mantrog

京大漫トロピーのブログです

【12/12】結局二人は最後まで。

黒鷺です。クリスマスに読みたい漫画とのこと。
おでんの記事 を読んで懐かしくなったので、僕も昔の恋愛遍歴を、少しだけではあるが語ろうと思う。

回想

3年前、僕が高校1年生だった頃、クリスマス・イヴに本屋に行った。「イヴに本屋にいるような奴は総じて顔が暗い。まるでそういう人間の見本市のようだ」と、父の言。例に漏れず僕もそうだった。
地元鳥取は雪が深く、特にその年は正月に全国紙の一面を飾るほど雪が降った。期せずしてホワイトクリスマスを迎えた世間とは隔たって、僕は15にもなってゴム長靴を履き外出していた。本屋の床をベタベタと歩きながら、なんとなく気になった漫画に手を伸ばした。
かがみふみを先生による「きみといると」である。

きみといると 1 (アクションコミックス)

きみといると 1 (アクションコミックス)


僕はその頃(今も大して変わらないが)まともな恋愛経験など持ち合わせがなく、様々なものを拗らせた結果いちゃいちゃするだけの漫画を好むようになっていた。
この漫画はその頂点に座す。
家に帰って4畳半の自室にて、布団に横になりながらページを捲る。
僕は感情を昂らせて漫画を読む質で、だから漫画は自宅でひっそりじっくり読むべきだと思っているのだが(パラパラ読んで『糞漫画やな』と断ずる感性が理解できない)、この漫画は1巻をなかなか読み終われなかった。
「あぁぁああぁぁぁ、あ、あぁ、っうぇ、うぇえおえぇぇぇ*1、うあぁぁぁぁ、はぁ…はぁ…はぁ……『は、はるちゃん』じゃねぇよおぉぉおぉぉぉぉおおおうわぁぁぁあx*2、は、うぇぇ*3。は、『胸が…ぎゅっ!ってなったの』ぉぉぉぎゅっ!ってぇえぇええっぇぇぇ、『まいった こんな遠くから山河さんを一発で見つけられるなんて まるでそこだけパッと光ってるみたいに おれ やばいよ』やばいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお*4

胃腸の弱い高校1年生の主人公は、下校途中にお腹を下してしまい、ある喫茶店に入る。トイレを借りようとするが、何故かトイレの扉が開かない。パニックになりガチャガチャとドアを乱暴に開けようとすると、「すいません!」との声が。中にはアルバイトの女の子が入っていたのだ。そんな感じで知り合った2人が、ゆーっくり仲良くなっていく話。

もう、ほんと、言葉が出てこない。
ただの店員と客との関係から、彼女の名前を聞こうとするだけで1話使って、何度も通ってようやく友達になって、はるちゃん(ヒロイン)が友達に囃し立てられて主人公を意識し、照れて距離を置き、でもやっぱり好きなのかもしれないと思い、なんて、こんな語るだけ野暮ですよ。
この漫画には三角関係も量産型ヒロインもパンチラも奇抜な設定も皆無だけど、それでも、ほんとに大事なものがここにはあるんですよ。

読みましょう。
読んで清らかだったあの頃を思い出しましょう。
クラスのざわめきの中で彼女の名前だけ耳に飛び込んでくるような。
思わず彼女で卑猥な妄想をしてしまって、必死に頭から振り払おうとするような。
なーにが性の6時間じゃ。なーにがヤリマクリスマスじゃ。ボケ。恥を知れ。然る後死ね。
恋愛遍歴?嘘だよねぇよ死ね。


最後に余談だが、漫トロピーの忘年会が計画された際、会員の予定が最も空いている日が24、25日だったと聞き、感動した。
(黒鷺)

*1:興奮しすぎてえずく

*2:布団をばんばんと叩く

*3:再びえずく

*4:何事かと親が見に来る