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京大漫トロピーのブログです

【12/24】東方project聖地巡礼~今宮神社編~

誰しもずっと前からやりたいと思っているが、数年もの間放置し続けていることが一つや二つはあると思う。筆者の場合は聖地巡礼(これを以てテーマ回収とする)が該当する。筆者はかつて京都を舞台にした某バンドアニメの酔狂な信者だった。どれほどかというと初めての大学二次試験終了後、彼女たちの合格シーンを見続けることで自身を鼓舞していた程である。当然落ちたが。そして、京都と聖地が近いからというのも態々関東から関西まで来た理由の2%くらいは占めていると思う。まあ結局半分くらいしか回り切れていないが。
 本題はここからだ。最近筆者の中では東方projectがマイブームだ。日本古来の神道・仏教etc…を題材にしたコンテンツ故各地に元ネタとなる聖地が存在する。最も多いのが我らが神主ZUNの出身地長野だが、京都も聖地が多い場所である。
 天下の東方様、ということで筆者などが2020年代にも突入して文字に書き起こさずともWeb上にはいくらでも聖地巡礼記がありふれているが、全ての聖地が網羅されているわけではない。オタクの聖地巡礼が最盛期だったのは2000年代後半~2010年代初頭だというのが私の認識だが、今も脈々と東方projectというコンテンツは拡大し続けているのである。実際調べてみると今宮神社という所は東方と所縁が深い一方で聖地巡礼の記事がない。善は急げ、というわけで行ってみた。
●アクセス
京大から今宮神社へのアクセスは市バス206番で船岡山まで行くのが一番手っ取り早い。当然だけど向きには注意すべし。(筆者は京都に5年いるのに向きを間違えた。)近くには大徳寺など有名な寺社があることもあり、近隣には敷地外にも狛犬がたっていたりする。
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●楼門
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いざ着いてみるとずいぶんと壮大な門である。これは楼門と呼ばれるものだが、早速東方projectとの所縁が見える。楼門は仏教由来の建築であり、唐風文化に根差したものである。東方の題材は基本的には文明開化以前の日本文化だが、中国風の舞台も出てくる。『儚月抄』『紺珠伝』は月の都を舞台とした作品だが、月の都は中国をモチーフとしており、紫禁城の様な建築物も登場する。

中国がモチーフなのはかの神主も公認であり、月の都の侵略者であるクラウンピース星条旗柄のタイツを纏っているのも今日の世界情勢を反映しているらしい。昔のTwitterでの神主の発言や近年の作品のシナリオを見るとなんと政治色の強い作品かと思わされる。
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●神社の沿革
根本的な疑問として今宮神社とはそもそもどんな神社なのかと思った読者もいるだろうから簡潔に歴史を述べる。今宮神社は1001年に平安遷都以降流行していた疫病を鎮めるために建立された神社である。
疫病は東方内で大きく取り上げられたことはないが題材としたキャラクターは存在する。例えば黒谷ヤマメの能力は『病気を操る程度の能力』である。
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彼女は土蜘蛛であるが、土蜘蛛は当時朝廷に対する反抗勢力を指した。厄神信仰も疫病との関連が深い。神社建立の時期とは多少ずれるが承平・天慶の乱など朝廷への反抗勢力の登場もまた疫病と同様に不安感を呼び起こしたことも想起される。
神社建立時には厄神を船岡山に安置した後厄災を乗り移らせた幣物を難波江に流したとされ、これが現在まで続く京都の御霊会の始まりである。東方に出てくる厄神といえば鍵山雛だ。彼女は人間たちの厄を吸収して神々に受け渡す役割を担う他、作中でも流し雛として川を流れていたりする。
ちなみに(本筋と関係ないが)筆者が2021年度個人ランキングで3位に置いた『切れぬ牌などあんまりない!』という公式東方同人麻雀漫画があるが、2021年12月現在彼女は闘牌最中である。ちょうど明日最新刊が発売されるのでおススメだ。他にも疫病と同様に平安京への脅威がモチーフになっているキャラには封獣ぬえなんかがいる。彼女のモチーフは勿論鵺。鵺が伝承に現れるのは1100~1200年ごろと時代はずれるが、その時代は政争により一層動乱が加速していた時期である。
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主祭神
 標識によれば神社が祀っている神はクシナダヒメ・事代主神大国主神であるがいずれも東方projectと所縁が深い。
 クシナダヒメはヤマタノオロチに生贄として捧げられる所をスサノオに助けられた。彼女は大蛇討伐時にスサノオの櫛となったが、櫛はタケノコの成長の速さを表すことや水の神である大蛇を退治することで治水を行ったことから稲田の神として祀られ、稲田姫とも呼ばれる。東方で稲田姫といえば『風神録』の「稲田姫様に叱られるから」。豊穣の神、秋穣子のテーマ曲だ。
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 事代主神は別称恵比寿大神七福神の一柱だ。七福神が直接作品内に出てきたことはないが所縁のあるキャラは登場する。寅丸星だ。彼女は命蓮寺と呼ばれる寺で毘沙門天の代理として信仰を集めている。毘沙門天ではなくその代理なのは、毘沙門天自身が多忙であること・命蓮寺は人間・妖怪共に受け入れる事を旨としているが妖怪自身が毘沙門天を恐れているから、らしい。毘沙門天は星の監視役としてナズーリンを派遣した。彼女と星の関係性は複雑だがフランチャイズ店のオーナーと本部からの派遣社員と考えればイメージしやすいだろう。そしてこのナズーリンこそがかの有名なNYN姉貴の元ネタだ。
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大国主神は日本を建国した神でありいわばすべての神話のルーツである。彼が直接登場することこそないものの多くのキャラクターと関係性が深い。例えば『風神録』の守屋神社の面々のルーツをたどれば大国主神に辿り着く。大国主神をまつる神社として最も有名なのが出雲大社だろう。島根に所縁が深い東方キャラは枚挙に暇がない。八雲紫、摩多羅隠岐奈、マエリベリー・ハーン…。時事ネタでいえば村紗水蜜か。彼女の元ネタは隠岐島の伝承に登場する妖怪ムラサだが、それにあやかって公式コラボの町おこしが行われている。確か日本酒や米を売っていたはずだ。(社会人で金が余ってたら買ってたと思う。)
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因みに村紗水蜜はかの有名なJOKER姉貴が演じたキャラでもある。
狛犬と天邪鬼と四天王
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神社に入って少し歩くと狛犬が目に入る。また狛犬か・・・と思ったが、今宮神社の狛犬は天邪鬼を踏みつけているのが特徴だ。天邪鬼は煩悩の象徴。それ故神社を守る狛犬に踏まれている。狛犬も天邪鬼も両方東方に登場する。狛犬をモチーフにしているのは高麗あうん、天邪鬼をモチーフにしているのは鬼人正邪だ。一般的に天邪鬼を踏みつけているのは普通四天王だが、四天王も東方に登場する。その一角、伊吹萃香は『弾幕アマノジャク』で鬼人正邪と対峙している。また萃香はかの有名なYMN姉貴の演じた代表キャラだ。
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●分社
 境内をぶらついていると他の神社の分社が何個か建てられているのが目に入った。これを見て思い出すのは『風神録』のEDだろう。ネタバレになるが、『風神録』は要は古参の博麗神社と新参の守屋神社の勢力争いの話だが、最終的には守屋神社が博麗神社の敷地に分社を建てる形で終わる。
●まとめ
 特に後の方が駆け足になったが、ぱっと気づいた東方要素を粗方述べてみた。信心深い人がいたら何かの参考にしてください。
●おまけ 
絵馬が面白かったので写真を掲載。
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