【12/23】「羽田君って、ナチュラルに世界が金色に見えてそうだよね。」(※渡来明日香名言集より)
副題:大事なことはすべて美少女ゲームが教えてくれた2014/Winter.ver
人員不足でお鉢が回ってきました。2014年2回目。ミシェルです。また会えましたね。本日は、クリスマスイベントを実装した美少女ゲーム群の話です。なぜかって?好きだからです。
まず真っ先に閃くのが、「アマガミ」*1……ではなくて、「ときめきメモリアル(SFC)」*2の伊集院家主催クリスマスパーティー。3年間毎年開催されるこのパーティーは、出席するだけで最大3名のヒロインと会話(ときめき度と友好度がアップする!)、もしくは知り合うことができるご褒美イベントですが、主人公の容姿パラメータが基準値未満だと、ガードマンに「品格とは?」と蔑んだ目で入場を拒否された末、その年の聖夜は誰とも会わず一人自宅でクリスマスを過ごす羽目になります(結果、主人公のストレス値と根性値が10ずつアップする。悲しみを背負って、男は強くなる)。したがって、通常は12/24までには、なにがなんでも男を磨くことが定例となる。なるのですが、ときメモ史上最古(Psycho)のおさな馴染みにして、最高難度のメインヒロイン・詩織を落としてやるぜぇゲヘヘと息巻くときには、ちょっと事情が違ってきます。
- 出版社/メーカー: コナミ
- 発売日: 2006/03/09
- メディア: Video Game
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◎それでは、高嶺の花を首尾良く手に入れるため、どのようなスクールライフを送るべきか。
第一に、部活は詩織と同じにします。主人公と詩織のみ、OPで誕生日を設定することが求められますが、このとき相手の(誕生月×3+誕生日)÷10で得られる余りの数によって詩織の入る部活が決定します(※PSではまた違う計算式。注意しよう)。これを使って、本来その部活に割り当てられたヒロインの登場を封印。女の子を出さず平日に実行できるコマンドを、部活と休息の2つに増やすことが可能です。固定する部活はどれでもOKですが、文系と理系パラの上昇が絡む文化部がbetterでしょう。参考までに言うと、僕は2/26の科学部コース(※詩織の白衣姿が見目麗しく、インセンティブとなる)で、知人は2/27の美術部コース(こちらは、よくわからん。文芸部の下位互換、のようなきがする。大人の余裕とこだわりさえ感じる)を専ら主戦場としてます。第二に、休日・祝日はコマンド実行時のステ上昇率が高く、不足したパラの上昇に充てるため、重要です。ノーリスクで平日に実行できる休息・部活を選ぶのは悪手。能力の上昇値がイマイチだったならば、すぐさまロードです。「ときメモ」では、デートそれ自体にくわえ、ヒロイン一人をデートに誘う電話も、貴重な休日をまるまる一日消費する仕様になっており、このことも余計なヒロインを出さぬことが推奨される一因と言えます。第三に、クリアまでに登場させる女の子は3人(5人)のみ!まず、一人目は詩織として、二人目以降は二年次春にオートで出てくる優美、強制出現のミキハラ(実は逃れられるカルマ)となります。(※館林・伊集院を含めれば5人。)三人目のヘルメット天使の登場タイミングは操作ができ、テストや体育祭での活躍がトリガーとなってバレンタイン(もしくはクリスマスパーティー)で詩織から紹介されます。意中の相手から別の女を宛がわれるこの屈辱。Shit……。爆弾と休日コマンド回数確保の都合で、登場はできるだけ終盤が望まれるため、一年目は目立つ行為を避け隠密し、本来はご褒美であるクリスマスイベントも当然一人で遂行することになります。惨めさに発狂しそうになっても、ここは耐え忍ぶ。ストイックさを惜しみなく発露しましょう。そして、これまで多くのプレイヤーが泣かされてきたであろう、四つ目。廊下で謎の女(館林ですが)とぶつかった、或は謎の女(これも館林)から留守番電話が掛かってきてしまったら、即ロードです。PSリメイクだと登場させても大丈夫ですが、SFCで詩織を攻略する際には館林と知り合うこと自体が致命傷となり得ます。理屈は良くわかりませんが(※色色と調べ回ったものの、なにぶん攻略情報が少なく、なにが鍵となってこのような悪夢が生じるのか未だに謎。体感では、留守電で大体OUT。誰か教えてくだちー)、人事をつくしステも好感度もバッチリ。あとは卒業式を迎え詩織に告白されるだけだなとニヤニヤしながら蓋をあけてみれば、伝説の樹の下で待ち受けるは主人公のストーカー・館林だったなんて仕打ちが往往に発生します。これが起こってしまったときの絶望は筆舌に尽くしがたく、知人は外人コピペのノリで基地外のように喚きちらし、コントローラーを一つ駄目にしたことさえある。そのあと、その知人が、再びコントローラーを手にするまで4ケ月半のリハビリを要しました。3年間の血の滲む努力を、最終的にフィフティ・フィフティの運ゲーに持ち込み台無しにせぬためにも、リスク管理をゆめゆめ怠るな。
ところで、ここまでくると一つの疑念が鎌首をもたげます。それは、上記の煩わしさをすべて乗りこえ辿りつく先は、果たしてそれに見合う価値あるエンディングなのか、と。結論から言うと、あります。主人公がまだ昼行燈だったころ、詩織を下校に誘っても、にべもなくことわられます。かりにもおさな馴染みだと言うのに、そのときのこちらを見る瞳は、ゴミ虫を見るかのよう。
picture1: to be or not to be.
ここで、詩織に失望したプレイヤーも多数おられるでしょう。かく言う僕も、高飛車な第一印象に辟えきしてました。しかし、一たび好感度を上げると(覚悟をきめると)、主人公をとり巻く環境は一転します。デレた詩織は、so cute。ウォータースライダーではしゃぐ姿も、観覧車のトラブルで頼ってくる意外な弱さも、過去の記憶を楽しそうに口にするほほ笑みも、どうも温めつづけてきたこちらへの思慕も、かつてステータスが蛆虫以下だった主人公には、絶対に臭わせぬ本音であっただけに、尚更熱をもちます。見ようとしなければ。知ろうとしなければ。そして、そのための対価を重ねなければ。如何なる真実も、その光を曇らせる。イイ女とは、或はヒロインに限らず魅力的な人間とは、たとえそれがどれほど遠き道のりであっても、相手が自らの重みに耐え、並び立てるようになるまで妥協を許さぬ峻烈な側面を兼ねそなえる。異なる者同士、触れ合えば当然摩擦は生じる。それを、自己を脅かす消耗として忌避するのは恐ろしく簡便ですが、同時に人間性をブラッシュアップする鑢として機能することも、また見落としてはならぬ事実です。詩織攻略は、結果として一つの示唆をプレイヤーに残します。すなわち、画面の向こう側にひろがる領域は悉くフィクションではあるが、16ビットの箱庭で主人公が手にしたものは、まぎれもなくわれわれの現実である。シビアなゲーム性は、単に達成感の増大のために設定された装置か? 否。われわれは、苦悩も洞察も、のちに得られるだろう喜びも、過程自体を血肉とし、そこから演繹してクリア後の静寂におとずれる、より狭量な世界を生きるのである。「逃避」と「探索」の差異に関して、「俺つば(Navel)」*4のヒロイン・アスカ嬢は夢見がちな主人公にむけて次のように説く。曰く「大事なのは向こうの世界からなにを持ち帰るか。なにかを持ち帰れば、それは逃避行じゃなくて探索。羽田君も幾つかは楽園の宝を現実へ持ってきてるでしょ」と。
◎大事なことはすべて美少女ゲームが教えてくれた。
些か乱暴な措辞ですが、フラグ管理とパターン構築を可能とするスキル、メンタルの両輪に触れて、煩雑化する社会を生きぬく一人前のギャルゲーマー(SAMURAI)となるイニシエーションが、そこには、たしかに詰まってました。「ときめきメモリアル」が20年経っても色褪せぬ名作として、ときおり議論の俎上に上るのも、そうした登竜門デザインが未だにプレイヤーの嗜好を掴んで離さぬからなのでしょう。はじまりにして頂点。ここまでつらつらと言葉を重ねて、あらためて神に耳打ちされた次第です。
せっかくなので、エロゲに関しても言及しましょう。作中でクリスマスを消化するゲームは、存外に多くあります。すこし考えてみただけでも「しろくまベルスターズ♪(PULLTOP)」(※ド直球のサンタクロースもの。Foo↑)、「パルフェ(戯画)」(※カトレア。Foo↑)、「世界で一番NGな恋(Hermit)」(※絶滅危惧種・日本ロリコニアンウルフルズの最後の砦。たまに熱烈な固定ファンがスレに沸き、パンピーどもを困惑させて帰ることで有名)、「D.C.(CIRCUS)」(※ダメーポと煽ると、zekiが怒る。島民怖すぎ)、「フォークソング(REWNOSS)」(※回想シーンの一つにあったと思うんだけど、無かったかも。丹念な人間観察と独自のクロスチャートを基盤にえも言われぬ抒情性を醸し出す良ゲー。周回に応じ選たくしが増え、くるくると結末を変えるさまは、まさにフォークソング)など、多岐にわたります。中でも強く印象に残るのが、これまたPULLTOPの「遥かに仰ぎ、麗しの」みやびルート。寄る辺もなく、これまで二人で憂き世をわたってきた姉妹。主人公は、その両方ともに銀色の指輪を贈り、二人はそれを仲良く薬指に嵌める。ああ゛~~……あ?ちょっと莫大量の情報が頭に流れ込んで唐突に理解してしまった。人類の終末ってクリスマスの贈りものっぽくありません?
終末の過ごし方 (Paradigm novels (62))
- 作者: 清水マリコ,小池定路,Abogado Powers
- 出版社/メーカー: パラダイム
- 発売日: 1999/08/06
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当日は『ひだまりスケッチ×ハニカム』12話Bパートを観て、最高のクリスマスにしようぜ!*5
picture2: I have a dream. And this is my dream.
以上、ミシェルでした。
追伸
なんかキモチワルイ記事があるなぁ、と思ったら案の定よつぼし君でした。セックスの有無ばかりに拘泥し、目前に立つ相手の存在を見失ってしまっては本末転倒。よつぼし君にこそ、一度「ときメモ」をプレイしてほしく思う。肉体から得られる快楽のなんと卑小なことか。
*1:一生で忘れえぬ聖夜とは? ミシェルにとっては、スト子と一緒にイカ焼きを頬張りながら回る文化祭だった。野獣先輩(nohisamaのこと。この口上、何度繰り返したか、これもうわかんねぇな)にとっては、プジョルとファミレスを攻める青春白書だった。あ゛、後輩と温泉に入るだぁ? 邪教は亡びろ!
*2:あの日恋焦がれた理想の高校3年間を疑似体験し、勉学・部活・恋に邁進。卒業式の日に、伝説の樹の下で告白されることを至上命題とする。ギャルゲーマーの聖典。シリーズは4まで。一応補足。
*3:他の女子と仲良くしたり、同伴下校をことわったり、デートをすっぽかしたりすると、ヒロインの傷心度が溜まり、アイコンに爆弾がつく。これを爆発させてしまうと、ヒロイン全員の好感度が大幅に下落する。つらたん。一緒に下校をしたり、電話でデートに誘ったりで爆発のタイミングを遅らせることは可能。また、3ケ月に1回のペースで当人とデートをしておけば、爆弾発生を未然に防げる。このシステム、最近では『カーニバルファンタズム』でパロディされており、ほっこりした。
*4:王雀孫の迸るシナリオと、判子絵師四天王が一人・西又葵の奇蹟とのコラボレーションによって生まれた傑作。人情味溢れるキャラクター達と、ウィットに富む会話。細部まで練りこまれたシナリオ構造。真に迫ったその高き筆致で、判子絵ゲーでありながら、一たびクリアすると全員判別できるようになる優れモノである。多重人格をとりあつかった作品では『CARNIVAL(S.M.L)』と並び、トップクラスと言われる。ああ゛~
*5:先日、東京に置き去りにしてきた恋人に、4年目にしてようやく「クリスマスは何をしてるの?(意訳:まさか他の女と過ごしてるなんて話はなかろうな?)」と探りを入れられた。後ろ暗さなんぞ持ち合わせぬ僕は、嬉しくなって「ディスプレイ全面に宮ちゃんを映して一緒にケーキ食べてるよ」と答えた。すると、すこし間を置き「ごめんね」と謝られてしまった。なんなんだ