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京大漫トロピーのブログです

【12/16】寒く寂しく温かく

こんにちは。ふれにあです。
今年の冬コミコミケデビューするのが地味に楽しみな今日のこの頃。

カレンダーのテーマが「プレゼント」ということですが、僕はプレゼントはあげる側の方が好きです。というのは、お金の使い方で最も素敵なものは人を喜ばせるために使うことだと僕は思っていて、買って(又は作って)いる方も幸せな気分に恵まれるからです。
特に、大学生になって京都に引っ越してきているので、地元の人に渡すときはちょっとそういう京都風なものを考えようと、お店を回って今まで行かなかった場所に足を運んだり、そこで特別に綺麗なものを見つけたりするのが、プレゼントにまつわる場面で一番楽しいです(よく言う「エロビデオは選んでいるときが一番興奮する」みたいなアレだなあ、と不覚にも思ってしまった)。
しかしながら、値段に物を言わせたイカツイものや、渡すシチュエーションがしょうもないみたいなプレゼントだと自己満足にしかならないのが、選んでいてハラハラするところです。

貰い手が上手くないというのもあって、消耗品は使わないしお菓子は後で食べようと思って数か月放置するし、使うものはボロくなっていくのが物悲しいからです。これは単純に生きるのがヘタクソなだけだった。

最近もらったプレゼントは、今年の2月に付き合っていた子(元)からバレンタインにお菓子と、海外で買ったトランプのカードを1枚くれたものでした。海外でトランプのカードを1枚だけ買うって、まあ絶対にしない経験ですよね。「そういえばふれにあ君トランプ集め趣味にしてたなあ」って考えて選んでくれたものだと、値段とか関係なく、とっても心が温まる経験でした。もう過去のお話ですがorz

さて、プレゼントの話はここまでにして、今回私が紹介する作品はこちら

施川ユウキ 著 「ヨルとネル」


この作品は「バーナード嬢曰く」でおなじみの施川ユウキ先生による、1巻完結の4コマ漫画です。ベースはギャグですがただのギャグマンガじゃない。
主要な登場人物はタイトルにもなっているヨルとネルという2人の男の子だけ。彼らはとある実験施設から脱走した、ネコに乗れるくらい体を小さくされてしまった小人です。

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2人は今までよりずっと大きくなったこの世界で、施設の追っ手から逃れるための逃亡生活を続けます。その中で2人は、人間の暮らしに忍び込んでおこぼれをもらったり、自然の大きさ、危険さにハラハラしたりしながらも、支え合ってなんだかんだ楽しい日常を過ごしていきます。隣にはいつも、何でも付き合ってくれる1人だけの頼れる仲間だけ…。実験施設からの追っ手とは? この小さな体はいつか元の大きさに戻るのか? こんな日々がいつまでも続くのか? と、時に下品なギャグも、時にグロテスクなサバイバルの現実も織り交ぜながら、ぽわぽわとした絵柄でありつつも不思議とリアリティが高く読み手を引き込む作品です。

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僕はこの作品をあなた方に勧めて、冬のクッソ寒い時期にひとりぼっちで一気読みして、どうしようもない孤独に包まれてクッソやるせない気持ちになってほしいです!!11

この作品の舞台である”大きな”世界って、人間の生み出したいろんなものが落ちているワケなんですが、どれも見捨てられたか失くされたかなどで、用済みになってしまったものばかりなんですよね。ここでプレゼントの話と微妙に関連付けていくのですが、人を満足させる役目を終えて、うち捨てられてしまったものがこんなに悲壮感を誘うのは、「あなたがどうなっても誰も知らないよ」の成れの果てを想起させるからだろう。主人公たちの生きている世界は私たちのものと同じものでありながらも、小人から見たら世界そのものがどこか”孤独”なんだ。

そして何より語らないといけないのは、ネルから見たヨルの存在の大きさ。助けてもらっている友達の、当たり前にいてくれることの温かさ。恋人ではなく、友達…なのかな。落ち着いていられない状況だからこそ、少しでも笑って過ごしていたい。

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あーあ、暇なクリスマスは嫌だなあ。