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京大漫トロピーのブログです

【ステマ】「この世界の片隅に」を観ましょう

コミケの季節ですね。宣伝です。

 

11月12日公開の映画、今年一番と話題の「この世界の片隅に」まだ観てないんですか?

世界人類が観るべきこの傑作を「まだ観てな〜〜〜い」とあなたが宣う理由知ってますよ。近所でやってる映画館がないんですよね。でも大丈夫、1月7日からどどーんと上映館が増えます。これも公開初期からもてはやし騒いだファンの功績です。(公式サイト 劇場情報|Theaterpage Master )あなたの街も要チェックや!

アナと雪の女王」すらやらなかった鳥取市唯一の映画館・鳥取シネマですら1月14日から封切りです。市内唯一のTSUTAYAがこないだ潰れた文化レベル超ど底辺の鳥取市民ですらありつけるんですから、硫黄島在住の方とかでないかぎり観ない理由はないですね、観ましょうね。

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この世界の片隅に」は、昭和20年前後、太平洋戦争末期の広島県呉市を舞台にしたすずさん↑(cv能年玲奈)のお話です。ハイ!「地味でつまんなそう」「戦争ものとか暗くて辛いだけ」「タレント声優はクソ」って思って敬遠してる人たくさんいるでしょう!全ッ然ちがうんだよ!!!全然全然世だよ!!!心が体を追い越すんだよ!頼むから観て!それから言ってくれ!

 

この世界の片隅に」は便宜上「戦争映画」と呼ばれてしまうかもしれない。しかし、この映画が主軸に置いているテーマは決してそれ一つでは絞りきれない。人ひとりの人生を一言で表せないのと同じ、いくつもの糸が絡みあってすずさんという女性の人生を紡いでいる。キラキラしてたりごわごわしてたり切れかけてたり色あせたりと数え切れない糸が人生を彩っている。「戦争」はそのうちの一本なんだ。それだけだ。この映画を観るとそれらの数え切れない糸が深くこころに押し寄せてまだ名前のわからない底に埋まっていた感情を縫い合わせようとしてくる。だから鑑賞後みんな言葉が見つからず途方にくれるんだろう。それでいい。すぐに答えを探してはいけない。縫いかけの感情を抱えたままそれぞれの片隅を守っていこう。

f:id:mantropy:20161228162846p:plainこうの史代夕凪の街 桜の国」帯より (神煽り)

 

作品というものは受け手がいて初めて成立します。ぜひ、「この世界の片隅に」を観て、あなただけの片隅をみつけてください。観た人の数だけこの映画は意味を持ちます。もしこころが震えたら、その震えを隣の人に伝えてみてください。

 

今年の 京大11月祭(NF)では漫トロで「この世界の片隅に」ブースを作りました。

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関連書籍読み放題! 映画感想コーナーも設けました。映画公開10日目とかだったので知名度もまだまだな時期でしたが熱意ある人たちが絶賛の跡を残してくださいました。クラウドファンディング出資者の方もメッセージカード置いていってくださいました。ありがとうございました。

 

漫画読みサークル 京大漫トロピーは映画「この世界の片隅に」を応援しています。

京大漫トロピー選定「新入生に勧めたい漫画30選」でもオススメしています(p136に載っています)。

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最新号vol.17では誌面のあちこちに「この世界の片隅に」の文字列が隠されています。

探してみよう!えっ、探したいのはやまやまだけど、今手元にvol.17がないって?

 

京大漫トロピーはコミックマーケット91の3日目12/31(土)に東V-35aにて会誌販売を行います!2016年のおもしろ漫画がまるわかり!漫トロアキネーター、こち亀全巻採点、それ町解析など個人企画も大ボリューム!!!過去の会誌もあるよ!

 

これは買うっきゃないですね!コミケ3日目、東V35aにて会員がお待ちしています!

 

【12/27】漫画で他人の気持ちを知ろう

こんばんは。日付ガバ黒部です。
アドベントカレンダーも3回目。2年半もいると思うと頭がおかしくなりそうです。
アドカは自分語りをする場だそうなのでします。

テーマは煩悩。自らを苦しめる欲望。
私は他人の考えていることを知りたい欲求が強くあります。最近はそれに躓いています。
他人と自分との違いを知ると世界が広がったように感じて嬉しくなりますよね。コミュニケーションの方法として、会話が好きです。一昨年ぐらいに習得しました。しかし現在、他人とのコミュニケーションは思うように取れていません。原因は会話以外の方法で人の気持ちを判断できないことにある、と意見を頂いたことがあります。それは言語化してもらわないとわからないということで、無責任だ、と。表情を読めと言われましたが、これがなかなか難しい。共感出来たら必要ない、とも。コミュニケーションって難しいんだなあ。いろんな人といろんな話をしたいけれども、技術が足りなくてできない。何もできなくとも自分と違う考え方や生き方を知って学びたい。できればたくさん。どうしよう…。

漫画を読みましょう。

漫画って、こっちが一言も話さなくとも吹き出しやモノローグで考えてることを教えてくれるんです。ストーリー仕立てで。表情もあるしわかりやすいし、なんなら感情に音もつく。
すごーい!
ヤマシタトモコ先生は懇切丁寧に全部言ってくれます。ポエム風味で味付けもしてくれています。

収録 『MUD』

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(つまらない毎日を送る主人公が塾の担任講師の性癖を知り恋に落ちるという青春ラブストーリー。)

特にこの作品はきっかけも理屈も勘違いも感情も全部言ってくれます。モノローグが多すぎるのは漫画が下手だと取られがちですが、題材が突飛なものであればモノローグで説明するのも有効だと思います。特に想像力が貧しい人間にとってはあるだけでとてもわかりやすく感じます。更に比喩表現はまんま描いてくれています。

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ますますわかりやす~い!
こういった表現があるのはヤマシタトモコ作品ではこの作品しかないように思います。『さんかく窓の外側は夜』では心霊現象として表現されています。流行りなのか手抜きなのかはよくわかりません。

オムニバスやキャラ紹介漫画が私は好きなのですが、好きな理由はここにあります。いろんなキャラのいろんな考え方があってそれぞれが動き、時にぶつかり合う。キャラが多いのでぶつかる頻度が高くて飽きない。キャラの記号化が顕著で理解しやすい。面白いかどうかは別の話です。私にとっては参考書なのです。ちょっと言い過ぎではあります。


最近は学びを得て、考えてることが一切書いていない、流れやキャラの心情を読まないと難しい漫画も好きになってきました。

森薫拾遺集 (ビームコミックス)

森薫拾遺集 (ビームコミックス)

収録 森薫福島聡『すみれの花』

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(立場の違う2人が仲良くなりたい話。作者談)

この作品は考える吹き出しはおろか、感情を表現するオノマトペすらありません。もちろんモノローグも。何漫画なのか、何度も読み返して、たまにはググってカンニングしてようやくわかりかけてきました。この漫画の中には他人を理解したいという気持ちを思った二人が出てきます。感情移入もしやすくなっちゃった。最初はそれにも気付きませんでした。なんとなくでも二人の感情に触れられた時の喜びはひとしおです。人間になれそう!



漫画から人の気持ちを知って学んだことはたくさんありますが、それでも代用品にしかなり得ません。漫画のキャラクターは架空のものです。人間は記号的なものでなくもっと複雑だと、それを理解することが他人の考えを理解することだと、最近また教えられてしまいました。どうにか言葉以外で人の気持ちがわかるようになりたいです。
しかしなんでわかんないんだろう。全然タイトルを回収できない。利己的だからダメなのかなあ。うーん、やっぱり難しいので今はひっくり返って『危ノーマル女子』でも読みます。おやすみなさ~い。

危ノーマル系女子(1) (メテオCOMICS)

危ノーマル系女子(1) (メテオCOMICS)

【12/26】漫トロ夢の懸賞生活

こんばんは。@某田です。留年生なのでクリスマス・アドベントカレンダーでも遅刻しています。

私は今晩、このようなニュースを目にしました。ショックです。漫画雑誌の発行部数が減少しているという話です(電子書籍の発行部数は含まれているのでしょうか?)。
漫画誌過去最大の落ち込み「こち亀」など終了影響か - 社会 : 日刊スポーツ

確かに、単行本派の人はよく見ますが、漫トロ会員以外で「漫画雑誌を買った」という話は最近ほとんど耳にしません。
しかし、単行本しか買わない人は絶対に知らない1つの事実が有ります。それは、

漫画雑誌の懸賞は実はメチャメチャ当たる
ということです。
雑誌の発行部数が減っているということを逆に考えると寧ろ懸賞を当てるチャンスだとも言えます。

おっと、eメール✉だ。なになに……クロネコヤマトの宅急便が明日何かを配達してくれるとのこと。
はて?何か通販で買い物したかな?住所の流出による代引きのいたずらかな?……

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やりました。雑誌懸賞(ウルトラジャンプ)限定の秋★枝("秋枝"ではない)『恋は光』マグカップを手に入れました。集英社に感謝👍

実は、漫トロでは有志による雑誌の共同購入を行っています(半年¥5,000/1人)。
購入している雑誌は『アフタヌーン』から『なかよし』まで、『近代麻雀』や『楽園 le paradis』なども含めて概ね15誌程度を毎月購入しています。
その殆どの雑誌には懸賞のページがついています。漫画雑誌の懸賞とは、漫画を読んだ感想や作者へのメッセージなどを付属のハガキか特設のwebサイトから送って、運が良ければ景品が当たるというアレです。
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この雑誌(ミラクルジャンプ)であれば、多分最も高額なE賞のPSVitaに私なら応募します。だいたい20回に1回くらいは最高金額のものが当たっていると感じます。期待値で言うと応募一回で¥500~¥1,000が返ってくる感じでしょうか。雑誌一冊の金額に近いですね。
また、第一希望の景品に落ちていても、第二希望の図書カードが当たったりもします。限定デザインなので、基本使わず保存します。
私は、ここ3年でだいたい60通の雑誌懸賞を送ったと思います。
以下、当たったものの一部紹介です。@holysenもよく当てているようです。






特に2年前(懸賞を送り始めた時期)は異様に高い確率で特賞が当たっています。一度、特賞が当たった雑誌では、ブラックリストに入れられているのか、二度目の特賞を貰った経験がありませんが、図書カードなら届くようです。私はこの他に、¥10,000(モーニングTwo)、¥5,000(別冊ゴラク)等をゲットしました。『新・幸せの時間』完結記念、国友やすゆき先生の自作CDは、好評につき限定20名だったところが全員プレゼントになったりしました。
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Sunny

雑誌購入で漫画界の未来に貢献!アンケートで自分の意見を漫画に反映!さらに景品でウハウハ!
以上です。

にゅーたん(2)<完> (シリウスKC)

にゅーたん(2)<完> (シリウスKC)

上にある、額縁に入れた複製原画は雑誌『ネメシス』の懸賞で頂いた友美イチロウ先生の『にゅーたん』の1ページです。先生の直筆メッセージがアツいぜ!
某田

【12/25】父娘漫画に潜むポルノ

 という訳で後半です。12月1日から延々と引き延ばして、やっと書きます。

 さて、前半で引っ張り出した一年前の記事では、とーちゃんに小岩井葉介という名が与えられたこと、そして、よつばが幼児から少女へ成長していることを指摘しました。僕は特に前者の問題、つまり、自分がよつばの父親になれないことに絶望したわけですが、今回は後者の問題を考えてみましょう。
 幼児が少女へと成長する。成長の果て、彼女はどこに辿り着くのでしょうか。その軌跡を追うのがこの漫画です。

うさぎドロップ 1巻 (FEEL COMICS)

うさぎドロップ 1巻 (FEEL COMICS)

 うさぎドロップ
 30歳の独身サラリーマン・河地大吉が、祖父の訃報を聞いて実家に訪れると、見知らぬ幼女に出会った。幼女の名前は鹿賀りん。なんと彼女は祖父の隠し子だった。彼女を誰かが引きとるのか、それとも施設に預けるのか、遺された一族たちの揉め合いを見かねた大吉は、自分が育てると宣言した。かくして、父と娘、もとい30歳の甥と5歳の叔母の、奇妙な共同生活が始まるのだ。あらすじはこんな感じです。
 父娘漫画の重要な点は、母の不在です。母親がしっかりいれば、それはホームドラマの類になります。円満な家庭の中でのすれ違いやいざこざ、そういった内部の問題がゆっくりと解決されます。父娘漫画はそうは行きません。この狭い世界には二人しかいない。些事でいちいち対立していたら、生活そのものが破綻してしまう。むしろ問題は外部にあり、父と娘は二人で協力して立ち向かわなければならない。『うさぎドロップ』で言えば、隠し子に対する一族の反応や、仕事と生活の両立があります。大吉は保育園の迎えに遅れないように、残業のない出荷部に異動しました。
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 2016年の今なら、それこそ「保育園落ちた日本死ね」みたいな状況になってるんでしょうね。本作には、シングルファザー(マザー)の世知辛い事情への言及がいくらか見られます。さて、本来は一人暮らしで仕事をしていた父役は、異動はあれど外で働かなければなりません。すると必然的に、家を守る役目は少女が負うことになります。小学校に入学したりんは人一倍しっかりした性格になり、大吉より先に起きて朝食の準備を始めるようになります。娘役の少女は、家庭における母役(妻役)を兼ねるのです。母親の不在を解決するために、自分より弱い少女を家に縛り付け、妻の代わりにする。このミソジニー溢れる歪な構図が、『うさぎドロップ』には潜んでいるのです。
 母親の不在の解決策は、もう一つあります。近所のお姉さんです。『よつばと!』なら綾瀬家の三姉妹、『甘々と稲妻』なら飯田小鳥が相当します。前者は、電撃大王に連載しているように、本来はオタクのための漫画です。女性への強い恐怖からか、三姉妹はあくまで萌えキャラ的な側面から描かれています。妻役はやれど本当に小岩井とくっつくことはないでしょう。一方、後者は違います。そもそも父娘漫画にするために、最初から主人公の妻を故人にしている作品です。新たな妻役の小鳥は、料理で犬塚親子の記憶を上塗りし、全力で接近します。亡き妻・母の思い出の一品を再現し、二人に笑顔で振る舞う彼女の姿を見て、背中に寒気を覚えました。わたしが新しいお母さんですよーっ。怖い怖い。
 近所のお姉さんに近いというか、りんの代わりに大吉の妻役になりうる女性は、『うさぎドロップ』にも存在しました。りんの幼馴染の少年・二谷コウキの母親である二谷ゆかりです。シングルマザーであり、子供を一人で養う苦労を大吉と共有しています。二人は両想いになりますが、結局は結ばれません。成長し、思春期を迎えたりんとコウキの関係が悪くなってしまったというのもありますが、二人が結ばれるのは、あまりにも都合が良すぎるというメタ的な理由もあるでしょう。シングルマザーとシングルファザーが結ばれて、円満な家庭が実現されれば上々ですが、そんな上手い話なかなかないでしょう。
 さて、話を本筋に戻します。小学生にして若妻役を負った少女は、順調に成長し、高校生になります。『うさぎドロップ』は全9巻(+番外編1巻)の構成ですが、5巻の目次でさらっと「あれから10年―」と導入が書かれて、いきなり高校生編が始まります。最初読んだ時は驚きました。一歩一歩成長する、かけがえのない日々はどこにいってしまったんだ。ちょうど自転車に乗れるようになった子供が、自分の手を離れてどこまでも走っていく姿を見るように、少女の成長を心から喜びながら、どこか寂寥の念を胸に湛える。そういう切なさがこの漫画にはないのか?
 結論から言うと、ありませんでした。理由は簡単です。少女が自分の手から離れない(離さない)からです。学業も運動も家事も完璧にこなす女子高生になったりんですが、進路については立ち止まってしまいます。大吉は、実の娘でもない自分のために、自分の生活を捧げてくれた。自分はそんな大吉を置いて、どこかへ行くことができるのだろうか。よく言えば恩義、悪く言えば負い目が彼女の目の前に立ち塞がるのです。恩義や負い目という言葉に語弊があったとしても、彼女が自分の人生を考えるとき、大吉の存在は、無意識に視野を狭くするのです。
 そして、どういうわけか、りんは大吉を異性として意識し始めます。コウキへの淡い初恋と幻滅、大吉のゆかりへの失恋、同級生たちの恋愛模様、さまざまな要因が少しずつ後押しして、りんは大吉に恋愛感情を抱くのですが、ぶっちゃけ誤魔化しですよね。負い目から大吉と一緒にいるという境遇を、自ら選んだように演出しているだけです。当然、父役の大吉はこれを拒絶します。建前では勿論ですが、本心からも気まずいところがあるでしょう。今までさんざん妻役を負わせていたわけだけど、本当に妻にするなんて想定外でビビってしまう。そもそも前途有望な少女の未来を、老いてゆくばかりの自分が食いつぶすことは余りにも残酷だ。
 物語も終盤、りんは自分の感情に整理をつけるため、実の母親に相談しに行きます。りんの母親・吉井正子は漫画家で、仕事のためにりんの養育を放棄した女性です。物語途中までは大吉の目の敵にされていましたが、紆余曲折を経て和解しました。少女が、女性として先達である母親に悩みを相談するという構図は典型的ですが、上記の都合から、今までのりんには不足していたものです。大吉に恋愛感情を抱いていること。大吉は拒絶するが、それでも自分は大吉の傍に居続けたいこと。血の繋がり(甥と叔母なので三親等)から、結婚が不可能なこと。溜め込んだ悩みを母に告げると、正子は衝撃の事実を口にします。

 りんと大吉に血の繋がりはない。


 僕は仰天しました。理解が追いつかないままページをめくります。すると、りんは大吉への恋心を一層のものにし、大吉はしぶしぶこれを受け入れるのです。そしてとうとう二人は結婚しました。やばいやばい。何だコレ。まるで意味が分からない。脳が理解することを拒否してしまった。心が体を追い越してしまった(意味不明)。とてもじゃないけど折り合いが付けられません

 『うさぎドロップ』 タイトルの通り、目の前に少女が落ちてきて、男はそれを受け止める。狭い世界は二人で完結し、男と少女は番いとなる。
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 父なる神に妻をあてがわれた男。この構図は「空から落ちてくる女の子」という形で多くの作品に見られます。ジャンプ漫画で言えば、『いちご100%』『ニセコイ』『ラブラッシュ』など、アニメなら古くは『天空の城ラピュタ』が、最近の物なら『化物語』が挙げられます。それでも娘を囲って妻にするのは異常でしょう。むしろ『源氏物語』の光源氏と紫の上に近い関係かもしれません。結果的に見れば、大吉は自分の妻をこしらえるために幼女を拾って育て上げたのです。やばいやばい。何だコレ。
 早い話がポルノです。肉体的にも社会的にも強い成人男性が、か弱い少女を搾取する。「近所のお姉さん」が存在しない父娘漫画には、こういう性質が潜んでいます。今年の漫トロで喧々諤々の議論を呼んだ『私の少年』にも、同じ性質が見出せます。

 チャイルドアビューズを受ける少年・真修を、主人公のOLが面倒を見る物語。性別は父娘と逆ですが、男―少女で描かれてたら直球過ぎてヤバいでしょ。当初はその予定だった(1巻あとがき参照)のに逆にしたの、批判を避けるためじゃないですか?タイトルも搾取する気満々だし、少年の外見も中性的で、やたらとセクシャルな印象を受けます。ポルノですよ、ポルノ。反論は受け付けません。こんなポルノを男―少女で描いた作品で成功したの、映画『レオン』ぐらいじゃないですかね。あの作品は結局、最後は父役にあたるレオンは死んで物語が終わりますが、『私の少年』はどう決着つけるんでしょうかね。万が一、結婚でもしたら赦さねぇからな。

 煩悩は自覚してこそ振り払えます。こういったポルノ的性質についても、無批判に受け入れずに、しっかりと把握したうえで鑑賞しましょう。合掌。
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 メリークリスマス。そして、よいお年を。

(醤油)

【12/24】桜井梨穂子編④(終)

桜井梨穂子編 第4章「サヨナラ」

醤油:最終回です。あっと言う間でしたね。
ミシ:さよなら、さよなら、さよなら~。もうすぐ次は綾辻~♪
QP:小田和正なんか口ずさんで、ご機嫌ですね。
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(年あけ。登校の支度をする梨穂子。部屋のコルクボードには、また一枚写真が増えた)
醤油:おや、きょうは寝坊してませんね。余裕をもって身嗜みを整えてます。
ミシ:意識から無意識へのエネルギーの流れがピークを過ぎ、逆転したんでしょうね。その証左に、前回から純一へのアプローチに積極性を見出すことができます。
QP:元旦デートに誘うなぞ、1話の梨穂子からは考えられぬ行動ですからね。純一と接するときに適用される、あらたな規範が構築されようとしてます。
(OP)
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(香苗「全然進展無し? アンタこの冬休み何してたのよ? はつ詣行ったとき、結構イイ感じだったんでしょ? 橘純一、想像以上のニブチンね。これは相当の荒療治が必要だわ」)
ミシ:しかし、関係性は2人で培うものですから、前者が変化したところで、後者が応えねば、その関係性は依然旧態としたままです。
醤油:この4話から、純一側の意識の変革が争点となってくるんですね。
(梨穂子「うんとね、香苗ちゃん。わたし、このままでイイかなって。わたし、ようちえんの頃からずっと純一のことが好きで、ずっとこんな感じで来て、だからいまの関係を急に変えなくてもイイかなって」)
ミシ:無理に発展を推し進めて、破綻をきたすのを恐れてるんですね。
醤油:梨穂子にとって純一との関係はそれほど尊く、慎重にならざるを得ぬ案件なんです。
(梨穂子の言葉に理解を示す香苗。2人の関係をゆっくり見守ることにする。梨穂子にダイエットの経過を聞くと、梨穂子「それがね、お正月はね、色色と誘惑が多くて、困ったものです。えへへ……」)
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(香苗「もう桜井ってばカワイイなぁ!」デコピン)
(香苗・梨穂子「えへへへへ」)
ミ・醤・QP:えへへへへ。
ミシ:もうコイツ等ってばカワイイなぁ!
醤油:イイわぁ~。
QP:ちょっ、ミシェル君! 僕にデコピンをしようとするな!
ミシ:えへへへへ。
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(一人で昼食を食べる純一の姿を発見し、うきうきで近づく梨穂子)
QP:ピョンと跳ねるこのモーション、可愛すぎます。
ミシ:七咲編の後遺症で、純一君、B定食を食べてましたね。
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(放課後、茶道部に寄る純一と梨穂子。先輩’sは、森島はるかの茶道部入部を賭して勝負を挑むが見事惨敗してしまったと話す)
醤油:よかったぁ。ちゃんと犬が出てきてくれましたね。
ミシ:DOG=GOD。この世界にも、神は実在したんですね。
QP:梨穂子の神頼みは、無意味ではなかったんですね。安堵しました。
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(先輩達と純一の話にはくわわらず、一人黙々とお茶菓子を消費する梨穂子。葛藤が見え隠れする)
醤油:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ、可愛(・∀・)イイ!
QP:スゲェイイモーションだなぁ。
ミシ:細部に神が宿るとは、このことを言うんですね。
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(先輩’sは「ヒキツギ」の必要性を口にするも、梨穂子に部長を任せるのは不安だと言って、再度純一を勧誘する。先輩「どう? 入部したら、もれなくこの娘もツケちゃうから!」梨穂子「え~、わたしオマケですか?」)
ミシ:婿入りの催促ですね。
醤油:義父母と良好な関係を築きつつありますね、純一君。
QP:あの、梨穂子にとっても義理の父母なんですが……。
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(部活を終え、帰路につく2人。梨穂子は、純一に手袋の具合を尋ねる。「はじめはキツかったが、だんだん馴染んできた」と答える純一)
ミシ:梨穂子のくれた恋情の丈。更に縮まった2人の距離や、茶道部と云う環境にも、次第に慣れてきたと云うことなんでしょう。
醤油:(先輩達が)はじめはキツかった。
ミシ:そう云うことを言ってるんじゃありませんからね?
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(梨穂子「わたし、これまでお世話になったぶん、先輩達に恩返しをする意味も込めて、しっかり茶道部を守らなくちゃって思ってるんだ」)
QP:梨穂子を見る純一君の目。その目は優しかった。
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(Bパート。シュークリームを作る梨穂子。できたぁ!)
醤油:かたち良し!
QP:味良し!
ミシ:愛情も良し!
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(梨穂子「なんちゃって……」)
ミ・醤・QP:FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!
ミシ:僕らの前頭葉を騒がせるこの未知の情感をなんと呼ぶか知ってますか、醤油君!?
醤油:ハイ、わかりません!
QP:A10神経ですか?
ミシ:「萌え」だよ!
ミ・醤・QP:FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!
QP:と言うか、これヴァ↑レンタインやん!
ミシ:やたら流暢な発音でしたね。
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(梨穂子のようすを先輩’sに相談する純一だったが、梨穂子のことをどう想うか逆に問われ「ただのおさな馴染み」であるとお茶を濁す。煮えきらぬ純一に、梨穂子の義父母は婿入りを迫る。夕月「冗談はさておき、わたしは、あんたとリホっち、お似合だと思うんだけどねぇ?」)
ミシ:義父母に囲まれる純一君。
醤油:堪らず退散します。
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(放課後。純一にバレンタインチョコを渡す梨穂子。純一「お、シュークリーム。美味しそうだな」)
ミシ:梨穂子はちゃんと覚えてるんですね。
醤油:古代ヘブライ語で……(省略)。
QP:梨穂子をおもんばかって、2人で並んで食べるの、ええな。
(梨穂子「ねえ、純一。この人からチョコを貰えたらイイなって思う人いないの?」)
(純一「な、なんだよ突然。なんでそんなこと聞くんだ? 梨穂子こそどうなんだよ。好きな人いないのか? 梨穂子、結構モテるらしいじゃないか」)
(梨穂子「ふぇっ、えっ? そんなにモテたりしてないよ~」)
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(純一は梨穂子の頬のチョコクリームをぬぐう。純一「ふふ。ついてるぞ。ほれ」)
(梨穂子「えへへ。ありがとう」)
ミ・醤:えへへ。
(帰り道の声。時が止まってほしくて~♪)
QP:クライマックスを予感させる、しんみりとした曲ですね。急に流れたから、驚きました。
醤油:あっと言う間に卒業式です。
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(梨穂子「るっこ先輩。まなか先輩。ご卒業おめでとうございます」)
(夕月「リホっち。2年間アンタと過ごせて、あたしら本当に良かった。楽しかったよ。ありがとう」)
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(梨穂子「わたしも先輩達と一緒で、楽しかったです」)
ミシ:嫁入り前の娘を喚起させますね。
醤油:先輩たちの学校からの卒業と言うよりは、梨穂子が親元を離れる話なんですね。
QP:お、ようやくヒーローがやって来ましたよ。
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(純一「これ、僕からの卒業祝いです」)
醤油:婚姻届ですね。
(純一「僕の学生生活の残り一年を茶道部にささげます。先輩。茶道部と梨穂子のことは僕に任せて、安心して卒業してください」
QP:よう言うた! それでこそ漢や!
醤油:七咲編の後遺症を乗り越えて、僕達の英雄が帰って来ましたよ!
ミシ:茨姫は時が満ちるその時まで、茨の棘で守られる。しかし、王子がやってくると茨の垣はひとりでに左右に分かれ、王子は傷一つ負うことなく、姫に目覚めのキスを与える。これまで茶道部の先輩達が担ってた梨穂子を保護する役割は譲渡され、これからは純一が「ひき継ぐ」わけです。
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醤油:ぬわあああああああああああああああああああ!
ミシ:お、醤油君が立ち上がったぞ! どうしたどうした?
醤油:僕は! これから! 飛翔します! あの「空」、梨穂子に向かって!
QP:イイぞ! 飛べ、飛べ、飛べ!
醤油:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
(醤油、リタイア)
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(エピローグ。桜舞う季節。そこには立派に茶道部をきり盛りする純一と梨穂子の姿があった)
(fin)
QP:しかし、この2人は未だ結ばれてませんよね?
ミシ:SS+を観ろ。
QP:あ、ハイ。

【12/25】綾辻詞編につづく。

【12/24】桜井梨穂子編③

桜井梨穂子編 第3章「ヒキツギ」

醤油:3話です。梨穂子編のみは、2話の時点でクリスマスが終わってしまうんですよね。
ミシ:創設祭よりもあとの世界、あったんですね。地球平面説のように、クリスマスの先は急崖になってると思ってました。
QP:全ての過程をすっ飛ばして、エピローグまで一直線ですか? 一概に否定できぬところが『アマガミss』と言う作品の底知れぬ部分ですよね。
醤油:七咲と塚原先輩の間でも、おでんレシピの「ヒキツギ」が為されます。
(塚原「あの大根の味は素晴らしかったわ」七咲「そんな。先輩の昆布には敵ゐません」)
QP:なにを褒めたたえてるんだ、コイツらは。
(OP)
醤油:相変わらず、きもちが上向きになるOPです。
ミシ:このOPを14回聴き、魂に刻み込むんや。
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野点を楽しむ純一と茶道部員達)
醤油:順調に茶道部帰化してますね、純一君。
ミシ:もう逃れられませんよ。覚悟を決めましょう。
QP:ハイ。
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(薫のバイト先でお茶をする梨穂子と純一。クリスマスプレゼントのお返しに、一緒にはつ詣しようとせがむ梨穂子。快諾する純一。梨穂子「やっぱりケーキ頂戴~」)
ミシ:苺のショートケーキに舌鼓をうつ梨穂子、可愛eですね。
QP:さっきまで太るからと遠慮してたのに、美味しそうに頬ばりますね。
醤油:正月デートの話をきり出すのに、相当量のエネルギーを消費しちゃったんですよ。ちゃんと誘えた自分へのご褒美です。
ミシ:大丈夫、大丈夫。美味しいから大丈夫だよ~。
QP:それ、べつのアニメですよ。
ミシ:さらっとBパートです。
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(Bパート。ウメハラと電話する純一。大晦日に遊ぼうと誘われるが、梨穂子と年を越す予定があるため、ことわる。梨穂子との関係性を詰問される純一。ただのおさな馴染みだと答える。ウメハラ「幸せってもんは、意外に身近なところにあるものかもしれねーぞ。どうだ? なかなか名言じゃねーか?」)
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(その頃、梨穂子もまた電話で香苗に報告をする。梨穂子「残念な知らせもあるんだよ。実はケーキを……」香苗「タベチャッタノォ!?」→うで立て伏せで食べてしまった分のカロリーを消費せんとする梨穂子)
ミシ:この2人、一貫してイイはたらきをしますよね。特にウメハラ。梨穂子の競争率の高さをそれとなく伝えて、純一に恋心を自覚させんと試みる。
醤油:友人、先輩、妹。さまざまな人に支えられ温められ、ようやく2人の恋は孵化するんですね。
QP:ロマンチックやなぁ。
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(大晦日。橘家を訪れる梨穂子。美也と純一の痴話喧嘩を仲裁し、特製チーズスフレを皆で頂く)
ミシ:お母さーん!
醤油:糞っ。僕が先に言おうと思ってたのに!
ミシ:包み込み、わかち与える。母性の発露ですね。
QP:お母さーん!
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(興がノって、アイドルの真似をしてくれる梨穂子)
QP:エンディング曲ですね。
醤油:歌は好きなのに、アイドルになるのは嫌なんですね。なぜなら。
QP:純一と大晦日を過ごすことのほうが重要ですから。
醤油:正解!
ミシ:梨穂子は己の中での優先順位を決して違えませんよね。
QP:美点ですね。こうした性質が、梨穂子をマイペースたらしめてるのでしょう。
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(元旦。寝坊してしまったものの、最寄りの神社ではつ詣をする純一・梨穂子・美也の3人)
ミシ:やはり元旦から遅刻してしまうんですね。
醤油:スローペースな2人らしくて、ほほ笑ましさを感じます。
QP:幸せやなぁ。
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(梨穂子の絵馬には、3つの望みが書かれる)
ミシ:一番目と三番目は、既に実現しつつありますよね。
醤油:最終話では、二番目の実現が見られるんでしょう。きっと。
QP:なんだかもう、普通にアニメを観てる感覚です。
ミシ:純粋に楽しみましょうよ。
QP:せやな。
(ED)

【12/24】桜井梨穂子編②

桜井梨穂子編 第2章「テツダイ」

ミシ:第2話です。「鉄」の意志で「ダイ」エット。略して、テツダイ。
醤油:無理矢理すぎません?
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(約束通り、スケートに来た4人。しかし、梨穂子は滑らず立ち竦む。純一「梨穂子は昔からスケートが苦手だったもんな」)
醤油:90’sデートの定番と言えば、スケートのイメージがあります。
ミシ:ここ、事故とは言え180°開脚できてますね。毎晩のストレッチをつづけてることが窺えます。
QP:冷たそうです。
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(梨穂子の面倒を純一に任せる香苗。純一は転びそうになる梨穂子を支えようとしてむねを揉んでしまう。スカートの中も見てしまう)
醤・QP:きたあああああああっ。ラッキースケベやっ!
ミシ:嫌だあぁ、純一のエッチ!
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(離れたところから2人を見守るウメハラと香苗)
醤油:また、この構図ですか。
QP:この得も言われぬ表情ですよ。
ミシ:しかし、画面前の僕達も、傍から見たらこんな感じに映るんでしょうね。
(OP)
(香苗「さっき転んだのは、なかなか高ポイントだったね~」)
ミシ:転んだのを褒められるのって、はじめての経験でしょうね。
醤油:せやな。
QP:梨穂子は自らの性的魅力に関して、終始無頓着ですよね。
ミシ:男女の性差への認識はところどころ見られるんですが、自らの性に関しては価値を見出しておらんのでしょうね。性差を純一へのアプローチに運用した七咲とは、真逆ですね。
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(夜。一日を「楽しかった」とふり返る梨穂子。部屋のコルクボードにはまた一枚、純一と映った写真が足された)
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ミシ:「手袋を失くしてしまった」と言う純一のために、手袋編んでますよ、この娘。あったけぇ~。
QP:まだ編み上がってませんよ。逸りすぎです。
(翌日、昼休み。純一は、中庭で茶道部の先輩’sに「炬燵の天板を運ぶのを手伝え」と絡まれる)
ミシ:これ、娘の好きな男に干渉せんとする親の姿ですよね。
醤油:夕月先輩(眼鏡のほう)が父親で、飛羽先輩(長髪のほう)が母親ですね。
QP:可哀想に。純一君、茶道部室に連れ込まれてねちねちと尋問されてますよ。
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醤油:そこに当の梨穂子が帰ってくる、と。
ミシ:お父さん、お母さん! もぉ~、また内緒で純一君を呼んで! へ、変なこと言われたりしなかったよね? はぁ~、萌え。
QP:実際の梨穂子はとり乱すこともなく、自然に同席してますけどね。
醤油:生憎と知られて困るような、うしろ暗さをもち合わせておらんのでしょう。はぁ~、萌え。
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茶道部存続のため、純一を新入部員に誘ってはどうかと梨穂子に提案する先輩’s)
ミシ:良かったですね、純一。両親のお眼鏡に適ったようですよ。
醤油:婿養子が確定しましたね。
QP:おめでとう、純一君。
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(Bパート。クリスマス当日。例のごとくアンニュイになる純一。しかし、茶道部を手伝う約束があったことを美也に指摘され、しぶしぶ創設祭に向かう)
醤油:美也が再びアマノウズメと化してますね。
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茶道部謹製の甘酒を運ぶ純一。先輩’sにしつように勧誘されるが、拒む)
QP:君、うちの婿養子にならんか?
醤油:え、嫌です。
ミシ:なるほどねぇ。この甘酒、実は口噛み酒だったんだ。ここでも「むすび」が出てくるんですね。
QP:またその話ですか? ミーハーですよ。
ミシ:要は、結婚式で新郎新婦が飲み交わして契りを結ぶお神酒、三献の儀でしょう?
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(梨穂子の和服姿に思わず見蕩れる純一)
ミシ:桜井梨穂子、蕩れ。
醤油:流行るとイイな、蕩れ。
QP:ネタが古すぎますよ。
(梨穂子「ねぇ、純一。この機会に茶道部に入っちゃうってのは、どうかな?」)
ミシ:純一君、わたしん家の婿養子になりませんか?
醤油:え、嫌です。
QP:梨穂子、残念そうにしてるじゃありませんか。早く承諾してあげましょうよ。
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(クリスマスツリーのライトアップを見上げる2人。純一「梨穂子、メリークリスマス」梨穂子「メリークリスマス、純一」)
ミ・醤・QP:メリークリスマス!
ミシ:2年前の梨穂子が報われた瞬間ですね。
醤油:同時に、純一のクリスマスへの恐怖が払拭された瞬間でもあります。
QP:「メリークリスマス」と口にできた訳ですからね。事情を知る梨穂子、この言葉を聞くことが出来て、相当嬉しかったでしょうね。
ミシ:素朴な2人の関係に、癒されます。
(創設祭の帰り、ベンチに座る2人。梨穂子「あ、雪」)
ミ・醤・QP:むふふ。
醤油:約束された展開で、笑ってしまう。最高のタイミングですね。
QP:雪の降らん聖夜など、嘘ですよ。嘘。
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(純一「そう言えば、子どもの頃、雪が降ったときにさ。梨穂子、空に向かって大きな口をあけてたよな」回想の中の梨穂子「えへへ。お腹が減ったから、雪を食べてるの」純一「梨穂子、なかなかアレ止めなかったんだよな」梨穂子「たしかにお腹は膨れなかったんだけど、でも美味しかったんだよ?」)
QP:純一の作ってる雪だるま、何なんですか。胸部が強調されすぎでしょう。
醤油:オッパイパイパイおっき~な。梨穂子のむねが大きくなる「オマジナイ」ですよ。
ミシ:梨穂子の豊満なバストは、このワシが育てたんじゃよ?
醤・QP:やめーや。
ミシ:さらっとキーワードが出てきましたね。空。六大の立ち位置では「包容力・無限」に相当します。言わずもがな、ここでの梨穂子は、雪として結晶化した、宙に漂う無限のエネルギーを体内にとり込もうとしてます。とり込まれた自然のエネルギーは内部で吸収され、全身を経由することによって、無意識の領域にもう一つの「空」を象る。梨穂子の発露する類稀な包容の性質、それは自己の内部に生み出された空に端をなすものと言えるでしょう。梨穂子は正真正銘「空」のアマガミなのです。
醤油:巨大な空洞があるぶん、一たびバランスをくずし、精神エネルギーが意識から無意識へ逆流してしまうと、途端にポンコツになってしまうんですね。
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(純一にクリスマスプレゼント・手編みの手袋を贈る梨穂子)
ミシ:Last Christmas, I gave you my heart. But the very next day, you gave it away.
醤油:This year, to save me from tears. I'll give it to someone special.
QP:たとえフラれても、梨穂子は毎年純一にプレゼントしそうですよね。
ミ・醤:それな。
(夜。香苗と電話をしながら、ストレッチをする梨穂子)
醤油:すんなり開脚できるようになってますね。
ミシ:これは、2人の関係の進展を塞き止めてきた壁、2年前の事件の記憶がこなごなに破壊され、硬直した関係性も変化の兆しを見せたことを示唆してます。
QP:ようやく、恋のブレイクスルーが果たされたんやなって。
(ED)