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京大漫トロピーのブログです

【12/15】昔の話でございます。

 はじめまして、こんばんは。yuu-classicでございます。秋会誌をすでに入手なさっている方は、個人寄稿という形で、長々としたどうしようもない随筆を書いた人間だと申せば見当もつくでしょう。まだ入手なさっていない方は、冬コミにて頒布いたしますので、どうぞそちらで入手なさってください。
 私は今年漫トロに入ったばかりなので、まだまだはじめましての方も多いことでございましょう。簡単な自己紹介をいたしますと、ガロ系と1960年代、70年代のレトロ漫画を愛する、ただの漫画読みでございます。もっとも、少しばかり文学も好んではおりますが。
 さて、今年のテーマは「プレゼント」でございますね。私にはプレゼントにまつわる興をそそるような話などございませんもので。このように申しながらも、非常に困っているしだいでございます。おもしろくもない身の上話を申すことをお許しくださるならば、お話いたしましょう。
 私は中学校に入った時分から、急にクリスマスプレゼントや誕生日プレゼントというものに興味がなくなったのでございます。親などにほしいものはないかと聞かれても、頭に浮かばない。この時分から文学に目覚め、のめりこんでいったのも原因やもしれません。それで、親と話し合い、プレゼントをもらう権利、今様に申せば請求権とでも申せましょうか、を私が親に対して持つことになったのでございます。それ以来、権利を持ってはいるものの行使はしていない状態でございます。ですので、何もおもしろい話などございませんことが、お判りいただけたかと思います。
 それでは、テーマについてのお話が終わりましたので、漫画の紹介をいたしたいと思います。今宵、私が紹介する漫画は日野日出志先生の『地獄変』でございます。

地獄変

地獄変

 私の手許には青林堂より2000年に出版された紙媒体のものがございますが、現在はAmazon上では見受けられないようでございます。
 皆様方は日野日出志先生をご存知でございましょうか。1960年代からご活躍なさっていますが、ホラー漫画界の巨匠、怪奇漫画の地下帝王などと呼ばれた方でございます。先生自身についても、実はホラーが大の苦手であったりなど、おもしろい逸話がございます。
 今回ご紹介する『地獄変』は1982年に発表された作品でございまして、構想から完成まで1年の歳月がかかった大作でございます。日野日出志先生ほどのお方が1年もの間、かかりっきりになりました作品がどうして駄作となりましょうや。みごと『地獄変』は先生の代表作となりました。この作品にまつわる逸話もおもしろいものがございますが、ここでは敢えて述べますまい。気になる方はどうかご自分でお調べください。
 この作品は地獄絵ばかりを描く地獄絵師の話でございますが、漫画の途中から少しずつ少しずつ絵師の正気と狂気の境があやふやとなっていくのでございます。それだけではございません。先生のお力ゆえでございましょうが、漫画を読んでいる読者もだんだんとその絵師の狂気に飲みこまれていくのでございます。しかし、いけません。とてもではございませんが、この作品を、そしてその魅力を言葉で言い表すことは難しゅうございます。ですので、ぜひお読みください。世紀の大傑作であることは、この私が断言いたします。ただし自分が本当に正気なのかどうか、きっと自信をもって言えなくなることでございましょう。
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