お初です。みかんばこです。本当は10日のシフトだったんだが、9日の奴が落としたので俺が遅れたみたいになった。ギルティ。
この間漫喫で『五等分の花嫁』を一気読みし、「二乃ちゃんみたいな女の子と青春して~~~」という衝動のままにソフマップへ突撃し、人生初のエロゲ―を買いました。いざ始めてみると実妹ルート一直線でした。おかしいね。
右クリックひとつで攻略した妹は砂粒一つくれやしませんでしたが、「女の子が主人公のために悩みぬいてプレゼントを用意する」というシチュ、よくありますよね。ギャルゲーだけでなく、ラブコメや日常系の漫画にもよく見られる展開です。きららでも最近『三者三葉』や『まちカドまぞく』でそんな回がありました。なぜ日常系漫画でそういった展開が多いのかといえば、日常系漫画は「人と人との関係性に重きを置く」傾向にあり、プレゼントは「人と人との関係の深さを明確に視覚化するもの」だからだと思うんですよ。プレゼントはいわば無償の奉仕です。相手のために金を使い、時間を使い、労力を費やす。とてもエネルギーのいる行為です。俺にはできない。でもだからこそ、この「相手へプレゼントを渡す」という行為は、贈り主から相手への好意、二人の関係性の深さというものをストレートに読者に伝えてくれる、とても便利なアイテムなのでしょう。「関係性の可視化」はそのまま「関係性の変遷」を示すことに利用できます。初対面では出会いがしらに殴り合っていたような二人が、終盤の展開ではお互いにクリスマスプレゼントを贈りあう仲になっている。それだけでとてもあたたかな気持ちになりませんか。
まぁプレゼントはあくまで一例で、「キャラクター同士の関係性」という切り口からキャラクターに魅力を持たせてる日常系漫画っていいよねっていうお話。
- 作者: 伊藤いづも
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2015/11/27
- メディア: コミック
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この漫画、上述した「関係性の魅力」というものをこれでもかというほど詰め込んでいるんですよ。
魔法少女・千代田桃は最初闇の一族の血を引く主人公・シャミ子の宿敵として登場します。
弱体化の一途を辿る一族の復活のためには「魔法少女の生き血」が必要。シャミ子にとって桃は倒すべき敵であり、決して相いれない存在として、桃にたびたび勝負を仕掛けることになります。
ですが桃は世界を救ったこともある英雄クラスの魔法少女。対してシャミ子は覚醒したてのへっぽこまぞく。当然敵うはずもなく、むしろそのあまりの弱さに同情されたシャミ子は桃からなぜか強くなるための特訓を受けることになります。そんな桃に対してシャミ子はさらに敵愾心を燃やしていきます。その敵愾心は、徐々に「桃に認められたい」という憧れ、また「彼女を屈服させたい」というような若干サディズムな欲求へと成長していきます。
さらに桃と交流を続け、彼女の仄暗い過去を知ったり、何度も彼女に助けられるにつれ、それは「知りたい」「触れたい」「見たい」という欲求へとなり……それは、桃に対する明確な好意という形で現れます。「桃を救いたい。二人で肩を並べて歩いていきたい」シャミ子の想いは、結果的にそういう形に帰着します。
ここまで丁寧に「心情の変遷」を描いてくれる漫画があるでしょうか。この丁寧さが、まちカドまぞくの何よりもの魅力なのだと思います。
シャミ子だけではなく、桃の心もシャミ子とのふれあいで動いていきます。
当初、桃は何かと自分にちょっかいをかけてくるシャミ子に対し、半ば保護者のような視点でシャミ子に接することになります。立場的にはシャミ子の上に立ち、一枚壁を貼って接するわけです。それも当然な話で、桃は魔法少女として、物語の舞台であるせいいき桜ヶ丘を守護する役割を担っています。シャミ子を鍛えているのがその一環である部分もあるでしょう。さらに、桃にはこの町で行方不明の姉――――彼女の唯だ一人の家族を見つけるという目的もあります。
また、まだ深くは語られていませんが、桃は過去に人格形成に影響をきたすほどのトラウマを抱えています。そういった要素からか、物語初期の彼女からは諦観めいた哀愁を誘うことがありました。
ですが、シャミ子とふれあい、彼女の中にある「優しさ」に触れ、彼女に姉の面影を感じたりするにつけ、心の壁を徐々に取り払っていきます。
そして、26話。二巻の最終話にあたるシャミ子との大きなイベントを経て、彼女の心はシャミ子によって完全に救済されます。以降、シャミ子は彼女にとって「かけがえのない存在」となり、シャミ子を守ることが彼女の生きがいとなります。それは千代田桃という人間において、過去との決別でもあります。姉という過去に囚われ続けるのではなく、シャミ子と一緒に、未来を拓いていく。
お互いがお互いに影響を与え合って、お互いがお互いを大切に想う。たったそれだけだけど、たったそれだけの関係性を、重厚なストーリーラインに乗せて、これでもかというほど丁寧に描写していく。
この二人のいい所は、お互いがお互いの気持ちを全然理解してない所だったりもする。桃はシャミ子の「対等になりたい」という気持ちがわからないし、シャミ子はシャミ子で桃がどれだけ自分を大切に想ってくれているか気づかない。だからたまに衝突したりするけど、それさえも微笑ましい。最近ではシャミ子にカリスマ性が出てきて、桃もそれを認めていて、だんだんシャミ子の桃と対等になりたい、という願いは叶ってきている。自力で。
今回は「関係性」だけに注目しその他のネタバレは極力省いたので不明瞭な点や齟齬はあるかもしれませんが、だいたいこんな漫画です。ただこれは『まちカドまぞく』の一側面にすぎず、この漫画の魅力は他にも語りつくせないほどあります。
これが俺の原点です。きららを読むきっかけ、そこから漫画というものに魅力を感じ始めたきっかけ。
この漫画以上に愛せる作品はもう二度と現れないでしょう。
この間、せいいき桜ヶ丘のモデル、聖蹟桜ヶ丘にも行ってきました。エモかった。
まちカドまぞく、キてます。4巻なんて一か月で重版かかりました。きらら漫画では異例の速さです。うれしい。まちカドまぞくを知ってから何度も繰り返した言葉ですが、この場を借りて、もう一度。声を大にして叫びましょう。
まちカドまぞくはいいぞ。