12/22、クリスマス会のあとに、ブログ代行を願いながら、恋愛代行について考える
今から「推しの子」の裏で多くの人に忘れられた漫画「恋愛代行」の話をする。どうも5回生になってしまったいしむーです。学部の5回生です。卒業させてください。6年目も決まってしまいました。来年もよろしくお願いします。
というわけですでに忘却の風に晒されているアレについて話します。短めなもんですので、どうかお付き合いください。だいたい1500字くらい。3分くらいで読めます。
どれだけの人がいつ「恋愛代行」が終わったことを覚えているでしょうか。いや、そもそも終わったことに気付いている人がどれだけいるでしょうか?
私は逆に「推しの子」が終わったあとに、赤坂アカ原作の続投枠として、コイツがあったなぁ……とか思っていたら、すでに終わっていてありえないとか考えました。というわけで、ブログらしく、「読んでみましたブログ」します。
いや……端的につまらなかったんですけどね……。なぜ面白くなかったか、それはありとあらゆるギャグが滑っていたことに起因します。「かぐ告」で笑えていたころの私が恥ずかしくなるくらい楽しくなかったんですけど、何があったんですかね。そもそもこの「恋愛代行」の目次を見てみると何を企図して作られたかよくわかるでしょう。絵が赤坂アカより絵が上手い人を作画に抜擢するような「推しの子」の配役をして、内容は「かぐや様は告らせたい」にしてみたいとか考えていることがわかるでしょう。つまり赤坂アカの過去の成功例を組み合わせてもっと最強にしようとしていたのでしょう。いや私も西沢5ミリとか結構好きだったので最初のうちは興奮していましたし、期待していました。でも、あまり噛み合わなかったんですね。赤坂アカの痛くってオタクくさい演出と西沢5ミリの童貞くさい描き方はマッチすると予測するのでしょう。両人ともにバズを狙ったようなやり口しているので相乗効果でよくなるとかそう思うでしょう?
四角関係を主軸にした物語はかなり複雑になりがちで、あらすじを抜き出そうとしても難しくなりがちなものです。天才と言われる原作者の方はかなり上手に調理できております。つまり、最初のカップルを提示する、それぞれの男女に恋愛指南役を付けて、それぞれもまたカップルとする……。最初の1話のうちに物語の骨子を適切な形で説明しています。

そういう上手さと裏腹に、陰キャが好きなすごく優良な女子高校生、異様に優しいヤンキーな男子高校生というメインキャラの性格の作り込みがかなり安直なこと、安直なこと。導入の描写、ヒロインが頭いいやつなのに初心で男に弱いとか失笑ものでしょう。

いやこんなに貶しているけど、女の子は結構かわいいんですよ? セックスしたことのないワイくんが好きそうなデザインでして。ふふ。ヒロインについている恋愛のナビゲーターとか特に。
なんといっても黒い髪で化粧っけのない顔に、愛玩動物っぽいデザインしている耳付きフーディーのルームウェアですね。いわゆる天使系、文脈にしては地雷系に属する、類例にしてはオタクごのみなデザインで、サブカルチャーとして受容されているファッション。シコいですね。

ところで、いかに立ち上げが成功したとしても失速してしまえば打ち切られてしまうものです。つまり安直に付けた性格がために、物語自体が安っぽくなってしまったことです。あらかじめ陽キャっぽい陰キャ、陰キャっぽい陽キャのような二項対立を明示しているにもかかわらず、その対比を超えるようなギャグを提示できなかったのが敗因になるでしょう。そのためにメインの金髪ヒロインがなぜ恋愛指南を頼まねばならなくなったのかを説明するようになりました。前振りに指南にそのまま従いすぎてしまい、人形のようになってしまうとほのめかしていました。わかりやすいですね。それのオチは毒親だそうです。何度も見た展開ですね。
そのままあれよあれよという間に物語を閉じなければならなくなったようです。のっぴきならない窮地にまで陥った結果、引き込もっていた黒髪ヒロインがメインの舞台となるクラスに転校してきたそうです。「そしてラブコメディ」は加速していく。最終話「恋愛代行」はそのようなセリフで終わっています。

白々しくも続きがあるような描き方をしておりますが、章の終わりではなく、そもそもの物語の終わりなんですね。打ち切りであることを隠していないです。
そのあとを追うようにして「推しの子」は終わっていきました。主人公とラスボスが無理心中を遂げるという後味の悪い展開で……。ルビィはなぜ立ち上がったのかは時が経ったからと走馬灯のようなコマ送りで演出をしていて。それはこの2作品を無理矢理終わらせて、そして次の物語のための企画を発表した作者そのものでしょう。
刹那的な輝きこそあれ、それのみにして、マンガを読む人の記憶に刻み付けられた作家のことを、その線香花火のような終わりまで含めて葬送したいです。