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京大漫トロピーのブログです

【12/25】感受性を持って漫画を読む

 新しく会長になりました1353です。今日でアドベントカレンダー企画も終わりということで、最後を務めさせていただきます。

 漫トロピーに入ってからの悩み(尤も、悩みといえるほど高尚なものでもないし、贅沢なものであるのだが)として一つ一つの漫画に割ける時間が減ってしまったことがあげられる。
 読者の方々は漫画を一冊に平均して何分かけるだろうか。作品次第というのが本当だろうが一般の青年誌なら一冊30分前後というのが相場ではないか(参考:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1213327717)筆者は遅読に自信がある方で一冊当たり一時間かけることもある。ただ傾斜配分は当然行うから興味がそれほどない漫画については流し読みして10分程度で済ませる。
 ではなぜそんなに時間をかけるか、と言われたら当然時間をかけることで、そうしないと見えない新しいものが透けて見えてくるからである。それは例えば複雑な世界観を整理して理解することだったり、先の展開を予想することだったり、風景や顔の書き込み、コマ割りを逐一観察して登場人物の感情を分析すること、物語や構図が象徴することの解釈である。個人的なことだが、漫画を読むときにはどうしてもキャラクターに目線が行きがちであるため、背景の風景にも目を配りたいとは心掛けている。背景描写が丁寧な漫画ほど神漫画率が高いし。
 そうすると、どんな漫画を深く分析しながら読むべきかと言われたら「エモい」漫画、例えば悲劇であったり、ファンタジーが該当するかもしれない。実際そうであると思うが、ここではひねくれたものの見方としてギャグマンガを頭を使って読んでみることを考えてみたい。

慈母れ!ヒイラギちゃん (MFコミックス フラッパーシリーズ)

慈母れ!ヒイラギちゃん (MFコミックス フラッパーシリーズ)

www.pixiv.net
 『慈母れ!ヒイラギちゃん』という今年の漫画がある。この漫画の商業誌版は純粋なギャグマンガだ。タイトルこそ某クトゥルフラノベのパロディではあるが、中身のほうはパロディネタやたとえばキャラ萌え要素(萌え四コマのオチみたいな)に走ることなく、純粋にギャグ一筋で笑いを取りに来ており、面白い。2018年度版ランキングの対象なので会員の方々にはご一読を勧める。
 ここで話題にしたいのはヒイラギちゃんの元ネタとなった漫画の話だ。(上記URL参照)元の漫画の元ネタも大筋はギャグマンガである。サンタである主人公のヒイラギとその祖父のやり取りを主題にしているが、ここで、ギャグマンガという枠縁を取り除いて読んでみればお互い素直になれずつっけんどんな態度をとっているが確かに家族愛が存在する二人の関係性が見えてくる。 最近の漫画だけに終わるのも癪なのでもう一作(厳密には続編も含めて二作だが)紹介する。無敵看板娘はまごうことなきギャグ漫画だ。(不謹慎であることは認めるが)しかし、作者がのちに自殺したという事実から読解を進めるとどうだろう?この漫画には真面目であるが失敗するといつも自殺を試みる教師が登場する。またエピソードは勧善懲悪的なものも多く、道徳観が説かれることもある。ここからある種の佐渡川潤像というのが導かれるのではないだろうか。作者を理解するというメソッドは他の作品にも使えるであろうし、そうすることで他者の考えを学ぶことができる。

最近筆者は漫画を斜め読みすることが多くなり、漫画にプリントされたものを単なるデータとして受け取ってばかりであるが、これを機に考えながら読むよう反省したい次第である。なにがいいたいかというと早く時間、長期休暇をください。