読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

mantrog

京大漫トロピーのブログです

【1/14】絢辻詞編④(終)

絢辻詞編 第4章「ヤクソク」

醤油:オーラスです。
QP:え? え? これハッピーエンドですよね? ちゃんと幸せになってくれますよね?
ミシ:うろたえるな! 苦境に追込まれものの、まだ逆転のチャンスは残されてる。要はハネツモ条件でしょう?
醤油:メンタンピン即ヅモバンバンバン! おっと、これ倍満や。
f:id:mantropy:20170114075907p:plain
(あれほど険悪であった2-Aのムード、一転。絢辻を中心に一致団結を果たし、わき藹藹と作業に臨む現状に、違和感を感じる純一)
ミシ:当然の疑念ですよね。一人の少女を攻撃した事実を忘却する群衆、怖すぎる。
QP:このモブ達、異常ですよ。掌くるくる狂ってる。
醤油:この狂った世界の片隅で、純一君ただ一人が正常です。
(回想)
(純一「あの子がいなくなっちゃったって、どう言うこと? 絢辻さんが二重人格者で、昨日までの人格が消えちゃったとか、そう言うこと?」)
(絢辻「二重人格者かぁ~、それはオモシロイ解釈だね。でもはずれ~」)
QP:キツイキツイキツイ。
醤油:純一に拒絶された自己のリセットを図ってるんでしょうね。望まれぬ人格と共に、不幸な記憶を葬らんとしてる。
ミシ:人間の心の相補性は二人の人間の間よりも、まず一人の人間の心の中にはたらく。人間の意識的な態度が一面を覆うと、それを補うような傾向が無意識内に形成される。そして、睡眠や飲酒によって自我の統制の弱まったとき、表出する。こうした心の、全体性を回復せんとする傾向の最たる現象こそ二重人格です。絢辻さんのケースでは、他者に嫌われることを厭わず、己の感じる正義のまま行動する第一人格を純一が否定することによって、本音を偽ることで他者から愛される第二人格が台頭してきた。ちょうど純一と出会う前の絢辻さんに戻ったと云うことですね。
QP:嫌だ嫌だ。僕は、前の絢辻さんがイイんです。
醤油:駄駄をこねるな! きもちは同じです。
ミシ:ユングはこのようにある個人の自我が否定し、受け入れ難く感じる傾向の全てを「影」と呼びました。絢辻さんにとっての影とは、第二人格のほうでしょうね。苛烈な義侠心を、あまりにも高尚な精神を、現代人は厄介事の種として厭う。狭量な世界が絢辻さんの第一人格を殺すのです。図に乗った群衆のシュピレヒコールはさながら、レクイエムでしょう。
f:id:mantropy:20170114075910p:plain
(皆で作業しようと誘う絢辻に腕をとられる純一。そのとき、肘が絢辻のむねに当たってしまうものの、以前のように動揺せず、実行委員の仕事を残してると言って立ち去る)
(純一「イマの絢辻さんはカワイイと思うよ。悪くないと思う。クラスのムードも明るくなったし。でも……」)
(OP「君は君のままで。 僕は僕のままで。全てわかりあえたなら~♪」)
ミシ:ああ゛~。
醤油:あ、あ、あ、ああ゛~
QP:う゛ああ゛~。
醤油:君は君のままで!
ミシ:歌詞の流れるタイミング完璧ですね。これをやるために曲を作ったとしか思えません。
QP:この曲を聴くのも最後だと思うと、不思議やな。名残惜しささえ感じる。
ミシ:そう思えるなら、本企画終了後も、自室で聴きましょう?
QP:あ、そっかぁ。でも、十年後か二十年後、また3人で聴こうね。
ミシ:それって契約?
醤油:ううん、約束。
f:id:mantropy:20170114075913p:plain
ミ・醤・QP:優しくなれたのは、君のお蔭~♪
(当日。クリスマスツリーは間に合った。文化祭はちゃんと開催された)
f:id:mantropy:20170114075915p:plain
醤油:花火とは。豪奢ですね。
ミシ:スゴイとゴージャス。合わせてゴイジャス。
醤油:田中ロミオ、お好きなんですね?
ミシ:イルミネーションもピッカピッカや。しかし、この煌びやかさに反し、純一の心情は暗く浮き彫りにされる。
QP:あのてっぺんの星、砕かれませんかね。「とらドラ!」のように。
醤油:竜児……、竜児~! 竜児、竜児、竜児……。
ミシ:勘弁してくれませんか。もう2017年ですよ?
醤・QP:あなたがそれを言うのか。
f:id:mantropy:20170114075918p:plain
(3人組と一つの焼きそばをシェアする絢辻)
QP:あのさぁ、コイツら仲良く焼きそばなんか食べてるけど、違和感なり良心の呵責なり感じひんの? まるで操り人形や。
ミシ:秀でた君主なら、人心掌握もあさめし前ですよ。
醤油:教室の一件は、感情の暴発として処理されてるんでしょうね。女性特有のヒステリーとして。
ミシ:絢辻さんの側は、なんとも無しに3人組を許してるんでしょうね。性悪説を標榜しながら、こころの底では性善説を信じてるような御仁ですから。
QP:尊すぎる。
f:id:mantropy:20170114075921p:plain
(それぞれの文化祭を過ごす生徒達。しかし、純一は賑やかなムードに2年前の翳りを見て、帰宅しようとしてしまう。途中、公園を通りすがると、ライターに火を灯し立ち竦む親友の姿を発見する。放火をするつもりなのだと慌てた純一は、身を挺して止めに入る。純一「考え直せよ!ことしもカノジョが出来なかったからって、放火だなんて! 自棄にならなくても!」)
醤油:コイツは友人を何だと思ってるんだ? あんまりな言草ですよ。
(燃やそうとしてたのは、小学生の頃に貰ったラブレターだと弁解するウメハラ。返事を書かなかった未練をたちきるためだと言う。ウメハラの行動に感じ入るところのある純一)
f:id:mantropy:20170114075923p:plain
(純一「後悔か……。僕、また駄目だったよ。ことしのクリスマスは頑張るとか言ってたくせに、情けないよ」)
ウメハラ「なに言ってんだよ! クリスマスイブはまだ終わってねーだろ! 情けねーって思ってんなら、行動するしかねえんじゃねえのか? 俺みたいに後悔する前によ」
(純一「ありがとう、ウメハラ。お前、イイ奴だな」)
ウメハラ「だろ?」)
(純一「なんでカノジョ出来ないんだろうな?」)
QP:なんででしょうね? 本当に不思議です。
ミシ:旺盛な性欲に起因する、女性への余裕の無さ、デリカシーの欠如あたりの問題かと。
QP:なんでそんなにハッキリと言うんですか? 可哀想でしょう?
ミシ:あっ、イヤ、すみません……。
醤油:このシーン、純一の視点からは、ウメハラがラブレターを燃やす行動と、絢辻が手帳を燃やした行動とが重なって見える。焚火の前でその動機と心情が吐露されることによって、純一はその行動の真意を、過去の自分への未練をたちきらんとした絢辻の覚悟を、はじめて理解する。
QP:あれは、お炊き上げだったんですね。本音を建前で塗り固めたこれまでの自分を、浄化によって天界へ還さんとする。
ミシ:純一を奮立たせるウメハラのはたらきは、まさにトリックスターそのものですね。トリックスターとは、神話や伝承の中で活躍する悪戯者、ペテン師を指し、低次のものと高次のものに分類される。トリックスターは善悪にはさほどこだわらぬため、日常生活では負の価値を構成するものの中に潜む行為の可能性をひき出し得るが、その破壊性が強大過ぎると、古き秩序を壊すのみならず、あらたな建設な可能性まで奪ってしまう。単なる悪戯好きの破壊者である前者は、本編で言うとあのポニテ・ヘアピン・黒髪の3人組に相当しますね。ウメハラはどうしようもなく道化な存在ですが、身を削って純一を応援するその姿は、あらたな秩序や建設をもたらす後者のトリックスターと言えるでしょう。
f:id:mantropy:20170114075928p:plain
(サンタに扮装してお菓子を配って回る絢辻。絢辻「メリークリスマス!」狂喜乱舞する男子生徒達「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」)
f:id:mantropy:20170114075929p:plain
ミ・醤・QP:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! メリークリスマス!
QP:同志諸君。君達のとほうもなく大きな喜びは、身に染みて理解できる。
ミシ:嘆きの天使や。
醤油:人間だって言ってるでしょう?
f:id:mantropy:20170114075932p:plain
(お菓子を子供にも贈ろうとする絢辻だったが、「要らない」と一蹴されてしまう)
ミシ:イノセンスの塊、子どもは感じとってしまうんですよね。絢辻さんの欺瞞を。とり繕った笑みを浮かべるあなたは、サンタなどではありません。
QP:堕天使や。
醤油:だ・か・ら! 人間だって言ってるでしょう?
(Bパート)
f:id:mantropy:20170114075934p:plain
(文化祭は無事終了し、打ち上げをする2-Aの面面。絢辻は相も変わらず、どこか機械的にふるまう)
ミシ:絢辻さん、さきほどから形而上の涙、だばだば流してますよ。大洪水や。
QP:仮面の中涙で溢れ、ふやけた仮面のまた上に仮面被って隠した~♪
醤油:「喜望峰」歌うのやめーや。
ミシ:「スパイラル」のOPですね。懐かしー。
f:id:mantropy:20170114075937p:plain
(空き教室に絢辻を連れ込む純一。無言の純一。教室に戻ろうとした絢辻を背後から抱きしめ、一言。「好きだ」)
ミ・醤・QP:う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!? メリークリスマス!
ミシ:あすなろ抱きやね。
醤油:言ってやったぞってしたり顔するの、勘弁してくれませんか。右の拳が疼きます。
QP:メリークリスマスやで、醤油君。おててを下ろして。
(2年前のクリスマスの悲劇。実行委員に立候補した経緯。絢辻の本性に戸惑ったこと。絢辻と仕事をするようになってから、毎日が楽しく充実しており、その内クリスマスへの苦手意識も消えたこと。全てをひっくるめ「識って良かった」と純一は言う)
QP:この男はもう逃亡しません。全てをありのままに受入れ、乗りこえ、伝えるちから、決意がある。
ミシ:黄金の精神や。
醤油:イイ話やなぁ……。
(絢辻「橘君、イマのわたしは嫌い?」)
(純一「嫌いじゃないよ。イマの絢辻さんも好きだよ。でも、僕は前の意地っぱりな絢辻さんも、その前の猫を被っていた絢辻さんも、全部ひっくるめて好きなんだ。だから、いなくなったなんて淋しいこと、言わないでほしい。また僕の至らないところがあったら叱ってほしい」)
綾辻「なんで、なんでそんなこと言うの?」)
ミシ:なんで、なんであなたは純一なの?
醤油:ああ……。
f:id:mantropy:20170114075940p:plain
(純一に掌底を打ち込み、押し倒す絢辻。絢辻「なんなのよ! なんなのよ、あんたは! あんたがあんなことを言うから、だから、あたしは自分を消えたことにして!なのに……」)
ミシ:純一は絢辻さんにもっとうまく立ち回れと言った。王は魂を持ちません。王は統治者としての機能が全てであり、人格は不要とされる。綾辻さんは王となって、クラスを団結せしめ、文化祭を盛況に収めた。そして祭のあと、残ったのは魂を失った抜殻の筈だった。
f:id:mantropy:20170114075943p:plain
(純一「よかった……。僕の好きな綾辻さんが、ちゃんといた……」)
ミ・醤・QP:あああああああああああああああああああああああっ!
醤油:やっと泣くことが出来ましたね。
ミシ:産声ですよ。絢辻詞と言う人間は、他者を必要としてしまう自分を、ようやく認めることが出来たんだ。ハッケン。
QP:ウラガワ。
ミシ:裏の裏は?
醤油:表や……。
QP:コインの裏表は?
醤油:表裏一体や……。
ミシ:ユングは言った。人間にとってのはじめての数は、一ではなくむしろ二であると。一が一である限り人は「数」を意識することなど無く、対立や並置されることで「ニ」の意識が生じてこそ、「一」の概念も生じてくる。絢辻さんは純一と言う「一」を知って、「一」になったんです。
(無人の学校。正面玄関の階段に座り、2人は対話をする)
綾辻「昔の話なんだけどね、ある日、わたしはサンタさんがいないことを知ったの。サンタがいないって知ったわたしは、そのときに決めたの。わたしがサンタになるんだって。ホンモノになれないことはわかっていた。でも、サンタみたいなことなら出来るって考えたの。クリスマスイブ、皆に幸せをプレゼントすること」)
(純一「もしかして、それで創設祭の実行委員に?」)
f:id:mantropy:20170114075948p:plain
(絢辻「子どものころ輝日東高校の創設祭へ遊びに来て、わたし思ったの。この創設祭を自分の手で成功させれば、皆を幸せにできるんじゃないかって。でも駄目ね。皆を幸せにするって目的が、何時の間にか、わたしの満足感を満たすためのものに変わってた……。子どもには、わかっちゃうものなのね。わたしのサンタクロース、大人には評判良かったけど、子どもは懐いてくれなかった」)
(純一「さすがに絢辻さんも、子どもは騙せなかったようだね」)
QP:純一も騙せなかった。
ミシ:童心を有したまま高校生になった男やからね。縁のように無機質にふるまう絢辻さんを、許せなかった。
醤油:怒られるで。
(純一「綾辻さん。まだクリスマスは終わってないよ。来年も再来年も、クリスマスは来る。その度に、皆を幸せにすればイイじゃないか。――だから、僕のことも幸せにしてほしい」)
(絢辻「それは女性から言う台詞でしょう?」)
(純一「駄目かな?」)
(絢辻「駄目じゃないけど……」)
(風が吹く。純一「ああ、髪がくしゃくしゃだ」)
ミシ:くしゃくしゃクシャトリヤ!?
醤油:誰も言ってませんよ。
QP:なに茶化しとんねん。
f:id:mantropy:20170114075951p:plain
(乱れた髪を直す内にキスをする2人。絢辻「わたしも、橘君のこと好きよ。もう絶対に離さない」)
(純一「それって契約?」)
(絢辻「ううん。約束」)
(I Love you from my heart. I Love you forever with you~♪)
QP:ああああああああうわうあうああああうあうああうわうああうう!
ミシ:うあううあううあううあううあうあううあうああああああああああ!
醤油:くぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlp!
ミシ:完璧や! 完璧な台詞回しと突如流れる第一期OP! これや、これが観たかったんだよ、僕は!
醤油:くぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlp!
ミシ:うるせえぞ、醤油君! azusaの美声が聴こえなくなるでしょうが!
(純一「イイのかな?」)
(絢辻「イイわよ、これくらい」)
f:id:mantropy:20170114075954p:plain
(学校には秘密のライトアップ。2人だけの聖樹を見上げる絢辻と純一)
醤油:メリークリスマス!
ミシ:メリークリスマス!
QP:メ、メリークリスマス!
醤油:声が小さすぎます! もう一度! メリークリスマス!
ミシ:メリークリスマス!
QP:メリークリスマス!
ミシ:眩き光の前に、裏も表もありません。
醤油:それな! ミシェル君、ほんとそれな!
f:id:mantropy:20170114075957p:plain
QP:そして10年後を描く。これも森島ルートとの対比になってるんですね。
ミシ:娘ができとる……。可愛ええ……。
f:id:mantropy:20170114080003p:plain
(絢辻「ねえ純一、いま幸せ?」純一「もちろんだよ」絢辻「わたしも幸せよ」)
(絢辻「世界中の人達が、きょう、この良き日に幸せでありますように」)
(純一「僕達みたいにね」絢辻「ええ」)
ミシ:ねえ醤油、いま幸せ?
醤油:もちろんだよ。ねえQP、いま幸せ?
QP:もちろんだよ。ねえミシェル、いま幸せ?
ミシ:もちろんだよ!
醤油:世界中の人達が、きょう、この良き日に幸せでありますように。
ミシ:僕達みたいにね。
QP:ええ。
醤油:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!(醤油、失踪)
QP:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!(QP、失踪)
ミシ:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!(ミシェル、失踪)
f:id:mantropy:20170114080006p:plain
(fin)