mantrog

京大漫トロピーのブログです

【12/24】南進するレクイエム

鍋・敷きおです。
もし自分が会誌を鍋敷きにされたらゲラゲラ笑うだろうなあと思ったし、鍋敷きにしたところで読めなくなるわけではない(機能的に失われるものはない)し、自分の会誌だし、会誌もう全部読んだし、ええやんと思ったんですが、そういえばコミケで横に並んだよしみで貰った会誌だったし、「もし自分が」「自分の」って、結局自分のことしか考えていないやんけ。他人の気持ちを考えるとは自分の価値観を他人に強制することではない。そんなクソヤローが取るべき行動とはなにか? 南進だ。

南進するレクイエム

暁星メクイベム(1)

暁星メクイベム(1)

百万遍からくら寿司西陣店まで歩いて行って帰ってきて、漫画BARでクリスマスチキン(100円)を食べながら、漫画も読まずに「春旅行はどこに行くか」「絶望がほしい、行くだけ行って帰れないみたいな絶望が」「くら寿司、世界の終わり感ひどかった。これからどこに行けばいいんだ」「夢で迷い込むアメリカの感じ」「からだに沸々と湧き上がるこの衝動を発散させたい」「南進リベンジ*1」「南進リベンジ?」

南進リベンジ

南とは? 太陽の塔だ。

1/144スケール 太陽の塔 塗装済み完成モデル

1/144スケール 太陽の塔 塗装済み完成モデル

出発は23:00(たしか)
 

失敗した

あまり詳しく語れないのは、記憶さえ推進力に変えてしまったからである。
鴨川に沿って下ると水の流れは早く空気は冷たく、河原に置かれた丸石に腰掛け足を伸ばすと「わしここで寝たらべしゃり暮らしの凍死したやつになる」とDが言った。
GUで1500円ぐらいで買った靴は足を守ってはくれず、足の裏と左膝と右肩がどうしようもなく痛かった。伏見稲荷あたりでもうひどく痛かった。しかし僕たちは歩き続けた。始めこそテーマを交互に決めて「好きな色」とか「好きな本」とか「今まで一番暑かった日」とかを話したが、道も狭く歩くペースにも差が開いてくるとことばも少なになり、ただ僕が調子はずれに「僕の右手」を叫ぶ。「TRAIN TRAIN」を歌う。なんなんだこれは。僕たちはコンビニに入った。ローソンに、セブンに、ファミマに。トイレに座って足を伸ばし、どん兵衛を買って店内で食べるなと追い出された。一瞬温められた肉体は再び外気にさらされると絶望を感じていた。これだよ、これ。
歩いて歩いて小畑川と出会った。京 都 府。僕は叫んだ。
歩いて歩いて大阪についた。島本なんとか。
僕は拳を堅く握り股関節を開いて一歩一歩ずんずん踏みしめる怒ったオッサンみたいな歩き方から、スマブラDX迷宮に出てくるゾンビみたいな歩き方になっていた。
私は小畑川あたりで気づいた。痛みとはあくまで肉体からの警告であり、無視できる。しかし、山崎蒸留所の看板が見えたときもうそんなことは言えなかった。
Dが笑った。「こんな歩き方の人間がこれから万博に行くんかと思うと」。
僕は思った。確かにこのまま歩き続けて太陽の塔を見れば、それは僕の人生を変えうるだろう。しかし、人生を変える出来事なんてそうそう起こりはしない。
阪急の駅が見えた。水無瀬駅。帰りてえ。
「水無瀬駅て、思ったより全然来てない。まだまだや」とDが言うので、私は諦めた。というか、もうずっとまえから諦めていたが、引き際をここにすることにとうとう決めた。水無瀬駅から歩いたローソンだかファミマだかで僕は最寄りの駅から帰ることにした。このとき05:45。上牧駅。Dは未だ南進するという。僕は見送った。或いは見送られた。私の南進は終わった。
こういう途中で投げ出してしまうところに僕の人生の至らなさがあるとは歩きながらずっと思っていた。吹けば飛び蹴れば折れ叱られれば吃って泣き出すAC鍋・敷きお。南進する前に僕はウォーキングから始めなければならない。物事には前提がある。とにかく僕は負けた。自分にDに太陽の塔に。
京都方面普通に乗って座る。来た道を眺めようかと思ったが車体左側に座ってしまったことに気づき、そもそも阪急電車沿いに歩いてきたわけでもないと目を閉じて次に開いたら河原町だった。しかし僕が乗っているのは梅田行きに変わっていて、烏丸に着いてしまった。一度寝て起きると下半身も元気を取り戻しているかと思ったが全くそんなことはなかった。左足はもう曲がらなかった。びっこを引き階段の手すりに感謝して地上へ出た。四条河原町から201系統に乗る。バスは北進する。薄暗かった町並みが白み明るみを帯びていく。帰ってきた。帰ってきたんだ。僕は負けた、が、満たされていた。もう、今夜『true tears』鑑賞会を行う必要はない。僕たちは満たされている。だからもう何もする必要はない。満たされぬ者が向かうべき道はどこか? 南である。

エピローグ

1530に起きた。2限には行けなかった。LINEを見た。9:33:
f:id:mantropy:20141224180428j:plain:w650
拍手を。

エピローグ2

true tears』鑑賞会に誘っていたQから、「今日はどうします?」と連絡が来たので、「解散だ解散」と返したら「そマ!?」と言われた。もっともだ。

*1:かつてこの友人Dは、京大から枚方まで歩いて帰ろうとして失敗していた。