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京大漫トロピーのブログです

【12/10】クリスマスってそこまで特別な日じゃないと思うんです

どうも、ふわふわです。

突然ですけど、クリスマスってそこまで特別な日じゃないと思うんです。七夕と同じような感じで、若干宗教的/民俗的な背景のある、風物詩的なちょっと盛り上がるイベント、みたいな。まあそういうわけで、「クリスマスに読みたい漫画」は必然的に「冬に読みたい漫画」になるのです。

で、僕がお薦めするのは今日マチ子の『みかこさん』です。
身の丈に合わない漫画薦めてるんじゃないよって? はいすいませんごめんなさい。

みかこさん 1巻 (モーニングKCDX)

みかこさん 1巻 (モーニングKCDX)

『みかこさん』ってなんだ?

『みかこさん』はモーニングWebで今日マチ子が毎週4ページずつ連載している漫画です。
身も蓋もない説明の仕方をすると、高校3年生4人の四角関係やら、将来への不安やら、高校での生活が終わるのだ、という感慨やらなんやらかんやら、ともかく高校3年生のあのなんだかそわそわするような、それでいて静かなような、懐かしい心持ちを今日マチ子の美しい絵で描いた作品、ということになります。
あんまり言葉を尽くしても語り尽くせないので、とりあえずWebで読むのが一番良いと思います。1話から10話まではWebで読むことができます。
『みかこさん』 今日マチ子 - #01 リップバーム

最新の177話では4人はセンター試験の前日を迎えています。ちょっとクリスマスは過ぎましたが、冬の冷たさと柔らかさがよく出ていてちょうど今の季節にぴったりです。

今日マチ子の魅力

今日マチ子の水彩画のような美しい絵は、絵柄と同じように、輪郭のはっきりしないものを描くとき本領を発揮します。
ひめゆり学徒隊を題材に、「少女」はいかにして「大人」になっていくのかを描いた『COCOON』。「風景と叙情」を描いたブログ連載の1P漫画『センネン画報』。いずれも今日マチ子の細く柔らかい絵と相まって繊細な世界を作り出します。

COCOON

COCOON


センネン画報

センネン画報

輪郭のはっきりしない絵でも、ひとつひとつの描かれるものが強い質感とエロティシズムを持っています。まだ単行本化されていませんがエロティクス・エフに掲載されていた『U』はそれを強く感じさせます。もちろん、『みかこさん』『センネン画報』にその発露を見ることもできます。たとえばみかこさん第1話のリップバームの質感とか、センネン画報の『わたしのはらわた』とか。

Webの新鮮さ・単行本の質感

『みかこさん』(と『センネン画報』)は単行本でもWebでも読むことができます。

今日マチ子の絵は、やはり画用紙のような白い厚い紙に乗っているとき、よく映え、質感あふれる仕上がりとなります*1。これはどう頑張ってもWebでは再現できないでしょう*2今日マチ子の単行本はそういった絵の性質を充分に考えて作られており、単行本を手にしたときのワクワク感に、うんうん本ってやっぱりこうじゃなきゃな、という感慨を覚えます。

その一方で、大ゴマと静かなモノローグを使った「引き」の力強さも『みかこさん』の魅力として見落とすことはできません。Webでの新鮮さ・力強い「引き」の魅力。絵の魅力を最大限に引き出す単行本の質感。どちらも捨てがたいです。Webで1回目、単行本で2回目と一粒で二度美味しい作品だと言うこともできましょう。

むすび

というわけで、上のリンクから今日マチ子の『みかこさん』を買って、クリスマスに読もう、という話でした(あんまりクリスマス感はなかったけど気にしない)。

ところでなのですが、今日マチ子の『COCOON』がマームとジプシーという劇団によって舞台化されるらしいです。で、マームとジプシーはすごく面白いです。台詞のリフレインと役者の身体をめいっぱいに使って、叙情性あふれるお芝居を作っています。
マームとジプシー
1月に吉祥寺で『あ、ストレンジャー』という公演を打つらしいです。演劇をあまり見ない人でも楽しめますし、チケットは3000円とお手頃ですし、皆さん観に行きましょう。

(ふわふわ)

*1:もちろんですが原画の美しさはそれどころではないでしょう。

*2:ただし、『センネン画報』ではそれを考えてか、裏写りした絵を一緒にアップしていて、ちょっと面白い質感を添えています