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京大漫トロピーのブログです

【12/22】Web漫画雑誌とクリスマス

こんにちは。ひでシス(id:hidesys)です。

Webコミックってどこでも読めて便利ですね。インドネシアに留学していても日本のコンビニまで行かずとも漫画を立ち読みできて*1、かなり便利です。どうしてWeb連載が増えたかご存知ですか?

Web漫画の増えた経緯

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という話を去年しました。は~、そういう経緯があってんな。

クリスマスと日本

さて、あなたはクリスマスをご存知でしょうか。

日本には昔から「他人が恐い人として育てられる」という文化があります。
米国の文化人類学ルース・ベネディクトはアメリカ本国で日本人捕虜に対して調査を行いました。そして書かれた文化人類学の本『菊と刀』によると、日本の文化を「恥の文化」と定義しています。神が聖書に書かれた律法のみを迫ってくるセム系の宗教(キリスト教イスラム教)と違って日本では他人が無制限の“キチンとした振る舞い”を迫ってくるわけですから、日本人は常に比較的息苦しい雰囲気の中で生きています。
日本はクリスマスやハローウィンなどを輸入したことについて他の宗教・文化のいいとこ取りだけをしていると言われることがあるかも知れませんが、そもそも我々は十戒以上の規律を守って生活しているのです。そういったハレの日を輸入して楽しむことになんの文句を言われましょう。

そして資本主義

さて、クリスマスなどのイベントには、抑圧されている市民に対してハレの日を提供しガス抜きをする以外に、もう一つ大切な役割があります。それは、資本主義のドライブです。
毎年変わる(が服という機能としては変わらない)ファッションなどがわかりやすいのですが、資本主義には金銭を循環を促進させるためのいくつかの機構があります。クリスマスが宗教的意味のまったく抜け落ちているにもかかわらず表層だけを上滑りして開催されるのもそのうちの一つです。「めでたい」「恋人と消費を楽しもう」などといった流言に踊らされ人々は消費を行い、その売上はGDPに加算されます。まぁ、恋人と楽しい時間を過ごせて嬉しかったのだから、いいんではないでしょうか。

楽しい時間を過ごせて嬉しいという意味では、漫画といったような奢侈品も同じ系統の商品に入ります。つまり、売上減に苦しむ出版社たちはクリスマスという資本主義的ドライブ装置を最大限活用して、読者の消費欲を煽っていかなければなりません。

ここで問題です。

Q. 現在刊行されている以下の66のWeb漫画雑誌に置いて、クリスマス的装飾がサイトに施されているものはいくつあるでしょうか?

アルファポリス
イキパラ
ITAN
WEBコミックアクション
WEBコミック EDEN
WEBコミック Beat's
裏サンデー
裏サンデー U2
画楽ノ杜
ガンガンONLINE
GANMA!
くらげバンチ
クラブサンデー
グランドジャンプ
月刊コミック電撃大王
幻冬舎plus
講談社新雑誌研究所
このマンガがすごい!
コミックヴァルキリー
comico
コミック アヴァルス
COMIC it
ComicWalker
コミックエッセイ劇場
コミックエッセイルーム
コミッククリア
Champion タップ!
コミックダンガン
コミックブレイド
COMICフルール
COMICポラリス
COMICメテオ
COMICリュエル
ゴラクエッグ
週アスCOMIC
週プレNEWS
主婦と生活社
少年ジャンプ+
すくパラぷらす
ゼロサムオンライン
チャンピオンクロス
ツイ4
電脳マヴォ
トーチweb
花とゆめONLINE
ぱれっとonline
BLコミック uvu
pixivコミック
ぷら@ほ~む
ぽこぽこ
ぽにマガ
マガジン・ラボ
漫画街
Manga Samurai Style
マンガボックス
モアイ
Yahoo!ブックストア
やわらかスピリッツ
ヤングアニマルDensi
ゆるっとcafe
となりのヤングジャンプ
4KOMAPARTY
4ページマンガ最前線
LINEマンガ
LaLaメロディ
リイドカフェ




答え

A. 正解は……、
ヤングアニマルDensi
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ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
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comico(コミコ) - 無料のスクロール型Web漫画
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の以上たった3/66です。オラオラ出版社各社は資本主義わかってんのか。

さすが、ポッと出のPixivなどはよくわかっているなぁという感じで、漫画全てにクリスマス感を出させていますね。紙の雑誌ではみんあ表紙をクリスマス色にしてるのだから、Webの方ももうちょっと気を払って欲しかった。

これらのキャプチャはあとあと有益な民族誌的情報になるかも知れません。Webの情報ってどんどん更新されて消えていくので、紙で残る雑誌と違って情報が消えてしまって残らないですから、後で立ち返って研究できないんですよね。
Web漫画雑誌が雨後の筍のように増えたこの2年ぐらいが漫画研究史の空白期間になってしまうことを危惧しています。たぶん4年後ぐらいには、すべてのWeb漫画雑誌サイトはクリスマスにはクリスマス一色になっているはずです。「ああ、2014年ではまだそんな風にクリスマク装飾さえ行っていなかったんだ」っていうのがこの記事でわかればいいですね(クリスマク装飾じゃないサイトもキャプっとけっていう話だけど)。

仮根九大

バーーーってWeb漫画サイトを見てたんですけど、画楽ノ杜 : 「エンチャントランド」富沢ひとしを読みましょう。画楽ノ杜は一話以外の過去分が読めないから微妙なんだけど、富沢ひとしのエンチャントランドを連載してるのだけは評価できます。
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富沢ひとし的な絵の緻密さと話の奇怪さがWebでも読める!って感じですね。今回はちゃんと完結して欲しい(じゃないとユミハリみたいに漫画の続きが無限に夢に出てきてノイローゼになる)。

Web漫画がWebで読める意味っていうのをよく考えてるんですけど、PCやスマホの画面で読むことによって新しい体験ができる漫画って、韓国の縦の巻物みたいにスクロールできる漫画しか知らないです。う~ん。新しい体験、イノベーション、革命。う~ん……。

*1:来年の9月からだけど、この調子だと国外でもちゃんと漫画読めそうで嬉しいわ