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京大漫トロピーのブログです

新歓毎日投稿企画【4/26】『きかんしゃトーマス』で格付けした

 シチョウです。春といえば変化の多い季節ですね。新しい環境に移る人も多いでしょうし、新年度になったことを機に新たな領域に挑戦する人も多いでしょう。ここ最近の漫トロでも新たな潮流が生まれており、それが『ドラえもん』の映画をランク付けしたり、「セーラームーン」のキャラに対して優遇されているか不遇かでランク付けしたりと、往年の子供向け作品を大学生の観点で見直してランク付けするという流れです。せっかくなので僕も乗っかろうと思います。ランク付けするのは『きかんしゃトーマス』です。

 さて、まず漫画やアニメでランク付けすると言われて思い浮かぶのはやはり「強さ議論」でしょう。「〇〇(漫画名) 強さ議論」と検索すれば5chの強さ議論スレが真っ先に出てきますし、漫画やアニメを格付けするときは大抵は「強さランキング」です。なので『きかんしゃトーマス』で強さの格付けをすることを当初は考えていたのですが、強さ議論スレでいうところの「強さ」がそのキャラクターの設定やステータスで決まる表面的な指標であることを踏まえると、会誌を見ていただければわかる通り、仮にも漫画の内容についての議論を交わすことを主たる活動とする当サークルのブログに相応しい内容ではないと思い、辞めました。読者の皆さんも「ゴードンはでかいから強いw!」みたいなのを見るためにこのページを開いてるわけではないでしょ?あとは単純に5chでやり尽くされているからというのと、トーマスやその仲間たちが戦う描写が作中で殆どないので内容に踏み込むことができなさそうなのも辞めた理由ですね。

 というわけで、今回は『きかんしゃトーマス』のキャラクターの物語の登場車両としての魅力でランク付けします。要はキャラが立っていればいるほどランクが高いということです。また、『きかんしゃトーマス』はキャラクターが多すぎるので、第3シーズンまでに登場したキャラクターでなおかつそれなりに登場頻度の高いキャラクターに限定しました。初めに断っておくと、『きかんしゃトーマス』を悪意で茶化すような内容ではないので、『きかんしゃトーマス』に触れていない人間が読んで楽しめるかどうかいわれれば微妙だと思います。こういう視点でキャラクターを格付けするのもアリだな、的な感じでみていただければ何よりです。

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これpowerpointで編集していたんですけど、その際に写真が自動で文字媒体に変換されており、それがちょっと面白かったのでこれからはこの部分に写真の代替テキストを貼っていきます

Sランク:どういう場面で起用しても使いやすい、勝手に動いてくれるタイプの強度の高いキャラクター。
Aランク:一貫した性格を持っている良キャラ。
Bランク:Aランクのキャラには見劣りするが、十分に固形の人格は備えている。
Cランク:キャラが立っていると言えば立っているが無理やり立たせているだけだったり、諸事情で無個性になるなどした、Dランクに置くほどでもないが堂々と個性的であるとは言いにくいキャラ。
Dランク:ある程度の条件さえ満たせば、他の誰でも代用可能なキャラ。

Sランク

ゴードン

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テーブルの上にある人形

 急行列車を主に牽いて走る、ソドー鉄道の花形ともいえる大型機関車。初期は大型機関車を束ねてストライキを起こしたり小型機関車をいびったりするジャイアン的存在でしたが、話が進むにつれてとにかく意地悪なジャイアン的側面は薄れ、自分の仕事に対して誇りを持つ大人としての一面がフォーカスされるようになりました。ただし、「誇りを持つ」ということは言い換えれば「プライドが高い」ということでもあり、それが災いしてトラブルを起こすことも決して少なくありません。この「プライドの高さ」が彼のキャラクターとしての最大の魅力でしょう。教訓話の主役として起用しやすい一方(『きかんしゃトーマス』の大半は教訓話)、自分の仕事に対しては誠実で、(パーシーやジェームス辺りと比較すれば)大人なので、逆に教訓を与えるキャラとしても起用しやすいのが素晴らしいですね。長所と短所が同じところに根差しているので、どんな話でも起用しやすい割に話毎での性格のブレが少なく、観ている側としてもどんなキャラなのかが把握しやすいという点で、作り手にとっても視聴者にとっても理想的なキャラクターであるといえるでしょう。

パーシー

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屋外, グリーン, 電車, 探す が含まれている画像

 人気投票で1位だったそうです。彼はレギュラーメンバーの中では最も幼いキャラとして設定されており、『きかんしゃトーマス』の主なターゲットである幼児層に最も目線が近いキャラとして描かれているので、1番人気は必然だと言えます。彼を一言で表すとすれば「未熟」です。他の機関車に比べれば無知ですし、悪戯好きでおっちょこちょいと、子供特有の悪い面を持っているので、失敗談を幼児が感情移入できる形で作りやすい一方、純粋なので目の前の仕事に対しては真摯であり、「逆境でも仕事を頑張れば報われる」的な美談にも起用しやすいのがゴードンと同じく制作側にとっても良キャラであるといえるでしょうね。こちらも「長所と短所が同じところに根差している」点を評価してSランクとしました。(余談ですが、ゴードンの項でもパーシーの項でも触れた通り、『きかんしゃトーマス』では「自分の仕事に対して誇りを持って真摯に向き合う」というテーマがしばしば登場し、個人的にここが『きかんしゃトーマス』が他の幼児向け作品とは一線を画す部分だと考えています。『きかんしゃトーマス』ではどのキャラも自分の仕事がある、つまり一種の職業モノであり、「自分の仕事にどう向き合うか」というテーマは『アンパンマン』や『ドラえもん』などではあまり扱えないので、現『きかんしゃトーマス』製作陣に対してはトーマスを海外に行かせて現地の風習を学ばせる暇があったら『きかんしゃトーマス』のアイデンティティであるそういった部分をもっと掘り下げてほしいなと思います。また、誰とは言いませんが、トラック運転手を見下すなど、職に貴賤を設けて賤側の職業に就いている人を無条件に差別する某会員にはぜひ『きかんしゃトーマス』を見返して心を入れ替えてほしいものですね。)

Aランク

ジェームス

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おもちゃの機関車

 赤いボディが自慢のお調子者。初期はエドワードを除いて全員問題児だったのでそれほど悪目立ちすることはありませんでしたが、話が進むにつれて他のキャラクターが丸くなっていった一方で彼だけ丸くなることはなかったので、揉め事を起こす役割を一手に引き受ける形となってしまいました。そのためか、潔癖・自惚れ屋・(死語ですが)KYと、問題児属性をこれでもかと強化されており、彼が「役に立つ機関車」として活躍することは殆ど無いといっていいのが現状です。どの特徴も「自分のことしか見えていない」という点では一貫しており、視聴者にとって分かりやすいキャラクターであるのも作り手にとって使いやすいキャラクターであるのも事実なんですが、人格面で短所しか(作中ではうかがえ)ないキャラをSランクに置くのもどうかと思い、Aランクにしました。自分本位なキャラクターなのでどんな話でも最終的にジェームスの話になってしまうというのも欠点といえるでしょうね。

ビル&ベン

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おもちゃの機関車

 クソガキ。パーシーよりさらに一回り精神的に幼く、仕事には不真面目で他の機関車に迷惑ばかりかけると、一緒にいると腹が立つことこの上ないであろうキャラクターとして描かれています。他人に迷惑をかけたくてかけているという点ではジェームスより悪質ですね。ただし、彼らは幼児が実践しやすい範囲での悪役であるので、パーシーと同じく幼児層と目線が近く、またトラブルメーカーとしての起用もしやすいことを踏まえてAランクとしました。

デイジー

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森の中の道を走る電車

 女版ジェームス。ソドー島唯一の客車なしで旅客を乗せられるディーゼル気動車ということで、ソドー島唯一の真っ赤な機関車であるジェームスを同じく自分が特別だと思い込んでいる高飛車な自惚れ屋。ただしジェームスと違い近年はやや丸くなり、年長者としての役割を担うことも時折あります。『きかんしゃトーマス』の女性キャラにしては珍しく外見も内面も個性的なキャラなので、あらゆる英米のエンタメにおいて性別や人種の平等が叫ばれている近年、『きかんしゃトーマス』において彼女の主役回が増えているのも納得のいく話です。Sランクでもよいのですが、「年長者」と「自惚れ屋」というそれぞれの側面が矛盾するとまではいえないものの一貫性には欠けるかなと考えてAランクとしました。

Bランク

トーマス

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屋内, 女性, 食品, テーブル が含まれている画像

 皆さんご存知、この物語の主人公。生意気で短気だが、仕事熱心で好奇心旺盛と、一応キャラは立っていると言えば立っているんですが、先ほど挙げたゴードンやパーシーやジェームスのように性格を一言で表せるかと言われれば……。これは長期間放送し続ける作品の主人公であることを考えると仕方ないんですが、主人公なのであらゆる雰囲気の話の主役として起用せざるをえず、その度にそれに合わせた性格にした結果、かえって没個性的なキャラクターとなってしまったということなんでしょうね。一応パーシーよりはやや精神年齢が高いが子供という点で一貫してはいるんですが……。

エドワード

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森の中を走る列車

 唯一の人格者。客車も貨車も牽引しますが、他の機関車をサポートしているイメージがやはり強いのではないでしょうか。『エドワードのおてがら』然り、『おんぼろエドワード』然り、彼が活躍するのは専ら他の機関車のサポートに回るときです。逆に言えば、彼単独での主役回は作りにくいんですよね。「おんぼろ」という欠点もあるにはあるんですが、基本的に失敗しないキャラなので教訓話の主役として扱いにくく、それがレギュラー降板につながったのだろうなと。エドワードとヘンリーのレギュラー降板については詳細に考察しているブログがあるのでそちらをご覧ください。*1

ディーゼル

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建物, 電車, 座る, 跡 が含まれている画像

 悪の権化。他の機関車の悪事は悪戯の二文字で済ませられるレベルなのですが、彼は他の機関車を本気で貶めにかかることも多く、見ていて不快になるタイプの悪役ですね。原作者のウィルバート・オードリーディーゼル機関車を嫌っていたようで、そのために笑えない悪事を行うという役割を全てディーゼルに押し付けたのでしょう。まず蒸気機関車にもバスにも名前を付けているのにディーゼル機関車に対してだけ固有の名前をつけていない時点でディーゼル嫌いなんだろうなというのがひしひしと伝わってきます。そんな彼ですが、近年は丸くなり、動物を可愛がったり蒸気機関車のために石炭を運ぶなど好感の持てるエピソードも散見されるようになりました。個人的にはこれでよかったと思います。ただ悪いだけで可愛げがないキャラって見ていてきついんで。『呪術廻戦』の真人とかさあ。

トード

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草, 屋外, ケーキ, 車 が含まれている画像

 オリバー専用のブレーキ車。ブレーキ車なので、仕事はオリバーを初めとした自分を牽引する機関車のサポートになります。サポート役ということで、機関車から一歩引いた立場をとった上で物腰柔らかに自分の考えを語る姿はさながら英米の映画に登場する執事で、実際にその辺を意識して造形されたキャラなんでしょうね。良キャラなんですがこの位置に甘んじているのは、エドワードと同様自分から積極的に行動するキャラではなく、Aランク以上のキャラほど勝手に動いてくれるわけではないからですね。

Cランク

ヘンリー

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水, 屋外, 小さい, 草 が含まれている画像

 他のレギュラーメンバーと違い、原作の時点で彼独自の固形の人格が与えられなかったのが最大の不幸なんでしょうね。他のレギュラーメンバーと比較して彼の扱いに製作陣が苦労しているのは『きかんしゃトーマス』の主題歌である「Engine roll call」及びその日本語版を見れば明らかです。他のレギュラーメンバーはその性格について言及されている(例:エドワードの場合英語では「wants to help and share」、日本語では「優しい心」といわれている)のに対し、ヘンリーの場合英語では「totts and huffs and puffs」とただ韻を踏んだだけであり、日本語の「力があるよ」に至っては、ゴードンの「とっても強い」と丸被りしている有様。両言語ともにもっとやりようがあっただろと思わずつっこみたくなりますね。*2じゃあ彼は無個性なのかと言われれば決してそんなことはなく、特に『ヘンリーのもり』以降は自然を愛する優しい性格としての描写が目立ちます。ただ、こいつ初期はゴードンとかジェームスとかとつるんでたんだよなあ……。トーマスを見ていても人格面の矛盾はそれほど見えないのに対し、ヘンリーについては人格面の矛盾が目に余るのですが、それでもキャラが全く立っていないわけではないのでCランクとしました。

トビー

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電車の車両

 一応レギュラーメンバー扱いなんでしょうか。巻き込まれ体質なのだろうなというのが率直な印象。おんぼろだが経験豊富という一貫した特徴はあるものの、他の機関車が起こしたトラブルに巻き込まれたり災害に遭ったりしている場面ばかりで、内面について掘り下げられているのをあまり見たことがありません。脇役として輝くという意味ではエドワードに近いのでしょうが、そもそもエドワードは他の機関車のサポートを仕事にしていることも多いのに対し、トビー自身がサポート役の仕事を担うこともあまりないので、サポート役としての側面が掘り下げられることもあまりありません。あとCG版になってから不細工になった気がします。一応内面が掘り下げられないこともないわけではないし、キャラが立っていないわけではないのでCランクとしましたが、レギュラーメンバーの割にはキャラとしての魅力が外見という意味でも内面という意味でも乏しいので、彼が『きかんしゃトーマス』のキャラの中で一番好きだという人はたぶんいないと思います。

ハロルド

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飛行機の模型

 常に上から目線ということで、初期は機関車に対してナチュラルに上から目線で接しており、いいキャラだなと思っていたのですが、クランキーの登場辺りからそういう描写もなくなってきました。まあバスもヘリコプターもソドー島にほぼいないしあまり変なキャラ付けをしても話の展開に困るだけというのもあるのでしょうが。

オリバー

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屋内, 建物, グリーン, 座る が含まれている画像

 悪い奴ではないが、何かにつけて不満を垂れる、という感じの面倒くさいキャラだったのですが、いつの間にか丸くなって無個性になってしまっていました。Dランクでもいいかなと思ったのですが、どちらかといえば彼は近年の『きかんしゃトーマス』が過度に教育的な番組となることを意識していることによる被害者的な側面も強いので、この位置にしました。

Dランク

バーティー

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屋外, 草, 輸送, 小さい が含まれている画像

 出番は多めですが、それは単にソドー島にバスが殆どいないのでバスが必要となる場面での需要を一手に担っている、というだけのことなのでしょう。初期から一貫して「トーマスとよく競争したがる」という特徴がありますが、これは単に「足が速いほうが偉い」という幼少期特有の価値観をトーマスで表現するために生み出されただけの特徴であり、これをバーティーのキャラ造形の一環であるということはできないでしょう。

ダック・ドナルド&ダグラス

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屋内, 座る, テーブル, グリーン が含まれている画像
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電車の模型

 誰でもいい場面でとりあえず起用されているだけ、という印象。ダックは大西部鉄道から、ドナルドとダグラスはスコットランドからやってきた機関車ということでそれに由来するエピソードがいくつか製作されているのですが、残念ながらそれらのエピソードが彼らの内面につながっているわけではなく、彼らがそういったエピソードで担っているのは大西部鉄道やスコットランド出身の機関車でさえあればどんな機関車であっても務まりそうな役割ばかりです。話が進むにつれて出番が減ったのもさもありなんといったところでしょう。

メイビス

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鉄道を走っている機関車

 初登場時はわがままで仕事も雑な問題児でしたが、トビーを危険な目に遭わせてしまったことに反省し、以降は真面目に働くようになりました。クズばかりなディーゼル機関車の中で数少ないまともなディーゼル機関車として、そしてビル&ベンのお目付け役として比較的出番は多いのですが、どちらも彼女のキャラクターが魅力的だからというよりはそういう役割が物語上必要だから起用されているだけですね。


アニー&クララベル

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電車の車両

 うーん……。彼女らがストーリーに寄与したことがないので、キャラクターとして語っていいのかすら微妙なラインですね。ちなみに原作絵本では蒸気機関車は全て男性で、それに牽引される客車はほぼ全員女性です。当時のイギリスの男女観がよく表れていますね。レニさんとかが初期のトーマスみたらブチぎれそう(適当)。