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京大漫トロピーのブログです

【12/24】桜井梨穂子編③

桜井梨穂子編 第3章「ヒキツギ」

醤油:3話です。梨穂子編のみは、2話の時点でクリスマスが終わってしまうんですよね。
ミシ:創設祭よりもあとの世界、あったんですね。地球平面説のように、クリスマスの先は急崖になってると思ってました。
QP:全ての過程をすっ飛ばして、エピローグまで一直線ですか? 一概に否定できぬところが『アマガミss』と言う作品の底知れぬ部分ですよね。
醤油:七咲と塚原先輩の間でも、おでんレシピの「ヒキツギ」が為されます。
(塚原「あの大根の味は素晴らしかったわ」七咲「そんな。先輩の昆布には敵ゐません」)
QP:なにを褒めたたえてるんだ、コイツらは。
(OP)
醤油:相変わらず、きもちが上向きになるOPです。
ミシ:このOPを14回聴き、魂に刻み込むんや。
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野点を楽しむ純一と茶道部員達)
醤油:順調に茶道部帰化してますね、純一君。
ミシ:もう逃れられませんよ。覚悟を決めましょう。
QP:ハイ。
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(薫のバイト先でお茶をする梨穂子と純一。クリスマスプレゼントのお返しに、一緒にはつ詣しようとせがむ梨穂子。快諾する純一。梨穂子「やっぱりケーキ頂戴~」)
ミシ:苺のショートケーキに舌鼓をうつ梨穂子、可愛eですね。
QP:さっきまで太るからと遠慮してたのに、美味しそうに頬ばりますね。
醤油:正月デートの話をきり出すのに、相当量のエネルギーを消費しちゃったんですよ。ちゃんと誘えた自分へのご褒美です。
ミシ:大丈夫、大丈夫。美味しいから大丈夫だよ~。
QP:それ、べつのアニメですよ。
ミシ:さらっとBパートです。
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(Bパート。ウメハラと電話する純一。大晦日に遊ぼうと誘われるが、梨穂子と年を越す予定があるため、ことわる。梨穂子との関係性を詰問される純一。ただのおさな馴染みだと答える。ウメハラ「幸せってもんは、意外に身近なところにあるものかもしれねーぞ。どうだ? なかなか名言じゃねーか?」)
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(その頃、梨穂子もまた電話で香苗に報告をする。梨穂子「残念な知らせもあるんだよ。実はケーキを……」香苗「タベチャッタノォ!?」→うで立て伏せで食べてしまった分のカロリーを消費せんとする梨穂子)
ミシ:この2人、一貫してイイはたらきをしますよね。特にウメハラ。梨穂子の競争率の高さをそれとなく伝えて、純一に恋心を自覚させんと試みる。
醤油:友人、先輩、妹。さまざまな人に支えられ温められ、ようやく2人の恋は孵化するんですね。
QP:ロマンチックやなぁ。
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(大晦日。橘家を訪れる梨穂子。美也と純一の痴話喧嘩を仲裁し、特製チーズスフレを皆で頂く)
ミシ:お母さーん!
醤油:糞っ。僕が先に言おうと思ってたのに!
ミシ:包み込み、わかち与える。母性の発露ですね。
QP:お母さーん!
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(興がノって、アイドルの真似をしてくれる梨穂子)
QP:エンディング曲ですね。
醤油:歌は好きなのに、アイドルになるのは嫌なんですね。なぜなら。
QP:純一と大晦日を過ごすことのほうが重要ですから。
醤油:正解!
ミシ:梨穂子は己の中での優先順位を決して違えませんよね。
QP:美点ですね。こうした性質が、梨穂子をマイペースたらしめてるのでしょう。
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(元旦。寝坊してしまったものの、最寄りの神社ではつ詣をする純一・梨穂子・美也の3人)
ミシ:やはり元旦から遅刻してしまうんですね。
醤油:スローペースな2人らしくて、ほほ笑ましさを感じます。
QP:幸せやなぁ。
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(梨穂子の絵馬には、3つの望みが書かれる)
ミシ:一番目と三番目は、既に実現しつつありますよね。
醤油:最終話では、二番目の実現が見られるんでしょう。きっと。
QP:なんだかもう、普通にアニメを観てる感覚です。
ミシ:純粋に楽しみましょうよ。
QP:せやな。
(ED)

【12/24】桜井梨穂子編②

桜井梨穂子編 第2章「テツダイ」

ミシ:第2話です。「鉄」の意志で「ダイ」エット。略して、テツダイ。
醤油:無理矢理すぎません?
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(約束通り、スケートに来た4人。しかし、梨穂子は滑らず立ち竦む。純一「梨穂子は昔からスケートが苦手だったもんな」)
醤油:90’sデートの定番と言えば、スケートのイメージがあります。
ミシ:ここ、事故とは言え180°開脚できてますね。毎晩のストレッチをつづけてることが窺えます。
QP:冷たそうです。
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(梨穂子の面倒を純一に任せる香苗。純一は転びそうになる梨穂子を支えようとしてむねを揉んでしまう。スカートの中も見てしまう)
醤・QP:きたあああああああっ。ラッキースケベやっ!
ミシ:嫌だあぁ、純一のエッチ!
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(離れたところから2人を見守るウメハラと香苗)
醤油:また、この構図ですか。
QP:この得も言われぬ表情ですよ。
ミシ:しかし、画面前の僕達も、傍から見たらこんな感じに映るんでしょうね。
(OP)
(香苗「さっき転んだのは、なかなか高ポイントだったね~」)
ミシ:転んだのを褒められるのって、はじめての経験でしょうね。
醤油:せやな。
QP:梨穂子は自らの性的魅力に関して、終始無頓着ですよね。
ミシ:男女の性差への認識はところどころ見られるんですが、自らの性に関しては価値を見出しておらんのでしょうね。性差を純一へのアプローチに運用した七咲とは、真逆ですね。
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(夜。一日を「楽しかった」とふり返る梨穂子。部屋のコルクボードにはまた一枚、純一と映った写真が足された)
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ミシ:「手袋を失くしてしまった」と言う純一のために、手袋編んでますよ、この娘。あったけぇ~。
QP:まだ編み上がってませんよ。逸りすぎです。
(翌日、昼休み。純一は、中庭で茶道部の先輩’sに「炬燵の天板を運ぶのを手伝え」と絡まれる)
ミシ:これ、娘の好きな男に干渉せんとする親の姿ですよね。
醤油:夕月先輩(眼鏡のほう)が父親で、飛羽先輩(長髪のほう)が母親ですね。
QP:可哀想に。純一君、茶道部室に連れ込まれてねちねちと尋問されてますよ。
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醤油:そこに当の梨穂子が帰ってくる、と。
ミシ:お父さん、お母さん! もぉ~、また内緒で純一君を呼んで! へ、変なこと言われたりしなかったよね? はぁ~、萌え。
QP:実際の梨穂子はとり乱すこともなく、自然に同席してますけどね。
醤油:生憎と知られて困るような、うしろ暗さをもち合わせておらんのでしょう。はぁ~、萌え。
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茶道部存続のため、純一を新入部員に誘ってはどうかと梨穂子に提案する先輩’s)
ミシ:良かったですね、純一。両親のお眼鏡に適ったようですよ。
醤油:婿養子が確定しましたね。
QP:おめでとう、純一君。
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(Bパート。クリスマス当日。例のごとくアンニュイになる純一。しかし、茶道部を手伝う約束があったことを美也に指摘され、しぶしぶ創設祭に向かう)
醤油:美也が再びアマノウズメと化してますね。
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茶道部謹製の甘酒を運ぶ純一。先輩’sにしつように勧誘されるが、拒む)
QP:君、うちの婿養子にならんか?
醤油:え、嫌です。
ミシ:なるほどねぇ。この甘酒、実は口噛み酒だったんだ。ここでも「むすび」が出てくるんですね。
QP:またその話ですか? ミーハーですよ。
ミシ:要は、結婚式で新郎新婦が飲み交わして契りを結ぶお神酒、三献の儀でしょう?
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(梨穂子の和服姿に思わず見蕩れる純一)
ミシ:桜井梨穂子、蕩れ。
醤油:流行るとイイな、蕩れ。
QP:ネタが古すぎますよ。
(梨穂子「ねぇ、純一。この機会に茶道部に入っちゃうってのは、どうかな?」)
ミシ:純一君、わたしん家の婿養子になりませんか?
醤油:え、嫌です。
QP:梨穂子、残念そうにしてるじゃありませんか。早く承諾してあげましょうよ。
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(クリスマスツリーのライトアップを見上げる2人。純一「梨穂子、メリークリスマス」梨穂子「メリークリスマス、純一」)
ミ・醤・QP:メリークリスマス!
ミシ:2年前の梨穂子が報われた瞬間ですね。
醤油:同時に、純一のクリスマスへの恐怖が払拭された瞬間でもあります。
QP:「メリークリスマス」と口にできた訳ですからね。事情を知る梨穂子、この言葉を聞くことが出来て、相当嬉しかったでしょうね。
ミシ:素朴な2人の関係に、癒されます。
(創設祭の帰り、ベンチに座る2人。梨穂子「あ、雪」)
ミ・醤・QP:むふふ。
醤油:約束された展開で、笑ってしまう。最高のタイミングですね。
QP:雪の降らん聖夜など、嘘ですよ。嘘。
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(純一「そう言えば、子どもの頃、雪が降ったときにさ。梨穂子、空に向かって大きな口をあけてたよな」回想の中の梨穂子「えへへ。お腹が減ったから、雪を食べてるの」純一「梨穂子、なかなかアレ止めなかったんだよな」梨穂子「たしかにお腹は膨れなかったんだけど、でも美味しかったんだよ?」)
QP:純一の作ってる雪だるま、何なんですか。胸部が強調されすぎでしょう。
醤油:オッパイパイパイおっき~な。梨穂子のむねが大きくなる「オマジナイ」ですよ。
ミシ:梨穂子の豊満なバストは、このワシが育てたんじゃよ?
醤・QP:やめーや。
ミシ:さらっとキーワードが出てきましたね。空。六大の立ち位置では「包容力・無限」に相当します。言わずもがな、ここでの梨穂子は、雪として結晶化した、宙に漂う無限のエネルギーを体内にとり込もうとしてます。とり込まれた自然のエネルギーは内部で吸収され、全身を経由することによって、無意識の領域にもう一つの「空」を象る。梨穂子の発露する類稀な包容の性質、それは自己の内部に生み出された空に端をなすものと言えるでしょう。梨穂子は正真正銘「空」のアマガミなのです。
醤油:巨大な空洞があるぶん、一たびバランスをくずし、精神エネルギーが意識から無意識へ逆流してしまうと、途端にポンコツになってしまうんですね。
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(純一にクリスマスプレゼント・手編みの手袋を贈る梨穂子)
ミシ:Last Christmas, I gave you my heart. But the very next day, you gave it away.
醤油:This year, to save me from tears. I'll give it to someone special.
QP:たとえフラれても、梨穂子は毎年純一にプレゼントしそうですよね。
ミ・醤:それな。
(夜。香苗と電話をしながら、ストレッチをする梨穂子)
醤油:すんなり開脚できるようになってますね。
ミシ:これは、2人の関係の進展を塞き止めてきた壁、2年前の事件の記憶がこなごなに破壊され、硬直した関係性も変化の兆しを見せたことを示唆してます。
QP:ようやく、恋のブレイクスルーが果たされたんやなって。
(ED)

【12/24】裏アドベントカレンダー4日目。桜井梨穂子編①

桜井梨穂子編 第1章「オモイデ」

醤油:4人目、純一のおさな馴染み・梨穂子編です。
QP:ウォーミングアップ出来てますか?
ミシ:もちろんです。早速、観て行きましょう。
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(梨穂子「2年前の12月、わたしは、おさな馴染みの純一から突然お買ものに誘われました。もうすっごく嬉しくて、デートきぶんで出かけたら、実は純一が好きな女の子に贈るクリスマスプレゼント選びに付き合わされただけだったんです。わたし、ガッカリしちゃって。プレゼント選びは、それでそれでとても楽しかったんですけどね。でも、結局その子と純一はうまく行かなかったようで、後からそれを知ったときには、自分のことのように悲しくなりました。あの頃も今も、わたしはずっと純一に片想中なんです」)
ミシ:うおおおおおおおおおおおんっ、梨穂子ぉおおおおおおおお!
QP:のっけから不憫やわぁ……。
醤油:冒頭、アマガミの世界観が構築されたXデーよりも前、梨穂子のコンフェッションから始まります。声は新谷良子さんですね。「ひだまりスケッチ」の沙英さん。
QP:これ、誰に宛てた告解なんでしょうか?
ミシ:親友の香苗さんや、茶道部の先輩2人にでしょう。
醤油:純一への好意を明言したか否かはともかくとして、日常会話の中、それとなく相談はしてるでしょうね。したがって、梨穂子をとり巻く周囲の人間が、純一への恋慕をあらかじめ察した状態で2人の話はスタートします。
(OP)
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ミシ:コルクボードに純一との歴史を貼りたくってる梨穂子、涙ぐましくて、揺さぶられますね。
醤油:あ、鶴屋さんの声が聞こえる。
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(あさ。寝坊した梨穂子は、親友の香苗に叩き起こされる)
ミシ:『茨姫』ですね。
QP:え?
醤油:「眠れる森の美女」のことです。王子のキスで目を覚ますんですか?
QP:香苗さんが王子?
ミシ:否。このシーンのみを参照すると、一見そうとも思えるんですが、香苗さんはあくまでも、子どものできぬ王さまと王妃に、お姫さまが一人生まれることを予言する「蛙」の役です。
醤油:両生類。みずと陸との間を往来する者。意識と無意識を繋ぎ、或は無意識内より意識界へと出現してくるあらたな可能性を示唆する存在ですね。
ミシ:香苗さんのロールはさておき、この「蛙」の予言通り、王と妃の間に子が生まれると、12人の仙女を招き宴が催された。仙女達はそれぞれ「一人は徳を、もう一人は美しさを、三番目は富を」と云ったように、誕生した姫へ善意の贈りものをするが、招かれざる13番目の仙女が、宴に呼ばれなかった報復として「死」を贈ってしまう。
QP:天道の十二宮に示されるように、12は完全数としての意味が強く見出されます。それらの完全なものに、一つの異質な悪・13番目の因子が侵入することで「茨姫」の話は進展を見せるんですね。
醤油:13と言えば、円卓の……
QP:それはもう、中多編で言及したでしょう?
醤油:すみません。
ミシ:贈られた死・「つむの一突き」の呪詛は15の年齢になったとき発動し、姫を百年のねむりにつかせた。
QP:ははぁん。言わんとしてることが掴めてきましたよ。15歳。中学3年生。2年前のクリスマス、人知れず純一に失恋し、純一の側も失恋した例の事件が、梨穂子にとっての「つむの一突き」となったんですね。そして、梨穂子は現在に至るまで2年間の精神的な休眠状態となる。
醤油:その「つむの一突き」によってもたらされた「休眠状態」とやらが、主に純一との関係に見出され、これまで2人の関係性の発展を阻害してきたのか。純一が押し入れにひき籠もった同時期、梨穂子もまた冷凍睡眠されてたんですね。
ミシ:ここでもう一つ注目すべきは、梨穂子が「怠惰」である点です。2年前の決定的な事件よりも以前、梨穂子と純一の関係性は、おさな馴染みの延長線上に生じた緩やかな好意・唯一性で保障されてあった。ところが、純一に好きな女性ができることで、その安全神話は崩壊してしまう。
QP:この純一が失恋した女性は、これまでさんざん議論の俎上に上った、母性の有する否定的な側面ですね。あれから2年が経つと言うのに、未だに純一のこころを捕らえて離さず、その全てを呑みこんで無に帰さんと追ってくる。
ミシ:これまで意識が依存してきた規範に頼れなくなった梨穂子ですが、すると、通用しなくなってしまった規範に反目するものが無意識内に形成されます。この反目のために本来、無意識から意識へ流れる筈の精神エネルギーの逆流が生じ、梨穂子は「怠惰」の状態に陥った。
醤油:本人の生来的な性質もあると思われますが、それにしても些か頓馬ですからね。
ミシ:そして、この退行現象に耐え、その頂点に達すると、再びエネルギーの流れの反転が生じ、無意識内で培われた創造的な内容を意識内へともたらします。上の画像。母に抱かれた赤ん坊のようにまるまった梨穂子が、無理矢理目覚めさせられる構図は、自己実現への十全な準備状態が整って、純一との間にあらたな関係性が築かれることを暗示するのです。
QP:おさな馴染みの先へ進むために、梨穂子は一旦「死」を体験しなくてはならなかったんですね。
醤油:そうした観点をふまえた上で観て行きましょう。
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(寝ぐせを直そうとする梨穂子。香苗「それにしても最近遅刻多すぎだよ~?」)
ミシ:やはり、この寝ぐせは「これから変革がはじまるぞ」と言う霊感を表してるんでしょうね。
QP:遅刻の多さや忘れものは、精神エネルギーの逆流を如実に示してますね。
醤油:どうしよう! どうしよう~!
ミシ:可愛ええな?
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(忘れものをとりに帰ったために遅刻しそうになる梨穂子。ショートカットを試みるが、金網にひっかかって前にもうしろにも進めなくなってしまう。そこに偶然、純一が現れる)
ミシ:あああああああああああああ、可愛すぎる~!
(純一「落ちつこう、梨穂子」)
醤・QP:だってさ、ミシェル。
(おちょくりながらも、なんだかんだで、おさな馴染みの窮地をすくう純一であった。純一「身体のちからをぬき、うつ伏せになれ」)
ミシ:身体のちからをぬき、マントラを聴くのだ。全てを委ねよ。
QP:一体どうしたん? この人。
醤油:I have no idea. ところで純一君、パンツ見えそうだったのに全然意識してませんでしたね。
QP:これが森島先輩とかでしたら、穴に嵌まったのを見た瞬間大興奮でしょうね。
ミシ:身体的な性差はそれなりに意識してますよ。ただし身内補正で、動悸を感じる閾値が通常よりも高く設定されてしまってるんです。
(なんとか救出され、ほっとむねを撫で下ろす梨穂子。梨穂子「ふにゃぁ~」)
醤油:ふにゃぁ~。
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(梨穂子「はっ、たすかった! バンザーイ!」)
ミシ:バンザーイ!
醤油:バンザーイ!
QP:バ、バンザーイ!
ミシ:最高ですね?
醤油:ええ、全くです。
QP:皆の知能レベルが退化してる。
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(体育の授業。高跳びに挑戦する梨穂子。しかし失敗してしまう)
ミシ:まだ跳べません。
QP:余計なウェイトありますからね。
醤油:そう言う話じゃねぇんだよ。
ミシ:醤油君。この人、敵です。
QP:すみませんでした。二度と口にしません。
ミシ:許しましょう。
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(昼。菓子パンを次々と胃袋に収める梨穂子。見兼ねた香苗がエアーダイエットを提案するものの、当の梨穂子は「あしたからやる」と言う)
QP:この子、美味しそうにごはんを食べますね。高評価ですよ。
醤油:「あしたから」と言って、目を逸らすから、他のヒロインにも一人遅れをとるんですよ。
ミシ:来たるべきときのためにカロリーを蓄えておく重要性を、本能で感じてます。なまじ共に過ごした時間が長くなると関係性は硬直し、変革に莫大なエネルギーと時間を要するようになる。それを賄おうとしてるんです。
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(ダイエット復活の理由を純一だと指摘され、焦る梨穂子。逡巡ののち「よし、きょうからがんばる!」と決意をあらたにする)
ミシ:チャンスは来たれり。躍進の時間です。
醤油:狼煙をあげろぉ!
QP:2年A組に乗り込むぞぉ!
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(純一に、あさのお礼だと言って手作りのマフィンを贈る梨穂子。梨穂子「わたし、ダイエットすることにしたから!」)
ミシ:何度目かのダイエット宣言。
醤油:しかし、このたびのダイエットは一味違った展開を見せます。
QP:滾るなぁ。
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(親友の恋路を温かく見守るウメハラと香苗。その甲斐あって、日曜日に4人でスケート場で遊ぶ運びとなる)
QP:2人の優しさが身にしみます。
醤油:イイ画なんですけど、この2人はくっつきません。
ミシ:お似合なのに残念ですね。
(Bパート。カロリーを鑑みて泣く泣く、パンダココアではなくウーロン茶を購入する梨穂子)
QP:エライぞぉ。がんばれ。
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(しかし、茶道部部室に出向くと、先輩達の甘言に惑わされ、堪えきれずシュークリームを食べてしまう)
QP:ダイエット中だって言ってるでしょう? どうして、そう甘やかすんですが。
ミシ:過度な節食で健康を損なってしまうことを恐れてるんですよ。家族愛です。
醤油:百忍通意。重要な言葉ですよ。耐え忍んだら意は通じるんです。
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(古代ヘブライ語で「シューク」は「愛」・「リーム」は「オマジナイ」を意味し、元来は好きな人にプロポーズをするときに渡したお菓子であると、でまかせを吹き込む先輩。騙されてしまう素直な梨穂子)
ミシ:純真な梨穂子を弄びやがってよぉ。
醤油:部員不足はこの2人の人間性に問題があるからではありませんか?
ミシ:このままでは廃部ずら。
QP:そっちは廃校でしょ。
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(非常階段。ダイエット宣言をした手前、誰にも見つからぬよう隠れてシュークリームを頬ばる梨穂子を、純一は目撃してしまう)
醤油:この不合理さが堪りませんね?
ミシ:ええ、全くです。
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(一緒に下校する梨穂子と純一。途中立ち寄った公園で、ようちえんの頃の記憶に浸る梨穂子。しかし、梨穂子と純一の記憶は食違う)
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(純一「るんるんるんるんるるるりら。お姫さまになれ。キレイなお姫さまになれ~」美也「お姫さま、お姫さま、にししし!」)
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(純一「まんままんまんままんがまん。美味しそうなまんま肉まんになれ~」美也「まんま肉まん、まんま肉まん、にししし!」)
醤油:「オモイデ」ですね。
ミシ:グリム童話を連想させますよね。
QP:祈祷する純一。ぴょんぴょん踊る美也。この兄妹、狂ってません?
ミシ:おそらく純一のほうが正確な記憶でしょうけど、なんでもイイんでしょうね。
醤油:同じ日常を過ごした事実と、その過去を2人で懐かしむこと。それが、梨穂子の幸せでしょうからね。
(昔のようにすべり台を滑ろうとして、臀部が嵌まってしまう梨穂子)
QP:また嵌まってます。
ミシ:井伏鱒二の『山椒魚』のようですね。
醤油:は?
ミシ:大きく育ってしまったんですよ。身体も。純一への恋情も。
醤油:あ、ハイ。
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(お風呂上り、ストレッチを試みるが、身体が固すぎて満足に出来なかった)
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(翌日、純一は遅刻するであろう梨穂子を想って、あらかじめ鉄柵の穴をひろげておく。ひっかからず通過することができ、「ストレッチのお蔭だ」と喜ぶ梨穂子)
ミシ:これまでのダイエットが実を結ばなかった素因。それは、梨穂子の創造的退行が整っておらず、まだ時期尚早だったのもありますが、王子=純一の介在・協力と言う最後の要素を欠くものだったからなんですね。
醤油:純一からの受入れサインが出たんですね。三日坊主にならず、しっかり継続性を誓う姿勢もエライです。
QP:ええ娘や。
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(ED)
醤油:ええ歌や。好きです。
QP:恋はあせらず。
ミシ:「果報は寝て待て」と言うしね。
醤油:しかし、宇宙空間でたゆたう梨穂子の画、肉感的すぎやしません?
ミ・QP:同意します。

【12/24】E-Hentai.orgに同人誌を勝手に英訳して転載する人間は何を考えているのか

ハッピー・ホリデイズ! ひでシスです。

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今年のテーマは煩悩なので、エロ同人誌の話をしましょう。

皆さんはE-hentai.orgってご存知ですか? 同人誌や漫画を違法にコピー・翻訳し共有しているフォーラムサイトです。ぼくは女の子が飴やクッキーに変身して食べられるという同人誌を書いたりしているのですが、今回このサイトに同人誌のうちの一つが違法にアップロードされているというタレコミを頂いたのでメールを送って対処してみました。

やり取りの経緯

1. E-hentaiに転載されたことを知る


以上のようにある心ある方からタレコミをいただきました。Twitterで活動しているとこういうタレコミは案外普通にもらえるものです。http://g.e-hentai.org/g/990436/6768d8bc29/を確認するとたしかに自分の同人誌でした。
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1.1 メッセージを送るためにE-hentaiでアカウントを取得する

E-hentai.orgのページヘッダの「Forms」から「Register」と辿り、アカウントを取得します。必要とされる情報はメールアドレスのみです。

2. アップロード者に対してプライベート・メッセージを送信する

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ギャラリーページに表示されたアップロード・アカウント名の隣のメールボックス・アイコンをクリックすると、プライベート・メッセージを送信する画面が出てきます。

「俺はマルクス主義者だ。もっと漫画を転載してくれ」とメッセージを送ります。
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要点をまとめると、

  1. ぼくの同人誌を翻訳してくれてありがとう
  2. いくつか質問をさせてください
    1. 訳するのにどれぐらい時間がかかりましたか
    2. あなたの目的と信条は何ですか
    3. あなたの言語環境を教えてください
    4. どこからオリジナルの同人誌をダウンロードしましたか
    5. 最新の原稿を送ります

あたりです。

3. メッセージが返ってくる

1週間かからずにメッセージが返ってきました。返ってこないことも予想していたので、ちゃんと返事をしてくれて嬉しいです。
メッセージを直接載せるのはどうかと思いましたので、翻訳したものを掲載します。

こんにちは!

うわー、あなたがその翻訳を全く見つけるとは本当に思ってもみませんでした! 私はあなたの芸術とアイデアの大きなファンだと言いたいです。サイズフェチと状態変化は私のお気に入りのコンテンツの一部です。


でも、悪いニュースがあります。私はそれを翻訳した人ではありませんでした。

書かれていることを知ることは本当に面白いと思ったので、私は自分のために英語へ翻訳するために別の人にお金を払いました。大変申し訳ありませんが、私は日本語がわかりません。私はアメリカに住み、英語を話します(いくつかのドイツ語の知識があります)。

私がやっていることは、GIMPPhotoshopなどのプログラムを使って、日本語のテキストから英語のテキストへ編集することです。私が支払った人々は私に台詞を与え、私はそれをテキストを置き、他の人々が楽しむためにそれらをアップロードした。


私は著作権法をあまり重視していません。なぜなら、それは世界中の多くの企業、企業、個人によって頻繁に悪用されているからです。

しかし、私は、例えば何かが違法にアップロードされた場合にお金を失う苦しいアーティストの窮状を理解することができます。私は新しいリリースのものをアップロードするためにしばらく待っていますが、実際にはアーティストの販売に害を及ぼしています。

しかしまた、私は物事をオンラインでアップロードすることはアーカイブ作業にとって重要だと考えています。私はE-hentaiは同人誌をアーカイブするのに良い場所だと思います。ある日DLsiteやbooth.pmが休止したり終了したりすると、その作品はインターネット上のどこでも利用できなくなり、基本的にダウンロードしていない人には手に入らなくなります!


とにかく、私はそれを翻訳した人ではないことを申し訳なく思います。私はあなたの新作が好きです!もし私がそれを手に入れることができれば、それを翻訳と一緒にアップロードします。ありがとうございました!!!

同人誌と違法アップロード

まず、違法コピーと違法翻訳は基本的にNGであることは明記しておきます。以下は、ぼくが著作権を持つ作品群に対して、マルクス主義者のぼくが持っている意見として聞いてください。

う~ん。たしかに、ぼくが日本語でしか漫画を出していなかったのはよくなかったかも知れません。作品を正規の方法で入手して、翻訳者にコミッションを払って、文字入れを自分でやってから転載する人も世の中にはいるんですね。これ以降、ぼくはできるだけ英語でも作品を書くことにしています。
「違法アップロードはアーカイブのため」というのも一面ではもっともらしい意見です。電子データはコピーされ続けることでしか世に残らないのですから。

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この作品が、『違法コピー』という手段以外で世に残り続けることができるだろうか

他人にお金を払って翻訳を依頼するほどの作品を読みたい人間と、その作品の権利者を上手くくっつけて、きちんとマネタイズすることができればそれが一番だと思います。

P.S.

ギャラリーページにアップロード者からの「できれば買ってあげてね」コメントが付いていました。
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I don't think eating people will make you popular. In fact I'm almost certain It would do the complete opposite.

ワロス

【12/23】悩みについて悩まずに書く

ホリィ・センです。漫トロ7年目です。今年のアドカは煩悩がテーマだと聞きました。この際「煩」はどうでもいいです。いつも性について考えてばっかりの人間なので、「悩(み)」の方にフォーカス当てます。

しかし、悩みについて書くことをイチイチ悩みたくないです。僕は院生なんですけど、修士論文提出が来月13日ということであんま時間ないんで、ちゃっちゃと終えます。ということでこの文章は自動筆記のような書き方をしています。「自動筆記」のちゃんとしたやり方を僕は知らないけども、とりあえず何も考えずに言葉が浮かんでくるまま書く、ということをやります。アドリブとも言うのかもしれない。

鴻上尚史の『孤独と不安のレッスン』という本を読んでいたら、「悩む」ということと「考える」ということは違うのだ、ということが書いてありました。うんうん悩むことによって費やされた時間はただただ無駄で、おそらくネガティブにもなるのでしょう。それに対して「考える」は建設的です。考えることに時間を費やせば費やすほど、物事は進展していきます。なるほど、そのような分類はできるかもしれない。

孤独と不安のレッスン (だいわ文庫)

孤独と不安のレッスン (だいわ文庫)

ところで僕は昔からよく何かを考えている人間だと思います。一人で自問自答を繰り返します。兄が独り言癖のある人だったのもありますが、どうも自閉的な何かがあるんだと思います。独り言を繰り返して一人で納得を重ねていきます。
そう、「悩む」とは終わらない独り言を繰り返すことなのかもしれません。確かにそれは「考える」なのだろうけど、自己の中で閉じて完結したシステムの中で導き出される答えは、建設は建設でも象牙の塔でしょう。僕の人生においては「悩む=考える」という等式は結局のところ成り立っているのかもしれません。

終わらない独り言、そこで思い出すのは「セカイ系」です。ユーカリさんが君の名は。の話をしていて、「セカイ系」にぶち当たっていたのでついついいろいろと思い出してしまいました。セカイ系にもいろんな定義がありますが、それこそ『セカイ系とは何か』(前島)の中にある一つの定義を出すならば、「エヴァっぽい」ということです。具体的にはエヴァンゲリオンのシンジくん的な自分語り、すなわち「独り言」でセカイが成り立っているという状況です。

この要素を突き詰めると、その後のサブカルチャー作品にも一つの線が見出せます。ひたすらに主人公の目線でセカイを語り続けるエロゲー。「ヤレヤレ系主人公」が独白し続けるライトノベル。これらは悩み=独り言の系譜だったのだと。

僕はそんな作品が昔から好きでした。他愛のない作品にも主人公の独白を見出しました。今や『マギ』でビッグマネーを掴んだ作家、大高忍先生の過去作品に『すもももももも』というのがあるんですけども、これも僕に言わせれば「無力な主人公がそれでも葛藤してあがく作品」なんですよね。なお、『マギ』においてはこの要素はアリババくんに受け継がれているような気がします。バトル漫画の系譜を読み解けば、ポップ(『ダイの大冒険』に出てくるキャラクター。最初はヘタレだけど、後に成長し頼もしいキャラクターになる。「ヤムチャ」の対義語)的なものだとは思います。


まあ、「案ずるより産むが安し」って言葉があるぐらいで、悩んでるのがバカらしいところはあります。自閉的な人間は自己完結している分、むしろ行動的だったりします。そこには他者はいない。セカイ系も「きみとぼく」で閉じられた想像力の欠如したものとされていますけど、それは「自閉」だって同じでしょう。セカイ系を好む人間の大きな層としては自閉的な人間がいるのだと思います。

君の名は。』についても僕は結局あくまで新海誠の作品として観ています。『秒速5センチメートル』の第二話「コスモナウト」でメールを送ることができた主人公、それがタキくんなのだと。悩むことをやめて動き出したんだろう。飛騨に会いに行く行動力がタキくんにはあった。自閉していた人間(新海)が悩み抜いた結果、動き出したんでしょう。

何も方向性を見出さないまま悩みについて思うこと書きましたけど、独り言と言えば、オススメの漫画は『吾輩の部屋である』ですね。大学院生が自分の部屋にこもって独り言を言いながら(あるいは「喋る家具」にツッコまれながら)くだらないことに悩み続ける作品です。自己完結した世界も意外とポップで笑えるんだなという希望に溢れています。
時期が悪かったのか、宣伝が足りなかったのか、ジャンル的に受け入れられないのか、漫トロではあんま流行らなかったなあ。

吾輩の部屋である 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

吾輩の部屋である 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

駄文失礼しました。

ホリィ・セン

【12/23】七咲逢編④(終)

七咲逢編 第4章「コクハク」

ミシ:This is a story about control. My control. Control of what I say. Control of what I do. And this time I’m gonna do it my way.
QP:急にどうしたんですか。
ミシ:イヤ、自分が17のときは何も出来なかったなと。
醤油:好きだからって、『glee』ネタぶっこむの止しましょうよ。
ミシ:「control」は「成熟」を扱う七咲編にピッタリだと思って、言っちゃった。てへ。
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(創設祭。純一は七咲との約束通り、女子水泳部のおでん屋台を手伝う)
QP:女子水泳部の屋台なのに男子が店番をしてたら憤怒しますけどね、僕は。
ミ・醤:たしかに。
QP:そんなこんなで最後のOPです。
(OP)
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茶道部の2人がサクラとして屋台にやって来て一芝居を打つ)
醤油:梨穂子パートへの繋ぎですね。一応、七咲の成熟を描く意図もありそうですが。
ミシ:この程度、はじめから出来てたように思うのですが。
(甘酒で酔っぱらった高橋先生と、監査役綾辻さんがやって来る。見つめ合う二人)
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QP:次々とキャラが集まってきますね。
ミシ:休憩時間です。尺が余ってるんですね。
醤油:七咲、おでんを贈賄して、純一との交際を綾辻さんに認めさせようとしてますね。
QP:マウントを獲ってやったぞと言った表情をしてますね。
醤油:実際に簒奪したのは、綾辻さんの婿となるべき人間ですね。
ミシ:ここの綾辻さんは、七咲の前向きな変化を誇張させるための単なる装置です。許さん。
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ガンダムが暴走する)
醤油:尺が余ってるためガンダムですら動き出します。
ミシ:怒れる巨神兵ですね。
QP:これ、やっぱり夢ですよ。マッチ売りの少女が火の中に幻視する悪夢です。
醤油:饗宴ならぬ狂宴です。
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(順調に屋台を経営する2人。おでんを溢してしまった子供を見た七咲は、無償で代わりを提供する。おでんは無事完売した)
ミシ:露骨やけど、在りし日の七咲逢と郁夫、ですかね。
QP:母性の安売り。バーゲンセールですね。
ミシ:ばぶぅ。
醤油:前話のノリで、隙あらば挿入歌が流れ出します。
ミシ:2番を使うの卑怯ですよ、卑怯。
醤油:Can’t you make up your mind~♪
QP:覚悟は出来ましたか?
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(Bパート。最終のバスでどこぞの山奥に連れて行かれる純一)
ミシ:これ、帰りのバスどうするんですか? 片道きっぷ?
醤油:今日は帰しませんよ、先輩。
ミ・QP:ああ゛~?
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(山を登る2人。純一を待つのは、天然の温泉だった)
QP:老婆心ながら忠告しますと、夜に登山は危険ですよ。
醤油:満月に照らされてますから、視野は良好です。私有地ですから、慣れたものです。
ミシ:月も蒼ざめてますよ。
QP:もう何なん? 怒るで?
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(混浴する2人。七咲「見てもイイですよ。下、水着着てますから」)
醤油:嘘です。着てません。
QP:肩紐が見当たりませんし、この時点で判ると思うのですが。
ミシ:2人とも動揺してますから、無理もありません。
QP:そもそもなんで温泉入ってるんですか、この2人?
醤油:不器用な七咲なりのOKサインです。対人スキルが壊滅的なため、まず環境をしつらえる。終バスでここに来ることで、純一と自身の退路を断ってるんです。ここまでして、ようやく「好き」と伝えることが出来るんです。
ミシ:まるで女郎蜘蛛のようですね。慄きます。
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(七咲「わたし、先輩が好きです。好きなんです」)
ミシ:どこにもおらぬ神に祈ってるで、この娘。不憫やわ。
醤油:身体から溢れてしまう隠しきれぬ恋情は、火ですね。その身を焦がすのです。
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(純一「僕も七咲が好きだ。どうしようもなく」)
QP:お前、トラウマはどうしたんや。
ミシ:性にほだされてません?
醤油:高校生の恋愛なんて、そんなもんでしょう?
ミ・QP:うへぇ。
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(感極まって純一に抱きつく七咲。はだけたバスタオルの下は、生まれたままの姿だった。動揺する純一。七咲「恥ずかしかったので、嘘をつきました。でも、先輩に告白したことを考えたら、些細なことでした。なにも問題ありません。イイんです。わたし、先輩のことが大好きですから」)
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ミ・QP:うわあああああああああああああああああああああああああああああ!?
QP:問題しかありませんよ。
ミシ:アダムとイヴです。
QP:衣類をまとえ! 衣類を!
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(密事を鹿に目撃される)
醤油:愛の営みを鹿に目撃されます。SS+で話題に上るのですが、このあと鹿が異常繁殖して、この山、立入禁止になるんですよね。
ミシ:鹿も、本能に火、点けられちゃったんですね?
QP:最悪だぁ。
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(エピローグ。晴れて恋人関係となった2人は、淫蕩の限りを尽くすのであった)
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(fin)
QP:実際のところ、七咲は自らを天に結びつけることはできたんですか?
ミシ:理想の恋人が出来て、もうウハウハですよ。天にも昇る心地でしょう。
QP:なんかもう、やりきれませんわ。
醤油:もはや好みの問題でしょう。僕は、七咲の「地上の火」にひき摺られ、弱体化してしまった純一が好きではありませんが。
ミシ:ファンに怒られますよ。
QP:七咲が「火」の女であることは、頑なに譲らんのですね。
ミシ:ともあれ、次は桜井梨穂子編です。
醤油:ようやく平和なレビューができそうだ。

【12/24】桜井梨穂子編につづく。

【12/23】七咲逢編③

七咲逢編 第3章「ヘンシン」

ミシ:満身創痍でやって来た第3話です。
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(街頭。奇怪なピエロに遊園地の無料優待券を貰う純一)
QP:この恰好、どこかで見た覚えがあります。
醤油:ブラックマジシャンですね。
ミシ:ああ、道理で既視感があると思った。
(OP)
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(遊園地の前で待ち合わせをする純一と七咲。本来は郁夫も来る予定であったが、風邪をひき留守番だと言う)
醤油:おそらく嘘でしょうね。郁夫に話すら通さなかった可能性も考慮できますよ。
ミシ:そのセンが濃厚ですね。どうしても、2人きりになりたかったんでしょう。
醤油:1月から始まるアニメ「セイレン」には、高校生になった郁夫が出てくる予定ですから、かれの口から真相が明かされるやもしれませんよ。
ミシ:あの日、姉ちゃんは病床に臥せった僕よりも、どこぞの馬の骨と遊園地で遊ぶことを優先した。
QP:42度の高熱にうなされ、僕は自室で一人、生死の境を彷徨った。これまで、姉が僕を軽んじたりすることなんて一度たりとも無かったのに……。
ミシ:全部、全部、あの男が現れたからだ!
醤油:茶番やめーや。
(七咲「あの、先輩? 今日のわたしの服に何かコメントとかナイんですか?」)
ミシ:正直、似合ってます。
醤油:精一杯背伸びをして、おめかしして来たんでしょうね。
(純一「あの、ごめん。よく似合ってるよ」)
(七咲「遅すぎます」)
QP:は?
醤油:ハイ、そこ落ちつきましょう。単なる照れ隠しですからね?
ミシ:寛容の精神が試されてます。忍耐ですよ、QP先生。
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(ジェットコースター、コーヒーカップ、ガンシューティング。遊園地を満喫する2人)
ミシ:コーヒーカップって、同じところぐるぐる回るんですよ。
QP:前に進めず、足踏みしてる状態なんですね。
醤油:ちょっと無節操に含みをもたせすぎですよ。
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(2人は遂に問題の迷宮。「ファラオ謎の入口」に立ち寄る)
ミシ:原作ゲームですと、各ヒロインルートで、薫が男性になったり、綾辻さんが小学生になったりと、不思議な出来事が起こる特異点のような場所ですが、アニメだと尺の都合からか全て七咲編で回収してしまうんですよね。些か突飛な印象を感じてしまうのは、そのためでしょう。
醤油:仕組みは全く不明ですが、おそらく、各人の抱える問題、潜在意識や変身欲求が反映される設定のアトラクションなんでしょう。したがって、父性を渇望する薫は男に、子どもの頃の夢を大事に想う綾辻さんは小学生となった。
ミシ:ここ、綾辻さんが懐に犬を抱えてるんですが、有り得たかもしれぬパラレルな可能性、幻影のため直後に掻き消えます。
醤油:あくまでもこの世界に犬は登場せず、神も不在であります。
ミシ:ちなみにゲームですと、森島先輩はポメラニアン、中多さんは辞書(知識の泉ですね)、梨穂子はド根性ガエルTシャツになります。では七咲は一体なにへと姿を変えるのか。
QP:う~ん、黒猫とかでしょうか?
醤油:味噌ラーメンです。
QP:え?
醤油:味噌ラーメンです。
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(迷宮の最深部に鎮座するファラオの憤怒を買ってしまった2人は、呪われてしまう。ファラオ「戯言なぞ要らん。覚悟を決めろ」)
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(そして七咲は、味噌ラーメンに姿を変えられてしまった)
QP:嘘でしょう? クレイジーすぎる。
ミシ:これは罰なんでしょうね。
醤油:ここでキーワードとなるのは、ファラオの口にした「覚悟」と云う単語なんですね。純一は、七咲の隣に並んでおきながら、トラウマの影響もあるんでしょうが、未だどうにも腹を決め兼ねており、七咲の抱く好意に釣り合わぬ中途半端な、不誠実な状態にあった。それをファラオは咎める。
ミシ:ちょうど、悩むと云う行為に関して苛烈な、七咲の性格を代弁するようですね。昼食のメニューを悩むのも駄目、他の女性に目移りするのも駄目。
醤油:1話の食堂のシーン、覚えてますか? 純一は悩んだ結果、シーフードカレーでもとんかつ定食でもなく、ラーメンで妥協した。このラーメンこそ七咲です。純一は七咲を選んだのではなく、ただなんと無しに第3のメニューを選ばされた。そこに純一本人の主体性は皆無であり、七咲と接する姿勢にも同じことが言えます。七咲の本質に向き合わんとする「覚悟」が元より欠落してるんです。
ミシ:味噌ラーメンへの変身は、純一に己が罪を自覚させる、ファラオによる痛烈な風刺なんですね。
QP:とすると、このファラオ、結構な世話焼きですよね。七咲を好きになれるようオプションのバターまで渡して、純一の背中を押すんですから。
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(純一は味噌バターの香りの誘惑にあらがえず、丼に口をつけようとする)
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(すると、タイミングを計ったかのように集団催眠が解かれる)
QP:七咲を食べようとしたと言うことは、純一が選ぶ「覚悟」を見せたと言う解釈でイイんですよね?
ミシ:なんだか合点が行きませんが、おそらくそう云うことなんでしょう。
醤油:もしかすると七咲は、本来純一に選ばれる可能性の無かった存在であったのかもしれません。
ミシ:しかし、神なる中枢管理機構がその調整機能を停止し、世界にバグが起きた。ファラオは破壊された統治システムの名残でしょう。
QP:或は、既に全員死んでおり、神無き死後の世界と言う可能性も。
ミシ:七咲ルートが正史で、他のルートが夢なんじゃなかろうか。
QP:なんだか壮大な話になってきましたね。
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(デートの〆。2人は、はじまりの公園へ。「一緒にブランコに乗ろう」と提案する七咲)
醤油:駅弁してますよ。
ミシ:下品ですよ。純一の視界を自分の姿で埋め尽くそうとしてるんですね。
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(七咲側からのキス)
ミシ:と思ったら、ちゅーしてしまった。
QP:唐突すぎて感情の昂ぶりが感じられませんね。
醤油:不器用ですから恋の駈ひき、ドラマチックな大人のキスが演出できなかったんですよ。
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(Bパート。放課後。中庭で七咲と待ち合わせする純一であったが、なかなか姿を現さず、心配する。プールサイドに様子を見に行くと、七咲と塚原先輩の口論を目撃してしまう)
醤油:ここから、七咲最大のもろさが露出してしまうイベントです。
QP:橘側のイベントが全くありませんね。
醤油:七咲の面倒を見るので手一杯になってしまってるんですよ。
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(プールに飛び込み逃亡を図る七咲であったが、後を追う純一に捕まる)
ミシ:制服のまま咄嗟にプールへ跳び込むなんて、なかなか出来ることではありませんよ。
QP:純一の中に覚悟は、ちゃんとあったんですね。
醤油:それにしても、背景で鳴ってる曲が新海作品のようにエモくて笑ってしまう。
(帰路。スタメン落ちがショックだったと吐露する七咲。しかし、その表情はどこか晴れやかだった)
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(なぜ逃亡したのかと問う純一。涙を見られたくなかったからだと答える七咲。純一「僕は嬉しかったよ。普段と違う七咲が見れて、なんか嬉しかったよ」)
醤油:こうした心理は薫編でも見られましたが、七咲の場合はその理由が判然としませんね。
ミシ:弱みを秘匿したかったなら、プールの一件以前に遡らなくてはなりませんからね。既に純一にはさんざん見せてます。
QP:単にブサイクな泣き顔を見られたく無かったんでしょう。
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(なぜ追ってきてくれたのかと問う七咲。七咲の涙を見たら、無我夢中になったと答える純一。別れ際、七咲「これから時間ありますか?」)
醤油:露骨に誘ってますが、時間も時間ですし、さすがに自重します。
ミシ:かわりにクリスマスの約束をとりつけて、第3話は閉幕です。
(ED)