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京大漫トロピーのブログです

新歓毎日投稿企画【4/13】何歳になっても怖がりが治らない

こんにちは!のびです。

最近かなり暖かいですね。桜もガッツリ散ってますね。
就活とバイトに明け暮れる日々で花見が出来なくて悲しい…。

くそ怠けてた私も今ではなんちゃって就活生です。
最近は千鳥の『相席食堂』と霜降り明星YouTubeとラジオが心のオアシスです。
やっぱり笑いと美味しいごはんで人間なんとかなるんやなって思います。


さて、テーマは「春」。春と言えば、年度が変わって引っ越しをする時期。
みなさんは一人暮らしをしたことがありますか?

今回は一人暮らしの人がぞっとするような漫画を紹介します。

望月峯太郎の『座敷女』です。

表紙のセンスがすごい。



主人公の森くんという大学生の男の子がある奇妙な女に付きまとわれる、いわばストーカーホラー漫画です。

ある晩、森くんのアパートにげっそりした顔のトレンチコートを着た女が訪れてきます。彼女は森君の隣人の「山本」という男を探しているのだと言います。森くんは気味悪がりながらも、家に上げて電話を貸してあげたり、森くんの部屋に忘れ物をしたトレンチ女に鍵を渡して家に上げたりします。

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この後もちろん合鍵を作られ、勝手に部屋に出入りするようになりました。

こういった彼の優しさ?ゆえの軽率な行動が森くんをどんどん追い詰めることになります。
森くんの友人や好きな人も傷つけ始めるトレンチ女に激昂し、バトルが開始されます。



しかし戦いの中、悲しいことに



森くんの部屋が全焼します。

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「お…俺の…部屋が…。俺の部屋が……!!!」

これは可哀そう...。


本当にみんな、怪しい人には近づかないようにね。

家が燃えます。




なんとかトレンチ女から逃げ切った森くん。しかし2階の窓から落ちたため、足を骨折し、病院に運ばれてしまいました。トレンチ女との戦いで家を燃やされほぼ錯乱状態に陥っている森くんは、病院の廊下から聞こえる足音が看護師の足音かトレンチの足音か分からなくなります。
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この病院のシーンは本当にスリリングで言葉では言い表しずらいので、是非読むことをお勧めします。


クライマックスにかけての勢いがすごくてどんどん恐怖感が襲ってきます。
福井の旅行で泊ってた旅館にビビり散らかしてほとんど眠れなかった程怖がりの私には、結構こたえました。

この漫画を読んで、2つの教訓を学びましたね。


①知らない人は家に上げるな
②やばい奴には近づくな


ドラゴンヘッド』でもそうだったけど、やっぱり生きている人間が一番怖いのよね。

新生活を始める皆さんも、そうじゃない人も、戸締り防犯気を付けましょうね。

以上、のびでした。

新歓毎日投稿企画【4/12】

こんにちは。新4回生のコト。です。(モーニング娘。が好きなので”。”をつけています。アルバム発売おめでとう!)


健康診断のために久しぶりに大学に行ったら、同級生みんなが就活の話をしていて焦燥感とか不安感でいっぱいになりました。私の「ここぞ」はまだ少し先だってわかってはいるんだけど……。変わらず留まり続けるのも勇気がいりますが、自分のペースで流れていくのも難しいなとひしひし感じています。

そんな感じなので、今回のアドカのテーマは「春」……といわれても就活のことしか考えられません(敗北)。

就活っていったらしますよね、自己分析。私もぼんやり過去の出来事を振り返って手帳に書いてますが、小さい頃から根っこの部分は変わらないもんだな~と感じています。

そう、好きな漫画の傾向も、性癖も同じです。

過去に読んでた漫画の影響は大きいし、pixivの古いブックマークの作品たちは今読んでも神作品です。


そういうわけで今回は私がかなり影響を受けた作品『俺様キングダム』を紹介します!!

オレ様キングダム 1 (ちゃおフラワーコミックス)

オレ様キングダム 1 (ちゃおフラワーコミックス)

  • 作者:八神 千歳
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: コミック

皆さんはちゃお派でしたか?りぼん派?それともなかよし?
私と同年代のちゃお派の方ならこの作品を憶えていることでしょう……。最近続編の連載が始まって単行本も出ましたね。もちろんランキングに入れました。

一言であらすじを説明しますと、

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主人公である高校生漫画家・野々原のの と学校で人気のイケメン3人衆とのラブコメです。かっこいい~。小学生の頃友達と、誰派か話し合ってたのを覚えてます。私は白馬君派……。


逆ハーレムかぁ、って思いましたか? ちがいますよ~
これが私がこの作品を好きな理由の一つなのですが、

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第3話でこれ

ののちゃんは黒澤君一筋なんです!!
私はハーレムものの中でも、主人公にその気がないのに無理やり意識させる系とか、主人公の魅力がわからない作品が苦手です。人の感情を無下に扱ってはいけない……。この作品はののちゃんが黒澤君が好き!ってはっきり示しているから、それがちゃんと尊重されるんです。ののちゃんも学校で人気の白馬君に告白されたっていうことに浮かれたりせず、きっぱり断って。一見イケメンたちに囲まれて楽し~みたいな作品に見えますが、とても誠実に感情を扱っているなと思います。



そう、ののちゃんは黒澤君に一途……。

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こういうちょっと変態ちっくなところも可愛い。どんな想像だって心の中にとどめている限り許されます。ちなみに上の2枚目の画像は続編、つまり恋愛成就した後のののちゃん。こんなにべた惚れなの嬉しいよね……。
今でも一途で誠実なキャラが好きなのは、こういうところからきてるんだろうな、と思う次第です。

が、
それ以上にこの作品にはとんでもない衝撃を与えられました。





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男の人同士でキスしてもいいんだ……!

しかもこの2人、もう1回事故チューします。
たしか当時私は小学4年生。いや~革新的でした。確かに口と口があるからできないことはないよねって妙に納得した覚えがあります。これまで漫画に出てくるのが男女のキスシーンばかりだったので新鮮だったのでしょう。なまじっか絵がかけた私の、この頃の自由帳を見るとこのシーンがどれだけ衝撃的だったかがわかります。自由帳は全ページ糊付けして処分しました……。

読んでいる当時は全然気づかなかったのですが、

こういうのとか
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こういうのとか
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結構そういう感じを香らせている漫画だったんだなぁ。これを読んで小学生時代を過ごしたの、知らず知らずのうちに腐の道へ導かれていたのでは……? まあ作者がその道の方らしいので。質のいい教育です。

こんな感じで、ラブコメとしても、男キャラの絡みを見るのも楽しめるとても良い作品です。昔読んでいたちゃおっ子も、様々なジャンルを通ってきた今読み直すと改めて感じる何かがあるかもしれません。


他にも影響を受けた作品はいっぱいあるのですが、こんな感じで。ESに過去ジャンルの推しカプとかハマった漫画とかを書く欄があれば楽しいのにね。

あ~~さっさと安心感を得たいよ~~~!!!

新歓毎日投稿企画【4/11】終わりの季節

こんにちは! 4月から4回生になりいよいよあとがなくなっている、沈黙と申します。
今年のアドカはなんでしたっけ、テーマは「春」? 春……春ねぇ、春か~~~~~っ…………(5、6時間ほど長考・勘案するも、一つとして適当な文章を紡いでいる未来を見出せず、入眠)。

(……起きて)正直に言って、僕は春が嫌いです。芽吹きの時季であり、始まりの象徴であり、萌しの息吹を与える、春。そうした理由から好きになる人もいるのかも知れませんが、僕にとってはその始まりの雰囲気がまさに、終わりを予期し促しているかのようで怖いのです(日曜日を予期する土曜日のほうが、月曜日を予期する日曜日よりも好きなのも同じ理由かも?)。

ただ「春」に対する好悪は別として、この・・季節が世界の諸々の始まりを粛々と用意するのと同様に、いやそれがゆえに、避けようもなく絶えず今まさに訪れているこの・・終わりを暗示するのは間違いないように思われます。

ということで、今回はそうした、絶えず始まりながらもとめどもなく終わっていく漫画を紹介したいと思います。

堀辰雄の「燃ゆる頬」を耽美な筆致でコミカライズした本作は、男子校、寄宿舎、美少年、サナトリウム……といったクリシェを忠実に用いていながらも、少年が「少年」でなくなっていくという、ただ一つ本質的なところを――即ち生命としての「滅び」を、見失わずに描いている佳作だと言えます。

蜂の巣のように正確に区切られた寄宿舎との類比で、主人公の少年は自身を蜜蜂に喩えます。花粉を体いっぱいに纏った蜜蜂は、自分が受粉させる花をいずれ必ず選ぶことになる。「世の中ってそういう風に決まっている」と悟ったように言う主人公は冒頭で、円盤投げの選手で体格の良い先輩に、顕微鏡を見せてやろう、と誘われてレンズを覗き込むのですが、股間をまさぐられ、途端に戸惑いながら逃げ出してしまいます。この時点で彼はまだ「少年」であって、おまけに同級生と比べても成長が遅く、小柄でまだ髭も生えそろっていない初心な17歳なワケです。

そこで主人公と同じ部屋に転入してくるのが、儚げな美少年の三枝です(彼は実際病弱で、脊椎カリエスを患っている)。
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同学年ながら一歳上の三枝は主人公をからかい混じりに魅了し、やがて主人公もいつの間にか恋に落ちていることを自覚して、彼らは「友達」の一線を越えた関係へともつれ込んでいきます。

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美少年の「受動態ネガティブ」に抗えなかった彼は当然タチとして振る舞わざるを得ない訳ですが、上の独白にも表れているように、それは同時に、自分が恬淡と生き時には対象化されもする少年=「花」から、欲望に絡めとられ戸惑いながらも本能に奉仕する男=「蜜蜂」への移行を意味するものだった。本作はそうして、主人公の少年から男への文字通りの変貌=羽化(あるいは「脱皮」?)を活写していきます。

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誰?というレベルで「オス」の顔になってる…… ※童貞喪失の翌日

恋人と言ってもおかしくないくらいに親密になった彼らは、夏休みに旅行に出かけ、宿泊先でも互いに情事に溺れ、深みにはまっていきます。しかしそんな蜜月もある日突然終わりを迎えます。主人公は旅先の村で偶然出会った女学生に、一目惚れしてしまうのです。

そこでよりはっきりと彼は身体的な面だけでなく精神的な面でも「男」となってしまう訳です。途方もない生殖の連関の一部へと、彼は繋ぎ止められて、途端に三枝との関係もぎくしゃくしはじめ、口論になり、そして三枝は突然喀血し、入院することになってしまいます。旅行は中途半端な形で終わり、二人は会うこともなくなりますが、しかしその後も主人公の元へと三枝は手紙を送り続けます。

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三枝への思いを失ってしまった主人公はろくに返事を出すこともなく、彼の持病の再発を知ってもそのままに連絡さえとらず、そして冬になってついに、校内の掲示板への貼り出しで、彼にはもう会えないのだということを知るに至ります。

十分に月日が経ち、すっかり「大人」になった主人公は肺結核と診断されて少し痩せこけた姿で入院しています。思うにこの物語はそこまで描かなければ、即ち少年が男になり、壮年と呼べるくらいにまで老いなければ、物語として完成しなかったのではないかと思います。『美少年学入門』の第一章「少年派宣言」で中島梓はこう記しています。

少年をえらぶ、と意志すること――それはひとつの選択である。滅びに与し、「時」に与し、「時よ、おまえは美しい。ここにとどまれ」と告げることを欲さずにその無慈悲な歩みに与し、そしてその滅びのいたみをあえて身に受けることである。

勿論『燃ゆる頬』での主人公はここで言う少年――三枝を選ぶことなく、いや選ぶことができなくなって、そしてそのできないという諦めさえも諦めてしまいます。しかし、

少年がゆるやかに「時」の報復をうけて、この世の生物にすがたをかえてゆくとき、私たちは「滅び」をえらぶ営為の真の意味を知るだろう。それは、二度とくりかえし得ぬ瞬間の、その一度かぎりなることをこそ愛することだ。

三枝を選べなかった彼もまた、「少年」であったし、何よりそれは中島が「少年派宣言」で定義したように、美醜にも年齢にもその本質を置くものではありませんでした。

少年を「少年」たらしめる真の定義――それをひとことで云うならば、それは、次のようなことになるだろう。それは――《世界にとって対象であるもの》だ、と。

もはや、自分はありし日のような「対象」にはなり得ないということを反芻して、主人公は最後に、変わらず繰り返される生命の営みを殊勝にも言祝ぎます。しかし僕個人としては、大いなる生命の連鎖の途方もなさに驚嘆こそすれ、その不用意な遠大さに掬いとられなくともよいと思うのです。療養所で新たな少年に出会った主人公は、同じ脊椎カリエスを患っている彼に、かつての三枝を重ねます。冬に逝った三枝と初めて会ったあの春が、少年との出会いによってリフレインし、春は結局のところ、絶え間なく繰り返されるその一断片として儚くも、そして切なげに、その営為の開始を告げるでしょう。

とめどもなく流れていく「今」に名をつけて、「春」としても、「少年」としても、時間の残酷さのうちに置かれている限りは、それらはみなすべて、暫定的な仮称にしか過ぎないと言えます。ただ――そうだとして他ならぬ私たち自身は今この瞬間にも滅んではいないか? 僕は、いや私たちは、それらが仮称に過ぎないとしても、僭称ではないと知っています。たとえ世界に見向きもされなくなったとしても、滅び朽ち果てて無惨な姿に成り果てたとしても、誰にとっての「対象」でなくなったとしても、自分だけは自分を対象化し得るはずです。そしてそれは、文字通り終わりがなく果てしがないからこそ、「不可能」という名のもとに、私たち自身に絶えざる「春」を、あるいは、永遠の「少年たること」を、可能にするものではないでしょうか。私たちは絶えず滅んでいる。よって――これは全く無垢な逆説ですが――、私たちは絶えず生まれている。

『燃ゆる頬』は一人の「少年」の滅びの物語ですが、しかし私たちの生そのものが滅びであると気づくとき、他でもない私たち自身のこの滅びを、この終わりを、一身に引き受けることができるのだと思います。僕は春が嫌いです。それは、生そのもののうちに死が、始まりそのもののうちに終わりが隠されていることへの嫌悪からだったかも知れません。でも、皮肉にもこうして、その滅びが曝露して前面に出てきた今となっては、春は寧ろ好きな部類に入るのかもしれません。そこでは生の明るみに死の暗がりがぴったりと寸分違わず重ね合わされているのですから。
(でも、こんな徹夜を余儀なくされる日曜日は、やっぱり好きになれないかも知れないなぁ)

というところで(勘弁してほしい)。ではでは。長文失礼いたしました。

新歓毎日投稿企画【4/10】 生まれたからには生きてやる

みかんばこです。春は年度の変わり目。前に進み続ける人と、停滞に足を捉われる人の差が「学年」という壁によって可視化される残酷な季節です。
ということで、今回は「高校留年」をテーマにした漫画を紹介したいと思います。

またぞろ。 1 (まんがタイムKRコミックス)

またぞろ。 1 (まんがタイムKRコミックス)

  • 作者:幌田
  • 発売日: 2021/04/27
  • メディア: コミック
世の中には二種類の人間がいる。「できるヤツ」と「できないヤツ」だ。生きるのが上手いヤツがいれば当然、生きるのが下手なヤツだっていなけりゃいけない。それが世の理ってもんで、「できない」のはそいつの責任でも応報でもなんでもない。傍から見れば「できるヤツ」でも、そいつはそいつで何かが「できない」と悩むことだってあるかもしれない。この漫画はそんな「できないヤツ」の叫び描いた作品であり、同時に「できないヤツ」らへのエールでもある。

主人公・穂並殊(ほなみこと)はクズ人間だ。高校入学後一か月後には惰性から不登校になり、春からもう一度高校一年生をやり直すことになった。そこで開き直れるほど図太い神経も持ち合わせておらず、彼女はそんな自分自身を嫌い、まともな人間になることを渇望している。留年生というはみ出し者のレッテルを貼られたことに苦悩し、劣等感に押しつぶされそうになりながら、自分で自分を責め続ける。まともになろうと思いはするが、朝は起きれないし、忘れ物は尽きないし、勉強にも身は入らない。そうしてそんな自分にまた嫌気がさし、自責の念へと囚われる循環に陥っていく。

この作品は基本的に殊ら留年生の緩やかな日常を展開しながら、彼女の社会復帰がひとつの大きな目標として設定されている。さて、この主題となる穂並殊の社会復帰が、「クズ人間からどう立ち直るか」ではなく、「クズ人間であることを受け入れたうえで、どう生きていくか」という視点から描かれているのがこの作品の最も好ましい点だ。

殊はクズである自分を許容しない。今の自分を破壊して「まともな自分」に生まれ変わることを望んでいる。対して、彼女を取り巻く環境は彼女を否定しない。彼女の怠惰さを嗜めこそするが、「まともになれ」と強要するわけでもなし、彼女のクズさを理由に嫌悪を示すこともなく、朝の弱い彼女のためモーニングコールをかけてくれる友達までいる始末だ。彼女は徹底的に優しい世界に包まれていて、それが彼女自身とひどい温度差を生んでいる。その温度差を肌で受けて、俺はふと思ってしまうのだ──「殊は何故こんなに自分を責めなくちゃならないんだろう?」

結局のところ、彼女を悩ませているのは肥大化した自意識だ。自分という存在が世界に齎す影響力を測りかね、「社会はきっと自分を許さない」という被害妄想に憑りつかれている。これは思春期ならば誰もが通る道で、「案外誰も自分のことなんて見ていないんだな」という気付きを経て大人になっていく。穂並殊と彼女を取り巻く環境はこの気付きを内包していて、懊悩する彼女がこれから救済されるという運命をはっきりと明示してくれているのだ。

自分が取るに足らない存在であることを自覚して初めて、ロクデナシな自分を許すことができる。ロクデナシな自分を許せて初めて、「できない」自分を受け入れることができる。「できない」自分だって生きていていいんだと思えるようになる。そこから、人の手を借りるなり知恵を凝らすなりして「できない」なりに生き方を見つけていけばいい。それが俺たちの生きるすべなんだろう。

「できる」人間にならなければならないと生き急ぐ殊に、留年仲間の六角巴は言葉をかける。
「しっかりしなきゃってのは超偉いと思うけど 無理してしっかりする必要もないだろ なんせ私らは留年生だからな」

ああ、身近にこんな言葉をかけてくれる友がいれば、それはどれだけの救いとなるだろう?

新歓毎日投稿企画【4/9】友情は花のように

こんにちは。はじめましての人ははじめまして。漫トロ新4回生のだちと申します。
漫トロではしばらく冬眠していましたが最近復活したのでまた活動再開といきたいですね。


さて、今回の企画のテーマは「春」です。春といえば出会いと別れの季節、とよく言われます。進学や就職で新たな人間関係ができたり、逆に以前の交友関係は希薄になったりと、様々な変化があります。

ところでみなさん、友達は大切にしていますか? もしくは、今の友達は本当に信じられる相手だと言えますか? 大学に入って新しい友達を作ろうと考えているあなたも、友達はよく考えて選んだ方が良いかもしれません。(そうでなくとも、この時期は大学1回生を狙った怪しい宗教勧誘とかがたくさんあるので、甘い言葉で親しげに接してくる人には気をつけましょう)

というふうに、不安を煽りながら本日紹介する漫画は、「ともだちごっこ」です。


舞台は名門女子校「聖ドロテア学園」。この学園では、最も美しい友情を披露した二人が「女王〈ラ・レーヌ〉」となり、生徒達を導くというしきたりがあります。そこにやってきた一人の転入生、蜂谷たんぽぽが主人公です。

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その友情は永遠に続くという・・・


たんぽぽは、「女王」になろうと考え、そのためのパートナーとして、高峰百合に目を付けます。百合はもうすでに幼馴染みの華園牡丹とともに次期「女王」の最有力候補として学園全体で支持されている人物なのですが、誘いを受けた百合は、なんと牡丹ではなくたんぽぽと「女王」を目指すことを決めます。転入生であり、百合との付き合いもほとんどないたんぽぽが「女王」になるのは無謀だと百合も言いますが、そこでたんぽぽが提案したのは「自分たち以外の親友〈ブーケ〉をすべて枯らす」ということ。まもなく「女王」になるための試練が始まり、二人はそれに望みます。

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散りゆくものこそ美しい


美しい友情が持て囃される学園で、友情を壊すというストーリーがとんでもないですよね。たんぽぽはこの学園の「友情」に関して許せないことがあるようで、学園における友情をすべてまやかしだと言い切ります。たんぽぽがそうまで言う理由や、百合が牡丹と袂を分かった理由が、「女王」になるための試練が進むとともに少しずつ明かされ、友情と言われているものの本質が見えていきます。

また、タイトルもとても好きで、たんぽぽが百合とパートナーになって、最も美しい友情を見せた者がつくはずの「女王」に、見せかけの友情でなろうとすることから始まり、仲の良さを見せつけていたライバルたちの友情に亀裂をいれてどんどん壊していく様、そしてその壊し方は、たんぽぽの表面的な人懐っこさ、無邪気さにより、傍目には「やさしさ」として映ること、そのような歪な物語を「ともだちごっこ」というシンプルなタイトルが見事に表しています。

関係が作られるのではなく壊される、関係によって見失うものがある、そのようなテーマを味わいたい方におすすめです。

最後にもう一つ、単行本のカバー下のおまけには、設定資料集があって、たんぽぽや百合の内面や、本編では明示されなかった部分についての考察が深まります。こちらも必見です。

それではまた。ごきげんよう

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こわしてみよう♪

新歓毎日投稿企画【4/8】

こんにちはちにちめ!
はじめまして、おしおと申します🌸


私も新人歓迎という名の何もかもがよくわかってない外部生新人なのですが、
こういう人でも軽い気持ちで入れるよ〜という勧誘になればと思います。
漫トロに入ると好きな作品をゴリ押しで布教プレゼンしたりするものが書けるぞ!


とはいえオタク特有の春に良い思い入れもなければ、
春らしいアオハル作品への青春コンプも激しく……

というわけで一生懸命絞り出した
「春」という名前が印象的な時事ネタ作品を今回は紹介しようと思います!

http://春の呪い: 1 (ZERO-SUMコミックス) 小西 明日翔 https://www.amazon.co.jp/dp/B01EI2EO1Q/ref=cm_sw_r_tw_dp_YSJ7KZ0REQ3JEF13W825 @amazonJPより


春の呪い
(全2巻)


あの「春の呪い」という感じに「このマンガがすごい!2017」ではオンナ編2位をとったこともあり、話題になったので知っている方も多々いるのではと思います。
あらすじを打つのが自分が思ったより苦手だったらしく、引用させていただきますが

「妹が死んだ。名前は春。まだ19才だった。 妹が己のすべてだった夏美は、春の死後、家の都合で彼女の婚約者であった柊冬吾と付き合うことになり―・・・。 妹の心を奪った男との季節が巡り始める」
春の呪い』1巻あらすじより。

もう面白い〜〜〜!!!!
とまで言うと言い過ぎですが、この骨箱を抱えた女性の表紙が印象的な作品は「春」という妹が死ぬところからはじまります。
最初から春が終わってしまう、春にかけられた「呪い」の物語です。
ちなみに自分のめちゃくちゃ好きな人の好きな人と付き合う、という状況が3度の飯よりも好きなので、私はこのあらすじでもうこの漫画の購入を決めました。

あらすじにあるように、主人公の「夏美」は妹のことがマジでめちゃくちゃ大好きで大切で、恋愛とはまた少し違う一種の依存めいた愛情を向けています(作内でも自分のこの感情が恋愛かをめちゃくちゃ悩んでる描写がある」

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春の呪い1巻より

といった感じでその大切で唯一の妹を高学歴優秀家柄好青年に奪われます。
良いNTR


スペックが強すぎる……
関係ないのですが女が男に即オチするのが大好きなので、百合漫画には男性が登場してほしい派です。

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良いよね…


そんな恨んでも恨みきれない相手と「春といった場所に出かける」という条件で交際することになった夏美。
それに纏わる罪悪感と葛藤や思惑。これがこの漫画の醍醐味です。

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良いよね……


この3人がどのような思惑でこの恋に形をつけるのか、
どういった未来を選ぶのか。
この難解な関係を上下2巻に纏めた名作、よければ新生活のお供にサクっとお楽しみいただければと思います。
ドラマ化もするしね!

あまり自分はドラマを見ないのですが、好きな作品を触れる人が増える。という意味で楽しみです。
あ、漫トロピーもよろしくね…!
性癖で殴り合い討論バトルみたいなことやりたいので、そういったことに興味がある方はぜひぜひです!
おしおでした!

新歓毎日投稿企画【4/7】

はじめまして、文学部新3回生の むぅ と申します。


春休みが終わってしまいました。
何もしてねぇ……。
半分ぐらい寝て過ごしていたような気がします。 春休みが終盤に差し掛かってから、「このままだと何もせず春休みが終わってしまう」と焦りだして、なんとなく実家に帰って友達と有馬温泉に行ったり、京都に戻って東寺のライトアップを見たり、シンエヴァを観に行ったりした、くらいしか思い出がないです。

大学に絵日記の課題が無くてよかった。


さて、テーマが「春」らしいのですが、私は春があんまり好きじゃない、いやむしろ嫌いだと思います。
なぜかと言えば、進級や進学によって、時間が進んでいくことを嫌でも実感してしまうからですね。私は全然先に進みたくないのに。
いっそのこと時間が止まればいいのに、とすら思います。
最近は布団に入ってから、「このまま目が覚めなければなあ」と思いながら眠りにつく毎日です。


……こんな人間が楽しい新歓企画の記事を書いていいのか?

(先に断っておきますが、ここまで読めばわかる通り、この記事の内容は結構後ろ向きな感じになると思います。新入生の大部分は、長い受験勉強を終えて新たに始まる京都での大学生活に夢と希望を抱いている人たちでしょう。そういう人は、ここで読むのをやめて他の記事を読むことをお勧めします。他の記事はどれもこれよりずっと面白いので。)



前置きが長くなってしまいました。そろそろ本題に入らねば。

好きなマンガの紹介をするのがいいだろうと本棚を眺めていたのですが、春らしいマンガというのがあんまりなかったです。かといってテーマから逸れたものを書くわけにもいかない。(テーマから逸れて、好き勝手に書いてもいいのは面白いものが書ける人だけで、つまらない人間はテーマに忠実に書かなければいけないのでね。)

というわけで、少しでも春のイベントが登場するマンガを紹介しようと思い、手に取ったのがこのマンガです。

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この記事を読んでいるくらいマンガが好きな人なら、読んでいなくともタイトルを聞いたことぐらいはあるんじゃないでしょうか。

一応、読んだことがない人のために内容を紹介しておきます。

「女子高生になれば自然にモテる」と思っていた黒木智子(コミュ障・自己評価がおかしい・性格が悪い・バカ・下ネタ好き)。しかし、高校に入学してから二か月経ってもクラスの誰とも会話することもなく、一人で黙々と昼食をとる立派な「ぼっち」になってしまう。そんなモテない彼女のどうでもいい物語。

みたいな感じですね。

彼女は入学初日からぼっちになるのですが、その理由が5巻で判明します。

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私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』5巻より
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私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』5巻より


私はこれを読んだときに「すごいな」と、ただそう思いました。どちらかと言えば智子は陰キャなのに、初日でこれをぶちかませるのか、と。

自分の高校一発目の自己紹介を思い返してみると、名前と出身中学、入るつもりの部活動を言って、「よろしくお願いします」で締めていたと思います。自己紹介なのに自分のことを知られるのがなぜか恥ずかしくて、テンプレートみたいな内容しか言えませんでした。
完全に自意識過剰です。当時は(今も、かもしれませんが)臆病者かつ卑怯者だったので、「相手のことは知りたいけど、自分のことを知られるのは怖い」と思っていました。
刑事ドラマに出てくる取調室みたいに、マジックミラー越しに誰かと接することができたらなぁ……とくだらないことを考えていたと思います。


話が逸れてしまいました。「ワタモテ」の話に戻します。

 智子はこの場面以外でも、恥をかいたり、常人なら心が折れそうな目(ハンカチと間違えてポケットに入れていたパンツで顔の汗を拭くところをクラスの男子に目撃される、ホームルーム中にこっそり男〇器の画像を見ていたことがクラス中にバレる、など)にあったりするのですが、持ち前の高い自己肯定感ですぐに立ち直り、次の話でも失敗から学習することなく、似たようなことをしてまた恥をかいていきます。
そういう彼女の姿を見て、僕はかなり勇気づけられました。


智子は2年生の修学旅行まで、クラスではぼっちで過ごすことになります。しかし、修学旅行が転機となって少しずつ周りの人たちと関わるようになりました。最初は彼女がズレているためにトラブルになることがあっても、だんだんと内面的に成長していくのが読んでいてわかります。
最新刊の19巻では、1、2年生の夏休みとは大きく変わった3年生の夏休みを過ごす智子の姿を見ることができます。
私はこのマンガを1回生の中頃ぐらいに読み始め、「自分も変わらないとなぁ」と、なんとなく思いました。サークルにも入っていなかったので「2回生になったら、新歓に行ってみよう」、と。
まぁコロナでまともな新歓がほとんどなかったんですけど。



なんか書くの疲れてきたので、めっちゃ強引ですがまとめに入ります。



もし、最後までこれを読んでくれた人(そんなやつホンマにおるんか?)の中に、「人付き合いは苦手だけど、そんな自分を変えて、楽しい学生生活を送りたいなぁ」という方がいるなら、恐れず自分を出してみてください。
「もし、テンパって変なことをしていまったらどうしよう」と不安に思う人もいるかもしれませんが、きっと大丈夫です。
京大生には懐の広い人が多いので、逆に「おもろいな」と思ってくれるでしょう(、知らんけど)。
もちろん、他人が受け入れてくれることに甘えたり、「わかってくれないあいつらが悪い」と人のせいにするのはダメなんですが。

まぁ、何かしら失敗してしまって、そのコミュニティにいづらくなったとしても、一度や二度なら最悪逃げてしまえばいいと思います。雰囲気が合わないからやめるのもアリです。
大学の人間関係なんて中学や高校に比べれば薄いもんなので、抜けてしまえばどうせすぐに忘れられます。



最後に一つ、アドバイスというほど大層なものではないですが、自戒の念を込めて「会話に自虐を挟むのは控えよう」ということを言っておきます。
ここまでの文章を読んだらわかると思いますが、自虐というのは聞いていてあんまり気持ちの良いものではないです。自分でも出す前に読み返したら若干イラついて、パソコンを殴りつけたくなりました。
(そもそも書いてる内容が気持ち悪いし、恥ずかしいし。なんなら、ほとんどマンガと関係ない支離滅裂な文章だし。面白いことが書けないから、自分を切り売りして文字数を稼ぐしかないという地獄)
……またやってしまった。これで最後にするので許してください。


長くなりましたがこれで終わります。

最後まで読んでくれた人、ありがとうございました。

会う機会があれば、お話ししましょう。