【12/23】悩みについて悩まずに書く
ホリィ・センです。漫トロ7年目です。今年のアドカは煩悩がテーマだと聞きました。この際「煩」はどうでもいいです。いつも性について考えてばっかりの人間なので、「悩(み)」の方にフォーカス当てます。
しかし、悩みについて書くことをイチイチ悩みたくないです。僕は院生なんですけど、修士論文提出が来月13日ということであんま時間ないんで、ちゃっちゃと終えます。ということでこの文章は自動筆記のような書き方をしています。「自動筆記」のちゃんとしたやり方を僕は知らないけども、とりあえず何も考えずに言葉が浮かんでくるまま書く、ということをやります。アドリブとも言うのかもしれない。
鴻上尚史の『孤独と不安のレッスン』という本を読んでいたら、「悩む」ということと「考える」ということは違うのだ、ということが書いてありました。うんうん悩むことによって費やされた時間はただただ無駄で、おそらくネガティブにもなるのでしょう。それに対して「考える」は建設的です。考えることに時間を費やせば費やすほど、物事は進展していきます。なるほど、そのような分類はできるかもしれない。
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ところで僕は昔からよく何かを考えている人間だと思います。一人で自問自答を繰り返します。兄が独り言癖のある人だったのもありますが、どうも自閉的な何かがあるんだと思います。独り言を繰り返して一人で納得を重ねていきます。
そう、「悩む」とは終わらない独り言を繰り返すことなのかもしれません。確かにそれは「考える」なのだろうけど、自己の中で閉じて完結したシステムの中で導き出される答えは、建設は建設でも象牙の塔でしょう。僕の人生においては「悩む=考える」という等式は結局のところ成り立っているのかもしれません。
終わらない独り言、そこで思い出すのは「セカイ系」です。ユーカリさんが君の名は。の話をしていて、「セカイ系」にぶち当たっていたのでついついいろいろと思い出してしまいました。セカイ系にもいろんな定義がありますが、それこそ『セカイ系とは何か』(前島)の中にある一つの定義を出すならば、「エヴァっぽい」ということです。具体的にはエヴァンゲリオンのシンジくん的な自分語り、すなわち「独り言」でセカイが成り立っているという状況です。
この要素を突き詰めると、その後のサブカルチャー作品にも一つの線が見出せます。ひたすらに主人公の目線でセカイを語り続けるエロゲー。「ヤレヤレ系主人公」が独白し続けるライトノベル。これらは悩み=独り言の系譜だったのだと。
僕はそんな作品が昔から好きでした。他愛のない作品にも主人公の独白を見出しました。今や『マギ』でビッグマネーを掴んだ作家、大高忍先生の過去作品に『すもももももも』というのがあるんですけども、これも僕に言わせれば「無力な主人公がそれでも葛藤してあがく作品」なんですよね。なお、『マギ』においてはこの要素はアリババくんに受け継がれているような気がします。バトル漫画の系譜を読み解けば、ポップ(『ダイの大冒険』に出てくるキャラクター。最初はヘタレだけど、後に成長し頼もしいキャラクターになる。「ヤムチャ」の対義語)的なものだとは思います。
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まあ、「案ずるより産むが安し」って言葉があるぐらいで、悩んでるのがバカらしいところはあります。自閉的な人間は自己完結している分、むしろ行動的だったりします。そこには他者はいない。セカイ系も「きみとぼく」で閉じられた想像力の欠如したものとされていますけど、それは「自閉」だって同じでしょう。セカイ系を好む人間の大きな層としては自閉的な人間がいるのだと思います。
『君の名は。』についても僕は結局あくまで新海誠の作品として観ています。『秒速5センチメートル』の第二話「コスモナウト」でメールを送ることができた主人公、それがタキくんなのだと。悩むことをやめて動き出したんだろう。飛騨に会いに行く行動力がタキくんにはあった。自閉していた人間(新海)が悩み抜いた結果、動き出したんでしょう。
何も方向性を見出さないまま悩みについて思うこと書きましたけど、独り言と言えば、オススメの漫画は『吾輩の部屋である』ですね。大学院生が自分の部屋にこもって独り言を言いながら(あるいは「喋る家具」にツッコまれながら)くだらないことに悩み続ける作品です。自己完結した世界も意外とポップで笑えるんだなという希望に溢れています。
時期が悪かったのか、宣伝が足りなかったのか、ジャンル的に受け入れられないのか、漫トロではあんま流行らなかったなあ。
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駄文失礼しました。
ホリィ・セン