【12/24】ええじゃないか(嘆願)
クリスマスというと何が思い浮かぶか。
子供の頃は家の中にちっちゃいツリーが立てられて、頂きに星を刺そうとするけど手が届かず、兄が代わりにやっていた。
いつからかツリーも出さなくなったなぁ。
親とサンタは別々にプレゼントをくれましたが、中1の頃25日の朝に目を覚ますと枕元に国語辞典が置かれていて二度寝したなぁ。それ以外の時はだいたい図書券だった。事務的なヒゲオヤジだ。まぁ親父居なかったけど。*1
うちは俺と妹がアレルギーでクリームが食べられないから、ケーキがあったり無かったりして、クリスマスを祝いながらもクリスマスっぽくはなかったり。
でもそんな過去は、必死こいて回想しようとしてようやくぼんやりと輪郭だけが浮かぶ思い出であって、自然とクリスマスに連想されるものではない。
クリスマスと聞いて、最初に思い出したのはこの作品だった。
夜は短し歩けよ乙女 (4) (角川コミックス・エース (KCA162-5))
- 作者: 琴音らんまる,森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/01/26
- メディア: コミック
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「夜は短し歩けよ乙女」*2の原作者のデビュー小説である「太陽の塔」である。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 文庫
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あらすじ
研究室から逃亡し休学中の5回生である私は大学時代の記憶における唯一の華である元カノをストーキングしていたらストーカーにストーキングされメンヘラの後輩に自宅に通いつめられ京大生ハンターに追いつめられ犬の糞を掴み全裸を覚悟し男衆で大文字焼きの火床で焼肉をし一乗寺を爆走する叡山電鉄に乗り込み太陽の塔に思いを馳せながら来たるクリスマスに向けて感傷に耽る。
最初にこの本を読んだのは高2の春で、読み終えても「え?終わったの?は?何だったん結局」と、全く面白さがわからなかったのだが、この秋読み返してみると面白すぎて目を疑った。思い返すと「クドリャフカの順番」もアニメ観て初めて面白さがわかったし、やっぱり文盲だった。
この作品の魅力は、「我々の日常の90%は、頭の中で起こっている」と自称する男たちの妄想がうねうねと勝手に頭をもたげる様や、男臭い日常の中に自然と紛れ込んでくる不思議な空想的世界の繊細さ、諧謔に満ちた日々の先に滲む、どうせどうしようもないとしてしまう諦念と、それでももがくひたむきさや切なさ、とかにある。たぶん。
現実と妄想と回想で重層的に話が進みながらも、最終的にはしっかりと収束する。ラスト寸前の回想は、哀感漂って、はぁ。おなかいっぱいですわ。カタルシスもあるゾ。好きやろ?閉塞感とカタルシス。
薄いし、文庫版なら451円だし、生協なら1割引きだし、どうせBOOKOFFで100円で買えるし、図書館にも置いてるから、まぁ何もない冬の夜にでも読んでみてください。