mantrog

京大漫トロピーのブログです

East Side Storyの話

 醤油です。先日、今年の漫画1位が決まってしまいましたね。
 え?わからないの?

 いちご100% East Side Story』に決まっているでしょう。
www.shonenjump.com

 2002年から2005年にかけて週刊少年ジャンプで連載されたラブコメの金字塔『いちご100%』。その続きが、12年越しでやってきたのです。
 まず、『いちご100%』正編の内容をざっと説明します。過去の会誌(Vol.17)に載せたあらすじを一部改変したものです。

真中淳平は映画監督を夢見る冴えない中学3年生。ある日、立ち入り禁止の屋上に出たところ、空から美少女が降ってきた!? 夕日を背景にスカートが捲れ、いちごパンツが覗く。そんな姿に一目惚れした真中は、彼女の正体を追い求める。謎の美少女の正体は東城綾。普段は三つ編みおさげに眼鏡といった地味な容姿の、真中のクラスメイトである。ところが、その正体を学園のマドンナ・西野つかさと勘違いした真中は、玉砕覚悟で西野に交際を申し込み、なんと快諾されてしまう。純情少年が西へ東へ、美少女たちに翻弄されるラブコメディ。

 こんな風に紹介されてもいまいちピンと来ねーよ、と思うかもしれません。でも大丈夫。
 なんとジャンプBOOKストア!で1~3巻が無料で読めます。
jumpbookstore.com

 そして少年ジャンプ+では、4月28日から1巻ずつ順に単行本が無料公開されています(※一日1巻のみで、翌日以降は有償になります)。
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 5月1日は4巻が無料公開中。つまり今日から追っていけば、丸々全巻無料で読める訳です。最高。
 うっかり読み忘れたら、大人しく買うか、漫トロの例会に来ましょう。僕が貸します。

 さて、これで大事なお話は終わりです。宣伝のついでに、続編1話のレビューを少ししますね。ここからはネタバレてんこ盛りなので気を付けてください。



 * * *



 正編での恋愛ゲームに敗北した東城綾にスポットライトを当てた続編「East Side Story」。正編で見られなかった東城エンドが果たしてどのように実現するのか。物語のはじまりは、東城が大学2年生の春。166話と最終話の間に横たわる空白の4年間が、いま明らかになるのです。

 とある古本屋。東城の処女作『夏に歌う者』を読み、涙する彼が、この「East Side Story」の主人公である中間少年だ(笑っていいゾ)。冷やかしに来た友人・外山に涙を茶化される傍ら、一人の女性客が脚立に乗って書棚の本に手を伸ばす。その脚立は古いので危ないと、中間少年が止めようと駆け寄るも、一足遅く脚立は折れてしまう。

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 そして少女は、いちごとともに降ってきた。

 1話の紹介はここまでにしておきましょう。

 中間少年は紛れもなく真中淳平の後継者です。ガバガバアナグラムも真っ青の安易なネーミングやキャラクターデザインは勿論のこと、空から降ってくる少女との遭遇、いちごパンツへの関心、純情さに鈍感さ、どこをとっても真中淳平の要素ばかりです。私立の女子大生である東城への嫉妬まみれの妄想の描写は、正編で真中が西野へ抱いた妄想を髣髴とさせます。
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 これは同時に、東城が、初期の真中にとっての西野、つまり主人公より成熟した女性であることも意味しています。しかし、その東城が中間少年を恋愛対象として見ているかというと、さっぱり見ていないのです。1話終盤、東城は、ふとしたはずみで中間少年を「真中くん」と呼び間違えてしまいます。そして、今まで中間少年に真中の影を追っていたことをはじめて自覚した彼女は、目に涙を湛えて中間少年の前から走り去ってしまうのです。そう、彼女はいまだ真中に恋心を抱いていたのです。
 さて、こうしてできた三角関係。少年(中間)と、年上の女性(東城)、そして乗り越えるべき存在である年上の男性(真中)。この古典的な三角関係が、どのような結末を迎えるのか。実は既に暗に示されているのです。

 それがこれ。
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 ツルゲーネフ『はつ恋』
 
 青空文庫で読めます。ツルゲーネフの半自伝的な小説で、16歳の頃の初恋についての回想を、主人公が手記に綴ったという形式になっています。
 主人公のウラジーミル・ペトローヴィチは、21歳の少女・ジナイーダに恋心を抱きます。しかし、ジナイーダは別の男性と恋に落ちます。その相手は、あろうことか主人公の父だったのです。
 主人公は父とジナイーダの逢瀬を二度目撃し、それを通じて己の愚かさと勘違いを痛感します。そして数年後、ジナイーダがまた他の男性と結婚したことを知った主人公は、彼女を訪ねるのですが、数日前に彼女は急死していたのでした。
 これが滅茶苦茶雑なあらすじです。ちゃんと知りたい人は実際に読むなり、Wikipediaのあらすじでも見てください。

 構図がぴったり同じなんですよね。そこから考えると、「East Side Story」が本当に東城エンドになるとは限らないのです。
 『はつ恋』のヒロインであるジナイーダは、終始主人公には振り向かず、父に激しい恋心を燃やします。別の町へ引っ越した主人公一家を追いかけて、主人公の父に鞭で打たれて追い返されるほどの執念です。主人公は、自分より優れた存在である父からジナイーダを略奪しようとは考えもせず、ただ己の無力さや愚かさを嘆くばかり。真中の影を追う東城はジナイーダに、真中の生まれ変わりのようでありながら、映画監督を志さず、読者に過ぎない中間少年はウラジーミルに重なります。また、東城の真中への恋心が消えないであろうことは、1話の導入、『夏に歌う者』の引用で裏付けされています。

彼女は知っていた 全てをさらい忘却の彼方へと運んでくれる時の流れでさえ 彼女の思いを変えることは出来ないのだと——

 ここからの展開としては、中間は東城へアタックを掛けるも玉砕。真中と東城の映画を見ることで、東城の真中への思いを痛いほど知り、「敵わない」と打ちのめされる、みたいな感じになるんじゃないでしょうか。「East Side Story」は東城エンドではなかった。ネットでは再び東城派の悲痛な叫びがこだまする。楽しみですね。

 最後に、『はつ恋』の主人公の父がジナイーダを鞭で打つシーンについてですが、

肘までむきだしになっていたあの白い腕を、ぴしりと打ちすえる音がしたのである。

ジナイーダは、ぴくりと体を震わしたが、無言のままちらと父を見ると、その腕をゆっくりと唇に当てがって、一筋真っ赤になった鞭のあとに接吻した。

 赤と白のコントラスト……

 これは……いちごパンツですね(悪いオタクスマイル)。

 東城がいちごパンツを覗かせているシーンを見て黒鷺が「いやいや。トラウマやろ。パンツ全部捨てろや」とか言ってたけど、こういうことだよ。『これが恋なのだ』。
 ちなみにジナイーダとのファーストコンタクトの舞台は、エゾ苺の茂みに囲まれた空き地だし、やっぱり東城=ジナイーダ。
 よって『いちご100% East Side Story』は今年のランキング1位(Q.E.D.)。

【3/29】『セイレン』宮前編レビュー(失敗)

どうも、QPです。『セイレン』宮前編のレビューをしたいと思う。はっきり言って私はこの宮前編を1つの物語として認識できなかった。というのも宮前というヒロインの人間性を理解できず、それに恋する嘉味田の心情も分からないからだ。というのも『セイレン』の話の形式が原因と思われる。


まず「セイレン」とはなんなのだろうか。監督が言うには清廉潔白で清い恋という意味らしい。ほーん。常木編、宮前編みたいな物語が清い恋なのか……。(桃乃編は未視聴)清廉潔白は分かるが清いとは思えないのだが……。醤油はセイレーンといった。ミシェルも賛同したがそれは常木編だけだった。

では私が最初に思った「セイレン」とはなんなのか。精錬だ。そう、『セイレン』とは嘉味田という原石を磨き上げる物語なのだ。『アマガミ』の主人公である橘さんと違い、嘉味田は男としては不甲斐ない。それは醤油の記事でも触れられている。
mantropy.hatenablog.com
ミスコン1位の姉や、人気物の荒木先輩や親友の七咲がいる中、嘉味田自身は地味。ウジウジ悩む姿も多く、常木編では告白をキャンセルされるなど、ヒロインに主導権を取られてばかりだ。またヒロイン側の心理描写がみられず、言動や表情で推測しないといけない点についてもやはり嘉味田中心の物語と言えるだろう。よって嘉味田側に共感できないとなかなかしんどい。

またヒロインの人間性を理解できないのはなにより『セイレン』がギャルゲーではないからだと思う。『アマガミ』や『キミキス』はギャルゲーとして、システムを生かしたストーリーが作られ、ヒロインを攻略していく。1人のヒロインにスポットを当て、ヒロイン間の交流はほとんどない。主人公とヒロインの1対1のストーリーが展開される。対して『セイレン』はアニメという媒体が前提で、監督曰くオムニバスであることを生かしたストーリーになっている。このオムニバスを生かしたというのは一つの話に複数のヒロインを登場させていることだと考えらる。宮前編で常木を絡めるたり、上崎、三条、桧山がちょくちょく出るといったように。おそらく尺が限られるアニメということで、隙あらば他のヒロインを出して馴染ませておこうと考えているのだろう。だがその結果メインヒロインに注目がいかず、魅力が伝わらなくなっている印象を受ける。上記の心理描写が見られないという点も含め、どうしても記号的な設定だけが目立ってしまっている。俺には宮前がブラコンサークラゲーマー女という記号でしか見えないよ。




そんなわけで宮前に恋する嘉味田の気持ちが分からないのでレビューは無理だったよ。一応1話ずつコメントはしておく。

一話「コウカン」。なんだこの女!? 突然階段から降りてきたと思ったら「アイテム交換しませんか?」って。そしてステータスを見せつけた後、レアアイテムを嘉味田から掻っ攫う。マウントを取るのに必死か? 嘉味田もなぜレアアイテムを渡すんだ? 女騎士でももっと抵抗するぞ。一目ぼれなんて相変わらず童貞くさいな嘉味田君は。あと嘉味田の鹿が夜戦に特化してる時点で、もう性のことしか考えられねえ。「装備:つのみがき」ってのも察してしまうわ。唯一の癒しはホモガキ2人だけや。子供を見るとほっこりするわ。

二話「タイセン」。バス停のゲームのキャラが終電ちゃんやんけ! それは置いといてこの回は常木を倒すための回なのかな。宮前編の前のヒロインである常木を乗り越えることで目に見えて常木編のときの嘉味田と差をつける。その後に来る鹿の交配シーンだが……気が狂いそうや。その後チェリーを食べさせるのも……。こういうモチーフって最後に持ってくるんじゃないんですかね……。うーん恋心の目覚めを交配で表すのか……。

三話「ブラコン」。ムテキの女王(爆笑)。序盤から常木の評価が上がっていく。相対的に宮前の評価は下がるんだけどね。宮前の家に行くシーンもうーん。プライべートな空間をその人の心に見立てる演出は基本的に好きなんなけど宮前のオタサーの姫感が一層協調されてきついっす。その後の場末のゲーセンに行くのもきついわ。トラックボールをゴロゴロしたかと思うと絆創膏の指輪をプレゼントて。貢いでるようにしか見えんのよな。宮前がコミマに誘うシーンも嘉味田がだらしない。察しが悪すぎる。「女の子だけで不安だから」って宮前からは男としてちゃんと見られていているというのにこいつは。

四話「モフモフ」。Aパートきついわ。コスプレも痛いし、宮前は姉に助けてもらってるし。Bパートも相変わらず宮前が可愛くねえな。常木編と違いちゃんと嘉味田が宮前に告白したのは着実に成長している証なんだろうが素直に承諾されてないしやっぱ成長途中やな。喉仏へのキスは理解できんし「これからも私を追いかけてね」ってのも一方的でムカつくわ。



宮前編で最もしんどいのはヒロインがオタサーの姫であることだと思う。オタサーにいる身としてはイラつきしかなく、オタクの悪いところを見せられているようでしんどい。
アマガミ』では橘さんを見て楽しみ、ヒロインを見て楽しみ、二人を見て楽しんでいたが、『セイレン』では嘉味田を見てため息をつき、ヒロインを見てボーっとし、ただ二人を見ている。『アマガミ』の続編として期待していたファンからしたら全く違うものとしか思えないだろう。うーん6人全員の話を観たらちゃんとひとりひとりのキャラが完成して、二人の間に立って物語を楽しめるのだろうか。
しかし桃乃編には少し期待をしている。幼馴染という安定感もだが、何より11話のタイトルが「カクセイ」だったからだ。上で述べたことが正しければ、そろそろ嘉味田がちゃんとした男になってもおかしくない。それでは橘さんのような男らしさを期待して桃乃編を観ようと思う。

【3/24】セイレン第1期完結によせて

 今、桃乃編を見終えた。これで今季の『セイレン』はひとまず終わりだ。
 僕は放送前から、『オデュッセイア』の「セイレーン」が鍵だと主張した。これは、本家アマガミレビューで柳田國男が、アマガミは「天つ神」の密意だと述べたことからヒントを得たものだった。しかし蓋を開けてみれば、的中したのは常木編だけだった。続く宮前編、桃乃編には「セイレーン」の再現と言える要素はおよそ存在せず、3編に共通するモチーフは、なんと「鹿」だった。こんなの誰も考えつかねぇよ……
 では、鹿とは何だったのか。結論から言ってしまうと、僕はちんぽだと思う。そのままズバリ男根のメタファーであり、男性性の象徴こそ、『セイレン』における鹿の角が意味するものだ。『セイレン』は、何の目標もなく漠然と生きている少年が成長して青年になる、つまり男になる物語なのだ。
 『アマガミ』の橘純一は、物語開始の時点で、すでに一人の男であった。2年前のクリスマスイブのデートをすっぽかされたと言うトラウマは、紛れもなく男性としての敗北である。彼はヒロインの問題を解決しながら、彼女によって過去の傷を癒される。そして、補い合うようにして二人は結ばれる。我々は橘純一の中に英雄を見出し、敬意を込めて「橘さん」と呼ぶ。我々は決して彼のようにはなれない。それゆえ、アマガミをプレイするときも、主人公の名前は「橘純一」のままで始めてしまう。変態的とも言えるアクロバティックな手法で問題を解決し、トラウマを克服する彼の姿に憧れはするも、どこか自己投影出来ないままでいるのだ。
 『セイレン』の嘉味田正一は、まだ少年だ。失恋のトラウマを負うこともなく、今日まで漠然と生きてきた坊やなのだ。クラスのマドンナにからかわれ、隠れてマイナーゲームや少女漫画を楽しむことで日々を漫然と消化する。橘に比べて、ずっと身近に感じられるだろう。明確な目標もなく、進路調査の第一希望には「カブトムシ」と書いてしまうよう嘉味田だが、実は、この「カブトムシ」こそキーワードなのだ。分かるだろう?角だよ、角。つまりちんぽだ。嘉味田は無意識に男性性に憧れを抱いており、一人前の男になれば現状の停滞感から抜け出せるのでは、と期待しているのだ。各編の最終話ラストに描かれる5年後、10年後の嘉味田の姿は、それぞれが彼の夢想したカブトムシである。『アマガミ』では森島編と絢辻編でしか描かれなかった未来の光景が、『セイレン』においてはより強い意味を持つのだ。
 さて、鹿の話に戻ろう。まずは、鹿が各編でどのように機能したか、簡単に振り返ってみよう。
 常木編での鹿はまず、勉強合宿から逃げた常木曜を追い回し、正一の元へ送り届けるという役割を果たす。そのせいで鹿に恐怖心を植え付けられた常木だが、嘉味田が鹿の習性を教えてもらうことで克服し、ついには料理人として鹿肉料理が得意になる。これはちょうど、常木の男性との距離感の推移と一致する。学園のマドンナとして、他人からの期待に応えるように「ビッチ」を演じる常木だが、彼女も本当は初心な少女であった。多くの男子生徒から言い寄られるも、誰とくっつくこともなく、ズーフィリアの荒木先輩や、明らかに自分より弱そうな嘉味田にのみ接近していた。そして勉強合宿で嘉味田と交流した彼女は、男性からの好意を素直に受け入れられるようになり、そのままスペインへ旅立つ。そしてスペインから帰国した彼女は、鹿肉の扱いと同様、真の「ビッチ」として男の扱いも得意になり……あれ、常木さん、もう非処女かもしれない……悲C…… まあなんであれ、常木は嘉味田を通して男性を知り、内面が外見に追いつく形で完成する。一方、嘉味田は、常木によって己の男性性を見出されることで、それを自覚し、常木より一歩遅れて成長を遂げる。最終章の、常木が嘉味田を「男らしかった」とねぎらうシーンがその証左である。そして、常木と嘉味田の微妙な上下関係は、5年後、料理人と管理栄養士という関係へそのまま移行するのだ。
 続いて宮前編だが、この物語は繰り返し見ると精神に異常をきたすので、一度見た記憶を頼りに書いていく。この章を真面目にレビューする予定のQP君には頭が下がるばかりだ。嘉味田正一と宮前透との接点はゲームであり、ソフトの名は「鹿大好き」だ。なんじゃそりゃ。鹿を育成するゲームであり、通信することで他プレーヤーの鹿と繁殖行為をすることも出来る。なんじゃそりゃ。プレイしている途中で、宮前が飼育する鹿がメスであることが判明するシーンは、だいたい嘉味田が宮前を異性として意識する時期と一致する。そうだったはず。よく覚えていない。うみゃみゃみゃみゃ…… まあ話の大筋は、中学時代に無自覚にサークルクラッシュを行ったムテキの女神(爆笑)・宮前透は、高校でも嘉味田のグループに、オタサーの姫として君臨する。一時は嘉味田たちの仲も不穏になるも、他がズーフィリアと小学校時代の初恋をこじらせたストーカーだったので、ノーマルの嘉味田が無事に宮前をゲットというもの。宮前の鹿がメスなので、ケリュネイアの鹿と絡めようかとも思ったけど、もう疲れたからいいや。嘉味田はオタサーの姫を女性として意識することで男性性を獲得し、彼女のサークルクラッシュのトラウマを払拭することで好意を勝ち取り、ゲームで疑似セックスしたわけです。やっぱり鹿はちんぽ。トラウマの克服というテーマもあって、実は嘉味田が一番英雄になろうとしている話かもしれない。ゲームで戦ったりもするし。ケリュネイアの鹿っていうのもそういう点で使おうかなって。でも救うべき姫がオタサーの姫だから締まりがないし、嘉味田はヘタレなので英雄になれませんでした。おしまい。
 桃乃編を書く前に、疲れちゃったので今日はここまで。来週ぐらいには後半に続く、かも。

 醤油

【2/2】Catanを楽しむための101の方法④

 交渉編です。実際のボード展開に即して、その都度何かしらテクニカルなタームに言及できたらと思ってます。実卓リプレイのような構成ですが、全て筆者の妄想です。便宜上QP・醤油・某田の名前を拝借してますが、現実のQP・醤油・某田は下記のような言動・思想はしません(たぶん)。一応、ダイスは誤魔化さずふってます。自室で一人さびしくボードを眺め、賽子をコロコロと転がすミシェルを想像して愉悦に浸ってくれたら、たぶん幸せです。
 1番目のプレイヤー(赤):ミシェル、2番目(青):QP、3番目(オレンジ):醤油、4番目(白):某田でお送りします。
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 参考までに。

ミシ「よし、始めるぞー。7。リロール。12。は? キレそう」木土麦(ダイスをふる前のハンド)→木土麦(ダイスをふったあとのハンド。以後省略)
QP「短慮過ぎやしませんか。鉄美味ー」
ミシ「序盤の鉄は腐るし、う、羨ましくなんか……」
醤油「無理すんなよ」
某田「36分の1を出した豪運、誇らしく思おう?」
ミシ「何、この優しい世界。とりあえず、道建てます」木土麦(建設する前のハンド)→麦(建設後のハンド。以後省略)
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QP「あ、これ、9土・10麦・11羊絶対譲らないマンだ。宣戦布告されてますよ、某田さん」
某田「なに~?」
ミシ「僕も某田も木材の獲得は2木依存で苦しくて、両者とも貴重な道資源を浪費せぬ内に、こっち来んなよと、決意表明しときました。ヤサシイワタシ」
某田「あ゛?」
醤油「まあ、某田は9土もってるし、この地点なくても大丈夫でしょ。無駄な木使わされるよりマシ」
某田「一理ある。……あれ、俺マップ狭くない?」
ミシ「4木・5麦・11羊に伸ばせるよ」
某田「間に合うかなぁ、それ。QP走ってきそう」

ポイント①:
 道を建てる向きは、己のプランに関する意思表示と受とられます。特段、道資源(木・土)供給の不安定なプレイヤーの建てる道は、信憑性を増します。上の盤面で言うと、2木の赤が同じく2木の白に暗黙の示談を申し込んだ形です。白のプレイヤーはこの和平交渉を意に介さず、赤と闘うこともできるものの、道一つの資源を無駄にするリスクを負ってまでする行動とは思えません。
 これは、あくまで「9土・10麦・11羊」の地点が白にとってさほど重要ではなく、且つ資源の供給事情が割とイーブンであることに基づく行動です。同じ状況で、白が道資源の豊富なプレイヤーであったなら、この和平交渉は通用しません。向うの機嫌次第ですぐ潰されます。「9土・10麦・11羊」に伸ばすなら、1巡遅らせ白の動向(最初の道の建造先)を見て、安全であることを確認してから伸ばすべきでしょう。誰がどこを開拓するか、道の向きでさぐり合う段階。それが、序盤の面白味です。
 え? 返しで2木、6羊、9土を連続で出されたら初期ハンドと合わせて道と開拓地が建つって? そんな極小確率、考慮なんてしてられっか。

QP「イイ目出すゾー。8。何もできねえ。エンド」木麦鉄鉄→木麦鉄鉄
醤油「よっ、と。……2!?」木木木麦→木木木麦
ミシ・某田「ダイスの女神さまが荒ぶっておられる(にやにや)」
醤油「女神に金品でも握らせて買収したんか? 」
某田「醤油君の女神像は野卑だなぁ。残念ですよ。4。は? ミシェル、早速開拓地建つじゃん。……道建てます」木木土羊→木羊
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醤油「4木・5麦・11羊に向って伸ばさへんの?」
某田「間に合わんかもしらんし、麦港とって、猶予あったら狙うよ」
QP「貞操帯でも装着してんの?と疑うほどに慎重なプレイングやな」
某田「その茶茶、流行ってんの? まあ、何とでもなるでしょ」
ミシ「8。皆さまお察しのように、開拓地を建てます」木土土羊麦→土
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某田「よし。ミシェルを叩こう」
醤油「盤面3点。大義名分として十分すぎる」
ミシ「んな、殺生な。涅槃で舞ってるぜ」
QP「ハレ晴レユカイ踊るのやめーや。11。うーん、バースト回避で、発展ドローします」木羊麦鉄鉄鉄→木麦鉄鉄/発1(伏せ発展1枚のことです。2枚なら発2と表記します。何をドローしたかは使う段になって明らかにします)
某田「お、その騎士を使ってミシェルを止めてくれよな」
QP「おう、考えたるよ」
醤油「あ゛、2!?」木木木木木麦
ミシ「アイツ、2出す芸人かよ」
某田「ピンゾロの醤油。小悪党ですね。あしたは晴れるかな?」
醤油「一応聞きますけど、誰か木で土、もしくは羊をくれません?」
QP「ナイナイナイジェリア」
ミシ・某田「……」
醤油「2出てるもんなー。4:1で木を羊にして、エンド」木木木木木麦→木羊麦
某田「フンッ、9。う~ん、麦出る人おる?」木木土羊羊
一同「……」
某田「麦出てないもんなぁ。しゃーなし。エンドで」
(※ハンドを減らすために道を建てるのも有。ここでは、土温存。6麦期待で次巡開拓地を優先する。6麦の出たあとに8枚以上でバーストしたとしても、ミニマム4枚の資源は残るため、最悪の場合でも開拓地の建設は通せる)
ミシ「5。まあ、素直に道建てます」木土土土羊→土土羊
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醤油「4木・5麦・11羊に向って伸ばさんの? 土港は?」
ミシ「流石にヘイト集め過ぎでしょう。木の供給も相変わらず不安だし。目下は、3:1港優先かな」
醤油「ふ~ん。貞操帯Catanやね」
QP「スルーで。6。ミシェルさん、木出すんで、土くれません?」木木麦麦鉄鉄
ミシ「ええよ(4木・5麦・11羊とか土港をちらつかせると、この木が貰えなくなるんだよね)」
QP「貰った土使って、道建てます」木木麦麦鉄鉄→麦麦鉄鉄
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ポイント②:交渉のタイミング
 基本的に自分の番で、何かアクションを起こすために不足した資源を補うために提案します。もしくは、直近で不足しそうな資源を先に確保しておくのも有用です。交渉は、交渉先のプレイヤーにもアドバンテージを与えるため、無闇矢鱈と連発するものではありません。
 当然の話ですが、交渉は(大まかで十分ですが)カウンティングを前提とし、自分の必要な資源を余らせてそうなプレイヤー候補をピンポイントで指定して1 on 1で行うのが理想です。向うに何の得も見出せぬトレードを申し入れる輩、出てもおらぬ資源をせがむ輩は、現状把握の不充分なプレイヤーとしてなめられ、心証が悪化します。盤面を理解した強者は3秒で交渉を成功させる。同卓した人間はスマートなその仕草に畏敬を覚え、彼の発する言葉に耳を貸すようになるのです。交渉候補が複数人存在し、且つ自分の提示する資源が貴重なものであるときには、あえて全員に話を通し、1:2交換などの好条件を釣出すプレイングも有効です。しかし、基本的には交渉先を(ハンドの構成が想定でき、またトレード後の動きも想定できる)一人にしぼることで、交渉による不利益を最大限抑えることが可能です。
 先ほど、赤と青の間で行われた交渉を考えます。上の盤面ですと、赤と白は慢性的に木が不足し、青は土を自製できません。したがって、青が木を出せば、赤と白は青の魂胆を理解し、高確率で話に乗ってくれます。Catanでの交渉は、こうした相補関係にあるプレイヤーを目ざとく発見し、win-winで回してゆくのが第一です。

某田「QPも3:1港優先かぁ」
QP「本当は早めに土港潰したいんですけど、速度的に無理ぽ」
ミシ「おち○ぽ」
醤油「うるせえ!」
ミシ「ご、ごめんって。魔が差したんだよ。ほら、賽子でもふってふって」
醤油「……6。道建てます」木土羊麦→羊麦
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ミシ「まあ、残当な道」
醤油「白への牽制も兼ねて。と言うか、ここ逃すと詰む」
某田「あ゛~、バーストする~。7。ハイッ、バースト~。フラグ回収お疲れさまです」木木土麦麦羊羊羊羊→木木土羊麦
ミシ「草草の草」
某田「盗賊の移動は、まあ、ミシェル叩きましょう。土は止めるの無理なんで、10麦で。んで、ハンドを1枚(土)貰う」木木土土羊麦
ミシ「(土なら)セーフ」
某田「開拓地建てて、う~ん、道も建てよう。エンド」木木土土羊麦→0
(悩んだのは、道の伸ばす先を保留するかに関して。盤面3点で赤と並んだため、騎士が飛んでくることも見越してハンドを空にして自衛する)
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QP「動くなぁ」
醤油「そしてまだ誰も4木・5土・11羊に向わずと」
ミシ・某田「だって、ヘイトの塊のような地点なんだもん」
QP「語尾のもんは止めろ」
ミシ「ターン貰って、止められた10。キレそう。終わり」木羊→木羊
QP「7。素直に9土に置きます。んで、某田がハンド0なんで、ミシェルから1枚(木)貰うと。あっ」
ミシ「あ゛?」
QP「(こんな木貰っても、ハンドは木麦麦麦鉄鉄。何もできないよ~)……ミシェルさん、もう1枚のハンドなんですか……?」
ミシ「言ったら何かメリットあるんか?」
QP「羊だったら、これ、お返しします」
ミシ「YO!YO!羊~!」
QP「感謝します。発展。エンド」羊麦麦麦鉄鉄→麦麦鉄/発2
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醤油「11。エンド」羊麦麦
某田「8。終わり」羊
ミシ「3。道建てる」木土羊鉄→羊鉄
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QP「また7。バースト無しで、あ~、これな。(ハンドは麦麦鉄鉄。盗賊で鉄をとれれば、都市化にとどく。さっき3鉄が出たミシェルと某田は、両者ともハンド2枚で2分の1で鉄。まあ、はずしても騎士を使えばもう1枚とれるから、このターン都市化は確定。問題はどっちを叩くかだけど、土貰えなくなるのは、まだちょっと困るな。某田を叩くか。ただ、あまり叩き過ぎるのもアレだし……)盗賊は3鉄を止めます。某田からハンドを1枚貰う。(ん、羊。できれば温存したかったけど)騎士を使います。9土に戻して、某田からもう1枚のハンドを貰う」
某田「んほおおおお」ハンド0
QP「都市化」羊麦麦鉄鉄鉄→羊/発1/騎1
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(都市は□で表した)
ミシ「これはゲロ糞畜生ムーブ」
某田「許さんぞ、人間のクズめ!」
QP「そこまで言う? どうしても都市化がしたかったんですよ。悪かったとは思ってます」
某田「は? 卑怯ですよ、卑怯。オイ、皆! 皆でこの卑怯者を叩こうぜ!」
ミシ「よっしゃ。青の開拓地に火放ってやる。焼き討ちじゃあ!」
QP「カタン島全土が焼失しちゃうよぉ~」
醤油「楽しそうでイイね、君達。おじさん、まだ盤上2点だし、止められてる9出るし、何もできないし、あ~もうQP許さん」木羊羊麦麦
ミシ「QP、加速度的に世界の敵になりつつある」
QP「あばばばば」
某田「7出してQP止めちゃるからな~。4。Fuck」ハンド0
醤油「しれっと、羊2枚獲得してる不届き者がおる」
QP「醤油も木2枚貰ってるでしょう」
某田「許さんからな~。首あらってまってろよ~」
ミシ「あははは。……9。許さんからな~!」羊羊鉄
QP「ちょっ、間悪すぎでは? 冤罪ですよ。僕は悪くありません。12。鉄……」木木羊羊羊鉄/発1/騎1
醤油「ジャッジ―! 賽子に細工してる人がー!」
某田「重罪ですね。これは重罪だ」
醤油「8。ミシェルさん、木で土を……」木木木木羊羊麦麦
ミシ「ええよ(食ぎみ)。開拓地建てるんでしょう?」
醤油「うおぉぉぉん。有難う、有難うっ。念願の開拓地、建てます」木木木土羊羊麦麦→木木羊麦
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某田「7出して、憎っくきQPを○す。6。まあ、この辺で勘弁してやるわ」羊羊麦
ミシ「あれれ? 7出せば、もしかしてQPバーストする?」
QP「8枚だから、しますよ」
ミシ「ふぅん。4……」木羊羊羊鉄
醤油「ったく、使えねえタコだなあ、お前はよぉっ!」
某田「6分の1の確率も操作できんのか、猿ぅ!」
QP「辞めたら、この仕事?」
ミシ・醤油・某田「あ゛?」
QP「……10。(ハンドは木木羊羊羊羊羊麦麦鉄。土を貰えれば、開拓地を建てられるけど、確か土は出てなかった筈。それ以前に何かヘイトが溜まり過ぎて誰も交渉に乗ってくれなさそう。他にできることも無さそうだし、ここは大人しく一旦発展をドローしよう)発展します。……う~ん(ハンド7枚でバースト圏内。でも、4羊なのに4:1貿易で土にして羊を減らすのもなぁ。7出たら確実に盗賊飛んできて土を盗られる可能性ある。まあ、焦るような盤面でも無さそうだし、このままで回すか)エンドで」木木羊羊羊羊羊麦麦鉄→木木羊羊羊羊麦/発2/騎1
某田「ハンド7枚のままで大丈夫か?」
QP「大丈夫大丈夫」
ミシ「へえ、あんたもナナって言うんだ。僕もハンド7枚」
醤油「無理矢理ブッ込んでくるなぁ。9。あ゛?」木木木木麦麦羊羊
某田「ドンマイドンマイ」
醤油「4:1貿易で木を土にします。オワオワリ」木木木木麦麦羊羊→土麦麦羊羊
某田「7出すゾ~。6……」羊羊羊羊麦麦
ミシ「それ、さっきも見たよ」
某田「う~ん、4:1貿易で羊を鉄にして終わり」羊羊羊羊麦麦→鉄麦麦
(※土に換えて2木、もしくは木に換えて7出て9土期待の開拓地を狙うよりも、6羊を出して発展のできる鉄に換える)
ミシ「まあ、言うてね。僕がここで7出すんでね。ハイ、ピンゾロ。2」木木羊羊羊麦麦鉄
醤油「しょっぱ、コイツ」
ミシ「仰る通りで。まあ、発展ドローしときます」木木羊羊羊麦麦鉄→木木羊羊麦/発1
QP「6」木木木羊羊羊羊羊麦麦麦麦麦
ミシ「これは阿寒湖」
QP「(ん? これって……)4:1貿易で羊と麦をそれぞれ土2枚に。街道建設使って道2本、それに道1本を足して開拓地建ててエンド。あ、道賞獲得」木木木羊羊羊羊羊麦麦麦麦麦→木/発1/街道1/道賞
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某田「うっわ、キッツ~!」
醤油「6点!? 伏せてる発展がポイントだったら7点……」
ミシ「もうQP叩くしかねぇな。集中砲火しよう」
醤油「とりあえずふる。3。あ゛~、羊4枚を木に交換して……」
某田「待って! 木なら出るよ」
醤油「え、マジ?」
某田「その代わり、無償でひき取ってくれない? 俺が木・麦出すから、醤油が羊出す感じで……」
醤油「あ、バースト回避ね。オッケオッケ。協力しましょう」土羊羊羊羊羊麦麦→木土羊羊羊羊羊麦麦
某田「サンキュー。ここでバーストすると流石にツライので、たすかったわー。恩にきる」木羊羊麦麦麦鉄鉄→羊羊羊麦麦鉄鉄
醤油「道建てて、羊4枚を土にしてエンド」木土羊羊羊羊羊麦麦→土羊麦麦
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某田「さあ、7を出す準備は万端ですよ。4。変だよ、この賽子」
ミシ「稀によくある」
某田「まあ、発展。う~ん、もう1枚。おわり」羊羊羊麦麦鉄鉄→羊/発2

疲れてきたので、この辺で。⑤につづく(はず)

【1/29】Catanを楽しむための101の方法③

mantropy.hatenablog.com

 諸事情により遅くなりました。Catanを楽しむための101の方法、第3回目です。

④4番目に配置するプレイヤーの思考
 ポジションのアドバンテージと言う観点から、4番目のプレイヤーは基本的に自由です。(一応の理性に基づく配置なら)何をしても許されます。適当に5種類の資源を確保できる配置、もしくは6・8に被らせた4種類に配置すれば、安心して全てに夢中な60分を楽しめることでしょう。

 他のプレイヤーの動きに関しても、3番目のプレイヤーほど敏感にならずとも問題ありません。一つ目に置かれた開拓地をざっと眺め、それぞれに不足した資源に注目すれば、2巡目の青写真を描くことは簡単でしょう。しかし、正直な話、妨害する意図は全くなくとも、単純に強そうな地点を2つも獲れば、他のプレイヤーの置くことのできる地点は自然と限られます。もちろん、特殊な盤面(1番目、3番目が強すぎる。Playableな地点があまりにも少数、など)のときは、セオリーに囚われぬ自由な発想が要求されるケースもあるものの、基本、ポジションの優位性にあぐらをかき、図図しくふるまうことに腐心すれば大体うまく運びます。誰の目も憚ることなく、最強の配置を求めましょう。
 4番目のプレイヤーが主に留意しなくてはならぬポイントは、下記の4点です。

(1)おおまかなプランを立てる。
(2)開拓可能領域を残す。
(3)港の確保。
(4)3番目のプレイヤーへの牽制。

④-(1)おおよその展開を見通す。
 おおまかなプラン。実に曖昧な表現ですね。おおまかなプランとは、10点の内訳を指します。せっかく開拓地を連続で置き、得られる資源の種類と頻度を確定させることが許されてるのだから、終盤の見通しを立てることに思考を割きましょう。すなわち、道賞・騎士賞のどちら(若しくは2つとも)を優先するのか。たとえば、道賞をとるなら、開拓地4~5つ、都市1~2つ、道賞2点、ポイント1~2点の範囲がレンジとなります。騎士賞を組込むなら、開拓地3~4つ、都市2~3つ、騎士賞2点or最悪0点、ポイント1~3点となります。ここで、(2)開拓可能領域を残すことが、如何に重要であるかを理解できます。開拓地はミニマム4つから。3つでは、10点があまりにも遠くなってしまうのです。

 レンジを比較してみると如実に実感できるのですが、Catanは騎士賞を狙うパターンのほうが融通に優れます。結果として騎士賞が獲れずとも、その過程で得た発展カードの中にポイントや独占、場合によっては街道建設なんかで道賞を獲れてしまうためですね。逆に、道賞プランは、道賞を落とすと必敗です。発展カードと異なり、伸ばしてきた道には保険が無く、道賞を落とした瞬間、単なる置きものとなるからです。道賞を逃したプレイヤーは、大体が苦虫を噛潰したような表情になります。無論、そのプレイヤーとは、僕のことです。自分が小一時間、賽のかわらでゴミを積んでた事実を通告された瞬間にもたらされる悲壮感は、何回味わっても慣れません。とても重要なことなので、もう一度書きます。Catanで、他のプレイヤーと道賞を争うことほど不毛なことはありません。もしも初期配置で、道賞と騎士賞が等価な場合、迷わず後者を選びましょう。Fuck me 道賞です。

 (1)に関してもう一点。資源1種を諦め、初期4種の配置にするときは、その不足した資源の潜在的な供給源を考慮するべきです。たとえば、木の豊富なマップならば、木をきり捨てても他者から交渉で調達してくることは可能です。3:1港や2:1港の活用が見込まれる、或は同一資源がハンドに溜まりそうな配置のときも、同様です。ここで(3)が検討されます。4番目のプレイヤーは基本的に数字に恵まれ、6・8の都市化を果たした後は4:1貿易も現実味を帯びるため、港を得なくともプレイは出来ます。資源の組合せの関係で不幸にも6・8にふれられなかったとき、初期4種のとき、初期5種で無理なく港を狙えるときは、港の獲得に乗出します。 
 話を戻し、3軒目に建つであろう開拓地が不足した資源を補うときも、調達が可能でしょう。Catanは1種類の資源を完全に捨てて捷利できるほど、甘ったれたゲームではありません。上記の3つに該当せぬ場合は、初期配置を4種にすることは諦め、出目は弱くとも5種にふれさせるほうが無難です。

④-(4)他プレイヤーへの牽制。
 これは配置に余裕があるなら、考えるべき事柄です。実際にマップを見て考察してゆきましょう。

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 まず、「6麦・希少な3鉄」に面したEに置く場合を考えます。すると、木・土のどちらかはmustのため、「9土・6羊・一応2木」のKと「8木」のO、「9木」のG・Pがもう一つの開拓地の候補となる。Kに置くと資源5種を網羅でき、重複が懸念と言えば懸念ですが、麦と羊の二つの6で騎士賞を呼べます。それなりのはたらきが期待できる麦港が見えるのも、美点です。Oは土を捨てての6・8物量作戦です。3:1港に漕ぎつくことさえ出来たなら、木の3:1貿易で何とか回せそうです。しかし、その3つ目を建たせるために必要な11羊一枚と、土2枚の条件が幾らか重たく感じます。G・Pは5・9が優秀ですが、4種であるにも係らず、11羊が弱めである点に不安を覚えます。したがって、Eの相棒はKに軍配が上るとできます。

 次に、Eに置かぬときの組合せを検討します。少なくとも、6・8は一つは要るため、FとOが一つ目の候補となります。Fの相棒は、土・木・羊の5種と麦港も見えるKが妥当でしょう。しかし、Kの相棒なら、ダイレクトに3鉄の入るEのほうが適格では無かろうかと疑念が過ぎります。Oに置くなら道賞をとらなくてはならぬため、やはりもう一つは9土のとれるKとなりそうです。O-Kペアはまずまずの配置ですが、3番目のプレイヤーにEに置くことを許してまでする値のある行動かどうかは、正直微妙です。Eをカットするなら、Qも考えられます。しかし、これもまた相棒はKとなり、E-Kの率直な強さには及ぶべくもありません。

 以上より、4番目はE-Kとします。無論、Eからの道は誰も来なさそうな上に伸ばします。初期ハンドは木を含むKを貰う。(4)他プレイヤーへの牽制は、上記のように(1)~(3)の思考の道すじを辿ったあと、悩んだときの最後の一押しとして採用するのが賢明です。

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⑤2巡目の配置。
 1~3番目のプレイヤーの2つ目の開拓地は、1つ目の開拓地を補完するように置くだけです。その際、上流のプレイヤーは下流の動きを制限できれば上等ですが、普通は奸計を企てるゆとりなど残されてません。有利なプレイヤーを止めることは、ゲーム中、下位陣の結託如何で幾らでも可能です。初期配置では、あくまでも自分の利益を優先するべきです。そろそろ本記事も終わらせるべく、さらっと盤面を完成させましょう。

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 3番目は麦と鉄、それから6・8が不足してます。どちらをも満たす候補は、O・Fの2地点となります。小麦を重視するなら、圧倒的にFですが、小麦をとったところで羊と鉄が弱く、騎士賞は狙えそうにもありません。それならば道賞を確実にするため、Oに置くべきでしょう。小麦は弱めですが、一つ目の開拓地からさわれそうな6羊と、「3羊・8木」の羊港の組合せも頼もしく、鼓舞してくれます。

 2番目は木・土が不足してますが、その何れもを獲得できる地点はQ「2木・5土・10麦」しか残されてません。2木はplayableではなく、10麦も微妙です。では、1番目のプレイヤーの動向に注目すると、GやPに置かれると、期待値高めの5種類が揃ってしまうことが見てとれます。可能なら絞るべきです。Gは出目も高く、少しでも鉄を補強出来て且つ3:1港、木港も視野に入るため、自分で獲ってもなかなかどうして悪くありません。Gに置くことにします。

 1番目は、2番目が仕事をしたため、途端に苦しくなりました。麦はmustピックです。RとQの間で懊悩します。「5麦・4木」のRか、開拓可能領域が広く数字が6種になるQか。…………(木は2番目と交渉できるやろ。麦も「10麦・9土・11羊」に3軒目を建てたら何とかなる。最悪3:1港は獲れるし。さすがに4番目こっち来ねぇよな? 大丈夫、大丈夫、大丈夫)Qにします……。

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 こんな感じになりました。疲れたので、もう書きません。需要があれば、交渉編も書きます。ところで、誰か琴葉姉妹のCatan実況あげてくれませんかね?

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【1/27】セイレン・常木耀編を観終えて

 セイレンの4話を観た。想定を超え、ショッキングな内容だった。僕は現在、覚めやらぬ興奮と、こころに刺さった小さな棘に後押しをされ、これを書いている。
 やはり、「セイレン」は「セイレーン」の密意であった。醤油君の指摘は正しかった。森島はるかが「水」のアマガミであったように、常木耀も「水」に深く関連するヒロインである。その証左に、主人公・嘉味田と常木のやりとりは作中、一貫して水場で行われる。
 まず第1話。常木は雨に濡れ、嘉味田の部屋への侵入を果たす。この雨は、以降2人の関係が進展を見せる契機となる。2話で嘉味田のジャージを纏った常木は、女子トイレの清掃をする。さすがにこれは悪趣味なジョークだとしても、夜食の後、2人が各々の事情に幾らか突っ込んだ問答をする密室は給湯室である。3話。男湯で混浴。ここまでで2人の距離が順当に縮まってきたことは、言わずもがなである。しかし、このあと。嘉味田への疑惑が浮上するシーンは、干上がったプールで行われる。(トイレ)→洗面台→浴槽→プールと、2人の関係はその容積を大きくしてきたものの、一旦「水」が失われるのである。このことは、2人の関係が暫く停滞することを示唆する。そして、4話。疑惑や不信感を晴らし、2人はあらゆる水の行きつく先、海へとやって来る。不覚にも、嘉味田の「常木さん、海に行こうよ。俺達も大人になれるんだ」と言う台詞には笑ってしまった。
 海中に押し倒し、嘉味田の耳を塞ぎ、キスをする常木。この構図こそ『オデュッセイア』で描かれるセイレーンそのもので、大興奮してしまった。常木耀編で、主人公・嘉味田はセイレーンの歌を聴こうとしたオデュッセウスである。嘉味田は、人を惑わし遭難・難破させるセイレーン・常木の歌声を聞き、(暴れ出し、)そちらへ向かおうとする。実際、嘉味田は常木の媚態に劣情を喚起され、ふり回される。夏季合宿で相互理解が進んだように見えて、当の本人も言ったように、実のところ、嘉味田の側は常木のことを何一つ理解しておらず、成長もなかった。その事実を、干上がったプールはあまりにも痛ましく表現する。しかし、オデュッセウスがキルケ―の忠告に従って船員に蝋で耳栓をさせたように、常木は距離を詰めようとする嘉味田の耳を塞ぐ。嘉味田と恋仲になることを拒絶し、あくまで嘉味田をマスト、輝日東の地へ縛り付けることで、最愛の人がその覚悟もなく、一時の劣情によって先走り、その身を滅ぼすことを回避させるのである。逆説的だが、嘉味田は常木当人に耳を塞がれることではじめて、雑音の混じらぬ「精錬」された常木の心の声を聴き、真の意味で恋に落ちる。
 物語の結末。『オデュッセイア』のセイレーンが海へ投身自殺したように、常木もまた大海へと身を投出し、遠く離れたスペインの地へ辿りつく。無論、これは嘉味田の存在によって旧来の常木が死んで、再生を果たしたと言うことである。嘉味田のほうはと言うと、縛り付けられた輝日東の地で、常木の本当の歌声に鼓舞され、管理栄養士と言う自分なりの道を見出す。そして5年後、嘉味田自身が(或は常木の側も)「精錬」された頃合、大人になった瞬間を見計らって、2人は再会を果たし、ようやく結ばれるのである。
 はぁ……。

【1/18】Catanを楽しむための101の方法②

mantropy.hatenablog.com
のつづきです。

③3番目のプレイヤーの思考
 1番目・2番目のプレイヤーが開拓可能領域と資源種類を確保する守りの姿勢であったのに反し、3番目のプレイヤーには攻めの姿勢が必要となります。具体的には、幾らか無理を通してでも、4番目のプレイヤーの動きを制限する配置を選ばなくてはなりません。4番目のプレイヤーは(Catanの勝敗を7割左右する)初期配置に関して圧倒的優位であり、したがって最も警戒すべきプレイヤーとなります。前回、1・2番目のプレイヤーが下流の動きを想定する行為は無駄であると論じましたが、3番目は事情が異なります。動きを把握すべき対象が一人に絞られ不確定要素が減ずるため、読むことの有意性が増す。4番目のプレイヤーの採用しそうなムーブを先んじて潰し、困難な盤面を叩きつけることは、あなたの可能性を高める有意義な行動です。

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 前置きはほどほどに、前回のマップを考察してゆきましょう。3番目のプレイヤーの第一に想定しなくてはならぬことは、4番目にとられたら嫌なムーブです。嫌なムーブとは、ケアすべき順に

(1)6・8のどちらにも隣接且つ資源5種類を網羅する配置。
(2)道賞と騎士賞を2つとも狙えてしまえる配置。
(3)1・2番目のプレイヤーがせっかく絞った希少資源をたやすく獲得できてしまう配置。
(4)6・8を被らせた2:1港を序盤からブン回らせてしまう配置。
(5)開拓可能領域を広く確保させてしまう配置。

 等が挙られます。(1)は考えなくてはならぬことが山積のため、あとまわし。実戦では、(2)や(3)の場合から検討するとパターン数が抑えられ、またその過程で(1)や(4)も出てくるため、スムーズです。

③-(2)道賞と騎士賞を睨む。
 3番目のプレイヤーはまず、道賞と騎士賞をそれぞれどのプレイヤーが獲得しそうであるかを考えましょう。ボーナス2点は、10点の内訳を考えたとき、強烈です。1位に立つプレイヤーは、大体このどちらかを獲得します。当然ですが、道賞は6・8の土・木に開拓地をさわらせたプレイヤーのものとなります。上のマップを見ると、1番目のプレイヤーが8土にふれさせてますね。返しに8木・9木を獲れば、割と有力な道賞候補となりそうです。しかし、木よりも小麦の供給を優先する可能性、2つ目の開拓地を最後に置くとき、道を伸ばしてゆく先が果たして残ってるか否かと言う懸念もあるため、一旦保留とします。2番目のプレイヤーに関しては、返しで6・8を含む道セットの地点を確保することは不可能と判るため、考慮しません。となると、道賞の獲得が濃厚なのは、自分か4番目のプレイヤーです。

 次に、騎士賞の候補を見てゆきます。鉄の出目が3・11・12と弱めとは言え、膠着状態に陥る盤面のため、3鉄・11鉄は試行回数の増えたぶん何回か出ると考えて結構でしょう。とすると、鉄にふれさせたプレイヤーが畢竟一歩リードします(※2:1港や3:1港の可能性は、一先ずここでは考慮しません)。盤面を見ると、1番目は返しを小麦にふれさせられたなら、チャンスがあります。2番目は既に発展セットを整えたこともあって、騎士賞を目指す意志を感じます。しかし、3番目・4番目が芽無しかと問われたら、そうでもありません。鉄は不足ぎみですが、5・6・10と、小麦と羊が潤沢な盤面で、貿易などで鉄さえ工面できれば、騎士賞は十分にとどく範囲です。そしてこれこそ、前回、上のマップが2番目のプレイヤーに辛辣だと言った理由です。自分は道賞の可能性を捨ててしまってるのに、周囲は道賞と騎士賞のどちらをも視野に入れたプレイングを許されてしまってる。キツイと嘆きたくもなります。

 3番目のプレイヤーは通常、4番目の道賞と騎士賞どちらかの可能性を消しに掛かります。しかし現状、可能性は等しく残されており、なにをしばるべきなのかイマイチ判然としません。困った。更なる糸口を求め、(3)の考察へ移行します。

③-(3)レアメタルを睨む。
 反復となりますが、上図で希少なのは鉄です。レアメタルです。感謝すべきことに、1・2番目のプレイヤー達は、レアメタルをしばってくれました。初期配置フェイズは、1~3番目のプレイヤーが協同して、4番目の動きを鈍化させる段階でもあるため、上の2人は見事に仕事を果たしたと言えます。3番目は、なるべくこの恩に報じなくてはなりません。特に2番目は、シビアな状況であろうに1番目の土港さえ睨む燻し銀なムーブをしてくれてます。こんなんされたら濡れます。ビッシャビッシャのノアの大洪水です。筆者が3番目なら、この理性的なプレイヤーとはゲーム中も友好な交渉関係を築こうと目論見、不足した資源を補完しあえるよう、無理の生じぬ範囲で主力の資源を被らぬよう初期開拓地を配置します。好きです。些か余談を口にしました。再び話を戻す。(3)で浮上してくるのは、2人のしばった鉄を自分もしばるべきかと言った問題です。早速、マップを眺めましょう。

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 鉄の獲れる地点を列挙しました。この内、F・Gは12鉄がplayableな数字ではなく、候補から消去します。次に、「11鉄・12鉄」の木港です。(4)を先取しますが、これを4番目のプレイヤーが活用する場合、もう一つの開拓地を8木・9木のどちらかにふれさせなくてはなりません。まず8木だと、考えられる置き方は「3羊・4木・8木」もしくは「4木・8木・10麦」で、前者は土と麦を、後者は土と羊を犠牲にする。8木のパワーに期待を寄せたとしても、個人的には大して優良だとは思えません。9木はG「5麦・9木・12鉄」の一点。こちらも、せっかく4番目に置くと言うのに、一つも6・8にふれられず微妙。したがって木港のセンも消去。残るはD・E・Hですが、D・Eのどちらかに置くともう一方は潰れ、且つ6麦を有するEのほうが出目として優秀です。以上より、3番目が4番目の鉄をしばるなら、Eに開拓地を置くべきであると言うことが導き出せます。

 ここでもう一歩踏み込んで考えることは、Eに開拓地を置くと、依然3鉄はHが残ると言う点です。4番目のプレイヤーがHをとるなら、もう一つの開拓地の候補は「2木・6羊・9土」と「3羊・4木・9土」辺りでしょうか。前者は2木がplayableでなく、初期ハンドで木を1枚確保できたとしても、終始木の弱さを補うプレイを要し、隙が生まれます。後者は、4と9の道セットを含んだバランスの良さが光るものの、6・8を欠き、4番目の行動としては弱めです。よって、3番目がEに置くなら、4番目の鉄をしばることができた、或は弱体化させたと言っても大丈夫でしょう。騎士賞を潰すこともでき、(2)の観点にも合致します。

 しかし、以上の理由からEに置くと決めるのは、些か早計です。次は逆に、自分がEに置かぬパターンを想定しましょう。このパターンで4番目は、6麦と3鉄にさわらせぬ理由が見当たらず、ほぼ確実にE地点を獲ってくる。すると、もう一つの開拓地では木と土のセットを押さえたくなる。

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 その候補は上図のようになります。まず、IとJですが、やはり2木がネックです。Eでふれた11羊を補完するてだてもなく、①や②のプレイヤーに騎士賞も競負けそうです。Kは6羊が優秀ですが、Eの6麦と被っており、また3鉄がそれほど出る筈もなく、ハンドで資源を腐らせそうです。唯一6羊を活かせる羊港も遠く、最速で3:1港を獲りに行くとしても2木でデメリットのほうが目立つ。羊で木を釣出せそうな交渉先も特段見当たらず、I~Kの3地点は置かれたところで脅威は感じません。すると、問題となるのは、N・Mの道セットを含む2地点です。ここで、はじめて(1)の禁則がちらつきます。すなわち、4番目にEとN・Mのどちらかに置かれると、6麦を含む資源5種類を揃わせてしまう。これは(2)の道賞と騎士賞の阻止と言う観点からも、確実に回避しなくてはならぬ事態です。すると、3番目のプレイヤーは、Eに置かぬなら、M・N(おそらく羊港も狙えるMでしょう)に置くことになる。煮詰まってきましたね。つまり、3番目は、EかMを選ばなくてはならぬことに感づくのです。
 あとはEとMの純粋な比較です。

③-(4)2:1港の潜在性を見通す。
 これまでの話で、ちょっと待てや。4番目のプレイヤーのとる他の動きを検証してねーじゃん、と疑問を感じる人もおるやもしれません。たとえば、Kと「4木・8木・10麦」に置き、6・8を揃える物量開拓地プレイなどですね。正直、これをケアする必要も、余裕もありません。3番目は、あくまで自らの利益を損なわぬ範囲で動くべきです。過剰な奉仕精神は自滅を招きます。それに、6・8の物量作戦をケアするときは、6・8の資源が2:1港の配置と噛合うときです。マップを見ましょう。8土は①によって潰されてます。6麦の麦港は、鉄が弱めの盤面では脅威は低めです。8木にさわらせる木港は、そもそも木港が遠く、獲得するには土を捨てなくてはならぬため、期待薄です。残った6羊の羊港ですが、これはなかなかにありそうです。しかし、このマップでは出目の弱さから、鉄が盗賊や騎士に止められることはほぼなく、逆に羊の2:1港を得た6羊は恰好のマトとなります。う~ん、7を出しちゃった。とりあえず6羊を止めておこうと言う流れが一度でき上ってしまえば、そのプレイヤーは相当な苦境に追込まれます。したがって、本マップでは港を考慮したプレイングを意識する必要はありません。

③-(5) 開拓可能領域を狭める。
 そろそろ、3番目がどこに置くか結論を出しましょう。EとMの比較は割と等価です。発展プレイを好むならE、道賞を視野に入れた開拓地プレイを好むならMとしても良さそうです。ここで最後の一押しとなるのが、4番目の開拓可能領域です。Eに置くと、マップのまるまる西半分をガラ空きにしてしまうことが見てとれます。マップを広く残す動きは、下流のプレイヤーに開拓地プレイをするチャンスを与えてしまう。そうするよりは、早めに9土を確保し、返しで小麦を貰うMのほうが、幾分良さそうだ。道の伸ばす先は悩みますが、競争率の高そうな8木よりも、安全そうな6羊に向って伸ばします。

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 こんな感じになりました。疲れてきたので、4番目以降はあしたの僕が書くことでしょう。アカネチャンカワイイヤッター! 誰か琴葉姉妹のCatan実況あげてくれませんかね?
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