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京大漫トロピーのブログです

新歓毎日投稿企画【4/17】冬へと走り出そう

清盛です。春になりました。今年は、寒さがまだまだ残り、桜もあっという間に散り、ただ時の移り変わりを我々に突きつけてくるだけの最悪な春ですね。

この企画を追っている物好きな方々は既にお気付きかもしれませんが、漫トロピーには時間が進むことを想起させる春を嫌う人間が、僕含め多いようです。

しかし、本来春という季節は、満開に咲き誇る桜や、期待に胸を膨らませる新生活が連想され、「青春」という言葉のように人生においても最も価値ある時期を指す、ポジティブなものです。

ところで、価値あるものは売ることができる。春を売る。つまり、「売春」ですよね。

ということで、今回は売春するキャラクターが出てくる漫画を紹介したいと思います。


この漫画は、子供にも大人にもなりきれない年齢である19歳の三人の登場人物と、彼らがそれぞれに抱えた「秘事」を主軸にストーリーが進みます。

由樹(ユキ)
美人だが、常に男らしい服装・言動をしており、あだ名は「男装の麗人」。女性には見えないからと「ヨシキ」と呼ばれている。秘事は、高校時代の制服を着て自分が女であることを確認し、自慰にふけること。
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カイト
大学では女性からモテモテのイケメン。しかし、女装趣味を持ち、未果子への憧れから彼女と同じ服を来て街を練り歩く秘事を抱える。
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未果子
清純無垢なお嬢様。男性が苦手で、コンパに誘われても門限を理由に断るほど。しかし、裏では15歳と詐称し制服を着て援交売春に励む、ドギツイ秘事を持っている。
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由樹はカイトに、カイトは未果子に、未果子は由樹にそれぞれ好意を抱き、不幸な三角関係が形成されます。
序盤は、カイトの秘事のみが由樹との間で共有され、彼の恋心を知る由樹は二人が接近することを防ぐために実果子と恋愛関係を演じます。

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ストーリーが進むにつれ、各自の秘事はさらに共有の範囲を広げ、それを起点に三人の関係も変化していく。この複雑な人間模様を描き切っているのがこの漫画の魅力です。


さて、この三者は、「制服」「売春」「性別と外見の不一致」など様々な軸から切り分ける事ができますが、僕には時間の流れに対する未果子と由樹の対照的な姿勢が印象的でした。

未果子は、自分に最も「価値」があった15歳を演じ続け、少女という春を切り売りする。
しかし、少女として通用する寿命は残り少なく、時間の流れに焦り始める。
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一方で由樹は、制服を着ることでしか自分の女性性を確認することができなかったものの、カイトとの交流を通してかわいらしい服装をするようになり、自らの前に開けた女性としての可能性を肯定的に捉え、未来を見ている。
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少し結末に言及してしまいますが、この由樹によって、未果子は過去の呪縛から解放され、大人の女になること、時が進むことを受け入れ、老後という人生における「冬」の蓄えのために自らの春を売り続けることを選択しました。
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売春をやめる、という予定調和的な説教臭いラストにするのではなく、性を武器に自らの人生をしたたかに生きていく未果子の決断が描かれたのが、個人的には好きなポイントです。もちろん、カイトも彼なりの呪縛との向き合い方が描かれるので、気になる方は是非手にとって読んでみてください。

僕も大学生という可能性に満ちた春にいつまでもしがみ付き、時の流れの速さにおののいていますが、そろそろ冬仕度を始めねば……。

新歓毎日投稿企画【4/16】新しいコンテンツを摂取する気が起きない

代打です。1353です。新しいコンテンツを摂取する気が起きません。最近は昔やったゲームをやり直してます。去年度はゲームを20本程プレイしたのでただの揺り戻しかもしれません。

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      多分こんなこと一生言ってると思います。
ので懐古趣味について近況報告を兼ねて話したいと思います。要旨はゲーム業界(というかJRPG)と漫画業界の懐古趣味って性質が違うのでは、って話です。

 

で、具体的に最近何やってるのっていうと「ダンガンロンパ2」『アライアンス・アライブ』やってます。

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ダンガンロンパ2 は普通に面白いです。割と最近のタイトルなんで懐古趣味の話と離れますが話題にしたいので書きます。あのこかむも大先生も面白いって言ってます。有名タイトルなんでこんなブログよりよほど優れた評論が転がってるのでそれを読みましょう。好きなキャラは小泉真昼ちゃん!

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懐古趣味と紐付けて論じたいのが『アライアンス・アライブ』です。このゲームはいわばロマサガ3のシステムでドラクエ4をやったという感じですね。スタッフも村山吉隆小泉今日治浅野雅世と凄いです。漫画に例えると蒼樹うめ久米田康治の原作を作画するくらいです。そして何よりキャラが可愛いです。上の画像を見てね難易度やボリュームもマイルドなんでゲームに所縁ない人でもやってみてはどうでしょうか。アプリ版も出てるよ。好きなキャラはレイチェルちゃん!

で、今話したことから分かるようにこのゲームはおっさん向けです。SFC時代のJRPGを楽しんだ人なら楽しめる!ってスタンスです。このようなレトロ趣味のタイトルはJRPG界で一派閥を作っています。他のタイトルでいうと「ブレイブリーデフォルト」「アンダーテール」あたりでしょうか。「ドラクエ11」も蓋を開けてみればバリバリのレトロゲームです。

JRPGでは一般的に90年代の作品が名作扱いされやすいです。ここら辺は説明文を見るより00年代のニコニコ動画2chの当時のログを見てみるとよくわかると思います。これらはユーザー中心の懐古趣味だったのに対し上で述べたような懐古趣味の風潮はメーカー主導のものです。つまりユーザーの風潮にメーカーが便乗したものと考えることができます。

一方で漫画(というより所謂オタク趣味)では00年代への懐古趣味が根強いです。それは君の周辺だけだ,という主張があるかもしれませんが東浩紀が「ゼロ年代」という造語を作り今日に至るまでゼロ年代のオタク言説への議論が続いている以上確かなものではないでしょうか。

懐古趣味というのはどの業界でもどの時代でもあるものだ、という意見があるかもしれません。例えば漫画なら幽遊白書オタクは90年代趣味と言えると思いますし、ゲームでも近頃の例で言えばポケモンDPリメイクへの渇望はゲームにおく00年代趣味と言えるでしょう。

しかし90年代JRPG、00年代漫画への懐古趣味は排他性と規模の大きさの2点で他の懐古趣味と一線を画すものと言えると考えられます。

これらのことから(これは漫画業界と,ゲーム業界の優劣を含意しません)ゲーム業界で起きることは約10年のブランクを経てオタクカルチャー、漫画業界で似たようなことが起きるということが考えられると思います。例えばレトロRPGとモダンRPGを分ける区分としてグラフィック重視かどうかがあります。ゲームにおけるグラフィック偏重傾向は00年代の新型ハードのスペック向上ムーブメントと言えます。(厳密にいうとPS1でFF7が出た時あたりですが、PSとSFCでそんなにゲームの中身が変わらないのでここでは考えません) 一方で今日の漫画界に比べ00年代の漫画/オタクカルチャー界はグラフィックがあまり重視されなかった時期と考えます。下にゼロ年代の漫画と10年代の漫画比較の参考画像を載せておきます。

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そしてゲーム界で10年代に懐古趣味が一ジャンルとして確立したことから考えると20年代には00年代懐古がオタクカルチャー、ないし漫画において一ジャンルとして確立するのでないでしょうか。その萌芽は今日でも見受けられます。例えば無職転生とかが該当するのでないでしょうか。

主張を要約すると

JRPGでは90年代、漫画では00年代への懐古が他の懐古趣味より際立ったムーブメントとしてある。

JRPGにおく90年代への懐古は00年代にユーザーの中で最盛期を迎え10年代後半には懐古趣味が一つのジャンルとして成立し、メーカー側も売り出している。

・古典派RPGと現代RPGを分ける契機の一つはハード機能の上昇に伴い、グラフィック・リアリティをゲーム性より追求する傾向が強まったこと

・漫画における作画過重視の傾向は10年代以降の傾向

JRPGで起きるムーブメントが10年遅れで漫画にも起きる→20年代ゼロ年代の時代になりうる?

という話です。雑な議論なのは承知なので有識者がいたら指摘していただけるとありがたいです。

 

 

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漫画評論サークルなので申し訳程度に漫画の話もします。(画像はアニメだけど...)最近のマイブームは...にゃんこい?この漫画はヒロインの水野楓がとにかく可愛い。むっちゃいい子だ。僕みたいな下賤な人間は現実でもフィクションでも素直な真人間を見ると自分とは同じ土俵にいない殿上人に感じて心的距離を置いてしまうのだけれども、水野楓は違う、庶民派であり我々の大多数と同じ世界に生きる人間である。純朴で真面目だけどどこか人間らしい卑近さがある、そう言った絶妙なバランスが気持ち良い。水野楓だけじゃなくて周りのキャラも可愛い。霊能力持ちのツインテール双子姉妹(しかも片方は気が強い)とか最高かよ。彼女たちにお祓いされたらほんまに人生円満に行きそうだ。好きなキャラはやっぱり水野楓ちゃん!

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久々になんでこの期に及んで『にゃんこい』かというと、作者が新連載をいつの間に初めててんですね。学生時代の憧れだった漫画家の編集者になったらその漫画家がダメオタクだった話です。おじさんも押しかけ美女に進捗管理されてぇ〜。

にゃんこい!』は8年くらい前から理由も知らされずにずっと休載してたので大病でも患わったのかと勝手に悲しんでましたが元気に新連載してて嬉しかったです。多分姪が元気に育ってるのを見る気分ってこんな感じなのかなあと思いました。

後他に気になってるのは『ケメコデラックス!』でしょうか。アニメ版の声優が喜多村英梨釘宮理恵戸松遥...と並んでいて気持ちよかったです。好きなキャラは小林ふみ子ちゃん!

 

 

懐古趣味と全然関係ないですが『源君物語』の話もします。古本市場で立ち読みしたのですがむっちゃクチャエロかったです。挿入の直接描写なしであんなにエロく描けるのは本当にすごいと思います。放課後に近所のローソンでヤンジャンを立ち読みしてブヒブヒしてた駿台横浜校時代を思い出しました。好きなキャラは瀬見伊予ちゃん!

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簡潔に漫画の趣旨を説明すると、主人公が叔母の手解きで源氏物語のキャラに擬えたヒロインを並行攻略して大学デビューする!って話です。久々に読み返しましたが上の画像から察せる通り要は恋愛工学サクセスストーリーだと思いました。昔の会誌で最終話の叔母さんがサイコパスと言う話題が出ましたがそもそも最初からヤバいです、この漫画。例えば序盤のエピソードを例に取ると主人公は大学デビューのために従兄弟の女を攻略します。この時点でアレですが、強引にキスをします。当然嫌われるのですが、そこで叔母がかけた言葉の趣旨は「彼女は男性経験が乏しいから本当は喜んでいる」「女は皆強引な男に振り回されたい願望を多少は持っている」。いや〜レイプファンタジー以外の何者でもないですね。割と最近の漫画でこんな言説が見れるのは新鮮でした。

とはいえこれを見ている新入生諸氏も個人差こそあれど多少なりとも性に翻弄される退廃的大学生活を送りたい願望はあるのでないでしょうか。そうした願望に忠実になりたいのならば是非源君物語を参考書にすることを推奨します。そしてこれを以って「春」のテーマ縛りを回収することにします。

歌舞伎町の洗濯屋さん - 駒魔子 / 第一話 ポケットは歌舞伎町の縮図 | くらげバンチ

後ちゃんと最近の漫画も読んでるアピールもしておこうと思います。最近出たこの漫画は面白いです。クリーニング屋の目線から歌舞伎町の人間模様を見ていく話です。服に着いた精子の味からストーカー被害を割り出す話が好きです。くらげバンチでタダで読めるよん。

 

最後に話題にした作品のAmazonリンクを貼っておきます。バイバイ。

 

スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 (通常版) - PSP
 

 



アライアンス・アライブ HDリマスター - Switch

アライアンス・アライブ HDリマスター - Switch

  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: Video Game
 

 

 

にゃんこい!(1) (メテオCOMICS)

にゃんこい!(1) (メテオCOMICS)

 

 

 

小西先生、進捗いかがですか?(1) (メテオCOMICS)
 

 




 



【コミック】源君物語(全16巻)

【コミック】源君物語(全16巻)

 

 

歌舞伎町の洗濯屋さん 1巻: バンチコミックス
 

 



 

新歓毎日投稿企画【4/15】仲間が卒業して寂しいって話

ふれにあです。
僕はこの春から大学院1回生となったのですが、研究室も住居もほぼ変わらないので、生活に目新しさがあまりないです。
ただ、この春多くの先輩や同期の仲間が卒業して去っていったことに、今までの卒業シーズンで一番の寂しさを感じています。
新歓期にする話かこれ。

そんな中今回は、新生活に関する漫画の話をします。

「洗濯荘の人々」
https://www.pixiv.net/artworks/8647703

この作品はpixiv上で全話無料公開されている漫画なので、リンクからすぐに読むことができます。完結済みです。

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洗濯荘の人々

洗濯荘とは、現世とは異なる世界で、何らかの選択に失敗した人々が現世のさまざまな場所、時間から吸い寄せられて集まり、正しい選択をし直すために生活をする場所だ。それは人間関係に対するコンプレックスだったり、仕事をうまく受け入れてもらえない悩みだったりと、いずれもアイデンティティに関わっている。
管理人のアンフレットを中心に数名の人物が暮らしており、穏やかな生活の中でいつか正しい選択を見つけた人は洗濯荘から消え去り、元の世界に帰ることができる。

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管理人さん

洗濯荘の世界に対する思いは人それぞれだが、皆どこかトラウマのようなものを抱えていて、帰りたい人、帰りたくない人様々だ。主人公のハルカは現代日本から来た男子高校生で、俺様気質ながらどこか冷めた性格をしており、自信の「選択」に無自覚な、はじめは未熟さが残る少年だ。しかしながら、一人ひとりが何かを抱えている住人たちはハルカとの接触を通して自分の選択を見直し、やがてすっきりした表情で元の世界へと、次々と帰っていく。


登場人物それぞれが自分の中の葛藤に答えを見出して旅立っていく姿が涙を誘うが、今回は管理人をやっているアンフレットに焦点を当てて話をしようと思う。

アンフレットは洗濯荘における初期メンバーであり、西洋の御伽話に出てくるような風貌をしている女の子だ。幼く見えるが数多の住人を迎え入れ、帰っていくのを見届けてきた人物であり、実質的に生きた時間は見た目から想像できるより遥かに長い。
マーボーという鳥を連れ、いつも明るく振る舞い管理人として住人たちに食事を作ってくれるなどの献身的な彼女の姿には、つねに洗濯荘という場所に対する愛着が読み取れる。しかし、物語の中頃、とある事件により洗濯荘へ新しい居住者が入ってくることがなくなるという事実が発覚するところから、彼女の不安定さが垣間見えることになっていく。ハルカが住人達と接触し、住人達が意志を持ち直して去っていき住人の数がどんどん減っていくことに不安を感じ出したのだ。

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このコマの衝撃、数年経ってもずっと覚えてた

それまでの間、いつも数名の住人達に囲まれてきて、人の入れ替わりはあれど、最初から管理人として気づけば途方もない時間を洗濯荘で過ごしてきた彼女は、いつしかこの異世界での自分にアイデンティティを持つようになっていた。
(以下ちょっとネタバレがあります)


彼女が洗濯荘に来た「選択」の内容は他の住人とは少し毛色が違い、さらに彼女が帰ることになる経緯はもっと特殊なものだ。自分で決断するというよりは仲間から背中を押してもらう形で去ることを受け入れたが、洗濯荘の世界から消える瞬間までずっと残された住人のことを案じていた。
彼女を他の住人のしたような正攻法(?)で元の世界に帰すのは不可能だと、作者が宣言したようにすら思えた。
僕は読みながら、アンフレットは一体どのようにして自分の選択を受け入れ、決断を下すのだろうとずっと思いながら読んでいたが、結局このような力技で解決することになるとは思わなかった。元の世界ではとても幸せになれたようなので何よりだが、同時に彼女はこのような「事件による切迫」と「他者の介入による半ば強制的な追い出し」が発生しなければそれこそ永遠にこの世界にいたのだと思うと背筋の冷えるような気持ちになる。



さて、ここからは数年ぶりにこの漫画を読み直した僕の自分語りだが、僕自身大学に5年もいると、もう体も心も随分とここに染まってしまったなあという思いと、自分がここで過ごし始めた時から時間を共有していた先輩や同期の仲間が気が付けば大多数が周りにいなくなってしまったことに少なくない寂しさを覚える。上の画像のアンフレットみたいに、自分も最近同期の○○と会おうと思ったら「そっか、あいついないんだっけ…」となることが何度かあった(やばい)。
幸い大学は新人が年に1回入ってくるが、なんとなく取り残されている感を抱いているのは事実だ。院進の理由にいくらかのモラトリアム延長欲求が含まれていた自分としては、もはやハルカ君よりも(先輩の)アンフレットの方に多分に感情移入してしまうところがあり、彼女が去る契機があのようなものだったことに多少のもやもやが残る。


新入生の方には特におすすめの作品です。洗濯荘はどこか学生寮の雰囲気に近くて、今まで知らなかった未知なる環境に親しむ前に読むのと、去り際を意識する頃に読むのではまた読み方・感想が変わってくる筈です。

新歓毎日投稿企画【4/14】メイクしよう!

こんにちは、ころもです!

 

最近は暖かくなったので上着がいりませんね!好きなブランドの春服が欲しいなと思っている今日この頃です。あとは化粧品も欲しいです。春の新色コスメも見かけますし。

 

ということで今回は「メイク」の漫画を紹介したいと思います。

 

 

 

メイクにはまった後に読んだので、うわー最高ってなりました。それは共感という意味でもそうだし、こんな大人になりたいという憧れも含めて。

六話収録されていて、六人の女性がそれぞれ主人公です。それぞれの主人公のメイクへの考え方や関わり方が描かれます。その中で好きなエピソードを紹介します!

                                                                                                                 

オタクで化粧に興味のなかった主人公は高校時代にクラスメイトにアイプチをしてもらって衝撃を受け、元からオタク気質の彼女は自らメイクの沼にはまっていきます。

彼女の好きなメイクはお人形のような隙がなくオーラのある濃いメイク。でもメイクとすっぴんとの差に引かれて彼氏に振られたり、婚活では「家庭的な女性のほうが…」などと断られたりと濃いメイクは受け入れてもらえません…

 

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不覚にも笑ってしまった

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彼氏に振られたことより自分のメイク技術の高さに感動

 そうやって落ち込む時もあるけど、「どんな理由でメイクをするかに関わらず、自分のことを好きになれることが大事だから」彼女は今日も今日とて自分の心躍るメイクをする!!

最高ですね。このくらいのポジティブさと自分への肯定感があるのは生きることを豊かにしてくれると思います。

 

 

メイクってすごい楽しいし、自分が変わったっていうのが見てわかるんですよ。私は大学に入ってメイクにはまったので、自分のメイクに対して考えていたこともちょっと書いてみようと思います!

 

 

私自身はメイクや服装に大学に入るまで全く興味がありませんでした。でも妹が先に興味を持ち始めたので、私もつられて後を追うように、メイクに関心を持ちました。最初はキャンメイクすら知らなかった!!!あとは大学に入ってからだいぶ体重が落ちたのも理由ですね~(最高7Kg落ちた)

最初はYoutubeメイク動画を見続けたり、友達に使っている化粧品を教えてもらったりして化粧品を買いあさりました。必要以上に買ってしまいましが、後悔はありません!(化粧品の置き場がなくてプロ用のケースを買いました!!!)

 

 

高校の頃はそこまで気にしていなかったとはいえ、多少なりとも容姿へのコンプレックスはありました。太ってましたし。でも髪の毛を整えたり、化粧や服装に気を使うようになってから自分がどこまで変われるかという可能性にドキドキできるようになりました!!!!!

今はコロナで受験期よりも体重が増えてしまいましたが、高校時代の写真と今の写真を見比べても、別人にしかみえません。(今のほうがずっといい!)太ってることは容姿がよくないという一要素に過ぎず、そのほかに気を遣えばかわいくなったり、かっこよくったりすることができるということに気づけたのは自分の中で大きいと思います。

 

 

でも大学に入って少し悩むようになったのは自分が一重であることです。周りの友人は二重の子が多かったし、メイク動画を見ても一重のメイク動画が少なかった!!どの動画を見ても皆アイプチしてるんですよね~

私もアイプチしてた時期はあるんですけど、なんかちゃうなと心のどこかで感じてたんです。そんなときに韓国で一重のアイドルが人気だということを知りました。調べてみたらめっちゃかっこいい!切れ長で少しクールな印象で、二重にはない魅力があることに気づきました。(Red Velvet のスルギとITZYのイェジが好き!一重のよさを伸ばすメイクを参考にさせてもらってます。)

「一重=かわいくない、二重=かわいい」という考え方に支配されていたので、最初は衝撃を受けました。でも自分のそのままの目の形を好きになれるって最高のことじゃないですか?このことがあってから自分の容姿や体型を前向きに捉えられるようになりました。あと一重のよさはアイプチやメイクによっては二重にも変身できることです!!どっちもいいよね!!

容姿や体型などの美意識って時代や場所で全く変わるんだから、今の流行でないだけで私の見た目すべてがだめだという考え方は自分をつらくするだけだし、もっとふわっと生きようって最近は考えてます。

 

 

今はなんでもYoutubeにあるので本当にいい時代です。その分みんなが実践できるので、求められる平均値が上がってる気もしますが。でもすそ野が広がっているようには感じます。

今まではメイクの仕方が分からなかった層も初心者向けの動画を見て、化粧品を買ってみようという事は増えたんじゃないかしら。今は男性の方もメイク動画出してるし、人種も時代の壁も超えていて、もう人類全員で楽しめるものになってるなと思います。

あとはプチプラの化粧品も増えて、百均でも安くて使えるコスメが売ってるし、昔よりずっと手に取りやすくなったし、新しいメイクにも挑戦しやすくなりましたね!!

 

 

みなさんも自分が好きになれるメイクを思いっきりしたり、やったことない人は一歩踏み出してみてください!新しい世界が開けますよ。

 

 

 

新歓毎日投稿企画【4/13】何歳になっても怖がりが治らない

こんにちは!のびです。

最近かなり暖かいですね。桜もガッツリ散ってますね。
就活とバイトに明け暮れる日々で花見が出来なくて悲しい…。

くそ怠けてた私も今ではなんちゃって就活生です。
最近は千鳥の『相席食堂』と霜降り明星YouTubeとラジオが心のオアシスです。
やっぱり笑いと美味しいごはんで人間なんとかなるんやなって思います。


さて、テーマは「春」。春と言えば、年度が変わって引っ越しをする時期。
みなさんは一人暮らしをしたことがありますか?

今回は一人暮らしの人がぞっとするような漫画を紹介します。

望月峯太郎の『座敷女』です。

表紙のセンスがすごい。



主人公の森くんという大学生の男の子がある奇妙な女に付きまとわれる、いわばストーカーホラー漫画です。

ある晩、森くんのアパートにげっそりした顔のトレンチコートを着た女が訪れてきます。彼女は森君の隣人の「山本」という男を探しているのだと言います。森くんは気味悪がりながらも、家に上げて電話を貸してあげたり、森くんの部屋に忘れ物をしたトレンチ女に鍵を渡して家に上げたりします。

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この後もちろん合鍵を作られ、勝手に部屋に出入りするようになりました。

こういった彼の優しさ?ゆえの軽率な行動が森くんをどんどん追い詰めることになります。
森くんの友人や好きな人も傷つけ始めるトレンチ女に激昂し、バトルが開始されます。



しかし戦いの中、悲しいことに



森くんの部屋が全焼します。

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「お…俺の…部屋が…。俺の部屋が……!!!」

これは可哀そう...。


本当にみんな、怪しい人には近づかないようにね。

家が燃えます。




なんとかトレンチ女から逃げ切った森くん。しかし2階の窓から落ちたため、足を骨折し、病院に運ばれてしまいました。トレンチ女との戦いで家を燃やされほぼ錯乱状態に陥っている森くんは、病院の廊下から聞こえる足音が看護師の足音かトレンチの足音か分からなくなります。
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この病院のシーンは本当にスリリングで言葉では言い表しずらいので、是非読むことをお勧めします。


クライマックスにかけての勢いがすごくてどんどん恐怖感が襲ってきます。
福井の旅行で泊ってた旅館にビビり散らかしてほとんど眠れなかった程怖がりの私には、結構こたえました。

この漫画を読んで、2つの教訓を学びましたね。


①知らない人は家に上げるな
②やばい奴には近づくな


ドラゴンヘッド』でもそうだったけど、やっぱり生きている人間が一番怖いのよね。

新生活を始める皆さんも、そうじゃない人も、戸締り防犯気を付けましょうね。

以上、のびでした。

新歓毎日投稿企画【4/12】

こんにちは。新4回生のコト。です。(モーニング娘。が好きなので”。”をつけています。アルバム発売おめでとう!)


健康診断のために久しぶりに大学に行ったら、同級生みんなが就活の話をしていて焦燥感とか不安感でいっぱいになりました。私の「ここぞ」はまだ少し先だってわかってはいるんだけど……。変わらず留まり続けるのも勇気がいりますが、自分のペースで流れていくのも難しいなとひしひし感じています。

そんな感じなので、今回のアドカのテーマは「春」……といわれても就活のことしか考えられません(敗北)。

就活っていったらしますよね、自己分析。私もぼんやり過去の出来事を振り返って手帳に書いてますが、小さい頃から根っこの部分は変わらないもんだな~と感じています。

そう、好きな漫画の傾向も、性癖も同じです。

過去に読んでた漫画の影響は大きいし、pixivの古いブックマークの作品たちは今読んでも神作品です。


そういうわけで今回は私がかなり影響を受けた作品『俺様キングダム』を紹介します!!

オレ様キングダム 1 (ちゃおフラワーコミックス)

オレ様キングダム 1 (ちゃおフラワーコミックス)

  • 作者:八神 千歳
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: コミック

皆さんはちゃお派でしたか?りぼん派?それともなかよし?
私と同年代のちゃお派の方ならこの作品を憶えていることでしょう……。最近続編の連載が始まって単行本も出ましたね。もちろんランキングに入れました。

一言であらすじを説明しますと、

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主人公である高校生漫画家・野々原のの と学校で人気のイケメン3人衆とのラブコメです。かっこいい~。小学生の頃友達と、誰派か話し合ってたのを覚えてます。私は白馬君派……。


逆ハーレムかぁ、って思いましたか? ちがいますよ~
これが私がこの作品を好きな理由の一つなのですが、

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第3話でこれ

ののちゃんは黒澤君一筋なんです!!
私はハーレムものの中でも、主人公にその気がないのに無理やり意識させる系とか、主人公の魅力がわからない作品が苦手です。人の感情を無下に扱ってはいけない……。この作品はののちゃんが黒澤君が好き!ってはっきり示しているから、それがちゃんと尊重されるんです。ののちゃんも学校で人気の白馬君に告白されたっていうことに浮かれたりせず、きっぱり断って。一見イケメンたちに囲まれて楽し~みたいな作品に見えますが、とても誠実に感情を扱っているなと思います。



そう、ののちゃんは黒澤君に一途……。

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こういうちょっと変態ちっくなところも可愛い。どんな想像だって心の中にとどめている限り許されます。ちなみに上の2枚目の画像は続編、つまり恋愛成就した後のののちゃん。こんなにべた惚れなの嬉しいよね……。
今でも一途で誠実なキャラが好きなのは、こういうところからきてるんだろうな、と思う次第です。

が、
それ以上にこの作品にはとんでもない衝撃を与えられました。





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男の人同士でキスしてもいいんだ……!

しかもこの2人、もう1回事故チューします。
たしか当時私は小学4年生。いや~革新的でした。確かに口と口があるからできないことはないよねって妙に納得した覚えがあります。これまで漫画に出てくるのが男女のキスシーンばかりだったので新鮮だったのでしょう。なまじっか絵がかけた私の、この頃の自由帳を見るとこのシーンがどれだけ衝撃的だったかがわかります。自由帳は全ページ糊付けして処分しました……。

読んでいる当時は全然気づかなかったのですが、

こういうのとか
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こういうのとか
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結構そういう感じを香らせている漫画だったんだなぁ。これを読んで小学生時代を過ごしたの、知らず知らずのうちに腐の道へ導かれていたのでは……? まあ作者がその道の方らしいので。質のいい教育です。

こんな感じで、ラブコメとしても、男キャラの絡みを見るのも楽しめるとても良い作品です。昔読んでいたちゃおっ子も、様々なジャンルを通ってきた今読み直すと改めて感じる何かがあるかもしれません。


他にも影響を受けた作品はいっぱいあるのですが、こんな感じで。ESに過去ジャンルの推しカプとかハマった漫画とかを書く欄があれば楽しいのにね。

あ~~さっさと安心感を得たいよ~~~!!!

新歓毎日投稿企画【4/11】終わりの季節

こんにちは! 4月から4回生になりいよいよあとがなくなっている、沈黙と申します。
今年のアドカはなんでしたっけ、テーマは「春」? 春……春ねぇ、春か~~~~~っ…………(5、6時間ほど長考・勘案するも、一つとして適当な文章を紡いでいる未来を見出せず、入眠)。

(……起きて)正直に言って、僕は春が嫌いです。芽吹きの時季であり、始まりの象徴であり、萌しの息吹を与える、春。そうした理由から好きになる人もいるのかも知れませんが、僕にとってはその始まりの雰囲気がまさに、終わりを予期し促しているかのようで怖いのです(日曜日を予期する土曜日のほうが、月曜日を予期する日曜日よりも好きなのも同じ理由かも?)。

ただ「春」に対する好悪は別として、この・・季節が世界の諸々の始まりを粛々と用意するのと同様に、いやそれがゆえに、避けようもなく絶えず今まさに訪れているこの・・終わりを暗示するのは間違いないように思われます。

ということで、今回はそうした、絶えず始まりながらもとめどもなく終わっていく漫画を紹介したいと思います。

堀辰雄の「燃ゆる頬」を耽美な筆致でコミカライズした本作は、男子校、寄宿舎、美少年、サナトリウム……といったクリシェを忠実に用いていながらも、少年が「少年」でなくなっていくという、ただ一つ本質的なところを――即ち生命としての「滅び」を、見失わずに描いている佳作だと言えます。

蜂の巣のように正確に区切られた寄宿舎との類比で、主人公の少年は自身を蜜蜂に喩えます。花粉を体いっぱいに纏った蜜蜂は、自分が受粉させる花をいずれ必ず選ぶことになる。「世の中ってそういう風に決まっている」と悟ったように言う主人公は冒頭で、円盤投げの選手で体格の良い先輩に、顕微鏡を見せてやろう、と誘われてレンズを覗き込むのですが、股間をまさぐられ、途端に戸惑いながら逃げ出してしまいます。この時点で彼はまだ「少年」であって、おまけに同級生と比べても成長が遅く、小柄でまだ髭も生えそろっていない初心な17歳なワケです。

そこで主人公と同じ部屋に転入してくるのが、儚げな美少年の三枝です(彼は実際病弱で、脊椎カリエスを患っている)。
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同学年ながら一歳上の三枝は主人公をからかい混じりに魅了し、やがて主人公もいつの間にか恋に落ちていることを自覚して、彼らは「友達」の一線を越えた関係へともつれ込んでいきます。

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美少年の「受動態ネガティブ」に抗えなかった彼は当然タチとして振る舞わざるを得ない訳ですが、上の独白にも表れているように、それは同時に、自分が恬淡と生き時には対象化されもする少年=「花」から、欲望に絡めとられ戸惑いながらも本能に奉仕する男=「蜜蜂」への移行を意味するものだった。本作はそうして、主人公の少年から男への文字通りの変貌=羽化(あるいは「脱皮」?)を活写していきます。

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誰?というレベルで「オス」の顔になってる…… ※童貞喪失の翌日

恋人と言ってもおかしくないくらいに親密になった彼らは、夏休みに旅行に出かけ、宿泊先でも互いに情事に溺れ、深みにはまっていきます。しかしそんな蜜月もある日突然終わりを迎えます。主人公は旅先の村で偶然出会った女学生に、一目惚れしてしまうのです。

そこでよりはっきりと彼は身体的な面だけでなく精神的な面でも「男」となってしまう訳です。途方もない生殖の連関の一部へと、彼は繋ぎ止められて、途端に三枝との関係もぎくしゃくしはじめ、口論になり、そして三枝は突然喀血し、入院することになってしまいます。旅行は中途半端な形で終わり、二人は会うこともなくなりますが、しかしその後も主人公の元へと三枝は手紙を送り続けます。

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三枝への思いを失ってしまった主人公はろくに返事を出すこともなく、彼の持病の再発を知ってもそのままに連絡さえとらず、そして冬になってついに、校内の掲示板への貼り出しで、彼にはもう会えないのだということを知るに至ります。

十分に月日が経ち、すっかり「大人」になった主人公は肺結核と診断されて少し痩せこけた姿で入院しています。思うにこの物語はそこまで描かなければ、即ち少年が男になり、壮年と呼べるくらいにまで老いなければ、物語として完成しなかったのではないかと思います。『美少年学入門』の第一章「少年派宣言」で中島梓はこう記しています。

少年をえらぶ、と意志すること――それはひとつの選択である。滅びに与し、「時」に与し、「時よ、おまえは美しい。ここにとどまれ」と告げることを欲さずにその無慈悲な歩みに与し、そしてその滅びのいたみをあえて身に受けることである。

勿論『燃ゆる頬』での主人公はここで言う少年――三枝を選ぶことなく、いや選ぶことができなくなって、そしてそのできないという諦めさえも諦めてしまいます。しかし、

少年がゆるやかに「時」の報復をうけて、この世の生物にすがたをかえてゆくとき、私たちは「滅び」をえらぶ営為の真の意味を知るだろう。それは、二度とくりかえし得ぬ瞬間の、その一度かぎりなることをこそ愛することだ。

三枝を選べなかった彼もまた、「少年」であったし、何よりそれは中島が「少年派宣言」で定義したように、美醜にも年齢にもその本質を置くものではありませんでした。

少年を「少年」たらしめる真の定義――それをひとことで云うならば、それは、次のようなことになるだろう。それは――《世界にとって対象であるもの》だ、と。

もはや、自分はありし日のような「対象」にはなり得ないということを反芻して、主人公は最後に、変わらず繰り返される生命の営みを殊勝にも言祝ぎます。しかし僕個人としては、大いなる生命の連鎖の途方もなさに驚嘆こそすれ、その不用意な遠大さに掬いとられなくともよいと思うのです。療養所で新たな少年に出会った主人公は、同じ脊椎カリエスを患っている彼に、かつての三枝を重ねます。冬に逝った三枝と初めて会ったあの春が、少年との出会いによってリフレインし、春は結局のところ、絶え間なく繰り返されるその一断片として儚くも、そして切なげに、その営為の開始を告げるでしょう。

とめどもなく流れていく「今」に名をつけて、「春」としても、「少年」としても、時間の残酷さのうちに置かれている限りは、それらはみなすべて、暫定的な仮称にしか過ぎないと言えます。ただ――そうだとして他ならぬ私たち自身は今この瞬間にも滅んではいないか? 僕は、いや私たちは、それらが仮称に過ぎないとしても、僭称ではないと知っています。たとえ世界に見向きもされなくなったとしても、滅び朽ち果てて無惨な姿に成り果てたとしても、誰にとっての「対象」でなくなったとしても、自分だけは自分を対象化し得るはずです。そしてそれは、文字通り終わりがなく果てしがないからこそ、「不可能」という名のもとに、私たち自身に絶えざる「春」を、あるいは、永遠の「少年たること」を、可能にするものではないでしょうか。私たちは絶えず滅んでいる。よって――これは全く無垢な逆説ですが――、私たちは絶えず生まれている。

『燃ゆる頬』は一人の「少年」の滅びの物語ですが、しかし私たちの生そのものが滅びであると気づくとき、他でもない私たち自身のこの滅びを、この終わりを、一身に引き受けることができるのだと思います。僕は春が嫌いです。それは、生そのもののうちに死が、始まりそのもののうちに終わりが隠されていることへの嫌悪からだったかも知れません。でも、皮肉にもこうして、その滅びが曝露して前面に出てきた今となっては、春は寧ろ好きな部類に入るのかもしれません。そこでは生の明るみに死の暗がりがぴったりと寸分違わず重ね合わされているのですから。
(でも、こんな徹夜を余儀なくされる日曜日は、やっぱり好きになれないかも知れないなぁ)

というところで(勘弁してほしい)。ではでは。長文失礼いたしました。