を勝っていないこと。しかし、宝塚記念メイショウドトウと世紀末覇王テイエムオペラオーに阻まれ、天皇賞ジャパンカップと惨敗。最後までG1は勝てないのか、悩んだ陣営は引退レースを有馬記念ではなく香港で行われる香港ヴァーズ(G1)を選択します。なんとかG1を勝って欲しい、日本中の競馬ファンの思いをのせステイゴールドは20回目のG1出走(日本記録)で初めて1番人気に押されます。

レースは世界最強ジョッキー・デットーリ騎乗のエクラーが変則ラップを刻んで逃げる展開、めまぐるしく変わるペースに後ろの馬は翻弄され直線に差し掛かった時気づけば7馬身差、最後までステイゴールドは勝てないのか。ファンも諦めに似た気持ちが胸をよぎりました。しかし、これまで50戦、ステイゴールドは幾多の名馬たちと鎬を削ってきました。サイレンススズカグラスワンダーテイエムオペラオースペシャルウィーク常にライバルの背中を見ながらゴールしてきたステイゴールドは、負ける悔しさも日本のライバルたちの強さも知っていました。最後くらいは勝って終わりたいといわんばかりの末脚を繰り出し差を縮めていきます。4馬身、3馬身、そしてゴール直前ついにエクラーに並び、頭一つ交わしてゴール。ステイゴールドは最後の最後で悲願のG1制覇を成し遂げました。奇しくも、香港ヴァーズでつけていたゼッケンは「黄金旅程」。出走回数50回、G1挑戦20回、黄金を求める旅には素敵な結末が待っていました。まさに事実は小説より奇なりといったところでしょうか。

引退後種牡馬入りしたステイゴールドは数々の名馬を生み出しました。怪物オルフェーブル、暴れん坊ゴールドシップ、史上最強障害馬オジュウチョウサンステイゴールドが残した輝きは彼の子孫に引き継がれ今でも私たちを魅了しています。もしかしたら彼が残した名馬たちはずっと応援してくれたファンへの恩返しの「プレゼント」だったのかもしれませんね。

そういえば漫画の話をしていませんでした。では最後に「マキバオー」からの引用で締めたいと思います。

ノーザンダンサーの血の一滴は
1カラットのダイヤモンドより価値があると言う
それはノーザンダンサーなくして
今の競馬は考えられないからだ
だが そのノーザンダンサーの血も
そこまで受け継いで来た馬なしでは
流れることはなかったはずだ
過去の何千何万もの馬たちの
血と汗と涙なくして今日の名血は有り得ない
そして、そんな名血を越えんとする馬たちが明日の名血をまたつくる

以上ファービーでした。

【12/4】ダメ学生は石川啄木の夢を見るか?

こんばんは。アドベントカレンダー4日目はレニがお届けします。今年のテーマは「プレゼント」ということで、何か人からプレゼントされた漫画がなかったかなあと本棚を探してみると……ありました、『坊ちゃんの時代』。高校時代に「新装版が出たから古いのプレゼントするよ」と恩師から頂いた代物です。

会誌20号のクロスレビューでも紹介した本ですが、やはり馴染みある文人たちが勢揃いし、その因縁奇縁が繋がっていく様は見ていて楽しくなりますね。物語の主人公となるのも、日本の近代小説を築き上げた夏目漱石をはじめ、文人のみならず官吏としても明治日本を見つめた森鴎外、ただのクズ石川啄木、そして大逆事件で社会を大きく騒がせた幸徳秋水と、まさに近代日本が産声を上げた『坊ちゃん』の時代を代表する錚々たるメンバー。ん? 一人変なのが混ざっているって?石川啄木-岩手県日戸村生れ。本名一。生後まもなく、父が渋民村宝徳寺住職となる。唯一の男子として両親の愛情を一身に受け、村人からは神童と騒がれ、気位高く育つ。盛岡中学在学時に「明星」に感銘、17歳の時、文学を志して上京するが、健康を害し帰郷。20歳で処女詩集『あこがれ』を出版、天才詩人の評判を得る。が、自分の才能と自負心と、両親妻子を養わねばならぬ貧困の現実とに引き裂かれ続け、肺結核で不遇の生涯を閉じた。歌集『一握の砂』、友人らの尽力で死後出版された『悲しき玩具』、詩集『呼子と口笛』等がある。(新潮社著者プロフィールより引用)

石川啄木はクズです、と言うと首を傾げる方もいるかもしれませんが、騙されてはいけない。まずあの写真がズルい。純朴で、どこか幼さを残しながらも、しかし世の中を達観しているかのような遠い目をしている、あの写真。こいつのせいで脳裏に超然としたイメージがこびりついてしまうんだ。そして結核で夭逝するのもまた、詩人特有の儚さを演出しやがる。f:id:mantropy:20181204192414j:plain

そろそろ内容の話をしましょう。この漫画の舞台は明治42年の東京ですが、そこで描かれるのは、真面目に仕事もせず、かといって文学に取り組むわけでもなく、ただただ放蕩の限りをつくす啄木の姿です。酒を飲み、女を買い、北原白秋に遊びを教え、金が尽きれば給料を前借りし、あらゆる友人に金を借りかつ踏み倒し、年収の3倍以上の借金を抱えながら、厚かましくも我が身の不遇を一丁前に嘆いてみせる。明治時代の活気あふれる激動の雰囲気の中でただ一人、怠惰なダメ人間の姿が描写され続けるのです。

f:id:mantropy:20181204195723j:plain
こっちのセリフじゃい
さらに厄介なことに、こいつプライドだけは人一倍強い。腐っても天才、故郷では神童と呼ばれ、20で詩集を出した自負がある。だから酒を飲みながら酒に溺れる自分を自己弁護し、女を買いながら買われる女を見下し、上手くいかない自分に対する鬱屈とした思いを気障にもローマ字で日記に書き綴るのです。一体、プライド高い系ダメ人間以上に憐れなものがあるでしょうか。
その才能を文学で生かせば良いものを、その浪費癖ゆえ入った原稿料を一日ですっからかんにするから続かない。むしろその才能が生かされるのは友人に金をせびる時です。腐っても天才、読んだ人が金を貸さずにはいられないような困窮の手紙を書くことができちゃうんだから困ったものだ。そんな破綻した生活を送りながら、「おれにはなにができる?」なんて一丁前に嘆いてみせる。
f:id:mantropy:20181204205234j:plain
うるせえ真面目に仕事しろ
そんな彼も流石に自分で自分が嫌になることはあるようで、とうとう思い詰めた顔でカミソリを手に取るんですね。しかし彼はプライドこそ高いものの結局は小心者なので、その刃で首を掻っ切るなんてことはとてもとても出来やしない。じゃあ何を切るのか。手首? いやいや天才石川啄木が我々凡人の発想をするわけないでしょう。
f:id:mantropy:20181204210243j:plain
乳首です。さすが天才は考えることが違うねえ。リストカットならぬニプルカットとは恐れ入った。あんたには敵わねえや。


・・・とまあ石川啄木について茶化しながら書いてきたわけですが、ふと我が身を振り返ってみれば、幸いにも京都大学に入学しながら、そのリソースを生かす気もなく、勉学に身を入れる気もなく、でも一丁前に京大生としての自負はあり、夜更かしと絶起を繰り返し、友人にレジュメを嘆願し、教授に単位をせびり、将来から目を背け続けるダメ学生。おいおい啄木の寝言を笑ってられねえぞ。そもそも啄木は僕の年齢で詩集出してんだ十分立派じゃあないか。

あとがき曰く、「啄木のような性格、生活態度の青年は二十年前にもいたし、現在もいる。」我が恩師がこの本をプレゼントしてくれたのは、ダメ学生への警鐘だったのかもしれません。

【12/3】サンタクロースは日本語が下手糞

こんにちは、清盛です。さっき風呂上がりに鏡で自分の生え際を見たら結構後退していて、10代にして老いを感じました。打ち上げでプレゼントされたベレー帽で隠さな......。

さてさて、今年のアドベントカレンダーのテーマは「プレゼント」。
プレゼントといえばサンタクロースですが、皆さんの中にサンタの存在を信じていない悪い子は居ませんよね?
僕は小さい頃から信じています。というのは、ある年にサンタから貰った手紙の字が震えていて、「サンタさんは外人だから日本語が下手なんだなあ」と幼心にリアリティを感じて納得したからなんですよね。(ちなみにその年はサンタに厚かましくもポケモンのエメラルドとGBA本体をねだったのですが、なぜかポケモン図鑑のおもちゃが届きました......。かなり落胆したのを覚えています。やっぱりサンタは外人だから子供が書いためちゃくちゃな日本語の手紙は読解できなかったのか?)

ポケモン図鑑アドバンス エメラルドVER.

ポケモン図鑑アドバンス エメラルドVER.

よく在庫残ってんな。


しかし最近、サンタの字が下手だった理由として別の可能性に気付きました。サンタクロースは薬物か何かでトランスして手紙を書いていたから手が震えていたのだ、と。
ということで今回は、読むとトランスできそうな漫画、『ピュア・トランス』を紹介します。

ピュア・トランス (Cue comics)

ピュア・トランス (Cue comics)

僕はこの漫画を古本屋で購入したのですが、元々はイラストレーター出身の作家がトランスミュージックのコンピレーションCDのオマケして描いていたものを、単行本として纏めたものらしいです。
この漫画の魅力を説明するには一コマ見せるのが一番早い。
f:id:mantropy:20181204035042j:plain
ポップかつエロく、そしてグロテスクにデフォルメされた画風でゴチャゴチャ描き込まれてるのが堪りません。
ディストピア的世界設定をこの画風で描くギャップもよい。
f:id:mantropy:20181204035114j:plain
一コマ一コマに魅力があって、並べられてあるイラストを読んでいる、という感覚です(悪く言えばコマ同士の繋がりは弱い。「画集を読め」という声が聞こえる.......)。


中毒性のある画面をずっと眺めさせられた末に、ラストシーンは今までのめちゃくちゃな展開を勢いだけで纏めようとしています。こんなのトランスしちゃうよ。
f:id:mantropy:20181204035220j:plain
双子ロリ人造人間の出産、女子プロレス、親の仇への復讐が同時に起こるクライマックス。何を言っているか分からない?俺にも分からん。


ちなみに読み終わった後に課題をやっていた記憶があるが、字は震えていなかった気がする。

f:id:mantropy:20181204035528j:plain

【12/2】ニンニク絞り器はいいぞ

こんにちは、副会長のばいたるとです。去年の代替わりはや一年。会誌作成もNFも終わり、残された仕事は引継ぎ文書だけ。

ところで、皆さんはアドベントカレンダーってご存知ですか。

アドベントカレンダー(Advent calendar)は、クリスマスまでの期間に日数を数えるために使用されるカレンダーである。アドベントの期間(イエス・キリストの降誕を待ち望む期間)に窓を毎日ひとつずつ開けていくカレンダーである。すべての窓を開け終わるとクリスマスを迎えたことになる。
但し毎年変化するアドベントの期間に関わらず、実際には12月1日から開始し24個の「窓」がある場合が多い。アドベントカレンダーは、窓を開くと写真やイラスト、詩や物語の一編、チョコレートなどのお菓子、小さなプレゼント等が入っていることが多い。宗教色の強いものもあれば、単に娯楽用のものもある。
 

漫トロピーではアドベントカレンダーをならって12月1日から25日まで、毎年テーマを設けて各会員がリレー形式でブログをかくという企画をやっています。過去数年のテーマとしては

2012年 クリスマスに読みたい漫画
2013年 クリスマスに読みたくない漫画
2014年 ホワイトクリスマス
2015年 宗教
2016年 煩悩
2017年 夜

ときて、今年のテーマは「プレゼント」。いいですね、クリスマスらしくて。まあテーマなんて飾りみたいなもんで、漫画を少なくとも1作品紹介するのがルールです。*1



いや、プレゼント漫画ってなんやねん。とりあえずテーマがプレゼントということなのでつい先週もらったプレゼントについて話そうと思います。

貝印 にんにく絞り kai SELECT 100 DH-3010

貝印 にんにく絞り kai SELECT 100 DH-3010

NFの打ち上げでに上回生からいただいたものです。何を隠そう俺はニンニクが大好きでして、キラメキJAPAN*2で直太朗を注文すれば「ニンニク多め」を、池田屋*3や夢を語れ*4や二郎*5にいけば「ニンニクマシ」を注文するのは当然のこと。しかし最近は考えを改め、二郎や池田屋のような乳化系のスープにはニンニクが合うが、夢語のような微乳化系のスープはかえってニンニク少な目のようがスープが美味しく感じられると気づきました。キラメキもニンニク控えめの方が麺やタレの旨味がより感じられる。盲目的にニンニクを入れるのも反省ですな。

で、このニンニク絞り器は控えめに言って最高です。大抵の食べ物はニンニクを入れれば美味しくなると思っているので毎回みじん切りを用意するんですが、ニンニクのみじん切りって面倒くさいんですよね、手が臭くなるし。だからってチューブのすりおろしニンニクを使うと弱い。この器具を使うと手を汚さずにニンニクを、みじん切りよりも細かくかつすりおろしよりも食感が残る状態にしてくれます。便利~!。例えばインスタントラーメンを作ったときなんかにこれを使うと。絞りたてのフレッシュなニンニクが味わえます。炒め物なんかではすりおろし以上みじん切り未満のちょうどいい塩梅のニンニクが残る。フランスパンにこれで作ったニンニクとオリーブオイルとバジルをかけて焼いたらお手軽ガーリックトースト、最高。チューブのニンニクじゃあこうはならねえ。
いいプレゼントでした、ふゆはじめとした上回生には感謝を。

さて、プレゼント改めpresentとは「贈り物」ではなく「現在」です。というわけで現在読んでいる漫画の紹介をします。

ザ・シェフ 1巻

ザ・シェフ 1巻

美味しんぼ』並みの料理の知識を10倍に薄めて隠し味に『ブラックジャック』を入れたような漫画です。
『翔太の寿司』でおなじみのスキマにて、『翔太の寿司』および同全国大会編、2、『オナニーマスター黒沢』を読み終わってさあ何を読むかと目についたのがこの漫画です。
煽り文句に

グルメ漫画ブラックジャック!リスペクト手塚!これは最早料理による心の手術だ!法外な報酬と引き換えに神がかり的な料理を作る流れの天才料理人・味沢匠が、依頼人達が抱える様々な悩みを、時に自ら巻き込まれたりしながらも神技的な料理で全て解決して回るという、ヒューマン・ドラマ仕立てのグルメ漫画

とあるように漫画には随所に手塚っぽさ・ブラックジャックっぽさを感じられます。本当に「っぽい」だけなんだけど。実際、

などなど。極めつけはこれ。
f:id:mantropy:20181202170259p:plain
ニヤリ、『ブラックジャック』で散々見かけた表現だけど、毎話毎話これをやられてもねえ......
肝心の中身は、潰れかけのレストランや大金持ちが味沢を雇い、味沢が料理を振る舞うことで登場人物の悩みが解決されるというだけのストーリー。しかしそのヒューマン・ドラマの作りが実に安っぽい。出世魚であるブリを食べたからって左遷先でも頑張ろうと奮起し、ついでに愛人とよりを戻す。フランスの田舎料理を食べて故郷の両親と仲直りする。いや、そうはならんやろ。これが328話もあるんですよ、頭おかしなるで。手塚リスペクトとか100年早いわ。

せっかく年に一度のアドベントカレンダーでこんな糞漫画を紹介するのはどうなんやろな、読む分には面白いんだけどね。
手元に競り*6で落とした大量の未読の良漫画がたくさんあるので、そのうちのどれかを紹介しようかと思ったが残念だ。またほかの機会に。

*1:ところでこのレベルの説明って最初にアドカを投稿する人がやるんじゃないんですかね。1353はドジっ娘ポヨね。

*2:京都を中心に展開する小規模チェーンのラーメン屋。台湾混ぜそば直太朗が美味い。

*3:一乗寺にある二郎系ラーメン屋。ド乳化系スープとホロホロの豚がたまらん。

*4:ラーメン荘という系列の二郎系(富士丸系)ラーメン屋。素材の良さではここがトップだと思う。

*5:ラーメン二郎京都店。なんでも全国の二郎でグランプリを取ったとか。

*6:NFで売れ残った古漫画を会員がオークションする。今年はたくさん買ったら大ダンボールいっぱいぐらいになった。

【12/1】新米教師、オナホを見つける

(※名誉のために言っておくのですがこれは僕の話ではなく他人の話です)
現会長の1353です。あと一週間で会長でなくなるらしいですがアイデンティティが失われますね。困ったなあ。まあ自分個人のことは置いといて来年の代には頑張ってほしいですね。

さて、今年のテーマは『プレゼント』ですが生憎あまり他人にプレゼントをあげた経験があまりない人間なんですよね。(人に奢ったりするの苦手なんで改善の余地あり)記憶にあるのは幼稚園の時漫画を同級生にプレゼントしたら不服がられたことです。
そこで12/1に高校の知人に3年振りに会ったので当時の他の人のプレゼントの話でもします。

自分は中高一貫校出身なのですが、体育祭で高校三年生が下回生に1か月程直接指導して体育祭後の打ち上げで景品を渡すという慣習がありました。因みに自分は中野梓フィギュアとかもらってた気がします(会員にわかるように言うと、ラインにアップされていたあれです)。でもまあ当然問題が起きるわけなんですよね。有志だけで行うのでなく、一学年400人が参加してあまり品行のよろしくない方々まで加わるうえに男子校ときたもので。

具体的にはR-18グッズとか配ってました。コワイコワイ。(自分はかかわってませ~ん。オタクだからゼロの使い魔全巻セットとかあげてた気がする)
で、事件が起こるんです。ある体育祭の組でローションとオナホールを中3相手に配りました。中学三年生の男というのは一番野生のサルに近い人種というのが私見ですが、彼らはそれらのアダルトグッズを授業中に使いだしたんですね。(「使った」としか聞いてないのでもしかすると…?)あろうことか新任の女性教師の時間に。
教師なんてなる人間は基本まじめですから黙って見過ごすわけにはいきません。没収!着任二か月の新米女性教師が生徒からオナホールを没収する姿…萌えるかもしれませんね♡
で、その復讐なのかもしれませんが彼らはローションを教員室前にぶちまけるわけです。マリオサンシャインのドロみたいに一面に広がった状態になってたそうですね。

こうした事件の根底的な問題って、人に要求する信頼の最低水準をどこまで設定するかということだと思うんですよね。信頼があれば特に干渉することでもないけど信頼が十分にないなら規則なりなんなりで縛らないといけないって話。これは会長職を務めて毎度思っていたことです。(どこまで締め切りに口出しするか?とか)
下賤な人間の話してどうなんねん・・・って書きながら思いましたが今年の座談会で「君愛」や「ここ倫」の座談会で登場人物の心理が理解できないという意見があったのですが、世の中は広くあまり育ちの良くない人間の言うのはいるのだということを伝えたかったです(正当化)
もっと卑しい話はあるのですが機会があれば。

上手く漫画と絡められなかったので先日BOOK OFFで見つけた良書を紹介します。

中学生の姿で世を忍ぶ怪盗ジャンヌが怪盗シンドバットと対立し、恋に落ちる話。
特筆すべきは感情の動きを初めとしたテンポの速さ。この漫画ではフラれるなどして負の感情を抱いてもその場で喜怒哀楽の感情は表現するし、後々まで持ち越さない。人間それがあるべき姿だと思う。こうした単純明快な人間像はちゃおという対象年齢の低い掲載誌だからこそ実現しているのではないか。
まあこんなこと考えなくても単純にかわいくて最後はスケールも壮大になる漫画だから『少女革命ウテナ』とか好きな人は楽しめる作品だと思います。