mantrog

京大漫トロピーのブログです

【12/26】漫トロ夢の懸賞生活

こんばんは。@某田です。留年生なのでクリスマス・アドベントカレンダーでも遅刻しています。

私は今晩、このようなニュースを目にしました。ショックです。漫画雑誌の発行部数が減少しているという話です(電子書籍の発行部数は含まれているのでしょうか?)。
漫画誌過去最大の落ち込み「こち亀」など終了影響か - 社会 : 日刊スポーツ

確かに、単行本派の人はよく見ますが、漫トロ会員以外で「漫画雑誌を買った」という話は最近ほとんど耳にしません。
しかし、単行本しか買わない人は絶対に知らない1つの事実が有ります。それは、

漫画雑誌の懸賞は実はメチャメチャ当たる
ということです。
雑誌の発行部数が減っているということを逆に考えると寧ろ懸賞を当てるチャンスだとも言えます。

おっと、eメール✉だ。なになに……クロネコヤマトの宅急便が明日何かを配達してくれるとのこと。
はて?何か通販で買い物したかな?住所の流出による代引きのいたずらかな?……

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やりました。雑誌懸賞(ウルトラジャンプ)限定の秋★枝("秋枝"ではない)『恋は光』マグカップを手に入れました。集英社に感謝👍

実は、漫トロでは有志による雑誌の共同購入を行っています(半年¥5,000/1人)。
購入している雑誌は『アフタヌーン』から『なかよし』まで、『近代麻雀』や『楽園 le paradis』なども含めて概ね15誌程度を毎月購入しています。
その殆どの雑誌には懸賞のページがついています。漫画雑誌の懸賞とは、漫画を読んだ感想や作者へのメッセージなどを付属のハガキか特設のwebサイトから送って、運が良ければ景品が当たるというアレです。
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この雑誌(ミラクルジャンプ)であれば、多分最も高額なE賞のPSVitaに私なら応募します。だいたい20回に1回くらいは最高金額のものが当たっていると感じます。期待値で言うと応募一回で¥500~¥1,000が返ってくる感じでしょうか。雑誌一冊の金額に近いですね。
また、第一希望の景品に落ちていても、第二希望の図書カードが当たったりもします。限定デザインなので、基本使わず保存します。
私は、ここ3年でだいたい60通の雑誌懸賞を送ったと思います。
以下、当たったものの一部紹介です。@holysenもよく当てているようです。






特に2年前(懸賞を送り始めた時期)は異様に高い確率で特賞が当たっています。一度、特賞が当たった雑誌では、ブラックリストに入れられているのか、二度目の特賞を貰った経験がありませんが、図書カードなら届くようです。私はこの他に、¥10,000(モーニングTwo)、¥5,000(別冊ゴラク)等をゲットしました。『新・幸せの時間』完結記念、国友やすゆき先生の自作CDは、好評につき限定20名だったところが全員プレゼントになったりしました。
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Sunny

雑誌購入で漫画界の未来に貢献!アンケートで自分の意見を漫画に反映!さらに景品でウハウハ!
以上です。

にゅーたん(2)<完> (シリウスKC)

にゅーたん(2)<完> (シリウスKC)

上にある、額縁に入れた複製原画は雑誌『ネメシス』の懸賞で頂いた友美イチロウ先生の『にゅーたん』の1ページです。先生の直筆メッセージがアツいぜ!
某田

【12/25】父娘漫画に潜むポルノ

 という訳で後半です。12月1日から延々と引き延ばして、やっと書きます。

 さて、前半で引っ張り出した一年前の記事では、とーちゃんに小岩井葉介という名が与えられたこと、そして、よつばが幼児から少女へ成長していることを指摘しました。僕は特に前者の問題、つまり、自分がよつばの父親になれないことに絶望したわけですが、今回は後者の問題を考えてみましょう。
 幼児が少女へと成長する。成長の果て、彼女はどこに辿り着くのでしょうか。その軌跡を追うのがこの漫画です。

うさぎドロップ 1巻 (FEEL COMICS)

うさぎドロップ 1巻 (FEEL COMICS)

 うさぎドロップ
 30歳の独身サラリーマン・河地大吉が、祖父の訃報を聞いて実家に訪れると、見知らぬ幼女に出会った。幼女の名前は鹿賀りん。なんと彼女は祖父の隠し子だった。彼女を誰かが引きとるのか、それとも施設に預けるのか、遺された一族たちの揉め合いを見かねた大吉は、自分が育てると宣言した。かくして、父と娘、もとい30歳の甥と5歳の叔母の、奇妙な共同生活が始まるのだ。あらすじはこんな感じです。
 父娘漫画の重要な点は、母の不在です。母親がしっかりいれば、それはホームドラマの類になります。円満な家庭の中でのすれ違いやいざこざ、そういった内部の問題がゆっくりと解決されます。父娘漫画はそうは行きません。この狭い世界には二人しかいない。些事でいちいち対立していたら、生活そのものが破綻してしまう。むしろ問題は外部にあり、父と娘は二人で協力して立ち向かわなければならない。『うさぎドロップ』で言えば、隠し子に対する一族の反応や、仕事と生活の両立があります。大吉は保育園の迎えに遅れないように、残業のない出荷部に異動しました。
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 2016年の今なら、それこそ「保育園落ちた日本死ね」みたいな状況になってるんでしょうね。本作には、シングルファザー(マザー)の世知辛い事情への言及がいくらか見られます。さて、本来は一人暮らしで仕事をしていた父役は、異動はあれど外で働かなければなりません。すると必然的に、家を守る役目は少女が負うことになります。小学校に入学したりんは人一倍しっかりした性格になり、大吉より先に起きて朝食の準備を始めるようになります。娘役の少女は、家庭における母役(妻役)を兼ねるのです。母親の不在を解決するために、自分より弱い少女を家に縛り付け、妻の代わりにする。このミソジニー溢れる歪な構図が、『うさぎドロップ』には潜んでいるのです。
 母親の不在の解決策は、もう一つあります。近所のお姉さんです。『よつばと!』なら綾瀬家の三姉妹、『甘々と稲妻』なら飯田小鳥が相当します。前者は、電撃大王に連載しているように、本来はオタクのための漫画です。女性への強い恐怖からか、三姉妹はあくまで萌えキャラ的な側面から描かれています。妻役はやれど本当に小岩井とくっつくことはないでしょう。一方、後者は違います。そもそも父娘漫画にするために、最初から主人公の妻を故人にしている作品です。新たな妻役の小鳥は、料理で犬塚親子の記憶を上塗りし、全力で接近します。亡き妻・母の思い出の一品を再現し、二人に笑顔で振る舞う彼女の姿を見て、背中に寒気を覚えました。わたしが新しいお母さんですよーっ。怖い怖い。
 近所のお姉さんに近いというか、りんの代わりに大吉の妻役になりうる女性は、『うさぎドロップ』にも存在しました。りんの幼馴染の少年・二谷コウキの母親である二谷ゆかりです。シングルマザーであり、子供を一人で養う苦労を大吉と共有しています。二人は両想いになりますが、結局は結ばれません。成長し、思春期を迎えたりんとコウキの関係が悪くなってしまったというのもありますが、二人が結ばれるのは、あまりにも都合が良すぎるというメタ的な理由もあるでしょう。シングルマザーとシングルファザーが結ばれて、円満な家庭が実現されれば上々ですが、そんな上手い話なかなかないでしょう。
 さて、話を本筋に戻します。小学生にして若妻役を負った少女は、順調に成長し、高校生になります。『うさぎドロップ』は全9巻(+番外編1巻)の構成ですが、5巻の目次でさらっと「あれから10年―」と導入が書かれて、いきなり高校生編が始まります。最初読んだ時は驚きました。一歩一歩成長する、かけがえのない日々はどこにいってしまったんだ。ちょうど自転車に乗れるようになった子供が、自分の手を離れてどこまでも走っていく姿を見るように、少女の成長を心から喜びながら、どこか寂寥の念を胸に湛える。そういう切なさがこの漫画にはないのか?
 結論から言うと、ありませんでした。理由は簡単です。少女が自分の手から離れない(離さない)からです。学業も運動も家事も完璧にこなす女子高生になったりんですが、進路については立ち止まってしまいます。大吉は、実の娘でもない自分のために、自分の生活を捧げてくれた。自分はそんな大吉を置いて、どこかへ行くことができるのだろうか。よく言えば恩義、悪く言えば負い目が彼女の目の前に立ち塞がるのです。恩義や負い目という言葉に語弊があったとしても、彼女が自分の人生を考えるとき、大吉の存在は、無意識に視野を狭くするのです。
 そして、どういうわけか、りんは大吉を異性として意識し始めます。コウキへの淡い初恋と幻滅、大吉のゆかりへの失恋、同級生たちの恋愛模様、さまざまな要因が少しずつ後押しして、りんは大吉に恋愛感情を抱くのですが、ぶっちゃけ誤魔化しですよね。負い目から大吉と一緒にいるという境遇を、自ら選んだように演出しているだけです。当然、父役の大吉はこれを拒絶します。建前では勿論ですが、本心からも気まずいところがあるでしょう。今までさんざん妻役を負わせていたわけだけど、本当に妻にするなんて想定外でビビってしまう。そもそも前途有望な少女の未来を、老いてゆくばかりの自分が食いつぶすことは余りにも残酷だ。
 物語も終盤、りんは自分の感情に整理をつけるため、実の母親に相談しに行きます。りんの母親・吉井正子は漫画家で、仕事のためにりんの養育を放棄した女性です。物語途中までは大吉の目の敵にされていましたが、紆余曲折を経て和解しました。少女が、女性として先達である母親に悩みを相談するという構図は典型的ですが、上記の都合から、今までのりんには不足していたものです。大吉に恋愛感情を抱いていること。大吉は拒絶するが、それでも自分は大吉の傍に居続けたいこと。血の繋がり(甥と叔母なので三親等)から、結婚が不可能なこと。溜め込んだ悩みを母に告げると、正子は衝撃の事実を口にします。

 りんと大吉に血の繋がりはない。


 僕は仰天しました。理解が追いつかないままページをめくります。すると、りんは大吉への恋心を一層のものにし、大吉はしぶしぶこれを受け入れるのです。そしてとうとう二人は結婚しました。やばいやばい。何だコレ。まるで意味が分からない。脳が理解することを拒否してしまった。心が体を追い越してしまった(意味不明)。とてもじゃないけど折り合いが付けられません

 『うさぎドロップ』 タイトルの通り、目の前に少女が落ちてきて、男はそれを受け止める。狭い世界は二人で完結し、男と少女は番いとなる。
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 父なる神に妻をあてがわれた男。この構図は「空から落ちてくる女の子」という形で多くの作品に見られます。ジャンプ漫画で言えば、『いちご100%』『ニセコイ』『ラブラッシュ』など、アニメなら古くは『天空の城ラピュタ』が、最近の物なら『化物語』が挙げられます。それでも娘を囲って妻にするのは異常でしょう。むしろ『源氏物語』の光源氏と紫の上に近い関係かもしれません。結果的に見れば、大吉は自分の妻をこしらえるために幼女を拾って育て上げたのです。やばいやばい。何だコレ。
 早い話がポルノです。肉体的にも社会的にも強い成人男性が、か弱い少女を搾取する。「近所のお姉さん」が存在しない父娘漫画には、こういう性質が潜んでいます。今年の漫トロで喧々諤々の議論を呼んだ『私の少年』にも、同じ性質が見出せます。

 チャイルドアビューズを受ける少年・真修を、主人公のOLが面倒を見る物語。性別は父娘と逆ですが、男―少女で描かれてたら直球過ぎてヤバいでしょ。当初はその予定だった(1巻あとがき参照)のに逆にしたの、批判を避けるためじゃないですか?タイトルも搾取する気満々だし、少年の外見も中性的で、やたらとセクシャルな印象を受けます。ポルノですよ、ポルノ。反論は受け付けません。こんなポルノを男―少女で描いた作品で成功したの、映画『レオン』ぐらいじゃないですかね。あの作品は結局、最後は父役にあたるレオンは死んで物語が終わりますが、『私の少年』はどう決着つけるんでしょうかね。万が一、結婚でもしたら赦さねぇからな。

 煩悩は自覚してこそ振り払えます。こういったポルノ的性質についても、無批判に受け入れずに、しっかりと把握したうえで鑑賞しましょう。合掌。
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 メリークリスマス。そして、よいお年を。

(醤油)

【12/24】桜井梨穂子編④(終)

桜井梨穂子編 第4章「サヨナラ」

醤油:最終回です。あっと言う間でしたね。
ミシ:さよなら、さよなら、さよなら~。もうすぐ次は綾辻~♪
QP:小田和正なんか口ずさんで、ご機嫌ですね。
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(年あけ。登校の支度をする梨穂子。部屋のコルクボードには、また一枚写真が増えた)
醤油:おや、きょうは寝坊してませんね。余裕をもって身嗜みを整えてます。
ミシ:意識から無意識へのエネルギーの流れがピークを過ぎ、逆転したんでしょうね。その証左に、前回から純一へのアプローチに積極性を見出すことができます。
QP:元旦デートに誘うなぞ、1話の梨穂子からは考えられぬ行動ですからね。純一と接するときに適用される、あらたな規範が構築されようとしてます。
(OP)
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(香苗「全然進展無し? アンタこの冬休み何してたのよ? はつ詣行ったとき、結構イイ感じだったんでしょ? 橘純一、想像以上のニブチンね。これは相当の荒療治が必要だわ」)
ミシ:しかし、関係性は2人で培うものですから、前者が変化したところで、後者が応えねば、その関係性は依然旧態としたままです。
醤油:この4話から、純一側の意識の変革が争点となってくるんですね。
(梨穂子「うんとね、香苗ちゃん。わたし、このままでイイかなって。わたし、ようちえんの頃からずっと純一のことが好きで、ずっとこんな感じで来て、だからいまの関係を急に変えなくてもイイかなって」)
ミシ:無理に発展を推し進めて、破綻をきたすのを恐れてるんですね。
醤油:梨穂子にとって純一との関係はそれほど尊く、慎重にならざるを得ぬ案件なんです。
(梨穂子の言葉に理解を示す香苗。2人の関係をゆっくり見守ることにする。梨穂子にダイエットの経過を聞くと、梨穂子「それがね、お正月はね、色色と誘惑が多くて、困ったものです。えへへ……」)
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(香苗「もう桜井ってばカワイイなぁ!」デコピン)
(香苗・梨穂子「えへへへへ」)
ミ・醤・QP:えへへへへ。
ミシ:もうコイツ等ってばカワイイなぁ!
醤油:イイわぁ~。
QP:ちょっ、ミシェル君! 僕にデコピンをしようとするな!
ミシ:えへへへへ。
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(一人で昼食を食べる純一の姿を発見し、うきうきで近づく梨穂子)
QP:ピョンと跳ねるこのモーション、可愛すぎます。
ミシ:七咲編の後遺症で、純一君、B定食を食べてましたね。
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(放課後、茶道部に寄る純一と梨穂子。先輩’sは、森島はるかの茶道部入部を賭して勝負を挑むが見事惨敗してしまったと話す)
醤油:よかったぁ。ちゃんと犬が出てきてくれましたね。
ミシ:DOG=GOD。この世界にも、神は実在したんですね。
QP:梨穂子の神頼みは、無意味ではなかったんですね。安堵しました。
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(先輩達と純一の話にはくわわらず、一人黙々とお茶菓子を消費する梨穂子。葛藤が見え隠れする)
醤油:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ、可愛(・∀・)イイ!
QP:スゲェイイモーションだなぁ。
ミシ:細部に神が宿るとは、このことを言うんですね。
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(先輩’sは「ヒキツギ」の必要性を口にするも、梨穂子に部長を任せるのは不安だと言って、再度純一を勧誘する。先輩「どう? 入部したら、もれなくこの娘もツケちゃうから!」梨穂子「え~、わたしオマケですか?」)
ミシ:婿入りの催促ですね。
醤油:義父母と良好な関係を築きつつありますね、純一君。
QP:あの、梨穂子にとっても義理の父母なんですが……。
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(部活を終え、帰路につく2人。梨穂子は、純一に手袋の具合を尋ねる。「はじめはキツかったが、だんだん馴染んできた」と答える純一)
ミシ:梨穂子のくれた恋情の丈。更に縮まった2人の距離や、茶道部と云う環境にも、次第に慣れてきたと云うことなんでしょう。
醤油:(先輩達が)はじめはキツかった。
ミシ:そう云うことを言ってるんじゃありませんからね?
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(梨穂子「わたし、これまでお世話になったぶん、先輩達に恩返しをする意味も込めて、しっかり茶道部を守らなくちゃって思ってるんだ」)
QP:梨穂子を見る純一君の目。その目は優しかった。
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(Bパート。シュークリームを作る梨穂子。できたぁ!)
醤油:かたち良し!
QP:味良し!
ミシ:愛情も良し!
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(梨穂子「なんちゃって……」)
ミ・醤・QP:FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!
ミシ:僕らの前頭葉を騒がせるこの未知の情感をなんと呼ぶか知ってますか、醤油君!?
醤油:ハイ、わかりません!
QP:A10神経ですか?
ミシ:「萌え」だよ!
ミ・醤・QP:FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!
QP:と言うか、これヴァ↑レンタインやん!
ミシ:やたら流暢な発音でしたね。
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(梨穂子のようすを先輩’sに相談する純一だったが、梨穂子のことをどう想うか逆に問われ「ただのおさな馴染み」であるとお茶を濁す。煮えきらぬ純一に、梨穂子の義父母は婿入りを迫る。夕月「冗談はさておき、わたしは、あんたとリホっち、お似合だと思うんだけどねぇ?」)
ミシ:義父母に囲まれる純一君。
醤油:堪らず退散します。
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(放課後。純一にバレンタインチョコを渡す梨穂子。純一「お、シュークリーム。美味しそうだな」)
ミシ:梨穂子はちゃんと覚えてるんですね。
醤油:古代ヘブライ語で……(省略)。
QP:梨穂子をおもんばかって、2人で並んで食べるの、ええな。
(梨穂子「ねえ、純一。この人からチョコを貰えたらイイなって思う人いないの?」)
(純一「な、なんだよ突然。なんでそんなこと聞くんだ? 梨穂子こそどうなんだよ。好きな人いないのか? 梨穂子、結構モテるらしいじゃないか」)
(梨穂子「ふぇっ、えっ? そんなにモテたりしてないよ~」)
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(純一は梨穂子の頬のチョコクリームをぬぐう。純一「ふふ。ついてるぞ。ほれ」)
(梨穂子「えへへ。ありがとう」)
ミ・醤:えへへ。
(帰り道の声。時が止まってほしくて~♪)
QP:クライマックスを予感させる、しんみりとした曲ですね。急に流れたから、驚きました。
醤油:あっと言う間に卒業式です。
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(梨穂子「るっこ先輩。まなか先輩。ご卒業おめでとうございます」)
(夕月「リホっち。2年間アンタと過ごせて、あたしら本当に良かった。楽しかったよ。ありがとう」)
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(梨穂子「わたしも先輩達と一緒で、楽しかったです」)
ミシ:嫁入り前の娘を喚起させますね。
醤油:先輩たちの学校からの卒業と言うよりは、梨穂子が親元を離れる話なんですね。
QP:お、ようやくヒーローがやって来ましたよ。
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(純一「これ、僕からの卒業祝いです」)
醤油:婚姻届ですね。
(純一「僕の学生生活の残り一年を茶道部にささげます。先輩。茶道部と梨穂子のことは僕に任せて、安心して卒業してください」
QP:よう言うた! それでこそ漢や!
醤油:七咲編の後遺症を乗り越えて、僕達の英雄が帰って来ましたよ!
ミシ:茨姫は時が満ちるその時まで、茨の棘で守られる。しかし、王子がやってくると茨の垣はひとりでに左右に分かれ、王子は傷一つ負うことなく、姫に目覚めのキスを与える。これまで茶道部の先輩達が担ってた梨穂子を保護する役割は譲渡され、これからは純一が「ひき継ぐ」わけです。
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醤油:ぬわあああああああああああああああああああ!
ミシ:お、醤油君が立ち上がったぞ! どうしたどうした?
醤油:僕は! これから! 飛翔します! あの「空」、梨穂子に向かって!
QP:イイぞ! 飛べ、飛べ、飛べ!
醤油:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
(醤油、リタイア)
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(エピローグ。桜舞う季節。そこには立派に茶道部をきり盛りする純一と梨穂子の姿があった)
(fin)
QP:しかし、この2人は未だ結ばれてませんよね?
ミシ:SS+を観ろ。
QP:あ、ハイ。

【12/25】綾辻詞編につづく。

【12/24】桜井梨穂子編③

桜井梨穂子編 第3章「ヒキツギ」

醤油:3話です。梨穂子編のみは、2話の時点でクリスマスが終わってしまうんですよね。
ミシ:創設祭よりもあとの世界、あったんですね。地球平面説のように、クリスマスの先は急崖になってると思ってました。
QP:全ての過程をすっ飛ばして、エピローグまで一直線ですか? 一概に否定できぬところが『アマガミss』と言う作品の底知れぬ部分ですよね。
醤油:七咲と塚原先輩の間でも、おでんレシピの「ヒキツギ」が為されます。
(塚原「あの大根の味は素晴らしかったわ」七咲「そんな。先輩の昆布には敵ゐません」)
QP:なにを褒めたたえてるんだ、コイツらは。
(OP)
醤油:相変わらず、きもちが上向きになるOPです。
ミシ:このOPを14回聴き、魂に刻み込むんや。
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野点を楽しむ純一と茶道部員達)
醤油:順調に茶道部帰化してますね、純一君。
ミシ:もう逃れられませんよ。覚悟を決めましょう。
QP:ハイ。
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(薫のバイト先でお茶をする梨穂子と純一。クリスマスプレゼントのお返しに、一緒にはつ詣しようとせがむ梨穂子。快諾する純一。梨穂子「やっぱりケーキ頂戴~」)
ミシ:苺のショートケーキに舌鼓をうつ梨穂子、可愛eですね。
QP:さっきまで太るからと遠慮してたのに、美味しそうに頬ばりますね。
醤油:正月デートの話をきり出すのに、相当量のエネルギーを消費しちゃったんですよ。ちゃんと誘えた自分へのご褒美です。
ミシ:大丈夫、大丈夫。美味しいから大丈夫だよ~。
QP:それ、べつのアニメですよ。
ミシ:さらっとBパートです。
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(Bパート。ウメハラと電話する純一。大晦日に遊ぼうと誘われるが、梨穂子と年を越す予定があるため、ことわる。梨穂子との関係性を詰問される純一。ただのおさな馴染みだと答える。ウメハラ「幸せってもんは、意外に身近なところにあるものかもしれねーぞ。どうだ? なかなか名言じゃねーか?」)
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(その頃、梨穂子もまた電話で香苗に報告をする。梨穂子「残念な知らせもあるんだよ。実はケーキを……」香苗「タベチャッタノォ!?」→うで立て伏せで食べてしまった分のカロリーを消費せんとする梨穂子)
ミシ:この2人、一貫してイイはたらきをしますよね。特にウメハラ。梨穂子の競争率の高さをそれとなく伝えて、純一に恋心を自覚させんと試みる。
醤油:友人、先輩、妹。さまざまな人に支えられ温められ、ようやく2人の恋は孵化するんですね。
QP:ロマンチックやなぁ。
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(大晦日。橘家を訪れる梨穂子。美也と純一の痴話喧嘩を仲裁し、特製チーズスフレを皆で頂く)
ミシ:お母さーん!
醤油:糞っ。僕が先に言おうと思ってたのに!
ミシ:包み込み、わかち与える。母性の発露ですね。
QP:お母さーん!
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(興がノって、アイドルの真似をしてくれる梨穂子)
QP:エンディング曲ですね。
醤油:歌は好きなのに、アイドルになるのは嫌なんですね。なぜなら。
QP:純一と大晦日を過ごすことのほうが重要ですから。
醤油:正解!
ミシ:梨穂子は己の中での優先順位を決して違えませんよね。
QP:美点ですね。こうした性質が、梨穂子をマイペースたらしめてるのでしょう。
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(元旦。寝坊してしまったものの、最寄りの神社ではつ詣をする純一・梨穂子・美也の3人)
ミシ:やはり元旦から遅刻してしまうんですね。
醤油:スローペースな2人らしくて、ほほ笑ましさを感じます。
QP:幸せやなぁ。
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(梨穂子の絵馬には、3つの望みが書かれる)
ミシ:一番目と三番目は、既に実現しつつありますよね。
醤油:最終話では、二番目の実現が見られるんでしょう。きっと。
QP:なんだかもう、普通にアニメを観てる感覚です。
ミシ:純粋に楽しみましょうよ。
QP:せやな。
(ED)

【12/24】桜井梨穂子編②

桜井梨穂子編 第2章「テツダイ」

ミシ:第2話です。「鉄」の意志で「ダイ」エット。略して、テツダイ。
醤油:無理矢理すぎません?
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(約束通り、スケートに来た4人。しかし、梨穂子は滑らず立ち竦む。純一「梨穂子は昔からスケートが苦手だったもんな」)
醤油:90’sデートの定番と言えば、スケートのイメージがあります。
ミシ:ここ、事故とは言え180°開脚できてますね。毎晩のストレッチをつづけてることが窺えます。
QP:冷たそうです。
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(梨穂子の面倒を純一に任せる香苗。純一は転びそうになる梨穂子を支えようとしてむねを揉んでしまう。スカートの中も見てしまう)
醤・QP:きたあああああああっ。ラッキースケベやっ!
ミシ:嫌だあぁ、純一のエッチ!
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(離れたところから2人を見守るウメハラと香苗)
醤油:また、この構図ですか。
QP:この得も言われぬ表情ですよ。
ミシ:しかし、画面前の僕達も、傍から見たらこんな感じに映るんでしょうね。
(OP)
(香苗「さっき転んだのは、なかなか高ポイントだったね~」)
ミシ:転んだのを褒められるのって、はじめての経験でしょうね。
醤油:せやな。
QP:梨穂子は自らの性的魅力に関して、終始無頓着ですよね。
ミシ:男女の性差への認識はところどころ見られるんですが、自らの性に関しては価値を見出しておらんのでしょうね。性差を純一へのアプローチに運用した七咲とは、真逆ですね。
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(夜。一日を「楽しかった」とふり返る梨穂子。部屋のコルクボードにはまた一枚、純一と映った写真が足された)
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ミシ:「手袋を失くしてしまった」と言う純一のために、手袋編んでますよ、この娘。あったけぇ~。
QP:まだ編み上がってませんよ。逸りすぎです。
(翌日、昼休み。純一は、中庭で茶道部の先輩’sに「炬燵の天板を運ぶのを手伝え」と絡まれる)
ミシ:これ、娘の好きな男に干渉せんとする親の姿ですよね。
醤油:夕月先輩(眼鏡のほう)が父親で、飛羽先輩(長髪のほう)が母親ですね。
QP:可哀想に。純一君、茶道部室に連れ込まれてねちねちと尋問されてますよ。
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醤油:そこに当の梨穂子が帰ってくる、と。
ミシ:お父さん、お母さん! もぉ~、また内緒で純一君を呼んで! へ、変なこと言われたりしなかったよね? はぁ~、萌え。
QP:実際の梨穂子はとり乱すこともなく、自然に同席してますけどね。
醤油:生憎と知られて困るような、うしろ暗さをもち合わせておらんのでしょう。はぁ~、萌え。
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茶道部存続のため、純一を新入部員に誘ってはどうかと梨穂子に提案する先輩’s)
ミシ:良かったですね、純一。両親のお眼鏡に適ったようですよ。
醤油:婿養子が確定しましたね。
QP:おめでとう、純一君。
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(Bパート。クリスマス当日。例のごとくアンニュイになる純一。しかし、茶道部を手伝う約束があったことを美也に指摘され、しぶしぶ創設祭に向かう)
醤油:美也が再びアマノウズメと化してますね。
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茶道部謹製の甘酒を運ぶ純一。先輩’sにしつように勧誘されるが、拒む)
QP:君、うちの婿養子にならんか?
醤油:え、嫌です。
ミシ:なるほどねぇ。この甘酒、実は口噛み酒だったんだ。ここでも「むすび」が出てくるんですね。
QP:またその話ですか? ミーハーですよ。
ミシ:要は、結婚式で新郎新婦が飲み交わして契りを結ぶお神酒、三献の儀でしょう?
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(梨穂子の和服姿に思わず見蕩れる純一)
ミシ:桜井梨穂子、蕩れ。
醤油:流行るとイイな、蕩れ。
QP:ネタが古すぎますよ。
(梨穂子「ねぇ、純一。この機会に茶道部に入っちゃうってのは、どうかな?」)
ミシ:純一君、わたしん家の婿養子になりませんか?
醤油:え、嫌です。
QP:梨穂子、残念そうにしてるじゃありませんか。早く承諾してあげましょうよ。
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(クリスマスツリーのライトアップを見上げる2人。純一「梨穂子、メリークリスマス」梨穂子「メリークリスマス、純一」)
ミ・醤・QP:メリークリスマス!
ミシ:2年前の梨穂子が報われた瞬間ですね。
醤油:同時に、純一のクリスマスへの恐怖が払拭された瞬間でもあります。
QP:「メリークリスマス」と口にできた訳ですからね。事情を知る梨穂子、この言葉を聞くことが出来て、相当嬉しかったでしょうね。
ミシ:素朴な2人の関係に、癒されます。
(創設祭の帰り、ベンチに座る2人。梨穂子「あ、雪」)
ミ・醤・QP:むふふ。
醤油:約束された展開で、笑ってしまう。最高のタイミングですね。
QP:雪の降らん聖夜など、嘘ですよ。嘘。
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(純一「そう言えば、子どもの頃、雪が降ったときにさ。梨穂子、空に向かって大きな口をあけてたよな」回想の中の梨穂子「えへへ。お腹が減ったから、雪を食べてるの」純一「梨穂子、なかなかアレ止めなかったんだよな」梨穂子「たしかにお腹は膨れなかったんだけど、でも美味しかったんだよ?」)
QP:純一の作ってる雪だるま、何なんですか。胸部が強調されすぎでしょう。
醤油:オッパイパイパイおっき~な。梨穂子のむねが大きくなる「オマジナイ」ですよ。
ミシ:梨穂子の豊満なバストは、このワシが育てたんじゃよ?
醤・QP:やめーや。
ミシ:さらっとキーワードが出てきましたね。空。六大の立ち位置では「包容力・無限」に相当します。言わずもがな、ここでの梨穂子は、雪として結晶化した、宙に漂う無限のエネルギーを体内にとり込もうとしてます。とり込まれた自然のエネルギーは内部で吸収され、全身を経由することによって、無意識の領域にもう一つの「空」を象る。梨穂子の発露する類稀な包容の性質、それは自己の内部に生み出された空に端をなすものと言えるでしょう。梨穂子は正真正銘「空」のアマガミなのです。
醤油:巨大な空洞があるぶん、一たびバランスをくずし、精神エネルギーが意識から無意識へ逆流してしまうと、途端にポンコツになってしまうんですね。
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(純一にクリスマスプレゼント・手編みの手袋を贈る梨穂子)
ミシ:Last Christmas, I gave you my heart. But the very next day, you gave it away.
醤油:This year, to save me from tears. I'll give it to someone special.
QP:たとえフラれても、梨穂子は毎年純一にプレゼントしそうですよね。
ミ・醤:それな。
(夜。香苗と電話をしながら、ストレッチをする梨穂子)
醤油:すんなり開脚できるようになってますね。
ミシ:これは、2人の関係の進展を塞き止めてきた壁、2年前の事件の記憶がこなごなに破壊され、硬直した関係性も変化の兆しを見せたことを示唆してます。
QP:ようやく、恋のブレイクスルーが果たされたんやなって。
(ED)

【12/24】裏アドベントカレンダー4日目。桜井梨穂子編①

桜井梨穂子編 第1章「オモイデ」

醤油:4人目、純一のおさな馴染み・梨穂子編です。
QP:ウォーミングアップ出来てますか?
ミシ:もちろんです。早速、観て行きましょう。
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(梨穂子「2年前の12月、わたしは、おさな馴染みの純一から突然お買ものに誘われました。もうすっごく嬉しくて、デートきぶんで出かけたら、実は純一が好きな女の子に贈るクリスマスプレゼント選びに付き合わされただけだったんです。わたし、ガッカリしちゃって。プレゼント選びは、それでそれでとても楽しかったんですけどね。でも、結局その子と純一はうまく行かなかったようで、後からそれを知ったときには、自分のことのように悲しくなりました。あの頃も今も、わたしはずっと純一に片想中なんです」)
ミシ:うおおおおおおおおおおおんっ、梨穂子ぉおおおおおおおお!
QP:のっけから不憫やわぁ……。
醤油:冒頭、アマガミの世界観が構築されたXデーよりも前、梨穂子のコンフェッションから始まります。声は新谷良子さんですね。「ひだまりスケッチ」の沙英さん。
QP:これ、誰に宛てた告解なんでしょうか?
ミシ:親友の香苗さんや、茶道部の先輩2人にでしょう。
醤油:純一への好意を明言したか否かはともかくとして、日常会話の中、それとなく相談はしてるでしょうね。したがって、梨穂子をとり巻く周囲の人間が、純一への恋慕をあらかじめ察した状態で2人の話はスタートします。
(OP)
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ミシ:コルクボードに純一との歴史を貼りたくってる梨穂子、涙ぐましくて、揺さぶられますね。
醤油:あ、鶴屋さんの声が聞こえる。
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(あさ。寝坊した梨穂子は、親友の香苗に叩き起こされる)
ミシ:『茨姫』ですね。
QP:え?
醤油:「眠れる森の美女」のことです。王子のキスで目を覚ますんですか?
QP:香苗さんが王子?
ミシ:否。このシーンのみを参照すると、一見そうとも思えるんですが、香苗さんはあくまでも、子どものできぬ王さまと王妃に、お姫さまが一人生まれることを予言する「蛙」の役です。
醤油:両生類。みずと陸との間を往来する者。意識と無意識を繋ぎ、或は無意識内より意識界へと出現してくるあらたな可能性を示唆する存在ですね。
ミシ:香苗さんのロールはさておき、この「蛙」の予言通り、王と妃の間に子が生まれると、12人の仙女を招き宴が催された。仙女達はそれぞれ「一人は徳を、もう一人は美しさを、三番目は富を」と云ったように、誕生した姫へ善意の贈りものをするが、招かれざる13番目の仙女が、宴に呼ばれなかった報復として「死」を贈ってしまう。
QP:天道の十二宮に示されるように、12は完全数としての意味が強く見出されます。それらの完全なものに、一つの異質な悪・13番目の因子が侵入することで「茨姫」の話は進展を見せるんですね。
醤油:13と言えば、円卓の……
QP:それはもう、中多編で言及したでしょう?
醤油:すみません。
ミシ:贈られた死・「つむの一突き」の呪詛は15の年齢になったとき発動し、姫を百年のねむりにつかせた。
QP:ははぁん。言わんとしてることが掴めてきましたよ。15歳。中学3年生。2年前のクリスマス、人知れず純一に失恋し、純一の側も失恋した例の事件が、梨穂子にとっての「つむの一突き」となったんですね。そして、梨穂子は現在に至るまで2年間の精神的な休眠状態となる。
醤油:その「つむの一突き」によってもたらされた「休眠状態」とやらが、主に純一との関係に見出され、これまで2人の関係性の発展を阻害してきたのか。純一が押し入れにひき籠もった同時期、梨穂子もまた冷凍睡眠されてたんですね。
ミシ:ここでもう一つ注目すべきは、梨穂子が「怠惰」である点です。2年前の決定的な事件よりも以前、梨穂子と純一の関係性は、おさな馴染みの延長線上に生じた緩やかな好意・唯一性で保障されてあった。ところが、純一に好きな女性ができることで、その安全神話は崩壊してしまう。
QP:この純一が失恋した女性は、これまでさんざん議論の俎上に上った、母性の有する否定的な側面ですね。あれから2年が経つと言うのに、未だに純一のこころを捕らえて離さず、その全てを呑みこんで無に帰さんと追ってくる。
ミシ:これまで意識が依存してきた規範に頼れなくなった梨穂子ですが、すると、通用しなくなってしまった規範に反目するものが無意識内に形成されます。この反目のために本来、無意識から意識へ流れる筈の精神エネルギーの逆流が生じ、梨穂子は「怠惰」の状態に陥った。
醤油:本人の生来的な性質もあると思われますが、それにしても些か頓馬ですからね。
ミシ:そして、この退行現象に耐え、その頂点に達すると、再びエネルギーの流れの反転が生じ、無意識内で培われた創造的な内容を意識内へともたらします。上の画像。母に抱かれた赤ん坊のようにまるまった梨穂子が、無理矢理目覚めさせられる構図は、自己実現への十全な準備状態が整って、純一との間にあらたな関係性が築かれることを暗示するのです。
QP:おさな馴染みの先へ進むために、梨穂子は一旦「死」を体験しなくてはならなかったんですね。
醤油:そうした観点をふまえた上で観て行きましょう。
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(寝ぐせを直そうとする梨穂子。香苗「それにしても最近遅刻多すぎだよ~?」)
ミシ:やはり、この寝ぐせは「これから変革がはじまるぞ」と言う霊感を表してるんでしょうね。
QP:遅刻の多さや忘れものは、精神エネルギーの逆流を如実に示してますね。
醤油:どうしよう! どうしよう~!
ミシ:可愛ええな?
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(忘れものをとりに帰ったために遅刻しそうになる梨穂子。ショートカットを試みるが、金網にひっかかって前にもうしろにも進めなくなってしまう。そこに偶然、純一が現れる)
ミシ:あああああああああああああ、可愛すぎる~!
(純一「落ちつこう、梨穂子」)
醤・QP:だってさ、ミシェル。
(おちょくりながらも、なんだかんだで、おさな馴染みの窮地をすくう純一であった。純一「身体のちからをぬき、うつ伏せになれ」)
ミシ:身体のちからをぬき、マントラを聴くのだ。全てを委ねよ。
QP:一体どうしたん? この人。
醤油:I have no idea. ところで純一君、パンツ見えそうだったのに全然意識してませんでしたね。
QP:これが森島先輩とかでしたら、穴に嵌まったのを見た瞬間大興奮でしょうね。
ミシ:身体的な性差はそれなりに意識してますよ。ただし身内補正で、動悸を感じる閾値が通常よりも高く設定されてしまってるんです。
(なんとか救出され、ほっとむねを撫で下ろす梨穂子。梨穂子「ふにゃぁ~」)
醤油:ふにゃぁ~。
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(梨穂子「はっ、たすかった! バンザーイ!」)
ミシ:バンザーイ!
醤油:バンザーイ!
QP:バ、バンザーイ!
ミシ:最高ですね?
醤油:ええ、全くです。
QP:皆の知能レベルが退化してる。
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(体育の授業。高跳びに挑戦する梨穂子。しかし失敗してしまう)
ミシ:まだ跳べません。
QP:余計なウェイトありますからね。
醤油:そう言う話じゃねぇんだよ。
ミシ:醤油君。この人、敵です。
QP:すみませんでした。二度と口にしません。
ミシ:許しましょう。
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(昼。菓子パンを次々と胃袋に収める梨穂子。見兼ねた香苗がエアーダイエットを提案するものの、当の梨穂子は「あしたからやる」と言う)
QP:この子、美味しそうにごはんを食べますね。高評価ですよ。
醤油:「あしたから」と言って、目を逸らすから、他のヒロインにも一人遅れをとるんですよ。
ミシ:来たるべきときのためにカロリーを蓄えておく重要性を、本能で感じてます。なまじ共に過ごした時間が長くなると関係性は硬直し、変革に莫大なエネルギーと時間を要するようになる。それを賄おうとしてるんです。
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(ダイエット復活の理由を純一だと指摘され、焦る梨穂子。逡巡ののち「よし、きょうからがんばる!」と決意をあらたにする)
ミシ:チャンスは来たれり。躍進の時間です。
醤油:狼煙をあげろぉ!
QP:2年A組に乗り込むぞぉ!
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(純一に、あさのお礼だと言って手作りのマフィンを贈る梨穂子。梨穂子「わたし、ダイエットすることにしたから!」)
ミシ:何度目かのダイエット宣言。
醤油:しかし、このたびのダイエットは一味違った展開を見せます。
QP:滾るなぁ。
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(親友の恋路を温かく見守るウメハラと香苗。その甲斐あって、日曜日に4人でスケート場で遊ぶ運びとなる)
QP:2人の優しさが身にしみます。
醤油:イイ画なんですけど、この2人はくっつきません。
ミシ:お似合なのに残念ですね。
(Bパート。カロリーを鑑みて泣く泣く、パンダココアではなくウーロン茶を購入する梨穂子)
QP:エライぞぉ。がんばれ。
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(しかし、茶道部部室に出向くと、先輩達の甘言に惑わされ、堪えきれずシュークリームを食べてしまう)
QP:ダイエット中だって言ってるでしょう? どうして、そう甘やかすんですが。
ミシ:過度な節食で健康を損なってしまうことを恐れてるんですよ。家族愛です。
醤油:百忍通意。重要な言葉ですよ。耐え忍んだら意は通じるんです。
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(古代ヘブライ語で「シューク」は「愛」・「リーム」は「オマジナイ」を意味し、元来は好きな人にプロポーズをするときに渡したお菓子であると、でまかせを吹き込む先輩。騙されてしまう素直な梨穂子)
ミシ:純真な梨穂子を弄びやがってよぉ。
醤油:部員不足はこの2人の人間性に問題があるからではありませんか?
ミシ:このままでは廃部ずら。
QP:そっちは廃校でしょ。
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(非常階段。ダイエット宣言をした手前、誰にも見つからぬよう隠れてシュークリームを頬ばる梨穂子を、純一は目撃してしまう)
醤油:この不合理さが堪りませんね?
ミシ:ええ、全くです。
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(一緒に下校する梨穂子と純一。途中立ち寄った公園で、ようちえんの頃の記憶に浸る梨穂子。しかし、梨穂子と純一の記憶は食違う)
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(純一「るんるんるんるんるるるりら。お姫さまになれ。キレイなお姫さまになれ~」美也「お姫さま、お姫さま、にししし!」)
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(純一「まんままんまんままんがまん。美味しそうなまんま肉まんになれ~」美也「まんま肉まん、まんま肉まん、にししし!」)
醤油:「オモイデ」ですね。
ミシ:グリム童話を連想させますよね。
QP:祈祷する純一。ぴょんぴょん踊る美也。この兄妹、狂ってません?
ミシ:おそらく純一のほうが正確な記憶でしょうけど、なんでもイイんでしょうね。
醤油:同じ日常を過ごした事実と、その過去を2人で懐かしむこと。それが、梨穂子の幸せでしょうからね。
(昔のようにすべり台を滑ろうとして、臀部が嵌まってしまう梨穂子)
QP:また嵌まってます。
ミシ:井伏鱒二の『山椒魚』のようですね。
醤油:は?
ミシ:大きく育ってしまったんですよ。身体も。純一への恋情も。
醤油:あ、ハイ。
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(お風呂上り、ストレッチを試みるが、身体が固すぎて満足に出来なかった)
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(翌日、純一は遅刻するであろう梨穂子を想って、あらかじめ鉄柵の穴をひろげておく。ひっかからず通過することができ、「ストレッチのお蔭だ」と喜ぶ梨穂子)
ミシ:これまでのダイエットが実を結ばなかった素因。それは、梨穂子の創造的退行が整っておらず、まだ時期尚早だったのもありますが、王子=純一の介在・協力と言う最後の要素を欠くものだったからなんですね。
醤油:純一からの受入れサインが出たんですね。三日坊主にならず、しっかり継続性を誓う姿勢もエライです。
QP:ええ娘や。
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(ED)
醤油:ええ歌や。好きです。
QP:恋はあせらず。
ミシ:「果報は寝て待て」と言うしね。
醤油:しかし、宇宙空間でたゆたう梨穂子の画、肉感的すぎやしません?
ミ・QP:同意します。

【12/24】E-Hentai.orgに同人誌を勝手に英訳して転載する人間は何を考えているのか

ハッピー・ホリデイズ! ひでシスです。

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今年のテーマは煩悩なので、エロ同人誌の話をしましょう。

皆さんはE-hentai.orgってご存知ですか? 同人誌や漫画を違法にコピー・翻訳し共有しているフォーラムサイトです。ぼくは女の子が飴やクッキーに変身して食べられるという同人誌を書いたりしているのですが、今回このサイトに同人誌のうちの一つが違法にアップロードされているというタレコミを頂いたのでメールを送って対処してみました。

やり取りの経緯

1. E-hentaiに転載されたことを知る


以上のようにある心ある方からタレコミをいただきました。Twitterで活動しているとこういうタレコミは案外普通にもらえるものです。http://g.e-hentai.org/g/990436/6768d8bc29/を確認するとたしかに自分の同人誌でした。
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1.1 メッセージを送るためにE-hentaiでアカウントを取得する

E-hentai.orgのページヘッダの「Forms」から「Register」と辿り、アカウントを取得します。必要とされる情報はメールアドレスのみです。

2. アップロード者に対してプライベート・メッセージを送信する

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ギャラリーページに表示されたアップロード・アカウント名の隣のメールボックス・アイコンをクリックすると、プライベート・メッセージを送信する画面が出てきます。

「俺はマルクス主義者だ。もっと漫画を転載してくれ」とメッセージを送ります。
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要点をまとめると、

  1. ぼくの同人誌を翻訳してくれてありがとう
  2. いくつか質問をさせてください
    1. 訳するのにどれぐらい時間がかかりましたか
    2. あなたの目的と信条は何ですか
    3. あなたの言語環境を教えてください
    4. どこからオリジナルの同人誌をダウンロードしましたか
    5. 最新の原稿を送ります

あたりです。

3. メッセージが返ってくる

1週間かからずにメッセージが返ってきました。返ってこないことも予想していたので、ちゃんと返事をしてくれて嬉しいです。
メッセージを直接載せるのはどうかと思いましたので、翻訳したものを掲載します。

こんにちは!

うわー、あなたがその翻訳を全く見つけるとは本当に思ってもみませんでした! 私はあなたの芸術とアイデアの大きなファンだと言いたいです。サイズフェチと状態変化は私のお気に入りのコンテンツの一部です。


でも、悪いニュースがあります。私はそれを翻訳した人ではありませんでした。

書かれていることを知ることは本当に面白いと思ったので、私は自分のために英語へ翻訳するために別の人にお金を払いました。大変申し訳ありませんが、私は日本語がわかりません。私はアメリカに住み、英語を話します(いくつかのドイツ語の知識があります)。

私がやっていることは、GIMPPhotoshopなどのプログラムを使って、日本語のテキストから英語のテキストへ編集することです。私が支払った人々は私に台詞を与え、私はそれをテキストを置き、他の人々が楽しむためにそれらをアップロードした。


私は著作権法をあまり重視していません。なぜなら、それは世界中の多くの企業、企業、個人によって頻繁に悪用されているからです。

しかし、私は、例えば何かが違法にアップロードされた場合にお金を失う苦しいアーティストの窮状を理解することができます。私は新しいリリースのものをアップロードするためにしばらく待っていますが、実際にはアーティストの販売に害を及ぼしています。

しかしまた、私は物事をオンラインでアップロードすることはアーカイブ作業にとって重要だと考えています。私はE-hentaiは同人誌をアーカイブするのに良い場所だと思います。ある日DLsiteやbooth.pmが休止したり終了したりすると、その作品はインターネット上のどこでも利用できなくなり、基本的にダウンロードしていない人には手に入らなくなります!


とにかく、私はそれを翻訳した人ではないことを申し訳なく思います。私はあなたの新作が好きです!もし私がそれを手に入れることができれば、それを翻訳と一緒にアップロードします。ありがとうございました!!!

同人誌と違法アップロード

まず、違法コピーと違法翻訳は基本的にNGであることは明記しておきます。以下は、ぼくが著作権を持つ作品群に対して、マルクス主義者のぼくが持っている意見として聞いてください。

う~ん。たしかに、ぼくが日本語でしか漫画を出していなかったのはよくなかったかも知れません。作品を正規の方法で入手して、翻訳者にコミッションを払って、文字入れを自分でやってから転載する人も世の中にはいるんですね。これ以降、ぼくはできるだけ英語でも作品を書くことにしています。
「違法アップロードはアーカイブのため」というのも一面ではもっともらしい意見です。電子データはコピーされ続けることでしか世に残らないのですから。

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この作品が、『違法コピー』という手段以外で世に残り続けることができるだろうか

他人にお金を払って翻訳を依頼するほどの作品を読みたい人間と、その作品の権利者を上手くくっつけて、きちんとマネタイズすることができればそれが一番だと思います。

P.S.

ギャラリーページにアップロード者からの「できれば買ってあげてね」コメントが付いていました。
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I don't think eating people will make you popular. In fact I'm almost certain It would do the complete opposite.

ワロス