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京大漫トロピーのブログです

【12/24】サタンタンゴ観ようぜ。

 どうせ皆さん夜は忙しいでしょうから、日中に読めるように早めに更新しておきますね。5回生ともなると、こういった心にくい気配りができるようになる。老害の醤油でございます。

 今年のアドベントカレンダーのテーマは「パーティ」とのこと。賑やかな行事とは縁遠い学生生活を送ってきた自分だけど、大学構内に一つだけ「パーティ」気分に浸れる場所があった。「カンフォーラ」という食堂である。大学の正門近くに構えた学生食堂で、店名の由来でもある大きなクスノキを眺めながら食事ができる。そこで提供される山盛りの「パーティパスタ」。およそ3人前で1080円。味はまあ、ふつう。「コスパ最強~」と盛り上がりながら複数人で取り分けるもよし、溺れているかのように咽せ返りながら一人で胃袋に詰め込むもよし。これさえあれば毎日がパーティ。虚無感に苛まれる繊細な学生の心を癒す、宴のひととき。食べた後に「別にコスパよくないよな」とか「学外行けばもっと美味いもん食えたよな」とか、あれこれ後悔するのも、それはそれで宴の後って感じでイイ。

 そんなパーティパスタが、メニュー改定で消失しました。なんでや。よりによってパーティパスタを消したの、この中の中で? はあ~(クソデカため息)。しょうがないから、+100円で大盛に変更… え、それもできなくなったの? じゃあ何が残ってるのよ。総長カレー? 学生の数少ない喜び奪っといて、意味分からん権威づけされたカレー食えっていうのか? そういえば窓から見た景色まで変わっているじゃないか。クスノキ前に出没していた巨大看板はどこにいった? というか構内の立て看板が軒並み消失している。あれもメニュー改定の影響ですか? 殺風景な広場の奥で男根のように屹立する時計台を眺めながら総長様監修のありがたいカレーを食べる場所、それがいまのカンフォーラや。宴は終わったんだな。

 自堕落で不毛な5年間を自分が送ったことには、それほど驚きはない。もう少しまともな学生生活を送れることを入学当時に期待していたことは否めないけど、高校までの経験から見れば、まあこんなもんだろうという感じがしなくもない。ただ、大学のほうがここまで変わるとは思わなかった。パーティパスタが消え、タテカンが消え、入試当日にはオルガ像が撤去された。「自主管理貫徹」という真っ赤なゲバ文字が踊り、学生運動の残り香がプンプンする我らが文ピカ*1もそのうち消えちゃうかもしれない。その一方で、オフィシャルには「おもろい」とか「変人」とか看板掲げられてる。怖いよな。

 まあ俺も特に行動起こしてないんだけどね。それどころか、就活では京大ブランドを結構な足場として使っちゃった節すらある。俺も悪人だよ。「変人」みたいなイメージは、大学当局が看板にするぐらいだから、まだまだ対外的には健在な感じがする。『太陽の塔』が昨年漫画化されたのも、そういうことなんだろう。で、森見登美彦ってさ、今の京大に何か言わないもんかね。従来の京大のイメージに散々乗っかって名を上げた作家なのに、見た限りではタテカン撤去とかについて全然言及してないんだよ。外部から揶揄してくれれば、現状の認知も広がるかもと思うんだけどな。

 うだうだ言ったけど、さっさと卒業させてくれってのが本音。卒論もメチャクチャだけど何とか書き上げたしさ、もういいだろ、なぁ。こういう情けない態度が学生の立場を弱くさせるんだろうな…… 今日の記事、本当は『みなみけ』の話がしたかったんだ。論文作業してるとき、ずっとアニメ版を垂れ流してたから。南家三姉妹が心の支えだったから。

みなみけ(19) (ヤンマガKCスペシャル)

みなみけ(19) (ヤンマガKCスペシャル)

 三姉妹って色々なところに登場するよね。『よつばと』とか『三月のライオン』とか、シェイクスピアの『リア王』にも出てくる。フロイトは『小箱選びのモティーフ』で、『リア王』の三姉妹と『ヴェニスの商人』に出てくる三つの小箱を絡めて、生む女、性的対象としての女、破壊者としての女という三つの女性像を提示している。このイメージは、ちょうど三つの季節に対応する。すなわち生命が芽吹く春、活力に溢れ求愛が繰り返される夏、落葉など死を連想させる秋。母性溢れる春香、藤岡に片思いされる夏奈、死んだ目でぬいぐるみを振り回す千秋…… なんてこった、ぴったり一致しているじゃないか(発狂)。なるほどぉ、だから南さんちには冬を司る末っ子が登場せずに、よその子としてボーイッシュな冬馬が補完するように登場するんだなぁ。完全に理解してしまった。そういえばノースロップ・フライは物語の四季について、春夏秋冬はそれぞれ喜劇、ロマンス、悲劇、アイロニーに対応すると言っていた。春香の先輩である保坂の滑稽な様子はまさに喜劇における道化だし、夏奈の学校での恋愛模様はロマンスと言えなくもない。千秋の悲劇的側面はまぁ……ちょっと思いつかないけど。でも、これは『みなみけ』そのものがコメディだからね*2、しょうがないね。 いやぁしかし、『手品先輩』は審神者だし、ヤンマガは示唆に富んだ雑誌だなぁ。新年一発目に掲載される『喧嘩稼業』も楽しみだぜ~。

 あと年末に『サタンタンゴ』って7時間もある映画を観る予定で、その苦行も楽しみやね。ルーツレポに触発されたのよ。記事貼っとくから是非読んでくれ。ディレクターズカット版まで読んでくれ。
nlab.itmedia.co.jp

 よいクリスマスを~。

*1:文学部学生控室。漫トロピーの活動拠点。

*2:ベルクソンは、笑いの目的はまず矯正であり、喜劇は人間の性格を抽象化、一般化することで矯正しうる欠陥を浮き彫りにして笑いを誘うって言ってた。『みなみけ』アニメ2期が不評なのは、オリキャラの冬木が一般化とは真逆の自己投影という役割を負っていたためってのが強い印象。