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京大漫トロピーのブログです

【12/07】ミシェルさ~ん?ハァ~(恍惚)・・・これって・・・勲章ですよぉ。

 一年ぶり3度目の投稿。どうも、ご無沙汰しておりますのん。(※最近、語尾に〇〇のんってつける口調がトレンドなのん!誤字じゃありませんのん。悪しからず)ミシェルです。アドベントカレンダー7日目。企画の意義を巡って何やら色色とあったようですが、ぼくらは関せず、もはや定例と化しつつあるオレゴンの話をしましょう。はじめての方は、お手数ですが、昨年の6日目と18日目を参照すると理解が捗るかもしれません。音楽や文芸など、一つの確固たるかたちを伴った作品は押し並べて、その良し悪しに関わらず、人生のとある重要な局面を左右したり、変わり映えしない日常を固有な記憶へと昇華したりと、いぶし銀な立ち位置を買って出るものです。たとえば『くーねるまるた』の国枝さんが、出張先でたまたま手にした『ルピナスさん』が一人の女性の運命を大きく変えたように(※先日、待望の3巻が発売されました。買おう)、ぼくにも、これまでの矮小な人生を彩った一冊が、確かに有ったように思われます。と言う背景から、前回に引きつづき日本人学校のマドンナ、SRSちゃんの話です。多分これで最後だと思うので、見とけよ見とけよ~。

◎ SRSちゃんとの別離
 SRSちゃんとの別れは、突然にもたらされました。SRSちゃんと迎えた二回目のクリスマス。さほど理解が進んでなかった前年と比べコミュランクが高まり、二人の間で、ささやかなプレゼント交換さえ予定されたその年。ご両親の仕事の都合で、SRSちゃんの帰国がきまった。――わたし、年が変わったら韓国に帰るの。一日のカリキュラムをおえ、同輩達がガヤガヤと帰り支度をする喧騒の真っ只中で、ポツリともらされた隣人の言葉に、ぼくは二重の意味で狼狽しました。一つはもちろん、両親の事情と言う何たらはどんな時にも、どうしようもなく子どもをふり回すと言う事実の確認(もっとも、これに関しては遥か遠くダイナミズムの暴力に支配された不毛の土地で、くる日もくる日も恋焦がれた出生の地に、ようやくむねを張って帰れることが許されたのだから、同じ境遇に立たされた身空としては、まず喜ばしいことである。ところが、些か急なことで別離を惜しむべきか門出を喜ぶべきか、内心は混乱をきわめた)に対するそれと、もう一つはSRSちゃんがハーフであったと言う未知(完全に寝耳にみずだった)の発覚への驚愕(鴻巣からオレゴンくんだりにまで引っぱり出されて、よくよく自分もグローバルな人間になったものだなぁ、と言うもの)でした。どうしたものかと考えあぐねる内に、2-1教室は無人となる。テンパるショタは、この段になって、ようやく当のSRSちゃんに目を遣れるほどの甲斐性を発揮したらば、むっと噤まれたくちびると、すぐにも零れおちそうな位になみだをたたえた瞳に気がつきました。当時自分は、理由はどうであれ、誰かに目のまえで泣かれることを過剰に恐れる薄情者だったため、それはもう酷く焦った。切羽詰まったショタは、一先ず帰国の話は横に置き、重くしずんだアトモスフィアの回復を第一に、何か書籍にでも目を通そうかと打診します。その頃、ぼくらが交わすトピックは年相応に、専ら児童向け文学(パスワードシリーズとかね。愛らしいだろう?)に関する話題に集中しており、またさきの『美味しんぼ』を鑑みるに、おそらくどちらかの鞄の中には、通学途中でよみかけの何らかは入ってるだろうと踏んでのことでした。なるほど、実行可能性と実利を兼ねた名案だったでしょう。SRSちゃんが、鞄の中からとり出したのが『SALAD DAYS』だったことを除けば。ハイっ、尺八ィッ。ぺろぺろ。

SARASA DAYS

 『SALAD DAYS』は猪熊しのぶ先生が、かの伝説の剣道漫画『旋風の橘』に先駆け、1997年から週刊少年サンデー系列で連載したオムニバス形式のボーイ・ミーツ・ガール。全18巻、奇しくも同時期の『なぎさMe公認』と同じ巻数。少年誌でちょっとHな恋愛話をやろうの金字塔的な作品(だと、ぼくは思ってます)で、ショートストーリーゆえに毎回別別の男女が登場して、何やかんやドラマがあって各自のラヴを貫く二人が描かれます。その中の一つに、当時ホットだった「ミニスカート」を巡る話があるんですよ。ちょっと確認したところ第17巻収録でした。不毛な作業だ。せっかく再読したので大すじに触れると、通学途中の歩道橋で、女子高生のミニスカからチラッとのぞくパンツ・ウォッチングを生業とする、リビドー真っ盛りのスケベが主人公。名をSNTと言うその男は、冒頭でミニスカートの崇高さを熱弁するくせに、なぜか幼馴染がそれを身につけることは許さなかった。別段何のことはなく、それは自らの諸行をタナに上げた独占欲に由来する不条理であったのだけれど、主人公のこころない言葉(「見る価値なんかねぇって! 仁奈のミニ姿なんてよ! あいつ未だにヘソまである子供パンツはいてんだぜ!? しかも、大根もまっ青の超ゴク太フトモモ!! たまんねーぜ、実際悪い意味で!!」※本編より抜粋。実際、草生える)に対して、さすがに逆上したヒロインが、大ゴマでバッとキャストオフ。ロングスカートの下にミニスカートを着用していたっ!思惑が外れて焦るぐう畜SNT。衆人環視下(D・V・D!D・V・D!)で、さぁいざ歩道橋を上らんと一段目に足をかけた瞬間、耐えかねたSNTニキがヒロインをかついで颯爽と攫って行くんですね。ひゅ~。そして、目でたくメイクラヴ。これもう分かんねぇな。

 ところで、皆さんすでにお察しのごとく、あの日SRSちゃんと二人肩を並べて読んだエピソードこそ、他ならぬ「ミニスカ」でした。『美味しんぼ』のかつら剥きといい『SALAD DAYS』の大根足(ちなみにSRSちゃんの足は、すらりと伸びた陶磁器の足だった)といい、一体SRSちゃんがどれほどの情熱を<大根>にかたむけていたのかに関しては、余人の与り知らぬところですが、性的な問題に自覚的になりつつあった年頃の男女が、一緒に目を通す類の書籍でないことはまず間違いなく、異様な背徳感に双方とも赤面して、その日は大人しく帰路につきました。しかし、向こうは、こちらの一連のリアクションに何か手ごたえを掴んだのか、味を占めたのか、それからと言うものコンスタントにセクハラ(眼球嘗められるとか、髪の匂いを嗅がれるだとかは日常茶飯事で、SRSちゃんなりの親愛表現だとこちらは理解するようにしてたが、羞恥心に耐えきれず、たまに逃げ回ってた。そのたびに、むくれっ面で怒られた)してくるようになった(※一転攻勢)。そして、別離の終業式に、前回の記事でも触れたパンツ・イベントに至る。泣き笑いの表情でスカートをたくし上げるSRSちゃんの姿と、かのじょとの走馬灯に照らされた真っ白な黄金三角は、これからも忘れようにありません。まぁ、前年も申し上げたように、このあとジェニファーとスティーヴンがガレージでフ○ックしてるのを目撃して、しばらくの間、美しき記憶は真っ黒な憎悪に染め上げられるんですが、それはまた別の話。I’m coming! I’m comingって、一体何が来るって言うんだ。ジェニファーはもうそこにいるじゃないか(絶望)。

それでは、皆さんよいクリスマスを。

(ミシェル)