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京大漫トロピーのブログです

【12/24】Field of Dreams

メリークリスマス、M1のまるたです。
漫トロピーの忘年会が昨日行われ、食べ飲み騒いで今年の活動を締めたかと思いきや、まだアドカの出番が残っていました……。
6年目ともなるとネタ切れなのですが、未だ会員として活動できるのは嬉しい。
あ、タイトルと本文は関係ありません。悪しからず。


今年のテーマは「プレゼント」。
僕はプレゼントが誰に渡るか分からない交換会は正直苦手で、部活のクリスマス会では無難にハンカチやマグカップなどの日用品を選んでいました。
逆に親しい部員の誕生日祝いは幾分気楽。友人と共に梅田のロフトまで淀川大橋を歩いて渡り、笑える雑貨を買い求めたのが思い出深い。
しかし、選ぶ側は楽しくても貰ってみると使い道に困るものも多く、実家の僕の机には変なイラストのステッカーが多数貼りつけられ、いかつい河童のフィギュアが飾られています。
逆に嬉しかったもので言えば、友人に貰ったストパンのマグカップは今も使用しているし、小学生の頃、親から貰った海外小説は何度も読み返しました。
結局相手の趣味嗜好に合わせるのが一番かもしれません。サプライズに拘らずいっそ何が欲しいかを聞くのもありですね。


さて、プレゼントに関係する漫画を考えるうちに、前置きが長くなってしまいました。本題に入りましょう。
フィクションの世界ともなれば、時に神様が何かを授けてくれることもあります。
スポーツ漫画好きとして、神様からプレゼントを貰った男の話を一つ。厳密にはプレゼントというより、願いを叶えられた形ですが。

同名小説のコミカライズ。コミカライズ担当の渡辺保裕さんは『ワイルドリーガー』や『ドカコック』、最近だとアフタヌーンで『球場三食』を描かれていました。

以下、ネタバレを含みます。

主人公は大阪天王寺で暮らすホームレスの"ケンちゃん"。熱狂的なタイガースファンでもあります。
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このドモりが特徴の冴えない男は、40歳の誕生日に、神様から「今年の人間大賞に決まったので何でも一つ願いを叶えてやる」と告げられます。
何故人間大賞に選ばれたかというと「生まれてこの方一度もウソをついたことがない」から。正直者が報われる気持ちの良い設定ですね。
神様に願ったのは、「世界で一番うまい40歳になって、阪神タイガースで活躍したい」。
これにはケンちゃんだけでなく、親友である心臓が弱く野球ができない小学生・タケ坊の夢も重ねられていて、願いが決まる過程にもケンちゃんの優しさが表れています。

投げては165キロの剛速球、打ってはホームラン連発の超人となったケンちゃんはタイガースの入団テストに臨みます。
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往年の阪神の名選手を彷彿とさせるプレーで見事合格(原作者の阪神愛が伝わってきますね)。
ドラフト指名を受けたケンちゃんは翌シーズン、一躍ヒーローとなり活躍する……という話です。

「神様に与えられた力で無双」「社会弱者の逆転劇」など近年のラノベのような要素が散見されますが、本作は決して安っぽい量産品ではありません。
僕がこの漫画を好きなところは登場人物の背景がしっかり描かれている点です。
主人公ケンちゃんと彼のドモりを唯一聞き取れるタケ坊の間には、年齢は離れているものの親友関係が成立しています。
家業を継ぐために野球を諦めたタケ坊の父親や同じく阪神愛に満ちたホームレス達もケンちゃんの夢路をサポートしてくれ、世間の温かさを感じる人情ものとしての見方が強いです。

もちろん何もかも順風満帆なわけではありません。神様が与えてくれたのは野球の技術だけで、体力的・精神的にはただの中年ホームレス。
開幕後も40歳の経歴不明のルーキーが大活躍となればマスコミは黙っていないし、日本シリーズに進出したケンちゃんを思わぬ障害が待ち受けています。

漫画らしい荒唐無稽な設定、スポーツものとしての痛快な活躍、実名選手を出すファンサービス、人情味溢れるストーリー。
全3巻という短い巻数で内容がしっかりしているので、特に阪神ファンにはおすすめできるかと。


今思いましたが、ケンちゃんのスペックって大谷翔平では?現実が小説に追いついた例の一つですね。凄い。
来年は野手に専念するという報道もありましたが、同年代として更なる活躍を期待します。


漫トロで紹介していないスポーツ漫画は山ほどあるので、今後も機会があればおすすめしたいところです。
ちなみに僕が野球を好きなのは家族の影響。今年も帰省した時はテレビで贔屓のプロ野球チームを家族で応援し、夏の甲子園の準々決勝を父親と観戦しに行きました。
両親は高校野球の秋大会(大阪大会と近畿大会)も見に行ったようです。ラインが来ました。楽しそう。
長年楽しめる趣味なので、皆さんも野球に興味を持ってくれませんか?

もし将来関東に就職したら野球観戦が捗りそう。そう思うまるたでした。