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京大漫トロピーのブログです

甲斐谷忍を救いたい

 シチョウです。「カイジ」『噓喰い』『賭ケグルイ』。今や一大ジャンルを形成しているといっても差し支えない「ギャンブル漫画」。事実として、本稿の読者諸兄の殆どが「ギャンブル漫画」に一度は触れたことがあるはず。では、最強のギャンブル漫画は何か?個人的に挙げたいのが、『LIAR GAME』です。

 作品自体の説明はもはや不要でしょう。作品内のゲームの完成度の高さもさることながら、「成功した実写化漫画」の筆頭に数えられることでも知られる大人気漫画です。加えて挙げたい『LIAR GAME』の長所が、キャラ漫画としての完成度が高いこと、そしてほどよく分かりやすいことです。まず一つ目の『LIAR GAME』のキャラ漫画としての側面について。「様々なキャラクターを同一のシチュエーションに放り込んで、その際にそれぞれが選択する行動でキャラ性を際立たせる」という話の組み立て方としてよくある手法がありますが、こうした手法は特に閉鎖空間でゲームをする作品との相性がよく、これが上手くいっている作品は名作と評価される傾向にあります。(代表例でいうと『HUNTER×HUNTER』のハンター試験や『イカゲーム』のカンブでしょうか。)ところがこと頭脳戦漫画においては、トリック作りに熱中するあまり、頭いい設定のキャラに「ぼくのかんがえたさいきょうのトリック」を導かせるのに終始してしまうことが往々にして見られます。一方『LIAR GAME』は、キャラの人格とゲームの解法が常にリンクしており、「この人格が左脳をフル回転させればこの結論に達する」ことに対して説得力がある、つまり(さっきも書きましたが)キャラ漫画としての質がかなり高い上にその要素をギャンブルに組み込んでいるのが第一の長所ですね。次に第二の長所について。ギャンブル漫画を読んでいて何が何だか分からなくなった経験は誰しもあるはず。こうなる理由は主に二つ存在し、①ルールが複雑すぎてルールブックを片手に読むしかないが、ルールの記載されていたページなんて精々扉絵に一回書かれるくらいなので、雑誌ではもちろん、単行本でもいちいち見返すのが億劫になって適当に読んでいると分からなくなる。②特に話の後半に差し掛かるとキャラが全員頭よくなるので、読者目線でのキャラクターがおらず、置いてけぼりを喰らう。①に関しては『LIAR GAME』が克服しているとは思いませんが(密輸ゲームとかすっげぇきつかったゾ)、②は頭の悪いキャラが頭の悪い読者に合わせて疑問を呈するので、読者が置いてけぼりを喰らうのは他のちゃんとしたギャンブル漫画に比べて少ないように感じます。『LIAR GAME』は基本的に集団戦なので頭の悪いキャラを自然にゲームに入れられるんですよね。そこが他の大半のギャンブル漫画と差別化できている一因なのでしょう。あと第一の長所の補強として、集団戦であると同時に個人戦なので、キャラの差別化もしやすいんだろうな。

 ここまで聞くと『LIAR GAME』は神漫画と思われるでしょうが、本当に神漫画かと言われると疑問符がつくのが一致の取れる見解ですね。最後の四国志ゲームとか展開読めちゃったしね。あと「裏をかいた」的な展開ばかりで萎えましたね。そして何より、『LIAR GAME』が終わった後の甲斐谷忍があまりに不甲斐なさすぎる。彼はもう頭脳戦を描けなくなってしまったのかな?俺は悲しいよ。そこで、僕は今回甲斐谷忍の代わりにゲームを立案し、そのゲームを活用したシナリオを作ることで甲斐谷忍を救おうと思います!

プロローグ

俺の名前はみかんばこ。憧れの京都大学に入学したはいいものの、その後は大学に馴染めず、いつの間にか2留が決まっていた、典型的なダメ大学生だ。だがそんな俺にも転機が訪れた。「LIAR GAME 参加 ありがとうございます。この封筒を開封したことであなたは正式にLIAR GAME 参加の意思を表明したことになります。ENTRY取り消しはもうできません。それでは〇月×日、文学部学生控室にてお会いしましょう。」こんな手紙を受け取ったら、普通は警察に行くのだろう。でもこんな手紙、誰かの悪戯として軽くあしらわれるのが関の山だ。そんな選択をするくらいなら、俺はこの手紙が本当の可能性に賭けてやる。幸い今は夏休み。時間は無尽蔵だ。さらに俺は2留の身。失うものは何もない。このダメ大学生生活なら抜け出せるなら、俺はなんだってやってやる。

~〇月×日 文学部学生控室~
ここが文学部学生控室、通称ブンピカか。先客が何人かいるようだが、考えていることは俺と同じなんだろうな。というか全員漫トロ会員だ。だが彼らは皆、特に他人に探りを入れるでもなく、ただ時間を潰しているだけだ。漫画雑誌を読む、スマホを眺めるetc……。俺もあの手紙以降何の音沙汰もないし、ただの悪戯だったんだろうな。仕方ない、もう少しここで時間を潰して何も無かったら帰るとするか。

ブブー、ブブー

ん?この通知はLINEでもtwitterでもslackでもなく、SMS?それも非通知の?珍しいな、今時SMSから通知が来るなんて。まあ暇だし一応見ておくか……。どれどれ……、

生存対象:ふれにあ
死亡対象:へっど

ど……、どういうことだよ……、これ……

テテテテ…テテテテ…テテテテテテテ…テテテテ…テテテテ…テテテテテテテテ…


www.youtube.com

※デモプレイ参加者に向けて
ここからは実際に筆者がゲームを立案し、そのデモプレイを会員に行ってもらい、その結果にある程度忠実に物語を構成したものです。筆者がデモプレイ時に記録したのはそれぞれの指名フェーズで誰が誰を指名したか、及びアクションフェーズで誰がどのカードを行使したかだけで、話をスムーズにするために一部実際のプレイから意図的な改変を行ってます。その点はご了承ください。

プレイヤー紹介

- みかんばこ

怠惰を貪るダメ大学生。だが漫画の話をする時とボドゲをしている時は一転、切れ者と化す、カイジ的存在。

- ふれにあ

今の漫トロで最もボドゲが巧いプレイヤーだろう。このゲームを勝ち残る本命の一人。

- へっど

最年長。その年齢に恥じない老獪さを誇る、わけではない。

- 蔦屋

この中で唯一の純一回生(この時点では。)滋賀<我が家>に錦の御旗を持ち帰ることはできるか。

- すいっち

ピュアボーイ。だがそのピュアさが思わぬ方向に作用することも……?
- 清盛
堅実とは真逆の道を突き進むギャンブラー。就活のためか、最近髪で遊ばなくなった。
- 1353
ドジッ娘。誤解されがちだが平和主義者で、そこをつけ込まれることもしばしば。

ルール説明

運営「参加者が全員集まったようですね。それでは皆さん、こちらの14枚のカードから2枚ずつ引いていってください。」

あの手紙、本当だったんだ……。だがここまで来たからにはやるしかない。さて、俺のカードは……。

……?……ただのトランプのカード?一体これにどういう効果があるんだ?

運営「これから皆さんに行っていただくゲーム、それは『ウロボロスゲーム』」

ウロボロス……?ウロボロスって、あの自分の尾を食べる蛇のことか?

運営「皆様には順繰りにプレイヤーを指名していただきます。指名されたプレイヤーはまだ指名を行っていないプレイヤーの中から一人選び、そこで指名されたプレイヤーはさらに指名を行っていないプレイヤーを指名……、といった要領で円環を作ってもらいます。なお、最後に指名されたプレイヤーはスタートプレイヤーを指名したものとみなします。スタートプレイヤーは最初の指名フェーズのみ、JOKERカードを持つ者とし、2回目以降は直近の指名フェーズにて最後に指名されたプレイヤーとします。」

運営「円環を作ったら皆様の手元にあるカードを行使していただくことになります。それぞれのカードの能力は、

♢カードが『自分が指名したプレイヤーの護衛』

♡カードが『自分を指名したプレイヤーの護衛』

♤カードが『自分が指名したプレイヤーの殺害』

♧カードが『自分を指名したプレイヤーの殺害』

そしてJOKERカードが『上記4カードの何れでも使用可能のワイルドカード。但し一度使えば変更は不可能。』

です。これらのカードがそれぞれ2枚、4枚、2枚、5枚、1枚ずつ存在します。皆様は自分が持っているこれらのカードのうち1枚の能力を行使することとなります。これを繰り返していき、①カード行使フェーズにおいて、2ターン連続で誰も殺されなかった場合②生存者の死亡対象が全員死んだ場合 のどちらかの条件を満たした段階でゲームは終了します。」

運営「次に生存対象、死亡対象の説明です。これは得点計算に絡むもので、ゲーム終了時にプレイヤーAの生存対象が生き残っていた場合には、プレイヤーAは1点を獲得できます。死亡対象はいわば逆ですね。ゲーム終了時に自分の死亡対象が死んでいた場合、プレイヤーは1点を獲得できます。この他に、自分が生き残った場合にも1点、自らの手で2人以上殺害した場合には一律で2点の獲得が可能です。1点につき1億円で換金させていただきます。」

清盛「じゃあ、俺達は1点でもとれば1億円稼げるわけか。金盗られるとおもったけど全然そんなことねえんだな。楽勝じゃねえか。」

運営「ククク。清盛様、話は最後まで聞くのが身のためですよ。皆様は①自分の生存点②生存対象の生存点の2点、つまり2億円をデフォルトで得ているわけです。というわけで最初に2億円を我々から融資させていただきます。ただしそのようなバラマキ政策を平然と行えるほど我々の懐事情が潤っているわけではないので、ゲーム終了時に皆様からは2億円を取り立てさせていただきます。つまり例えば清盛様が①殺害され、②清盛様の生存対象も殺害され、③清盛様の死亡対象が生き残り、④清盛様ご自身の手で誰も殺害できなかった場合、1点も獲得できず、清盛様には2億円の負債を背負っていただくこととなります。もちろん最終的に3点以上を獲得した場合には、皆様は大金を獲得することができます。こんな機会、二度と得られませんよ?」

この運営の言葉を聞いてほくそ笑む者はいなかった。誰かが3点以上を獲得すること。それはつまり、誰かが殺されることを意味している。だがJOKERカードや♤カードを持っている奴はまだいい。JOKERはもちろん、♤も「自分が指名した相手、つまり自分の好きに相手を殺害できる。つまり自分の死亡対象を指名し、これを殺害した場合、一気に③死亡対象の死亡点、及び④自らの殺害点の併せて3点を獲得することも夢ではない。」ことを考えればかなり価値のあるカードだ。それに引き換え俺のカードの引きはなんだ?まず2種類のうち1種類を選択するというシステム上、2つとも同じ能力のカードというだけでも大きなビハインドだ。さらに殺害系カードが③④に寄与できるのに比べて護衛系カードが②にしか寄与できない点、さらに♢♤は自ら設定した場で行使できるカードなのに対し、♡♧は誰が自分を指名したかに依存する点を踏まえると、♡が最弱のカードだ。ここから考えるに、♡2枚はおそらく最悪の引き。これはまずいぞ……。

運営「もちろん当てずっぽうで指名し、カードを行使することも可能ですが、それだと皆様も納得なされないでしょう。なので、毎回指名フェーズの前に話し合いの時間を設けます。これを交渉フェーズと呼称し、交渉フェーズ→指名フェーズ→カード行使フェーズ→交渉フェーズ→指名フェーズ→カード行使フェーズ→…といった形でゲームを進行させていきます。」

運営「また、禁止事項がいくつかございます。1⃣自分の生存対象及び死亡対象を記載したSMSの他者への公開。2⃣カードの破棄。3⃣生存者が交渉フェーズ終了時点でカードを3枚以上あるいは1枚以下所有している状態。これらの違反行為が見られた場合、当該プレイヤーは自動的にゲームから排斥され、得点も全て没収させていただきます。大方の説明はこれで終わりですが、何が質問はございますでしょうか。」

なるほど…生存/死亡対象と違ってカードが公開禁止情報でないってことはカードを他者に公開するかどうかは任意で、交渉フェーズ終了時に3枚以上所有してはいけないってことは、交渉フェーズの最中なら所有してもいい、つまりカードはプレイヤー間で取引してもいいってとか。

13「生存対象/死亡対象はそれぞれ違うんですか?」

運営「1353様、大変よいご質問ですね。誰かの生存対象/死亡対象が被ることはございません。つまり、あなたの生存対象/死亡対象が他プレイヤーの生存対象/死亡対象となることはありません。他に質問はございませんか?ないようでしたら早速ですがゲームを始めさせていただきます。まずは交渉フェーズからです。」

※ここからはみかんばこを主人公に据えたモノローグ調ではなく、三人称視点で話を進めていきます。

一日目:交渉フェーズ

みかんばこ視点:兎にも角にもカードを誰かと交換しなければ始まらない。真っ先に考えるべきはカードを交換してもらう口実を作ることだ。だが最弱カードの♡では普通に考えて誰も交渉に乗ってくれない。つまり考えるべきは「これからのあなたの行動に有利に働く」以外のメリットの提案!それは一体……?

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口火を切ったのはみかんばこだった。「このゲーム、2晩連続で誰も死ななければ誰も負債を抱えずに済むんだ!このゲームの必勝法、それはみんなで信じあうことなんだ!」この提案に異を唱えることは、自分が他者を殺すつもりであることを全員に知らせるようなもので、そんなことをすれば真っ先に排除の対象となってしまう。もちろん全員がこの提案に同意し、誰も死なない方法を探る方向に話は進んだ。さて、最もわかりやすい誰も死なない方法、それは全員が護衛系カードを行使することである。そのためには全員が護衛系カードを所持している必要があるが、JOKERを護衛系カードにカウントしてもなお護衛系カードは全部で7枚。7人全員が護衛系カードを所持するには、1人につき1枚ずつでなければいけないのだ。一方みかんばこは護衛系カードを2枚所持している、つまり少なくとも1人は絶対に護衛系カードを1枚も所持していない。そこでみかんばこが行ったこと、それが自らの2枚のカードの開示、そして全員に対する護衛系カードの開示要求である。これを全員が承諾し、公開。ただ1人、蔦屋を除いて。こうして護衛系カードを2枚所持しているのがみかんばこだけであること、1枚も所持していないのが蔦屋だけであることが明らかとなり、みかんばこと蔦屋が♡と♧を交換するに至った。

ここまででもかなり動いたが、みかんばこが仕掛けた策はこれだけではなかった。どんなに御託を並べても、自分の死亡対象を殺せる状況にあるなら誰だって殺すはず。それを回避するために、それぞれの殺害対象を公言してそれぞれが殺し合わないよう指名順を調整しよう。そういって彼は、俺の死亡対象はふれにあであると、嘘を公言。これにすいっちが引っかかってしまった。本当にふれにあを死亡対象としているのは確かにすいっちで、ここで自分の死亡対象がふれにあだとすぐに証言することでみかんばこの嘘が全員にバレ、ふれにあ以外には自分は敵ではないとアピールするのには成功したが、実はこうして炙り出すことこそがみかんばこの真の狙いだったのだ。このゲームには先述の4つの得点手段があるが、③死亡対象死亡点、④自らの手による殺害点は一度達成すれば得点が確定するのに対し、①自らの生存点②生存対象生存点は最後まで削られる危険性を孕んでいる。つまり大量得点を狙うなら自分とは利害が相反する1⃣自分を死亡対象とするプレイヤー2⃣自分の生存対象を死亡対象とするプレイヤーを早めに排除したいところ。これが発覚したことは不安定要素の一つが排除されたことと同義であり、みかんばこ・ふれにあが情報戦で優位に立つ結果となった。また、言い出しっぺのみかんばこが嘘をついたと発覚したことで、誰もが情報の開示に対し消極的になり、自分の死亡対象を明かさなかったのも大きい。みかんばこ・ふれにあが利するに終わるのを他プレイヤーはただ黙って眺めることしかできなかった。

一日目:指名フェーズ

さて、ひと悶着はあったものの、「二夜連続で全員を護衛し合えば誰も負債を抱えずに済む」という点では全員が合意しているため、護衛し合い作戦は継続中である。ここで考えるべきは、「誰かが裏切っても問題ない体制」の構築だ。護衛系カードは全部で7枚。プレイヤーは全部で7人。「全員が誰かの護衛カードで護衛される状況」を構築するのが理想だし、一見それは出来そうに思える。だが♢2♡5、あるいは♢3♡4の状態で、これを満たすのは不可能である。以下の図を見てほしい。 お分かりいただけただろうか。だが、7人中6人が護衛し合える状況を構築することは可能だ。J♡♢♡♢♡♡の形を作ればよい。JOKERが♢にも♡にもなれることを踏まえると、JOKER持ちがどちらを護衛するかは誰にも言わなければ、護衛されている可能性を捨てきれない以上他プレイヤーも迂闊に手出しはできない。そういうわけで話し合いの結果、

へっど(J)→蔦屋(♡)→1353(♢)→みかんばこ(♡)→清盛(♢)→ふれにあ(♡)→すいっち(♡)

の順で指名する運びとなった。だが、この盟約を破る者が現れた。みかんばこである。1353までは順調に進んだものの、みかんばこは清盛ではなく、ふれにあを指名。この行動は清盛の日頃の行いに起因する。そもそもこのゲームは殺害のほうが護衛より圧倒的に得点に繋がりやすいので、基本的に他プレイヤーは殺したほうが得である。だが、自分の生存対象、そして自分を生存対象とするプレイヤーについては自分が死ぬことで不利益を被るので、この二人だけは自分の味方とカウントしてよい。唯一の例外は、ここで言えばふれにあの死亡対象がみかんばこである場合だが、その確率は僅か1/5。対して清盛がみかんばこの味方でない確率は、実に4/5に上る(結論から言えば残りの1/5だったわけだが)。それでも1353やすいっちのような実直な性格、あるいはふれにあのような理性的な性格なら信頼できるが、清盛は普段から理外の一手を打ちがちなギャンブラー。裏切ってもおかしくない。1353は護衛してくれるだろうが、念には念を入れて、自分の味方のふれにあを指名しようという結論に彼は達した。続くふれにあは、自分を護衛してもらうためと称して♡持ちのすいっちと♢持ちの清盛の中からすいっちを選択。だが、彼の真意は別にあった。

一日目:カード行使フェーズ

指名結果:へっど→蔦屋→1353→みかんばこ→ふれにあ→すいっち→清盛

清盛視点:自分の手持ちは♢と♧!つまり取れる行動は、へっどの護衛、あるいはすいっちの殺害の二択!だがへっどは蔦屋が護衛するので、新たに自分が護衛する意味はない!一方ふれにあが♢を持たないので、すいっちはノーマーク!これらの事実から、どちらの行動のほうが俺にとって利益があるかは火を見るより明らか!

話し合い通り、全員が護衛し合って誰も殺されずに済みました。めでたしめでたし♪ とはもちろんならなかった。なぜならこれは『LIAR GAME』、日本語にして『噓つきのゲーム』だから。

さて、それぞれの行動の意図を探っていこう。まずは最も意図がわかりやすいふれにあから。理由はもちろん敵の排除。ふれにあの強みは最強カードの♤を持っていること、そして自分を死亡対象とするのがすいっちであると知っていること。さらに言えば、もし先にみかんばこが消えて、すいっちが♤持ちで、自分を指名してきた場合、自分を守る術はない。そうなる前に、自分が殺される前に、殺れる内に殺る。幸い今はまだ「護衛し合い作戦」が成立している。だが、誰かが死ねばこの作戦は一気に瓦解する。その前に、自分だけが牙を研いでいる間に先制攻撃を仕掛けたい。あと清盛は♡を持たないのですいっちを守らない。反撃されずに殺せるのは今しかない。ふれにあがすいっちを殺害したのは必然とすら言えよう。

続いて興味深い動きを見せている蔦屋について見ていこう。蔦屋のカードは♡と♧。とれる選択はへっどの護衛or殺害。だが清盛が♢を持つのでへっどの護衛は意味がない。だから♧を使ってへっどが死ねば最善、防がれても次善(どのカードが使われたかは公開されないので、へっどが死ななければ死なないで「作戦に協力した」と主張すればよい。)よって♧を使う。この発想は極めて正しいが、ついこの間まで高校生だった彼が、周りが上回生ばかりの中、全員で決めた作戦を破って思い切った行動をとれるという事実に非常に驚いた。筆者が彼の非凡さに気付いたのはクロス辺りだったが、今思えばこの時点(これを行ったのは去年の夏休みくらい)で彼はその片鱗を見せていた。てか漫画読むことと全く関係ないイベントによく参加してくれたな、マジで。

意外にも、ここまで大暴れしていたみかんばこは律儀に1353を護衛している。まあ性格的に恩を売っておけば裏切らないであろう会員は1353とすいっちくらいなので、ここは1353の信用を勝ち取るほうが自分にとって得だと判断したのだろう(し、この選択は後々生きてくる。)

二日目:交渉フェーズ

ふれにあ視点:ひとまずの脅威は去ったが、生存対象のへっどが殺されたことで得点は減ってしまった。ここから2点に戻すには、1353の死亡あるいはもう一人自らの手で殺害することが必要!理想は自分が1353を指名して殺害すること!あと、自分を死亡対象とするすいっちが消えたので不安定要素の排除のために無闇やたらと人を殺す必要はなくなった。2人以上は何人殺しても得点変わらないしね。

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早くも均衡が崩れた。こうなると基本的に皆、自己の利益のため以上の行動をとらなくなる。特にみかんばこ・清盛・1353はこのままゲームが終われば負債を抱えずに済むのでなおさら保守的な行動をとりがちになるのは容易に想像のつくところである。そうなると今回の指名フェーズのスタートプレイヤーである清盛のこれからの行動は「1353を指名し、♢で護衛」に自ずと決まったようなもので、次なる指名者である1353の行動も「蔦屋を指名し、♢で護衛」でほぼ確定である。このような膠着状態で会話が進むはずもなく、二日目の交渉フェーズはあっさり終了してしまった。

二日目:指名フェーズ

清盛→1353→蔦屋

までは交渉フェーズで説明した通り。続く蔦屋が指名したのはみかんばこ。ここはまあ、みかんばことふれにあのどちらを選んでもあまり変わらないが、前回のカード行使フェーズでふれにあの右隣が死亡していることを踏まえると、♤持ちの可能性が高い(つまり♧持ちの可能性が低い)ふれにあを指名したほうがよかった気もする。ただ、蔦屋から見ればへっどが死んだのは清盛がへっどを守らなかったからで、清盛の左隣が死んでいるということは清盛は♧を使用した。一応全員の合意を得たはずの「護衛し合い作戦」から3人も裏切者が出るのは考えにくいのでふれにあは平和主義者。という発想になってしまうのも理解できるところである。この辺は明確な正解が見えないので難しいね。ましてや挟撃の可能性をこの時点で思いつくのは難しいものがあるのだろう。ともかく、みかんばこが指名され、最後の1人、つまり次のスタートプレイヤーはふれにあとなった。

二日目:カード行使フェーズ

指名結果:清盛→1353→蔦屋→みかんばこ→ふれにあ

蔦屋視点:自分の生存対象がいない以上、みかんばこが死ぬか自分が二人殺すしか負債から逃れる道はない。しかし、自分の手持ちのカードは♡と♧。運よくみかんばこが自分を指名すればよいが、みかんばこにもみかんばこなりの思惑があるだろうし、やるならこちらからみかんばこに指名したいよう仕向けることが必要!しかし、自分の左隣のへっどが昨晩死んでいることからみかんばこには自分は♧持ちで殺害点狙いではないかと警戒されているはず!みかんばこが自分を指名するという限りなく低い可能性に賭けるなら、手当たり次第に自分を指名した相手を殺したほうが遥かに勝利への近道!

惨劇は怒らなかった。1353・蔦屋が護衛されており、蔦屋・みかんばこの攻撃が効かなかったのが大きい。ふれにあが清盛の殺害に動かなかったのは次で1353を殺せる公算が大きいからだろう。2人以上は何人殺しても得点には繋がらないので、全体の収支を考えると無益な殺生は避けたほうが良いのだ。それにしてもみかんばこは貪欲だね。一応確かに誰がみかんばこを殺したがっているか分からない以上(もちろん蔦屋の可能性もある)殺しまくるのは正しいのだが、すでに1億得してるのにまだ狙うんだなあ。

三日目:交渉フェーズ

※基本的に二日目と状況は変わっていないので、現状を表すExcel図はなし

ふれにあ視点:指名フェーズで1353を指名し、♤で殺害する行動までは確定!これをすれば仮に自分が殺されても③死亡対象死亡点④殺害点で3点を稼いで収支+で終えられる!これで1353が死なないとすれば、1353の指名相手が♡で1353を護衛するパターン!つまり、この交渉フェーズで行うべきは1353の指名相手に♡を使わせないよう工作すること!まず考えるべきは1353が誰を指名するかの考察!理想は同盟関係にあるみかんばこだが……。

1353視点:基本的には二日目と状況は同じだが、唯一違う点がある。それは、今晩誰も死ななければゲームが終わってしまうこと。殺害点は2人以上の殺害でしかカウントされないので、一日目に殺人を犯した連中はこの晩でもう一度殺さないと殺した意義を失ってしまう。例えば一日目に両隣が死んだ清盛は確実に殺害点を狙うし、また、ふれにあ・蔦屋の内1人は確実に、下手したら2人とも殺害点狙いの可能性すらある。こうした状況を踏まえると、みかんばこと組むのが最も丸いが、そうでなくとも既に2点、できれば3点以上を保持しており、なおかつ♡持ちの生き残りプレイヤーがいれば、そいつと護衛し合って生き残ればいい。ここからの結論。交渉フェーズの初手は、護衛し合おうと提案すること!

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まず触れておきたいのは、この時点でみかんばことふれにあの同盟関係がかなり強固になっている点である。みかんばこ→ふれにあが2度続いているのに互いに一度も攻撃し合っていないことから、ふれにあ視点ではみかんばこは♧持ちか、♤を持っていても自分の味方と認識してもいいということになる。これはみかんばこ視点でも同様で、ふれにあから攻撃されるリスクは(少なくとも自分がふれにあを指名する限りは)かなり低いと言ってよい。

もう一つ触れたいのは、残る♡持ちプレイヤーの中に2点以上の者が1353以外にも絶対にいるという点である。残る♡持ちプレイヤーはみかんばこ・ふれにあ・蔦屋の3人。彼らは生き残っているので①生存点の1点は確定しており、また、まだ2人しか死亡していないので、②生存対象生存点を削られたのもまだ2人しかいない。つまり、みかんばこ・ふれにあ・蔦屋の3人の内少なくとも1人は②生存対象生存点を削られておらず、1353はそのプレイヤーとは同盟を組めるのだ。

前提条件はこれくらいにして、交渉フェーズの経過について記そう。1353の提案に合意したのは2人。みかんばこと清盛だ。♡を持っていない清盛がなぜこの交渉に乗れるのか、疑問に思う読者も多いだろう。すいっちの生存対象、そしてすいっちの持っているカードを見てほしい。このゲームは死んだ後でも②生存対象生存点③死亡対象死亡点は狙えるので、ゲームに干渉することには意義があるのだ。すいっちは死後、自分の生存対象である清盛に接近(これは二日目から行われている。)清盛は1353の同盟相手に名乗りを上げ、♡確保の根拠として、1353の目の前で♡と♢をすいっちと交換して見せた。そして、自分の生存対象が1353であると主張したが、生存対象が1353であると主張したのは清盛だけではなかった。へっどである。すいっちが清盛に接近したのと同様、へっどもみかんばこに接近。だがみかんばこはへっどと表立ってつるむのには難色を示した。既に死亡したプレイヤーが生き残りのプレイヤーに接近する→そのプレイヤーに既に死亡したプレイヤーが接近するメリットがある→この場合、最も想定されうる(というよりほぼ唯一の)メリット、つまりこの行動の要因、それは死亡したプレイヤーの生存対象が接近されている側のプレイヤーで、死亡したプレイヤーは生存対象の生き残りのアシストをしているということである。逆に言えば、「死亡対象に接近されているプレイヤーは誰にも護衛してもらえない」、つまり格好のカモということになる。ここを懸念したみかんばこのへっどに対する指示、それは必要な時が来れば嘘をついて場をかき回すこと。いわば人狼でいう狂人役である。そしてへっどは、自分の生存対象が1353であると公言。1353の結論はみかんばこ有利の折衷案、つまり、「基本的にみかんばこと組むが、1353より先にみかんばこが指名された場合のみ、清盛と組む。」結果論では誤りだが、この1353の判断を責めることはできない。たとえ本当に清盛の生存対象が1353だったとしても(事実そうだが)、②生存対象生存点-1④殺害点+2で、1353の殺害は清盛にとってトータルでプラスとなるので、殺害点狙いが確実な清盛と今更無条件で組む者はいない。ふれにあと状況が同じだろうと思われるかもしれないが、ふれにあが無益な殺生を行わないのは「自ら指名した相手を殺害できる」♤を持っており、1353を殺せる場が整いつつあったからであり、すいっちと合わせても♧しか殺害系カードを持たない清盛にはそんな真似はできない。また、1353視点ではへっどと清盛では清盛のほうが怪しく見えるのも大きい。同盟を破った前科があり、虚言をいう動機も明らかな上に(最低でも1点、最高3点清盛は1353を殺して手に入る。それも1353の護衛付きなのでノーリスクで)、虚言疑惑が付きまとっては誰も清盛を信頼できないだろう。一方既に死んでおり、自らの手で殺害できないへっどが噓をつく動機は清盛に比べて一見かなり薄い。結果的に、へっどの虚言はみかんばこにとってかなりのファインプレーだった。

これを見たふれにあは(1353にバレないように)みかんばこに♤を見せ、自分が今晩1353を殺害するのでみかんばこに1353を護衛しないでくれと要求。ふれにあ→1353→みかんばこが確定しており、みかんばこがふれにあに協力すれば1353は死亡が確定する。この提案はみかんばこにもメリットがある。ここで1353を♧を用いてノーリスクで殺すだけで(1353が守ってくれるのでみかんばこは自分が殺される心配をしなくてよい)、あと1人殺せば一気に2点入る状況に持っていける。一方、1353を生かすメリットは(単純な得点だけを考えると)みかんばこにはない。みかんばこはこの提案を受諾。ここに1353の死亡が確定した。

三日目:指名フェーズ

ふれにあ→1353→みかんばこ

までは先ほどの説明通り。次にみかんばこが蔦屋・清盛の中から選択したのは清盛だった。ここはどちらでも構わないように個人的には思えるが、まあより信頼できない清盛に死んでもらいたかったのだろう。状況を少し整理しよう。みかんばこ・ふれにあ・へっど陣営で♤を2枚有していることから、蔦屋も清盛も♧使いが確定。清盛は自分を指名したプレイヤーしか殺せないので、一日目のへっど殺害犯は蔦屋で確定。つまり、2人とも殺害点狙いであり、誰かを殺す必要に駆られている今夜に彼らが♧を使用するのもほぼ確実。そうなるとみかんばこの指名したプレイヤーが死ぬことになり、どちらが死ぬかはみかんばこの匙加減次第ということになる。何はともあれ、これで清盛の死亡も確定した。それにしても1353は毎回早く指名されるなあ。大人気だなあ。

三日目:カード行使フェーズ

三日目の交渉・指名フェーズにおけるふれにあ・みかんばこの思惑通りに事は進んだ。そして、過半数のプレイヤーが殺害されたことで、ゲーム終了条件2⃣、残る生存者の死亡対象が全員死亡した段階でゲームが終了する、が発動され、ゲームが終了する可能性が浮上したが、ゲームは続行。このため、残るみかんばこ・ふれにあ・蔦屋のうち生存者が死亡対象のプレイヤーがいることが、全員に明らかになった。

四日目:交渉フェーズ

蔦屋視点(交渉フェーズ前):残り3人で今日のスタプは自分。これはつまり、♧持ちの自分でも、自分の殺したい相手を殺せるということ!みかんばこを殺すならこの機をおいて他にない!そのためにふれにあに接近し、みかんばこを挟撃する!

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蔦屋のこの発想は間違いではない。誤算があるとすれば、今日の戦いは「いかに点数を稼ぐか」ではなく、「いかにゲームを終わらせるか」の戦いであるということ。みかんばこは、ふれにあの死亡対象が1353で、自分の死亡対象がへっどで、すいっちの死亡対象がふれにあであることを知っている。これらの事実とゲームが続行しているという事実から導かれる結論はただ一つ。蔦屋の死亡対象がみかんばこだということ。一方ふれにあ視点で考えると、ゲームが続行している理由はみかんばこの死亡対象が蔦屋だから、あるいは蔦屋の死亡対象がみかんばこだから。いずれにせよ、蔦屋かみかんばこ、どちらかが死ねばこのゲームは終わる。これ以上得点の伸びが見込めないふれにあからすれば、今日でゲームは出来る限り終わらせたい。そのためにはどちらかが死ぬのをアシストしたいところ。この場合、これまで散々アシストしてくれたみかんばこを支援するのは当然の発想だろう。

さて、前置きはこのくらいにして交渉フェーズの経過を記そう。みかんばこか蔦屋、どちらかが死ねばゲームは終わる。だとすれば他のプレイヤーが行うべきは、何方に生き残ってほしいかを見極め、自分が有利な方向に場を持っていくことである。みかんばこ側についたのはへっどと清盛。対して蔦屋側についたのは1353とすいっちだ。彼らのできること、それは生き残っているプレイヤーへのカードの提供。その結果、両陣営のカード取得状況は以下のようになった。

蔦屋としては♤がほしかったところだろう。みかんばこ・ふれにあがどの2枚で指名フェーズに臨むのかはわからないが、自分に指名権が与えられている以上、自分の所持カード2枚を♤♧にしてみかんばこ・ふれにあに対し択を仕掛けるムーブが強いし、できればそれがしたがったが、できない以上は仕方ない。生き残った3人は自分の所持カード2枚をそれぞれ整え、指名フェーズ・そしてカード行使フェーズに臨むこととなる。

四日目:指名フェーズ

大方の予想通り、蔦屋が指名したのはふれにあだった。ここで大方の予想を裏切ってみかんばこを指名したとしても、みかんばこ陣営に♤が2枚あることから、どちらが指名されてもいいようにそれぞれ♤を1枚ずつ装備しているのは確実で、今晩蔦屋が殺されるという事実には変わりない。となると考えるべきは(JOKERが♢でないと仮定して)♢をどちらが所持しているか、ということである。もし蔦屋が指名したプレイヤーが♢を持っていなければ、指名していないプレイヤーとの相打ちには持ち込める。すいっちに味方についてもらっている以上、ふれにあを刺し違えてもすいっちに③死亡対象死亡点を与えてもよいかもしれないが、自分の③死亡対象死亡点を放棄してやることでもないかもしれない。個人単位でみるか、集団としての勝利と見るかの違いだが、蔦屋が選んだのは個人だった。まあ蔦屋+すいっち+1353で5点で、3人で合わせて6点分を運営に返還しないといけないことを考えると、集団としては負けが確定しているので個人の勝利を優先するという発想に行きつくのは当然だけどね。味方にもカード運にも恵まれなかったのが運の尽きだね。

四日目:カード行使フェーズ

結論から言えば、蔦屋は初めから詰んでいた。一日目にへっどがJOKERを♢として使用していたので、みかんばこ陣営は♢を2枚、♤を2枚ずつ所有していたのだ。みかんばこ・ふれにあが2人とも♢・♤を1枚ずつ装備し、蔦屋の指名を受けたプレイヤーは♢を、そうでないプレイヤーは♤を行使すれば、蔦屋は死亡し、2人とも勝ち残ることが可能となる。これも蔦屋が♤を持っておらず、初日にへっどがJOKERを♢として使用したことで初めて成立した作戦だった。みかんばこ・ふれにあの勝利はもちろん彼らの権謀術数の賜物ではあるが、それ以上に運に恵まれた面も大きい。いや、みかんばこの初期手札が最悪だったことを考えればやはり勝てたのは運より実力の面のほうが大きい気がする。

エピローグ

※ここからみかんばこ主人公でのモノローグに戻ります。

運営「このような結果になりましたか。順当というか、無難というか、そういった感じの結果ですねえ。個人的には1353様に期待していたのですが……。」

俺「おい運営!聞こえてんだろ!」

運営「これはこれはみかんばこ様。5点獲得おめでとうございます。2億円こちらが回収させていただくことを踏まえましても、みかんばこ様は3億円を獲得したことになります。つきましては次のLIAR GAMEにご参加…」

俺「違う違う。俺の言いたいことはそういうことじゃねえよ。7人の得点の合計を数えてみろ。何点だ?」

運営「はあ?それを行うことに何の意味が?まあいいでしょう。我々もみかんばこ様には一目置いています。そのくらいの頼みは聞いて差し上げましょう。……じ、15点!?」

俺「最初の俺達の合計得点は14点。用意されたのは全部で14億円。残り1億円、何をしてでも俺達にちゃんと支払ってくれるよなあ⁉」

運営「ど、どういうことだ?こんなはずは……。」

俺「挟撃だよ。お前らは人1人あたり2点分で、その2点は殺害された場合には死んだプレイヤーの死亡対象とその殺害者に1点ずつ入るように、さらに殺害点を2人以上一律2点にすることで、全体としてみた場合の殺害点の価値が1点以下になるように調整して、合計点を14点以内にする魂胆だったんだろうが、挟撃した場合殺害者は2人だから人1人あたりの価値が2点ではなく、3点になるんだ。これを利用すれば全体でお前らが用意しないといけないといけない金額が14億円を超え、お前らを破綻に追い込める。そう考えたんだ。」

運営「い……、一体いつからこれを……。」

俺「挟撃の可能性に気付いたのはふれにあが俺に1353を護衛しないよう提案した時だ。ただ護衛しないだけでも良かったが、疑問に思ったのが、ここで俺が1353を攻撃するとどうなるか。もし俺とふれにあの両方が殺害者としてカウントされるなら、1353の価値は2点ではなく3点になる。あとは他のプレイヤーと口裏を合わせて、俺が殺害点を獲得できるように仕向けてもらうだけだ。」

運営「ま……、まさか……、お前ら全員……、グル……!」

蔦屋(コクリ)

13「……え?え?もしかして、私だけ聞かされてなかった……?」

俺「お前はドジッ娘だからな。言ったらボロを出しそうな気がするから言わなかった。ともかく、俺の大切な仲間をこんな糞みたいなゲームに巻き込みやがって、絶対に許さねえ!どんな手段を使ってでも取り立ててやるからな!」

運営「わかった。俺達にも俺達なりの事情があるんだ。このゲームはなかったことにするから、とりあえず事情を聴いてくれ」

そうして彼らは、『LIAR GAME』が開催された理由を語り始めた。そもそも『LIAR GAME』は25年前に出版されたある海外小説になぞらえており…(本編と同じことを書こうと思ったが面倒なので省略。気になるなら本編嫁。)…ということだった。

俺はいくつか質問を用意していたが、それに対して返答が来ることはなかった。

LIAR GAME』開催の経緯について運営が説明し終えた瞬間、テレビの電源が切れたからだ(運営とはテレビの画面を通じて会話していた。)

蔦屋「おかしいですねこのテレビ。全然直りません。」

清盛「そんなに複雑な構造じゃないからすぐ直ると思うぞ。どれどれ……。」

おかしい……。こんな都合のいいタイミングでテレビが壊れたり通信が切れたりするはずがない。どういうことだ……。……!

ほんとうの、ほんとうに、エピローグ

そもそも終盤以外『LIAR GAME』に不満はないので、真面目に本編で通用するゲームを作ろうとする場合、そのゲームをどこに差し込むかと問われたら最後の入札ポーカー~四国志ゲーム以外にはありえないだろうと考えていました。それにあたって考えるべきは最終ゲームに必要な要素、つまり運営の負けになる要素を入れることです。本編の四国志ゲームは展開が読めてしまったのがあまり好きではないのですが、これはどうでしょう。挟撃させることで合計点を増やすというのは我ながらいい発想だなと思うのですが。(実はデモプレイでは総計15点以上にはなっていません。そうなるよう改変を施しました。)あとは実在の会員を使う以上、あまり失礼のないように全員を立てたつもりなのですが(この記事自体が甲斐谷忍に失礼なのにそこに対する配慮はないのかという指摘は尤もなのですが、この記事は『LIAR GAME』をかなり持ち上げているつもりなので、それで配慮したことにならないですかね?)、全員の思惑を真面目に追い過ぎて『LIAR GAME』というより『HUNTER×HUNTER』の王位継承戦のようになったのはちょっと良くないかなと思っている点ですね。このゲームでもいいし、また別のゲームを作って『LIAE GAME』のキャラにプレイさせましょうかね。それともカイジや獏さんを入れたクロスオーバーSSにするのもアリかもしれませんね。ただ、それぞれの思惑を明確に描いたうえで、話を破綻させずに書くのはかなり大変でした、もうあまりやりたくないので、やらないかもしれません。こんなことをずっと考えていて、漫画家は凄いなあ。甲斐谷忍が疲れて頭脳戦要素の殆どない漫画に逃げてしまうのも少しわかったような気がしました。