mantrog

京大漫トロピーのブログです

あきそら2巻の話

 

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寮に帰った時、僕はひどく落ち込んでいた。僕には半年以上想い続けている人がいる。その人が彼氏のことを心から愛していて一緒にいたいんだということを知って、『WHITE ALBUM2』の曲を聴いて泣きながら鴨川沿いを歩いて帰ってきたところだった。

 


思考がぐちゃぐちゃで、得体のしれない感情に突き動かされてタバコをポケットに喫煙所に向かった。誰かに話を聞いてもらいたかった。

 


先輩は傷心の僕にタバコをくれた。同じように恋愛の悩みを愚痴る人もいた。暖かさを感じながら、それでも気分は落ち着かなくて逃げるように僕はタバコを吸い続けた。

 


15本くらい吸った頃だろうか、好きな人が好きな人がとうわごとのように呟いていたその人を連れて先輩は席を立った。僕は離れるのが怖くて付いていった。

 


敷布団の上に三人で横になった。そこで僕は側の本棚に『あきそら』を見つける。僕が今一番読みたい漫画だった。

 


『あきそら』2巻では、主人公ソラとその双子の妹ナミ、それに可奈との間で三角関係が展開される。ナミは可奈に想いを寄せている。可奈がソラのことが好きなのも知っている。だからナミは自分の気持ちを押し殺して可奈と主人公の恋愛がうまくいくようにサポートする。僕もそうだ。想い人には彼女の好きな人と幸せになってほしい。でも、それを言葉にする時、ナミも僕も自分の心を偽っている。

 

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ナミの作戦で可奈とソラはデートをする。いい感じになる二人。見届けたナミは気持ちの置き場を失って、可奈との思い出の教室で一人佇む。そこでアクシデントが起きる。可奈とソラが入ってきたのだ。慌てて隠れるナミ。そのナミの眼前で可奈とソラはセックスをする。二人が去り残されるナミ。

 

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本当は……うまくいくはずないって……思っていた

 


ソラ兄がヘマして全部ダメになっちゃえばいいって……

 


このままずっと何も変わらないって……

 

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ねえ…可奈

 


私は……

 


どこで間違えてしまったんだろうーーー

 

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ナミの慟哭が教室に響く。

 


翌日、何も知らない可奈はナミに感謝に気持ちを伝える。親友として、心からの…

 

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やっぱり…これは………罰なんだーーー

 

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積み重ねた偽りの数だけ…

 


わたしの言葉は形を失って…

 


空に溶けて…

 


もう…二度と

 


届かないんだーーーーー

 

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今、僕は『あきそら』2巻を抱きながら眠りに就こうとしている。二人はもう眠ってしまった。規則正しいいびきが不思議と居心地がいい。

 


僕は……どこで間違えてしまったんだろうーーーーー

1月の面白かった漫画

まず初めに 今年はサークル活動の制約のせいで編集スケジュールが崩れているのでアドカは見送りになりました。ごめんね。4月に新刊企画として何か代わりにブログ書くらしいので毎年アドカを見てた人はそれまで待ってね。

今回の記事はそれとは別のものです。元々ナギ様の手料理再現企画を試みていたのですが出不精なので準備が滞ってます。暫しお待ちを。代わりと言ってはなんですが今月の面白い新刊でも軽く紹介したいと思います。

 

5位 『ぬるめた』こかむも

 

ぬるめた / こかむも おすすめ無料漫画 - ニコニコ漫画

ぬるめた - DOVSTORAGE APOCALYPSE - 幕府 - BOOTH

「ぬるめた」/「こかむも」のシリーズ [pixiv]

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かわいい。

マンネリ化したきらら作品に突如現れた新生児。きららマックスは『アキタランド・ゴシック』然り萌え漫画の変化球を投げてくれるので信用できる雑誌。

読者を舐め腐ったプロットの跋扈するきららであるが、『ぬるめた』は決して手を抜くことがない。有象無象の萌え4コマが1節使って書く情報量を1コマで表現している。具体的には上の画像を見れば想起できるだろう。

こかむも氏本人は影響を受けた作品として『少女終末旅行』を挙げているが、筆者が特に感じたのは『ゆゆ式』イズムである。まずテンションの高低差にメリハリがつけられて話が進む。千明や咲樹名はグループで集まる時はハイテンションな一方で普段はどちらかと言えばローテンションで寡黙だ。これは陰キャ的な特徴であるし(実際彼女たちは陰キャ的属性を与えられている)、残り二ヶ月でアラサーを迎える陰キャの筆者にも心地が良い。テンションのメリハリをつけることで読者に体力の消費を必要以上に要求しないのである。つまりオタクが仲間と集まって盛り上がる時ってこんな感じだよね、という表現をしている。きらら本誌版ではうるさい印象が強い漫画だが、同人版では静の部分が描かれている。読もう、同人版。

そして内輪コミュニティの心地良さも描いている。4人でワイワイ話す時間もあれば、各々が同じ場所で自分の好きなものを見ている時間もあるし、学校に普通にPSvitaを持ち込む自由さもある。筆者も高校時代になぜ彼女らのように学校をサボろうとしなかったのかという後悔がわく。

コミュニティの内輪的結束感を間接的に表現するのが傍観者としての同級生のかがりやゆうかの存在である。彼女たちは度々登場して千明たちに絡んだりするが、「見ているだけで楽しい」と言いグループには交わろうとしない。ここに千明コミュニティの内輪性が表れている。彼女たちのポジションはゆゆ式における相川さんグループに該当する。ゆゆ式を描いている三上小又氏は単行本4巻か5巻(手元にないので確認できないが)で以下のような趣旨のコメントを残している。「相川さんグループとゆず子グループは接近するけれども決して交わることのない関係性でありそこを描きたい」

しかし彼女たちのグループが排他的というわけではない。その証拠が詩雪の存在だ。千明と咲樹名は幼馴染であるしくるみに至っては千明と同棲している。しかし詩雪は北国からの転校生であって彼女たちのような日常的な密接関係はないし自分から友人関係を積極的に作るタイプでもない。そのような人物であっても性格やノリさえ合えばコミュニティの一員になれるのである。

そしてこの内輪コミュニティの楽しさもオタク的なものである。総じて言えばオタク的コミュニケーション・コミュニティの楽しさがこの漫画の面白さではないだろうか。

タイトルも一見安易なひらがな4文字だが本来の名称は「めたりあるあんふぃくしょん」である。千明やくるみが存在する世界は複数存在し漫画で書かれているのは一つの世界なのだ。事実AmazonのカテゴリはSFである。きらら本誌ではよくわからないが同人時代の作品を漁るとそこの設定がよくわかる。恐らく雑誌版と同人版も微妙に違う世界線なのだろう。

(再三だが)同人版はニコニコ静画とこかむも氏のpixivで見られるので是非見よう。筆者は同人時代の作風の方が変なきらら本誌の制約を受けてなくて味があって好きだ。

 

4位 『ブランクスペース』熊倉献

 

ブランクスペース(1)

ブランクスペース(1)

 

 



他の4つの解説文で力尽きました。まあ面白です。話のプロットは正直凡庸なものなのですが、淡々と物事が進む一方でどこか優しさを感じさせる表現はこの作者にしかできないものだと思います。辛さとかやるせなさを言葉を使ったりキャラを激情に走らせたりすることなく伝えるのって難しいと思うんですけど、この漫画は静かな絵なのにキャラの抱いているやるせなさなどがひしひしと伝わるのがいいところですね。

 

3位 『淫獄団地』搾精研究所/丈山雄為

淫獄団地 / 原作:搾精研究所 漫画:丈山雄為 おすすめ無料漫画 - ニコニコ漫画

搾精病棟で名高いあの搾精研究所が一般誌で連載開始!?ということで話題になった作品。作画の担当変更は一部の界隈の不安を誘いましたが蓋を開けてみればいつもの搾精研究所。むしろこの作画の方が味があるかもしれない。

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毎回福本話法で喋ってるのが草生えますね。

 

 

2位 『交換漫画日記』町田とし子

 

 



NTR

隠キャ女子のユーカとアイコが2人だけで交換漫画をしていたら陽キャギャルに目をつけられてしまい2人の関係性が変わっていく...という話。最近のギャルは一見ケバいけど実はオタクくんに優しいキャラとして描かれがちですがこの漫画のギャルはオタクと相容れない存在として描かれます。(正確には自分の尺度でしか他者とコミュニケーションを取れない人)実はギャルも陰キャに近寄ったギャルなりの理由があるわけですがそれはこの場では割愛。

一方ユーカとアイコも同じ隠キャですがユーカは言うなれば生粋の隠キャでギャルを拒み続けるのに対し、アイコは根は素直でただ控えめなだけの隠キャです。その違いは例えば交換漫画の中身でも示唆されています。

恋愛漫画を描き続けるユーカはアイコと違いギャル的価値観を吸収しうる土壌を持ち合わせています。ユーカはギャルに絡まれ化粧や恋愛と言ったいうならば女としての生き方を学びます。一方でアイコはユーカが自分の目の前でメス堕ちしていくのを許せません。なぜならばユーカはオタクとしての自分と対等な存在である数少ない存在であるから。ユーカはアイコとの関係性が外から崩されていくことを拒み続けます。

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メス落ち二コマ

この漫画を一貫するテーマは自分の価値観で相手の行動を判断することによるすれ違いです。

百合漫画のテンプレの構図として「2人だけの関係性とそれを外から脅かすもの」があります。こうした安易な二項対立を作らず、ユーカの陰キャとしての価値観とギャルの価値観、アイコの価値観を相対化して書いているのがいいところだと思います。

 

1位 『転売ヤー金木くん』早池峰キゼン

COMIC MeDu (こみっくめづ)

天才小学生の金木くんが転売で金儲けする話。転売事情が現実にかなり忠実に描かれてます。忠実すぎて一般誌じゃ厳しい。

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後これは漫画と直接関係ないけどフィギュアの転売では汁リスクが実際にあるらしいです。

 

終わり

 

【12/31】最強の漫画雑誌を決める③

最強の漫画雑誌は何か?


多種ある掲載媒体がルールなしで戦った時…

ジャンル・読者層を問わない何でもありの

『面白さ』で戦った時 最強の漫画雑誌は何か?


今現在 最強の漫画雑誌は決まっていない


第三試合

【13】アンダーグラウンド唯一のS級格闘士・櫻井裕章。
【オグ】文字通りアングラ出身の最強の漫画雑誌といえば…?
【13】アックスとか…?
【オグ】確かにガロというレジェンドの後継誌でありながら、世間からの認知度は低い。
【13】ガロ系琉球空手だった…?
【オグ】しかしなぁ、個人的には楽園を推したい…
【13】というと?
【オグ】コミティアという名のアンダーグラウンドからの最高到達点って感じせぇへん?
【13】なるほどね。まぁ漫トロ民は楽園大好きだしね…
【オグ】「恋愛系」を標榜しながら、全系統のシラットを修めたような幅広さを持ってる。
【13】作家陣も豪華だからね。
【オグ】でもアックスも捨てがたいねんな。
【13】やっぱり「戦いの螺旋から逃れられない」という業を背負ってる感はアックスだよね。
【オグ】龍の技(シカップ・ナガ)の動き、斧を振り下ろしてる感あるし。

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アックスは完璧にして最強…?

【13】そこ?
【オグ】「俺は強い」という自負をもって世に漫画を送り出してる感じは2誌ともある。
【13】う~ん、やっぱりアックスで!
【オグ】そしてオートマ免許の無職童貞・入江文学は…
【13】死ぬほど弱そう。ちゃんと一子相伝古武術の継承者だって言ったげて。
【オグ】佐藤十兵衛がLINEマンガだとして、その師匠って何よ?
【13】やっぱネット漫画の先駆けちゃう?
【オグ】う~ん… あっ、新都社とか…?
【13】名が体を表してるし、古のインターネットだし合ってる気がする。
【オグ】ワンパンマンが一撃で倒してたのは金剛打ち込んでたからだったんやな。
【13】『女を殴りたい!』の主人公もそのうち金剛打ちそう。

原稿料がなくとも漫画の面白さだけを信じ戦い続ける孤高の雑誌
アックス


掲載自在の古流投稿サイト
新都社
neetsha.jp


【オグ】なんか雑になってきたな…
【13】まぁここまでは原作でもテレビ放送されない試合だったから…
【オグ】チャンピオンVS電撃大王、LINEマンガ(本来は朝日新聞)VS週スピ、アックスVS新都社
【13】しょっぺ~

(つづく)

【12/31】最強の漫画雑誌を決める②

最強の漫画雑誌は何か?


多種ある掲載媒体がルールなしで戦った時…

ジャンル・読者層を問わない何でもありの

『面白さ』で戦った時 最強の漫画雑誌は何か?


今現在 最強の漫画雑誌は決まっていない


第二試合

【13】まずは悪魔の子・佐藤十兵衛
【オグ】黒い瞳のダミアン・ソーン!
【13】主人公だしジャンプ…?
【オグ】じゃあねぇよなぁ?
【13】毒とか使う極悪高校生がジャンプな訳ない。
【オグ】ダークホースの新興勢力だし、雑誌じゃなくてアプリのほうが合ってそう。
【13】早速『最強の漫画雑誌は何か?』というコンセプトから逸れてない…?
【オグ】本当に強いやつ決めるなら無視できないから…多少はね?
【13】ちょっとくらい…入れてもバレへんか…
【オグ】アプリ入れて良いなら十兵衛はLINEマンガやろな。
【13】まあ『喧嘩独学』も載ってるし、合ってる感じはするね。
【オグ】やっぱり最強の格闘技はテコンドー。
【13】サンキューパック。
【オグ】ウェブトゥーンの縦読みも、少なくとも日本では”陰”側の技術。
【13】YouTubeで広告バンバン入れてくるのも、”陰”側の何でもやる感じ。
【オグ】「LINEマンガはここまでやる」
【13】えげつねぇな…
【オグ】これが現代格闘術・富田流のやり方や。
【13】LINEマンガの師匠に当たる富田流・入江文学は何になるんだ…
【オグ】それは第三試合でね? まずは川徳を決めよ。
【13】こいつも結構条件厳しいんだよな。サイコな兄がいて、実は本人もサイコな雑誌…
【オグ】やってる日本拳法は間違いなく”陽”側で、才能もピカイチ。
【13】雑誌なら大手出版社から出てて、知名度や有名作品も結構ある感じだよね。兄弟誌もあるヤツ。
【オグ】ただメンタルがブレブレ。
【13】そして空手王・上杉や柔道金メダリスト・関ほどの認知度や厳つさはない。
【オグ】これは…スピリッツやな?
【13】あ~確かに。知名度あるけど線が細い感じね。
【オグ】メンヘラな作品も多々あるし、兄弟誌もあるし、決まりでは?
【13】カウンター得意なのも重なる。既存の青年誌に対してカウンターというかオルタナを出す印象。
【オグ】「日拳に掴みはない」と思わせて、実は隠していたのは…やわらかスピリッツだったんかな。
【13】”陽”側もインターネットという”陰”の技術が使えないわけじゃないからね。
【オグ】しかしその格闘センスと高等技術もLINEマンガの権謀術数には敵わず…
【13】「卑怯者…」
【オグ】「超ウケる」

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圧倒的な物量&更新頻度という名の右ストレート

【13】そういえば作中で一度「シリウス」って呼ばれてたけど…
【オグ】全部をピッタリにはできないから… 実際に週スピがLINEマンガに負ける訳でもないしね?
【13】おっ、そうだな。

東洋のハエの王
LINEマンガ
manga.line.me

創刊から読者のメンタルを揺さぶる事のみに紙面を割いてきた青年誌
週刊ビッグコミックスピリッツ


【オグ】LINEマンガに排除された石橋強はなんやろ。
【13】WBOヘビー級世界1位の漫画雑誌… アメコミとか?
【オグ】う~ん世界編にまだ取っておきたい… そもそも原作が世界編まで行くか怪しすぎるけど…
【13】けどここでジャンプとかのカード使うのも勿体ないし…
【オグ】悩まし~。
【13】…朝日新聞とか…?
【オグ】ファッ⁉
【13】いや発行部数という面では間違いなくヘビー級だし…
【オグ】『ののちゃん』や『サザエさん』、『落第忍者乱太郎』とかも出してるから実際強い…?
【13】新聞、スマホの登場で雑誌以上に打撃受けてそうだし…
【オグ】「毎朝家まで届く新聞が最強の媒体に決まってる」とか言ってたらアプリに倒されたンゴ…
【13】現実かな?

どんなに時代が進んでも倒れないヘビー級メディア
朝日新聞
www.asahi.com


【オグ】不動産という名の一枚アバラ。
【13】実際強い。

(つづく)

【12/31】最強の漫画雑誌を決める①

最強の漫画雑誌は何か?


多種ある掲載媒体がルールなしで戦った時…

ジャンル・読者層を問わない何でもありの

『面白さ』で戦った時 最強の漫画雑誌は何か?


今現在 最強の漫画雑誌は決まっていない



1353です。年末ですね。
お笑い、格闘技、音楽…なんでも競わせて一番強いやつを決める季節がやってきました。
というわけでね、最強の漫画雑誌も勝手に決めちゃおうと思います。


どうやって?
独断と偏見で選んだ16の媒体を、トーナメント形式で対決させます。

世に感動を与え広く認知され、表の世界で最強と呼ばれる雑誌、アングラやサブカル、独自に形成された特異な風土を持つ裏の世界で最強と呼ばれている媒体…
『表』と『裏』 『光』と『影』が入り交じる
最強の漫画雑誌を決めるヴァーリ・トゥード トーナメント…

『陰陽トーナメント 漫画雑誌Ver.』を行います

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漫画雑誌でこれをやる

早速、出場者を1353とオグリビーの二人で決めていこうと思います(以下、【13】と【オグ】と表記)。
はじまりはじまり~。



第一試合

【オグ】原作では、ステゴロ最強の喧嘩師・工藤優作と隻腕の忍者・梶原修人
【13】さっそく濃い面子だぁ。
【オグ】工藤は…チャンピオンやろなぁ。
【13】純粋でまっすぐな面白さでぶつかってくる感じがね。
【オグ】これはチャンピオンで決まりですわ。問題は梶原よ。
【13】未知の”技”を駆使して、相手を絡め手で翻弄する現代の忍者。
【オグ】漫画雑誌で? そんなのある?
【13】工藤とは正反対なんでしょ。男くさいチャンピオンと対照的な雑誌だから…
【オグ】少女漫画とか?
【13】まず三大出版の雑誌ではなさそう。
【オグ】まあ「月マガ」や『ゲッサン』とかの月刊誌はそれなりに”陰”だけど、梶原っぽくはない。
【13】もうちょっとマイナーな感じよね。
【オグ】KADOKAWAとかスクエニあたり?
【13】ハッ…電撃大王…?
【オグ】電撃…? あっ、『雷』…
【13】『萌え』は純粋な面白さの殴り合いとは違った次元の”技”感ある。
【オグ】確かに萌え文化の流行しだしたとき、チャンピオンは面食らってたやろな。
【13】そして工藤(チャンピオン)も戦いの中で初めての”技”を繰り出す…
【オグ】その技の名前は…
【13】イカ娘。
【オグ】イカ娘」はステゴロの漫画だった…⁉
【13】そうでゲソ。

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その象形から”卜辻”という

【オグ】絵はプロレベル。話は漫画を馬鹿にしてるとしか思えません。
【13】それは投稿作のときの話だろ! いい加減にしろ!
【オグ】萌え系をして「こういう面白さも…あるんだな」と認めるチャンピオンか~。
【13】実際そっちの路線もしっかり模索してるしね。
【オグ】イイハナイダナー

殴られれば殴り返し 捕まえればへし折る
原始的な面白さを追求する少年誌

週刊少年チャンピオン


直球ではないエンタメを得意とする萌え系漫画誌
月刊コミック電撃大王


【オグ】チャンピオン最新号の表紙、なかなか”技”使ってるやん。
【13】第二試合もお楽しみに~。

(つづく)

一介の漫画読みによるキングオブコント2020の感想

シチョウです。漫画評論サークルのブログではあるんですけど、お笑いの話がしたくなったので今年のキングオブコントについていろいろ書きます。

滝音 『ラーメン屋』
ただのラーメン屋の一風景と思いきや、実は大食い選手権の最中だった……というミスリードを誘うことで笑いを生むタイプのコント。「大食い選手権の最中である」ことを明かすところが笑いのピークでそれ以降尻すぼみになっていったと審査員に思われたことが点数が振るわなかった原因でしょうか。ただそう思われるのは本人たちにとっては心外だったのではないかなと思います。というのは、設定を開示した後は大喜利的な笑いにシフトしていくんですけど、そこでのさすけさんの言葉選びに独自性が見られたからです。恐らく本人たちの中ではツッコミのワードセンスでもっと笑いが起きている予定だったのでは?と思います。観客が「滝音はツッコミのフレーズが面白いコンビ」と説明するようなくだりを入れればもっとウケたのでしょうか。ただツッコミのフレーズで笑わせるコンビって珍しくもないのでそこまで丁寧に(昨年のM-1におけるミルクボーイやぺこぱのように)やる必要もないような……。難しいですね。設楽さんが言葉の掛け合いがよかったと仰っていたので、ワードセンス自体はきちんと評価されていてよかったです。

好きな台詞:「あたしだけ足軽フードファイターやと思われてまうやん!」(一回一回どんぶりを下げるくだりも含めて面白かったです)

GAG『河川敷』
昨年の『芸人の彼女』でファイナルに進出できなかったのが相当堪えたんでしょうね。これまでKOCで披露してきたネタとは打って変わって、今回のGAGは以前に増してギャグ漫画成分の強いネタで勝負をかけてきました。ただ点数はあまり伸びなかったですね……。以下ではなぜGAGが今回跳ねなかったかを考えていきたいと思います。
この項を読んでいる方なら全員思っていることなんでしょうが、このネタってGAGらしくないんですよ。具体的に言うとGAGのネタは周囲の状況に振り回されるダサい人間を描いたコントが多く、GAGを好きな人ってGAGのネタにそういうのを求めていると思うんですが、今回はそういった部分がなかったんですよ。だから松本さんの「テグス」発言にはそういった、GAGらしいコントをやってほしかった、小道具頼りのネタをやってほしくなかったという意図があったのではないかと思います。あとこれは個人的な意見なんですけど僕はリアリティの無いボケがあまり好きではないので、中島美嘉さんが自分の姿が目の前にあるのに気づかないのくだりはどうかなと思います。漫画読み的な意見なので共感を得られるかはわからないですけど、作者の一方的な都合で配置された舞台装置的なキャラが好きではないので、あそこはネタを都合よく進めるために無理やりボケたように感じました。
ただこれで4年連続2ネタできないというのはあまりにも浮かばれないですね。決勝への行き方は熟知している方々なので、特に今年は最もファイナルに行ける(と自分たちが思っている)ネタを用意しているはずなんですけれども……。今後どうすればGAGがファイナルステージに駒を進めることができるのか、正直いってわかりません。せめて5組に二ネタやらせてくれないですかね?ファイナル3組制になってから毎回2ネタ目も見たいコンビ(あるいはトリオ)が4,5位にいるのがとてももどかしいです。

好きなくだり:草野球のおじさんがフルートになるくだり

ロングコートダディ『効率』
これは凄いネタ。今回披露された中では一番好きなネタです。「頭の悪さ」をストレートにボケとして機能させているのが素晴らしい。普通頭の悪さは頓珍漢な発言や回答を行うという形で表現するしかないと思うんですよ。それをこのネタでは視覚的に、パズル的に表現することに成功している。最初の段ボールを積み上げる段階で、ああこんな数学チックなものをコントに持ち込めるんだなと感じ、面白いネタであることを確信しました。頭の悪さを効率の悪さ、思考の放棄という形で表現した、斬新な発想に基づいた見事なネタだったと思います。漫画読み的な文脈でもう一つこのネタの話をすると、「俺馬鹿だから」なんて発言をするようなキャラクター=時折本質を突く一言を発するキャラという図式が漫画(というよりあらゆるエンタメでか?)でよく見られ、不文律として共有さえされていますが、兎さんの場合本当に頭が悪いというのもボケとして優れていますね。上半身の筋肉が異常発達した人といい、アルファべットと数字だけ描かれた段ボールといい、シンプルながら一枚絵としてかっこいい構図も印象的でした。巷ではニッポンの社長の『ケンタウロス』が騒がれているようですが、このネタもそれくらい騒がれていいんじゃないですかね。あと「爆発がほしかった」的なことがこのコントに関してよく言われるんですけど個人的には不要だと思います。あれで完成されています。だいたいこのネタにそれを言うならニューヨークの『ヤクザ』にも言えと。惚れました。単独ライブ毎回行きます。

好きな台詞:「俺の前で効率の話をするな」

空気階段霊媒師』
展開の妙に重きをおいた、空気階段らしさの詰まった一本。このネタのいい所といえば、フリの回収のカッコよさに尽きるでしょう。まず霊媒師が本物であると判明するくだり。確認のためにかたまりさんがradikoのアプリを起動したところ、radikoであるがゆえに霊媒師の放送のほうが早いところは芸の細かさが出てよかったですね。そしてもぐらさん演じる霊媒師が「マジで破産する5秒前」であることが判明するくだり。めっちゃ長いストラップの伏線を言葉で回収するのではなく、小道具であっさりと回収するところに空気階段のコントの面白さ、奥深さを感じました。そこからかたまりさんともぐらさんの(話の流れ上当然なんですが)声がハモるのも絵として観ていて面白い。いいネタですね。

好きなくだり:としあんストラップを取り出すくだり

ジャルジャル『野次ワクチン』
今までの大型賞レース(具体的にはM-1とKOC)におけるジャルジャルのネタの中では最も好きなネタです。なぜかというと、今回のネタは福徳さんが人として自然だからですね。ジャルジャルのネタは大半が福徳さんが異常者でそれに振り回される後藤さんという構図なんですけど、今回は福徳さんは普通の人なんですよ。競馬場に野次があるのも自然で、だからそれに対する耐性をつけようという発想に至るのも自然です。導入がジャルジャルにしてはかなり丁寧で、そこからの展開も後藤さんが二つの選択の板挟みになって苦しむというわりとスタンダードな構造で、ジャルジャルにしては相当笑いどころが分かりやすいネタだなという印象を受けました。
余談ですが、ジャルジャルは今回最も大衆ウケのよさそうなネタを選んだとのことで、彼らのいう大衆性というのが導入の自然さであるとすれば、僕は大衆側の人間なんだろうなあと思います。

好きなくだり:契約書が和紙みたいなところ

⑥ ザ・ギース『ハープ』
個人的な評価と審査員の評価が最も乖離したネタです。ギースはある尖った発想があり、その尖った発想が前提として存在する世界の中で話を展開させていくタイプのコント師でその発想の質がネタの面白さに直結します。では今回のネタの肝は何かというと、「高佐さんがやっている音楽がハープ」というものです。僕が高佐さんが実際にハープを演奏できるのを知っているからなのかもしれないんですけど、何やら音楽を嗜んでいるらしい→ハープ!?というのはそこまで裏切りにはなっていないのかなと。どの楽器も弾き手がいるから成り立っているわけであって、「音楽をやっている」というフリがある以上実在の楽器では裏切りになれないと思うんですよ。もっとミスリードを誘うことは出来なかったのかなというのがこの部分に関して思ったことですね。
あと固有名詞が僕には分からないものが多く、ジェネレーションギャップを感じました。他のギースのネタでそういう思いをしたことはあまりないんですけどね。ギースのネタって結構固有名詞を出すのに。なんでこうなったかを考えると、ひとえにこれはハープが発想として弱いことをギース自身が認識しているからだと思うんですよ。弱いからハープではなく、固有名詞を笑いの核に据えようとしたのかなという印象を受けました。また、ハープをばらした後の台詞が全体的に説明調なのも気になりました。そもそも普段のギースは世界観が狂っているので台詞を世界観の説明に使っても違和感はあまりないんですけど、今回は一般社会の話なので観客に説明するような台詞は不自然だと感じました。全体的に高佐さんの特技であるハープをネタの中心に据えるためにギースらしさを中途半端に崩した結果とっ散らかってしまったなというのが率直な印象です。正直言って僕はこのネタより一昨年の『サイコメトリー』や今年の2本目でやる予定だったらしい『SLクラブ』のほうが好きですね。でもあのギースがハープを、それもうまく弾いて且つネタにうまく取り入れた、という点を評価して高得点をつけた審査員の考えも理解はできますね。ネタを成立させる難易度も重要な指標です。

好きな台詞:「家には冷蔵庫もクーラーもありません、四畳半一間にこれだけです」

うるとらブギーズ『陶芸家』
審査員評の通り、全体的にこじんまりとしてしまった印象。「師匠の師匠の壺を割ってしまう」というオチは結構な人数に予想されてしまったのではないでしょうか。また、師匠の気が狂って弟子に判定を丸投げするくだりは無理やり感があって不自然だなと感じました。こういうネタにこそ「爆発を待った」的なコメントは相応しいんじゃないんですかね。昨年の『催眠術』のような斬新なギミックを見たかったですね。ただあれほど優れたネタを量産しろというのは……厳しいか。

好きな台詞:「そんなダメ?」

ニッポンの社長ケンタウロス
これはやばいねえ。どうやばいかは後述するとして、とりあえずこのネタの流れを追っていきます。最初のケンタウロスが出てきた段階でもっとウケてもいいのになと思いました。ケンタウロスが出るだけでも面白いでしょ。そこからケンタウロスあるあるを愚痴るパートもそれだけで充分面白かったですね。僕ならそれだけで一本のネタとして成立させてしまうかもしれません。そうやって普通のお笑い物語が進んでいくんですけど、舞台上にミノタウロスが表れ、ケンタウロスミノタウロスの目が合う瞬間お笑い物語は崩壊します。一目ぼれする、その瞬間曲が流れる←ここまではぎりぎりわかりますよ。そしてケンタウロスが歌い始めるだがこの曲はデュエットだ、さあどうする?→吠えたやんけ!あーもうめちゃくちゃだよ(歓喜)!ミノタウロス引くなや!→ラップノリノリやんけ!→吠えラップやんけ!→ミノタウロスパートか→(間奏)この瞬間のための曲なんですねえ→ミノタウロス愛の力できれいな歌声になったよ!イイハナシダナー→お、デュオでもやんのか?→ミノタウロスの声が今度はいかれた!→終幕(というよりはフェードアウト)。このネタの凄いところはただでさえ歌い始める時点でお笑いを壊しているのに、最後のミノタウロスが声変わりするところでもう一段階の破壊を行っている、つまり物語を破壊している点ですね。目が合う~ケンタウロス声変わりパートまでは実は細かい演出がしっかりしていて、例えば吠える時照明が赤くなるんですけど、間奏のキスシーンになると派手照明(名前なんでしたっけ?)を消して二人(二匹)にスポットライトを当てたり、ミノタウロスが雌であることを示すために花をつけたりですね。ただその流れでデュオでもやるのかと思いきや、全員の予想の上をいって終了。
この「ちゃんとしたネタやね」→「滅茶苦茶やってるようで実はちゃんとしてる」→「ちゃんとしてる部分を否定しやがった!」という構成の漫画を僕達は知っていますね?そう、『ファイアパンチ』です。このネタっていわば『ファイアパンチ』なんですよ。①ケンタウロスあるあるを笑いの主軸としたコントを展開②その流れを覆してラブストーリーを展開③ラブストーリーの大団円を否定するという流れってまさに藤本タツキが『ファイアパンチ』にて行っていた「読者の事前に予想していた展開から別の方向へと突き進む」という流れを地で行っていると思うんですよ。台詞で笑わせる王道コントを馬鹿にするような構成なのに物語自体はしっかりしているのも近いですしね。このネタはお笑い界の『ファイアパンチ』です。藤本タツキ作品で気持ちよくなりたい漫トロ会員諸君は今すぐparaviに登録してキングオブコントを観よう!
さて、ここからはなぜこの伝説のネタがいまいち跳ねなかったのか考えていきましょう。三村さんの点数が良く取沙汰されていますが、そもそも他4人も滅茶苦茶高い点数をつけているわけではないのでこの責任を三村さん一人に押し付けるのは違うんじゃないと。少し思ったのは最初のノーマルお笑いパートが意外と受けていなかったことですかね。恐らく「三学期やぞ」や「一番足速いのに一番モテへん」の部分でもっと笑いがあって然るべきで、そこでウケること自体が歌い続けることへのフリになってたのかなと思います。敗因はそこの計算が狂ったことかなというのが個人的な結論です。

好きなくだり:ケンタウロスが声変わりするところ

⑨ ニューヨーク『結婚式の余興』
余興のレベルがエスカレートしていくという、尻上がりに盛り上がっていくのが明らかなネタ。こういうネタに対していちいち何かを書くというのも野暮ですよね。観ていて楽しいネタという意味では、今大会では一番良かったと思います。

好きなくだり:嶋佐さんの変な歩き方

ジャングルポケット『脅迫』
相関図のボケがやりたかったんだろうな。バナナマンの両名が仰っていた「ずれ」に関してはあまり感じなかったですね。ごちゃごちゃしてるのは相関図へのフリなのかな?と思いながら見ていたんですけどそうでもないみたいですね。身内の情報を掴んでいるという脅迫あるあるから掴んでいる情報が細かすぎる方向へ発展させ、娘の話から近所の浮気話へとシフトし、相関図で落とすという流れは観ていて飽きず、賞レース慣れしていることを感じさせました。「それがお前の父の日のプレゼントだよ!」とか資格の情報とか個々のボケも面白かったですね。得点発表後のおたけさんの「俺だ……」は今回の平場では一番好きです。

好きなくだり:相関図

ここまでがファーストラウンドの感想ですね。3組好きなのを上げるとすればロングコートダディジャルジャルニッポンの社長かな?ここからはファイナルラウンドについてです。

空気階段定時制
いや~いいコントでしたね。もぐらさんの滑舌が悪すぎて筆談でさえ聞き取れないのが恋仲が発展するにつれて(観客に)聞き取れるようになる(具体的には「教えない」のところからですね)ところはとてもお洒落でしたね。1本目もそうなんですけど、ギミックの使い方やフリの回収の仕方が空気階段は本当にかっこいい!内容はというと、教師にばれないように筆談する、わからない問題の解答を教えてもらうも間違えるといった思春期の甘酸っぱい恋愛モノあるある(実際その辺から着想を得たのでは?)を定時制の男女が行うというねじれを笑いにしたもの。かたまりさんが美形だからなのかもしれませんが、そのねじれを嘲笑うネタに仕上げるのではなく、そんな中でも気持ちが通じ合うことの素敵さを謳うネタに仕上げたのは見事だと思います。昨年のかが屋もそうですけど、嘲笑ずに優しく包み込むネタを作るのを選択できるってすごいですよね。その滑稽さを馬鹿にするほうがはるかに容易なのに。
これはネタとは関係ないのであまり触れたくないんですけど、「優勝するネタではない」系の審査員コメントが嫌いです。たとえ思っていても言わないでほしい。このネタが賞レース向きのネタではないことは空気階段自身も重々承知のはずで、それを理解したうえで賞レースの決勝で披露するんだという覚悟を買ってほしいですね。「今一番自分たちのやりたい二ネタ」を披露できたという点で空気階段は実質優勝といっても過言ではないでしょう。

好きなくだり:かたまりさんが解答をもぐらさんに教えてもらうも間違えていたところ

⑫ ニューヨーク『ヤクザ』
ニューヨークといえば底意地の悪い偏見を仕込んだネタで有名で、ニューヨークのネタが好きな人はニューヨークにそういうのを求めるはずなんですよ。一本目のネタに物足りなさを感じた人は多いはずで、日村さんのコメントにそれが集約されていましたね。さて、ではこのネタで彼らが一体何を馬鹿にしているかというと、「ヤクザのノリ」ですね。何かにつけて面子を重んじ、生死の問題に持ち込もうとするヤクザのノリをいじるネタを作りたいというのがおそらく発想の起点で、ヤクザのノリの馬鹿馬鹿しさを際立たせるために日常のあるあるとしても微妙な「切りすぎた髪を見せるタイミングを失う」を設定として起用した、という経緯でこのネタが生まれたんじゃないかと。このネタの凄いところは観客に馬鹿らしさを説明する台詞が一切ないことですね。ヤクザの日常を切り取ったという体を最後まで崩していない。ニューヨークお得意の偏見を直接台詞で表現するのではなく、その世界観で当たり前のこととして表現することでコントとしてのリアリティを格段に上げた、現時点でのニューヨークの最高傑作だと思います。

好きな台詞:「俺への墓参りは、帽子とって来いよ」

ジャルジャル『空き巣タンバリン』
このネタは公式のyoutubeに上がっていることもあり、事前に知っている人も多かったのではないでしょうか(少なくとも僕の周りのお笑い好きは全員知っていました)。ただいざネタを見て思ったのが「これyoutube版のほうが面白いな」ですね。なぜかというと、会社がボケになっているからですね。「空き巣」という絶対に音を出してはいけない状況なのにタンバリンという携帯すれば100%音が鳴る楽器を持っているというジレンマにこのネタの面白さはあって、金庫にタンバリンがあるというボケはこのネタの本質からずれるなという印象を受けました。まあこれに関してはジャルジャルがこのネタの面白さを動きの笑いと位置づけているだけかもしれないので何とも言えませんが。

好きなくだり:金庫が開いたことに喜んでタンバリンを鳴らすところ

以上がファイナルラウンドの感想ですね。この中だとニューヨークの『ヤクザ』が一番好きかなあ。最初のネタと合わせて考えた場合個人的な優勝は空気階段です。

ここから総評です。今回のKOCは、大型賞レース決勝初進出の関西コント師三組が持ち味を存分に発揮した1ネタ目を披露したのに対し、賞レースに慣れているニューヨーク・ギース・GAG(・ジャルジャル・うるブギ)がらしくないネタを先に披露したのが印象的でしたね。ジャルジャルはらしくないネタだとは思いませんが、彼らにしてはわかりやすいネタをかけてきたのでこの括りに入れてもいいのかなと。うるブギに関してはネタをあまり見たことがないので何とも言えませんが、繰り返しをネタの中心に据えているところが近年のKOCの傾向に合わせてきたなと感じました。また、近年のKOCでよく見られる2本目で失速する現象(ロッチチョコプラばかりが取り沙汰されますが、一昨年のわらふぢなるおや昨年のうるブギもその傾向はあったように感じます)がなかったのも特筆すべき点としてあげられるでしょう。ここから見えてくるのは現行の体制に対する傾向と対策が確立されてきたという事実です。「是が非でも二ネタやるために最初に一番強いネタをぶつける」より、「1本目は初見の人に笑ってもらうためのネタを用意し、2本目に自信作をぶつける」というのがこれからのKOCにおける芸人の基本的な方針になっていくのではないでしょうか。この状況をどう捉えるかは人それぞれですけど。


くぅ~疲れましたw これにて完結です!
お笑いが好きで、言語化する作業も好きなので、こうして今回のKOCに対する自分の感想を保存したくて挑んでみた所存ですw
こうして初めて自分の思いを書き連ねたあと客観的にみて思ったのは、僕が好きなのは斬新なネタと物語として自然なネタですね。あと今大会の感想を書いた後にいろいろな方のブログを巡回したのですが、結構内容が被ってしまっていますね。好きな台詞の部分に至ってはほぼ同じことをやってしまっていたんですが、パクったわけではないのでご容赦を。独自性のあることも書けてはいるのでそこはよかったかなと思います。これからのM-1やKOCの後も感想記事を書くかもしれませんし書かないかもしれません。それに関しては未来の僕の気分に任せます。

【C97】コミックマーケット3日目 参加のお知らせ

今回のコミケも、京大漫トロピーは参加します!
明日です!!

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【日時】2019年12月30日 (3日目)
【場所】南ム41a
【頒布物】23号(新刊) 60部ほど バックナンバー(22,21,20,19号) 

新刊は京大11月祭で発売された、メンバーで2019年一年の最強の漫画を決めるランキング号です。

ランキングはこちら
http://mantropy.net/ranking/2019%E5%B9%B4%E6%BC%AB%E3%83%88%E3%83%AD%E5%80%8B%E4%BA%BA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0

お待ちしております!!