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京大漫トロピーのブログです

【12/7】お姫様の眠りを覚ますのは、王子様の━━

初めまして、一回生の清盛と申します。今、漫トロ一回で最も留年に近いと言われている男です。僕自身は、文系だから何とかなるんじゃないか、と思っていたりしますが......

さて、今年のテーマは「夜」ですね。夜といえば、皆さんちゃんと夜に寝ていますか?僕は意味もなく、昼夜逆転生活を送っているため、朝に寝ております......夜眠る時間すら無い前記事担当者には申し訳ない。
ということで今回は、ちょっと眠り過ぎちゃってる人たちの漫画を紹介したいと思います。

眠れる惑星(1) (サンデーGXコミックス)
 

 

この漫画の主人公は、平凡なショタ男子高校生。何か重大な事件が起きることもなく、平和な日常を送っていました。そんなある日、彼以外の全人類が眠りについてしまうんですね。三日も経っても誰も起きない。その後も全く起きる気配が無い。人類はこのまま永遠の眠りについてしまうのか?

しかし女性だけは、目覚めさせる方法が存在したのです。定番のアレですね。

 

 

 

 


そう、セックスです。
主人公とセックスすることで、女性たちは眠りから覚めることができるのです。

全人類が眠りに落ちて以来、無人(?)の街で三日間過ごしていた主人公は、喫茶店で眠りに落ちていた美人ウェイトレスにムラッと来てしまい、彼女を睡姦します。

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事後、ウェイトレスが目を覚ましたことから、主人公は自分とのセックスが女性を眠りから覚ますと気付き、次々と女性を睡姦してハーレムを形成していく...

という訳ではなく、3人目に睡姦した女の子(メインヒロイン)とは「特別な関係」になり、彼女に対して操を立てるため、女性を睡姦するのはやめようとしたりします。

まあ、結局はハーレムになるんですが。

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その後、サスペンス・バトル要素が申し訳程度に入ったりしますが、結局はハーレムになります(多分)。最終巻持ってないから知らない。

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 花びらが舞う中で行われる「おひめさまえっち」

 

 

僕はこういう繊細な線・淡白な絵柄で描かれる女の子が大好きなんですよね。この絵でハーレムポルノを読むことができて嬉しかったのと、今年のテーマに絡められそうだったので紹介してみました。(ちなみに一般誌です)

最後は、「夜」の時間を潰すのにぴったりなスマホゲーを紹介しておきます。

 

どうぶつタワーバトル

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 それでは皆さん、良い夜を。

 

 

【12/6】明けて欲しくない夜だってあるさ

どうもこんばんわ、そしてはじめまして。京大漫トロピー1回生のばいたるとです。好きな漫画はメシ漫画と音楽漫画とファンタジー漫画、そして女の子が可愛い漫画(重要)です。美味しそうなご飯を美味しそうに食べる姿、音楽を奏でる姿、それらを通じて描かれる登場人物たちのドラマが好きです。加えて、過去回想や「過去の因縁」とかも好きです。
自己紹介はさておき、12/6のアドベントカレンダーを書こうと思います。


ところで早々と1回生の投稿がスタートしたわけですが、現時点では新会長以下、誰が役職に就くのか決まっていません。きっと、根回しをはじめとする政治活動が水面下で「夜な夜な」行われていることでしょう(適当)。深夜に活動する漫トロ民は朝に弱いでしょうし。


それはさておき、今年のアドベントカレンダーのテーマは「夜」。なんとも抽象度が高いテーマですね。元ネタにのっとれば、テーマはクリスマスらしいものであるべきなのでしょうか。
単に「夜」といっても「聖夜」を連想する人もいれば「除夜の鐘」を連想する人もいるでしょう。いっそ来年は正月風テーマにでもしてしまえば吹っ切れるのでは。


しかし自分にはクリスマスも大晦日も正月も関係ない。自分の「夜」「徹夜」の夜です。最近は課題のために少なくとも週1日は徹夜するという荒んだ生活を送っています。実はこの投稿の下書きを書いている時点で実験のレポートは終わっていない。助けてくれ。 このブログを投稿している時点でもレポートは終わっていない。今夜は徹夜だ。しかも夜勤バイトと自動車教習所を同時に始めた。忙しくて禿げそう。
徹夜してまで課題しているというのは、なにも休日に遊んでいるからではありません。アニメも漫画も破棄して勉強しているというのにこの有り様。特に漫画を読めないのが辛い。古漫画およびビニールに包まれた新品漫画を部屋の隅に「積ん読」している。悲しい。


ことろで、「徹夜」といえばコミケの徹夜組(ダメですよ!)。
今年の冬コミも漫トロピーは3日目東ナ03-bにて会誌を販売します!最新号vol.19もあります!ぜひお立ち寄りください!(ダイマ)


さて、このまま徹夜漫画を紹介すると白黒さんとネタが被ってしまう。或いは単に漫画のリソースが存在しない。そんなわけで一捻りしなければ。
徹夜のお供といえば古くからコーヒーです。レッド〇ル?飲んだことないので分かりません。そんなわけでコーヒー漫画を。

この世界では、地軸がずれているために日本でコーヒーを生産することができます。なんという世界観。そこに存在するコーヒー専門の学校施設「私立カルディ学園」に入学した3人の可愛い(重要)女の子がコーヒーを学んでいくという漫画です。今後彼女たちがどのようなことを学び、どのように成長していくのか。彼女たちの過去や世界の歴史などと絡めて気になる所存です。
カフェでバリスタに淹れてもらったコーヒーを飲んでみたくなります。コーヒー好きの方々はぜひとも一読されてはいかがでしょうか。


ついでにもう1作。徹夜していると眠くなりますよね。

まどろみバーメイド 1 (芳文社コミックス)

まどろみバーメイド 1 (芳文社コミックス)

いつも寝ぼけている女性バーテンダー、すなわちバーメイドが悩みを抱える登場人物に屋台で酒を提供し、それを通じて読者に酒を紹介する漫画です。
BAR漫画とは酒漫画とは必ずしも同義にあらず、『酒のほそ道』のような漫画もあれば『BAR レモン・ハート』のような漫画もあります。この漫画は後者寄りの漫画で、ウンチクも多すぎることなく、綺麗な絵でカクテルをはじめとする酒をテンポよく紹介してくれます。酒が飲みたくなる(未成年)。
主人公以外にも麗しい(重要)オトナの女性の同僚が2人いて、3人の掛け合いや今後のストーリー、酒の紹介が楽しみです。
なお、この漫画は2017年全体ランキングにおいて26位にランクインしています。上回生に説教されてしまいました(猛省)。詳しくは会誌vol.19でステマ)。


ダメ押しのもう1作。夜って夢を見ますよね。最近見る暇ないけど。

来年のランキングに入りうる漫画です(漫トロ民へのステマ)。
幼少期に両親を惨殺され、双子の兄を誘拐された主人公・千里が、幼馴染や祖父母の心配を振り払って復讐を果たさんとしていく物語です。千里だけでなく幼馴染も過去にとらわれている節があり、彼らがいかにして過去と決別を果たすのかがこの漫画のテーマだと思います。
線が太く、感情や臨場感が伝わってくるのが凄く好きです。特に怒りの表現が上手い。
また、千里は双子の兄と感覚を共有してしまう体質であり、それが今後どのように生かされていくのか、続刊が期待されます。


レビュー下手糞やなあ……という気持ちでいっぱいです。数撃ちゃ当たる、って訳じゃないですけど。こんなので新入生を歓迎できるのか。
漫力とレビュー力、どうやってつければいいんですかね。とりあえず良い漫画をたくさん読んで、たくさんレビュー聞いて、たくさんレビューしていこうと思います。
じゃあ「良い漫画」って何でしょうね。自分は「没頭してしまう漫画」だと考えています。次の展開にハラハラドキドキし、登場人物の生死に一喜一憂し、スタンディングオベーションのシーンで思わず拍手をしたくなってしまう。そんな漫画に出会いたい。だから時間をくれ。徹夜なんかさせないでくれ。


稚拙で冗長な文章で自分語りして終わった感が否めませんが……これでいいのか?まあアドベントカレンダーは自分語りの場だってよく言われますしね。

それにしても本当に、誰が新会長になるんでしょうね。次の例会が気になって夜も眠れません。眠る暇もないけど。

【12/5】月光条例における絵本のストーリー改変意図

こんばんは、5回目の担当のきゃべるです。
12/4の記事が妙なことになっている気もしますが気にせず行きましょう。


今年のアドベントカレンダーのテーマは「夜」。夜といえば寝物語。特に幼い頃は電子機器も持っていないのでやることといえば絵本を読む程度でした。

とまあ、そんな絵本と物語論を主題にした漫画こそ、今回紹介したい漫画『月光条例』です。

月光条例』、主人公の名は岩崎『月光』……そう、月です。タイトルに月が入っているどころか、主人公の名も月光、ラストバトルは大満月の夜、物語論を語り出す主人公、こんなにアドベントカレンダーにふさわしい漫画があるだろうか。

物語の舞台は夜。
青い月の出る日、「こんな辛い展開ふざけんなよ!?」と逆ギレヴィラン化した絵本の世界の住人たち。浦島太郎は親切にしたのにひどい目にあう最期を嘆き、シンデレラは周りから勝手に与えられる救済劇を嫌がりハイスピードカーチェイスアクションに目覚め、白雪姫は自主的に継母に反撃し毒林檎爆弾を装備して天下を目指し爆走する。(無茶苦茶か?)

主人公の岩崎月光は、彼らを力づくで倒すだけでなく、説得を試みます。そのSEKKYOUの結果、物語キャラが絵本に帰った後、微妙にストーリーが変わっている……というのが物語の定番のオチです。

この最後の物語改変というのが月光条例を賛否両論の作品にしている一因でもあります。正直現代価値観に寄りすぎた改変に寒いと感じることも数度ありました。
時に批判が多いのが『フランダースの犬』編。

「本来ならば落し物の大金入り財布を持ち主に届け無一文のまま生き絶えたネロとパトラッシュ。けれど改変後の彼らは全ては生きてこそだと、黙って金を借りてしまういます。そのまま生き延びて、画家として成功し、かつての自分のような人々の為に無料で絵を一般公開するようになったネロは、大往生して天に召される……」というオチ。
話としては面白い、けれど批判が多いのも納得のいく筋書きです。

「ネロとパトラッシュが誠意よりも生きることを選び、ラストシーンで死なないフランダースの犬フランダースの犬と言えるのか?」
この一点に尽きると思います。

死は重要な要素です。特にネロパトのラストシーンはあまりにも有名なために反対も多いのだと思います(他のグリム童話などの改変には批判は少ない)。

……しかし、私はこれについては「アリ」だと考えています。
それは、月光条例は「物語」単体ではなく「物語」と「読み手」の話であるからです。

フランダースの犬」単体のみではなく「現代を生きる子どもたちのためのフランダースの犬」を語ろう、というのが『月光条例』なのです。
物語を語る上で対象の読み手を意識することは必須です。そういう意味では、月光条例版のフランダースの犬は大いにアリです。
事実作中終盤でも媒体と読み手の変化に伴う物語の変化を肯定しています。

12巻〜19巻で判明する主人公岩崎月光の長い長い過去編により一層補強されるフランダースの犬編ですが、逆にいうとそこまで読まないと主人公が何を考えてるのかわからないのも批判を生みやすい原因かなあとは思いますが…

「可哀想な物語を救いたいと思うことは許されないのか」
「ハッピーエンドを求めるとはどういうことなのか」

この2点の扱いにおいて月光条例は素晴らしい作品だと確信しています。
全27巻、ジュビロ作品なので有名だとも思いますが、未読の方には是非。物語論でわいきゃいしたい人にはオススメです。



ところで就寝前の読み聞かせ本のレパートリーが現在の性癖の源流だという噂は本当なのだろうか。私はとっとこハム太郎図鑑でした。皆さんはどうでしたか?

【12/4】よく睡れるよお

 Hej från Sverige! 醤油です。スウェーデンに留学中です。 
 12月4日分、行きます(代打)。時差があるのでまだセーフ。
 今年のアドベントカレンダーのテーマは「夜」スウェーデンの夜は長いです。15時には日没を迎え、8時半にやっと日が昇ります。欝になる~。
 夜といえば寝る時間。睡眠ならぬ催眠にまつわる傑作エロ漫画をひとつ紹介します。これで長い夜も退屈しないね。

 PLATONiCA『天才男の娘と家庭教師おじさんと催眠術(仮)』
www.dlsite.com

 クッソ生意気で色っぽい天才少年の難多阿礼(なんだ・あれい)くんを、冴えないハゲデブ家庭教師おじさんが催眠術で手籠めにする、といった内容です。


 エロ漫画のシコリティを高める要素には、「攪乱」というものが挙げられます。つまり、ぐちゃぐちゃにしちゃうわけです。陰茎が膣を掻き回すといった物理的な行為だけではありません。快楽がもたらす融け合うような一体感、意識の混濁といった精神的な状態も「攪乱」と呼べるでしょう。「最高のセックス」は、自他の境界が、物理・精神の両面で消えてしまうような、快楽の洪水をもたらしてくれる。そういう期待を、我々は少なからず持っています。具体的なイメージを挙げるなら、「エヴァ」の「人類補完計画」とかでしょうか。その快楽は、もはや死と等しい。
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阿礼くんが谷川俊太郎の「なんでもおまんこ」を暗唱するシーン。この詩は「おれ死にてえのかなあ」という一文で締められる。


 さて、本作には随所に「攪乱」が見られます。それだけシコリティが高い訳です。
 まず「男の娘」という存在そのものが挙げられます。男女という境界を崩してしまう男の娘。しかし、近年はいくらかメジャーになりつつあり、些か陳腐に思えます。また、LGBTが我々の常識の範疇に包含される現代では、攪乱が不十分です。これをいかに補強するのか。

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 自覚的に「ホモ」になることです。阿礼くんはおじさんに対して、侮蔑の意を込めて「ホモ」呼ばわりをします。差別的な単語を積極的に多用することで、性的少数者を悪とする、前時代的な価値観を蘇らせます。読者は、「ホモ」すなわち異常・悪である状態に身を投じ、背徳を確かにするのです。加えて、阿礼くんは自ら女装に身を包みません。好んで女装をする男性は、トランスジェンダーとして扱うことが出来ますが、彼はあくまでシス・ヘテロであり、むりやり女装セックスをさせられます。つまり、ただの色っぽい少年を犯しているのです。かくしてゲイやトランスジェンダーへの政治的な配慮は排除され、その分だけ背徳が強調されるのです。美徳などの価値観をぐちゃぐちゃにすることは、攪乱の基本といえるでしょう。


 「催眠」は本作のテーマであり、もっとも攪乱に貢献しています。話の流れでは、まず阿礼くんがおじさんを追い出そうと催眠術をかけます。天才少年は突然、シェイクスピアヴォルテールプルーストらの引用を巧みに扱い、知識の奔流をもって、おじさんを、そして読者を混乱させます。ただの衒学かと思いきや、これこそが催眠術の過程であり、すでに我々は術中に嵌っていたのです。おじさんは呆然としたまま家を追い出され、当分の間、難多家に来なくなりました。これが第一段階です。
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為人聡明、度目誦口、払耳勒心。


 夏休みが終わり、すっかり日焼けした阿礼くんのもとに、久々におじさんがやってきました。あれから催眠術を勉強したらしく、今日は阿礼くんへ復讐をしに来たようです。「かかるわけない」と吠える少年に対し、おじさんは賭けを提案します。そして、催眠術と称しながらレイプを敢行。阿礼くんはメスイキさせられるも、なお負けを認めません。すると、おじさんは、実は前回、自分は催眠にかかっていなかったと言い出します。ここが第二段階です。第一段階では、読者はおじさんの視点に立って少年に混乱させられましたが、ここで逆転します。おじさんの暴力と、意味不明な理屈の奔流に呑まれた我々は、阿礼くんといっしょにぐちゃぐちゃにされます。
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全然わからん!

 おじさんは阿礼くんを強引に女装させ、重ねてレイプをしていきます。催眠は深化し、快楽と苦痛と相まって虚実が入り乱れます。手元には、いつの間にか廃墟から拾ってきたというエロ漫画が置かれ、その作中作は作中現実と同期します。これが第三段階です。もう何が何やら分からなくなります。入れ子構造のプロット、意味が不明瞭な台詞、肛門から溢れる精液、すべてがぐちゃぐちゃです。
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 そして阿礼くんは完堕ち。レイプされた復讐におじさんを逆レイプという転倒とともに、攪乱は最終段階に至ります。おじさんの精液がオーバーフローし、阿礼くんは前立腺で妊娠し、体内に子宮を宿します。もう本当に訳が分かりません。自然法則すらも攪乱されてしまったのです。
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 滅茶苦茶で意味不明だろ。少しは眠くなったかな。これが催眠術や(大嘘)
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 じゃあ、おやすみ。

【12/4】夜は、川面に跳ねる雨粒。

びたみんです。

夜には2種類あります。「奪う夜」と、「囁く夜」。どちらも悪戯をしたり、一方でこちらを笑わせたりもします。




夜は、過去や未来がこちらを見てくる。

「今」が生まれるのが朝、今に追われるのが昼、今に追い越されるのが夕方。
夜が更ければ更けるほど、今以外の時間が顔を出す。
暗い部屋に居ると、今なんてどこかへ消えてしまい
過去が色々と問いかけてくる。未来が何かを焦らせる。
それが福音のこともあれば、呪文であることもある。
昼と夜の反復運動を通じて、常に生まれ変わる。変わらないまま、変わっていく。
ささやかな思い出もあどけない決意も、大事なことほどすぐ忘れてしまう。それは夜を経て少しずつ自分というものの部品を入れ替えては明日に備えるからなのかもしれなくて、寂しくなる。


過去は未来と闘う際の戦利品であって欲しい時がある。
だからこそ価値のある今を、生もうとしてしまう。そのほうが楽だから。後悔するくらいなら、少し耐える今を生きた方がましだと思ってしまう。愚かだとしても、時代に流され薄く透けた価値観だとしても。

色んな言葉があって、色んな物の見方があって、それには名前がついていて、それに詳しい大人がいて、それに憧れる自分がいて、でもそこから遠ざかろうとする自分もいて、今がある。夜にこれを書いている。



悶々と、人間関係とか将来について、考え出して眠れなくなる夜中の時間。
それって、すごくオリジナルな時間だと思う。
他の人が夜通し悩む光景って見ることは無いし、それについて詳しく話を聞いたりすることもほとんどない。大抵はそれぞれが自分のなかで抱え込む時間。
かといって、映画やドラマの映像芸術でそこをピンポイントで長い時間をとって流すこともできない。
絵や小説でもそれを完全に表すことはできない。
夜を乗り越えるHowTo本があるわけでもない。
そんな時間だからこそ、他の人に影響されにくいから、「自分だけのもの」に限りなく近いし、だからこそ「その人」が現れる気がする。


去年はそんな夜が続く一年だった。決意と諦めを繰り返し、「堕落」という飾った言葉で表すことができないほどにただただ「だらけ」ては狭い部屋で同じところをぐるぐるとまわっていた。

今も他の人ほど快活には生きれていないけれど、「人間が変わるには環境を変えるしかない」とラジオで聴いた言葉を信じ、一年で下宿を出てシェアハウスに引越し、サークルも漫トロピーしか入っていなかったけれど所属する団体を3つほど増やした。

「奪う夜」や「囁く夜」が重くのしかかる時が、今もたまにやっては来るけれど、まだ少し優しくなったかなと思う。




あの頃の憂鬱の形を頭に浮かべると、ふと思い出した漫画がありました。

彼女と彼女の猫』。

彼女と彼女の猫 (アフタヌーンコミックス)

彼女と彼女の猫 (アフタヌーンコミックス)


ただただひとりで動けないままの、鬱屈とした空気を思い出す。
なんとかなると信じながら、どうにもならないと拗ねてしまう日々。彼女の暮らしが自分と重なり、それに何故か少し励まされたりしながら読んでいた。




漫画が特別好きというわけじゃありません。
ただ、漫画は言葉を置く場所としては、僕にとって一番ちょうどいいんです。
かつて救ってくれたラジオの言葉も、漫画の中で言われたら、もっと違った形で深く心に残るんじゃないかって思うんです。

もちろん言葉の種類にもよるけど、心が救われる言葉は、漫画を通じて出会えた時が一番幸せな気がするんです。個人的に。


過去や未来を悶々と考えたくなったり、考えるのが嫌になったりする夜に、漫画があるということが、僕を支える時があるのです。

【12/3】ふゆの夜はとても寒く

こんばんは、ふゆです。漫トロの人間は日付がわからないのか?と思われないようにちゃんと3日目に投稿します。えらいです。

ところでみなさんは夜をどのように過ごしますか。一年前の私は内向的なオタクだったので絵を描いたり、ネットの友人とSkypeでCoCセッションをすることが多かったのですが現在の私は少し外向的になったのでネットから離れリアルの知人と晩ごはんを食べてお話をしたり、この一年で麻雀を覚えたので夜な夜な打ったりしています。某会員と深夜ラーメンをしまくっていたら二人とももりもり成長してしまいました。

あと散歩にでかけることが増えました。私は日光が嫌いなので深夜に散歩をすることが多いです。『ミッドナイト・ウォーク』

ミッドナイト・ウォーク

ミッドナイト・ウォーク

この漫画は、精華大出身で『日々ロック』の作者である榎屋克優が大学生時代に描いた短編集で、少し気持ち悪い絵柄と胸糞悪い展開に比べスッとする終わり方が印象的でした。日常的に虐げられている弱者がカッコ悪くそれでも牙を剥き必死に立ち向かう姿はとてもアツいです。
中でも一番好きな短編は『ファンタスティックキラーコンドーム』。ファンタスティックコンドームという異世界に住む異形の生物たちはやむを得ず人間界に移り住むが、見た目の気持ち悪さから迫害されます。主人公のモン太は自分を執拗に虐めてくるハーフのダニエルのことを仲間たちに相談し殺そうとしますが、ダニエルもハーフだから他の人間と見た目が違うと虐められていた過去があることを知り攻撃の手を止めます。ダニエルが泣きながらに言う「血の色は赤だよ赤に決まってる ぼっ…ぼくは人間だっ」というセリフが心に刺さります。荒削りだが、すさまじい熱量と勢いで仕上げたであろうその作品達は大学生だからこそ生み出せたものなのかなと思います。
ちなみにこの漫画は打ち上げ時の競り*1で先日競り落とした漫画で、今年のアドベントカレンダーのテーマに合っていたので紹介してみました。

さて散歩の話ですが、夜の鴨川は昼の三条大橋のような喧騒はなく静かで、暗く等間隔に並ぶカップルを視認しなくて済むし、夏の夜空を見上げるとカシオペア座が見えます。今は寒いですから春になったら歩いてみるといいでしょう。夜の街はいつもと違った顔で我々を迎えてくれるのです。

*1:NFの古漫画市で売れ残った漫画は出品者が最初の値段を指定し他の会員がオークション形式で競り落とします。

【12/2】3月のライオン原作漫画・実写映画比較

どうも副会長のハヤブサです。NFが終わってすぐアドベントカレンダーっていうのは慌ただしいなあ。今年のテーマは夜ということなんですが、NFは忙しくて個人寄稿を出そうと思ってたのに出せなかったのが心残りで、一部供養しようかなと思いまして。夜といえば月だろうということで、タイトルに月が入ってる「3月のライオン」の原作と実写版映画の比較をしようと思います。

3月のライオン」という作品について
ヤングアニマルで2007年7月から連載が始まった作品で今の時点で13巻まで出ています。その他には、アニメ化もしており、NHK総合で一期は2016年10月~2017年3月、二期は2017年10月~の期間放送している。そして、主演:神木隆之介で映画化もされ、前後編に分けられ、前編は2017年の3月18日、後編は4月22日に上映開始されました。

3月のライオン」のあらすじ
桐山零は、幼いころに交通事故で家族を失い、父親の友人の棋士である幸田に内弟子として引き取られ、15歳でプロ棋士になった。しかし、幸田家の兄弟との軋轢もあり、六月町で一人暮らしを始め、高校にも編入するが、学校に馴染めず、対局の方でも不調が続いていた。そんな時、先輩に酔いつぶされた時川本あかりに介抱されたことをきっかけで川本家と交流を持つようになる。人間の強さと温かさを感じることができる作品です。

原作漫画「3月のライオン
この漫画の好きなところは、将棋界という勝ち負けで生きていけるかが決まる厳しい世界を描いており、その中で悩み苦しみながらも生きる姿がとてもかっこいい所で、あと、勝負事の世界なだけあってか我が強く、なかなか面白いキャラも多くて、ある意味キャラ紹介漫画と言えるかもしれない。あと、シリアス面の静けさと羽海野チカ独特のわちゃわちゃした感じの背景やトーンがマッチして、心に響くけれども、作品の雰囲気が重苦しくなりすぎないようになっているところです。

映画版「3月のライオン 前編」

とても素晴らしく、自分は原作ファンであるが、とても満足できるものだった。キャストに関して言えば、強いて言えば林田先生が高橋一生だったのはお調子者感があまり出ないのでは?ってなったけど、それ以外は文句なくて、島田役の佐々木蔵之介と後藤役の伊藤英明はめっちゃハマってて良かった。二階堂役が染谷やのはエンドロールの時に気づいてビックリした...。
実写版3月のライオンは前編後編に分かれているのだが、前編では新人戦のところまで、漫画の3月のライオンで良かった将棋の世界の厳しさ、人間の温かさと言ったものを上手く表現できていたのではないかと思う。映画と漫画の比較をすると大きな違いとして思ったのは羽海野チカ特有のわちゃわちゃした明るく騒がしい感じの背景やトーンの雰囲気は出さずに、コメディ感は抜いた人間ドラマみたいな感じだったこと。あとは、対戦相手の過去や思想を知るための回想シーンがなかったこと。この二つは尺とか雰囲気の統一のために映画化にあたって必要な変更なので、仕方ないだろう。前編ではあまりストーリーの変更は無かった。

映画版「3月のライオン 後編」

漫画でいうと新人戦が終わってからのストーリーだが、映画ではストーリーを改変している箇所が多かった。ひなたのイジメの話と誠二郎の話が切れ間なく続くのと、誠二郎の話と漫画にはない後藤との対決がくっついていた。ちょっと端折り過ぎというか、漫画での色んなキャラ紹介も大切にしてほしいなと思ってしまった。あと、ひなたに拒絶されて悩むのは漫画にはないが、この展開は改悪じゃないかな...。映画は後編はより暗い雰囲気になっていて、自分は原作のもう少し静かで温かい雰囲気を味わいたかった。テーマソングの春の歌は最高でしたね。

まとめ
今回漫画と映画を比較して思ったのが、漫画と映画は全然作り方が違うのだなというまあ当たり前みたいなことで、漫画っていうのは大体連載という形を取ってることが多く、○○編、××編って分けれるようになってて続けれたらどこまでも続くように思うのだけど、映画は2時間前後の尺のうちに収めるように割かしシンプルにしないといけない。あと、映画の場合は読み返すという行為がしにくいので、映画は1本の話を軸にして話を展開するのは得意で、漫画は装飾などをつけたり、分岐エピソードをたくさん作れるのが得意なんだろうなと感じた。「3月のライオン」の場合、分岐エピソードのキャラの内面のパートが好きだったので、原作の方が好きだなと思いました。

本当はこういうのをあと5作品やろうと思ってたんですけどね…。来年は個人寄稿を載せたいと思います。